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    京太郎「ぎゃ、逆転だ!やったぁぁぁ!!!」

    透華「ぃ、いま、のは」

    智紀「は、早い、そんな大物を」

    ハギヨシ「お見事です」

    京太郎「いままでのツケなのかなー!?やっべちょーうれしー」にやにや

    一「……いままでからは考えられないくらいすごい引きだったね」

    純「あぁ、そう、だな」

    衣「……京太郎」

    京太郎「ん、なんですか?」

    衣「新月の夜に、龍門渕に来てくれ」

    京太郎「へ?」

    衣「京太郎の力、衣が見定めよう」

    京太郎「うぇ?え?えぇ?」



    その夜

    京太郎(なんなんだ、新月の夜にって一番近くても二十日も先じゃないか)

    京太郎(その日は…土曜か。学校はやすみだけど、うーん)


    衣(京太郎は、衣と真逆なのだ)

    衣(麻雀を素直に楽しんでいるのに、牌に恐れられている京太郎)

    衣(素直に楽しめていなかったのに、牌に愛された衣)


    衣(わかったよ、京太郎。私たちが拮抗する訳が)

    衣(衣が月に引かれ宙を舞うなら、お前は月に見放され闇を這う。)

    衣(いままで対局した時、いずれも満月、十日夜の月。衣よりだ)


    衣(闇に染まった夜、引く力がない夜。お前はどうなる?)

    某日ー清澄高校
    月齢ー満月

    京太郎「うーん…」カチカチ

    京太郎「ダメだな。てんでバラバラだ」

    優希「どうだー犬ー……うっわ、こりゃーひどいぜ」

    京太郎「おかしいよなー、何しても裏目になるし」

    咲「カン!カン!カン!カン!」

    まこ「その表情、見切った!!」ピキーン

    和「SOA!」ドッギャアーーーーン

    久「そんなんじゃ、だ・め♪」スパァァン!

    京太郎「あっちはあっちで魔界と化してるし」

    優希「今日は優希ちゃんも調子がいいじぇ。京太郎が悪いの吸い取ってるのかもなー!」ケラケラ

    京太郎「んなことあってたまるかってーの」



    衣「……」タンッ

    純(何か、今日は不思議な気分だな)

    透華(柔らかな光に包まれて、登っていくような)

    一「……あ、あれ?ツモ」

    透華「え?」

    衣「……」スゥ チャラ

    一「あ、うん。僕の親番だね」カチャカチャ


    透華「衣?」

    衣「……不思議な気分だ、いつもよりもどこか清々しい」

    衣「自らの技で道を切り開くというのは」


    そして
    新月の夜


    ハギヨシ「夜中にすいません」

    京太郎「ハハハ、抜け出すの大変でした」

    ハギヨシ「何かあったら責任はとりましょう。では、どうぞ」



    京太郎「あれ?部屋の明かり、ついてないんじゃ……たしか部室って言ってたよな、でも……まぁいいか」

    京太郎「失礼します」ギィィィ


    衣「待っていたぞ京太郎」

    京太郎「あ、衣さん。なんでそんなロウソクだけで?」

    衣「雰囲気だ」キリッ

    京太郎「雰囲気って……なんすかそれ」

    透華「っ……」

    一「暗くて見えにくいなぁ……明かりつけようよー」

    衣「いいだろう偶には。さて、京太郎。対面に座って欲しい」

    京太郎「はいはい、よっこらせっと」

    一「じじくさ」

    京太郎「や、やかましい!……コホンッで、なんのようで、こんな夜中に?」

    衣「四人で雀卓についたのだ、やる事は一つだろう」

    京太郎「……え、麻雀?」

    衣「打ってみたいんだ。本物のお前と」

    京太郎「で、でもおれ、毎回本気で打ってきましたけど」

    衣「わかってる、それでも、だ。」

    透華「……須賀君、早く、始めましょう」

    京太郎「え?え?わ、わかりました」

    一(なんかへーんな雰囲気。衣も事情説明してくれないしー)

    東一局
    親ー透華

    京太郎「…お」

    衣(やはり、配牌がいいか京太郎)

    衣(今や深淵たる闇の世界ではお前が唯一の動くもの、王だ。牌はそれに従う。それに比べて……)

    透華(手牌が、重い)

    一(うわー、清一とかの大化けはあるけど、おっもいなぁ)

    透華「で、では」タンッ

    衣「っ」

    衣(重い闇が牌に絡みついている。引くのも一苦労だ。どれ)

    衣(くっ、どうにも、活かしにくい)タンッ

    一「うっわー」タンッ

    京太郎「ー♪」タンッ

    ー
    ーー
    ーーー


    衣(この手牌、マンズで染めて大きくなりそうだがまだまだ先だ。それじゃだめだ)

    京太郎「来た!ツモ!」

    衣(このノロマな様では京太郎に追いつけない)

    京太郎「ツモチャンタ中ドラ2、満貫」

    透華(薄い待ちを当たり前のように……)

    一「うわ、調子良さそうだね」

    京太郎「あぁ、幸先いいなー俺」

    衣(京太郎は気がついていない。自分の異常さに。そのままではやがて、まことの闇に呑まれる)

    衣(力に酔うのは衣だけで十分だ!)

    東4局
    親番ー衣

    衣(ここまでは、京太郎が軽いアガりを織り交ぜる他、一が混一をアガった。連荘なしのまま、衣の親番)

    衣(一気に巻き返す!)

