~市役所~
穏乃「ねぇ京太郎……どうしても、駄目なの?」ウルウル
京太郎「それはもう何度も話し合って決めたことだ、そうだろ穏乃」
穏乃「グスッ、でも、でもぉ」
京太郎「いいからほら、早くこれ出すぞ、憧も待ってるし」つ離婚届
穏乃「……憧」
京太郎「俺だって本当は辛いんだ、でも仕方ないだろ?そういうことになっちまったんだから」
京太郎「俺達の夫婦生活は、今日でおしまいだ」
穏乃「うっ、うう~~っ」ダキッ
穏乃「行かないで京太郎、行かないで!」
穏乃「憧の所に行っちゃ、ヤダ」
京太郎「っつ……参ったな……」ポリポリ
穏乃「お願い、捨てないで京太郎ぉ……」
京太郎「……穏乃」
憧「ちょっと待ったー!」
京太郎「いっ!?あ、憧!」
憧「家に来るのが遅いからもしかしてと思ったら……シズ!観念してそれを早く出しなさい!」
憧「『次は私の番』なんだから!」
穏乃「なんだよ!憧だって去年は散々渋ったんだし、もう少しくらいいいでしょ!」
憧「後十分で役所が閉まるのにもう少しも何も無いでしょ!」
ワーワーギャーギャー
京太郎(……高校時代に三人で付き合うって決めて、仲のいいまま社会人になって)
京太郎(そのまま皆で暮らすのかと思ったら「やっぱり夫婦にはなりたい」ってことで
一年交代でそれぞれの家で俺が暮らすことになったのは……まあいいけど)
京太郎「本当に何度も書類出す必要あるのかなぁ……役所の人の視線がキツイ」
京太郎「ま、でも」
憧「い・い・か・ら・出・し・な・さ・いー!」グググ
穏乃「い・や・だー!」グググ
京太郎「二人の為なら、何てことはないか!」
京太郎「二人共ー、愛してるからなー!」
――その後この光景が阿知賀の風物詩になること、
須賀京太郎が『世界一結婚と離婚を繰り返した男』、『世界一同じ女性と結婚と離婚をした男』として
ギネスで語られることとなることを、彼はまだ知らない
カンッ
最終更新:2013年11月02日 19:14