咲「京ちゃんさ、なんだか付き合いが悪いよね。ここんところ」

    京太郎「何言ってんだよ、今日だってこうして晩飯作りに来てやってるじゃんか」

    咲「昨日もおとといも、その前の日だって遊びに来てくれなかったもん。飼育係失格だよ」

    京太郎「また注文の多いうさちゃんがいたもんだな。仕方ないだろ、俺にも色々あるの」

    咲「何さ、色々って。まさか他所の女の子とイチャイチャしてたんじゃないよね」

    京太郎「お前は俺の彼女か。ちょっとばかり龍門渕に用事があっただけだよ」

    咲「…………」

    京太郎「咲?」

    咲「分かってるとは思うけど、衣ちゃんだけはダメだからね。両手が後ろに回っちゃうから」

    京太郎「お前って衣さんにだけはとことん失礼ぶっこくよな。マジでどうかと思うよ」

    咲「だって衣ちゃん可愛いじゃない。無礼な態度を取り続けたら涙目になっちゃうところとかさ」

    京太郎「ハギヨシさんの心労が増えるからやめろよ。意外に神経細いんだから、あの人」

    咲「はいはい、それで龍門渕にどんな用事があったの。誕生日ケーキの作り方でも習った?」

    京太郎「すぐそうやって先読みするよね」

    咲「うさうさ」

    京太郎「まさしくその通りだけど、もう来年の誕生日ケーキでもいいかなって思い始めてるぜ」

    咲「またまた、照れ隠しなんかしちゃって。ホントのデザートは京ちゃんのラブなんでしょ?」

    京太郎「やっぱりカピに食わせてくるよ。自分の心に嘘はつけない」

    咲「ちょっと待ってってば! 私が悪かったから意地悪しないでよ、もう!」

    京太郎「冗談だよ、これが誕生日ケーキだ。簡単なキャロットケーキで悪いけどな」

    咲「いやだなあ京ちゃん、キャロットっていうのは英語でニンジンのことだよ?」

    京太郎「うん?」

    咲「こんなケーキみたいなニンジン、どこの八百屋さんでも売ってないじゃん。嘘が下手だなあ」

    京太郎「…………」

    咲「京ちゃん?」

    京太郎「なあ咲。このケーキを食べる前に、今年こそは料理を覚えるって約束してくれないかな」

    咲「え? 普通にイヤだけど。何ばかなこと言ってんの、京ちゃん」

    京太郎「流石に予想外の反応だよ。こういう流れなんだから、せめて嘘でも約束しとこうよ」

    咲「私の食べるご飯は全部京ちゃんとお父さんが作ってくれるでしょ? そんなの必要ないもん」

    京太郎「知ってた」