    衣「ポン」

    京太郎「あ、はい(白を鳴かれた、早上がりの連荘?)」

    衣「チー」

    京太郎(今度はソウズ…混一?)

    衣「チー」

    京太郎(三フーロー、今度はピンズ。鳴き三色?手が悪いのか)

    透華(何をする気なのでしょう、衣。気を失う前に早くして欲しい、ものです、わ)

    京太郎(234の三色…その辺りは絶対にきれないな、それはブラフで白のみもあり得る、警戒を)タンッ

    衣「カン!」

    京太郎「!!」

    衣(さぁ、これで自分を見つめろ京太郎)

    衣(自らの異質さには、自分で気がつくしかないのだ!)

    衣「ツモ、嶺上開花三色白、新ドラは……白!親跳の責任払い18000!!」

    京太郎「っ」

    衣「逆転トップだ、京太郎」

    京太郎「やっぱ、衣さん強いや」

    衣「うむ、たくさん練習したからな。透華や一、純や智紀。全員一緒に強くなって、今の衣がいる」

    京太郎「ハハハ……そういえば、満月に近いほど強いとか聞きました。本当ですか?」

    衣「本当だ……だから今日なんかは、ダメなんだ、本当は」

    衣「でも、普段より弱くても、麻雀は楽しい」


    京太郎「俺は、勝てないのかな」

    衣「む?」


    京太郎「そりゃあ、まだまだ練習不足なのはわかる。龍門渕の皆さんや、清澄のみんなは、俺よりずっとずっと練習して、今がある」

    京太郎「でも……衣さんは今日本気ではあっても全力じゃない。俺は調子がいい、なのに負ける」

    京太郎「そんなの、かっこ悪いじゃないか」


    衣「京太郎?」


    京太郎「負けたくない……!負けたくない!」ゴッッ!!!

    衣「っ!?」

    衣(これは、悪運……)

    透華(な、なんですの、これ。黒い渦が、周りに……)

    一「お、落ち着きなよ……あれ?寒気して来た」ブルッ

    衣「…そうか」

    衣(京太郎は、月が満ちる時に地にいた。月に引き上げられて幸運が空に登るなら、悪運はどうなる?地に溜まる)

    京太郎「衣さん、連荘ですね…サイ、お願いします」

    衣(それを京太郎はひたすら溜め込んで来た。それを今吐き出したのだ。
    悪運は打ち捨てられ、勝利への渇望という仮初めの意思を持ち、暴れまわる)

    衣(その標的は…衣達だ)

    衣「ぐっ(配牌がひどい、これでどう戦う!?)」

    京太郎「……」ユラァ ダンッ

    衣(京太郎はこんな牌を渡されて、振り込まず上がりを目指していたのか)タンッ

    透華「うぅっ」タン

    京太郎「ロン」

    透華「ぁっ」

    京太郎「断ヤオ三暗刻、3900の一本場は4200」

    透華「ぐ、ぅ」チャリ

    一「は、早いなぁ」

    衣(次が、一の親番……だが)


    京太郎「カン」

    衣(暗カンでドラが丸乗り……!)

    京太郎「……ツモ、断ヤオドラ4、満貫」

    一「う、親かぶりかぁ……」チャリ

    衣(まずい!京太郎の親番だ!)

    京太郎「俺の、親……ですね」

    京太郎「…勝つんだ、勝つんだ。勝てるはずだ」ブツブツ

    衣(止める、絶対に止める!)

    透華(……ヘタレてる場合じゃない!衣に協力して、なんとか須賀君を)

    一「ブ、ブツブツ怖いよ」タンッ

    京太郎「リーチ」

    一「うわ、ダブリー!?」

    透華(っ、振り込むわけには)タンッ

    衣(く、スジも安牌もない)タンッ

    京太郎「ロン」

    衣「ぐっ」

    京太郎「ダブリー一発断ヤオドラ2、親跳ね18000」

    衣「ここまでできるか……!」

    衣(まずい!この高火力では次で飛ばされるかもしれん!)

    京太郎「一本場……」

    衣(ダメだ、新月じゃ所詮衣はこんなものか?)

    衣(……違う!京太郎は満月の最も力の出ない日、衣と渡り合っていた。なら逆もしかりだ!)

    衣「さぁ、次いくぞ!!」



    透華「ロン、発のみ1000。一本場は1300」

    衣「うむ」チャラ


    一「あ、ロン。タンピンドラ1、3900」

    透華「はい」チャリ

    衣(なんか普通に流れたぁぁぁ!!)

    京太郎「ダメだダメだダメだダメだダメだダメだ負けたくない負けたくない負けたくない負けたくない負けたくない」

    一(こわぁぁぁぁああ!!)

    透華「あぁ、闇が一層濃くなって……」

    衣(と、ともかく、衣の親でオーラスだ!なんとか、京太郎の目を覚まさせる一撃を……まて)

    衣(考えてもいなかった。これで京太郎の闇を屠らばどうなる)

    衣(衣を光とするなら京太郎は闇。
    再現なく、闇が溜まれば溜まるほど強くなるが、その身を破滅に陥れてゆく。
    なんせ悪運だ。貯めていいものであるわけない。しかし)

    衣(これで力を失えば京太郎はどうなる。確かに、極端な悪運はなくなるかもしれん、しかし極端に強い事も、なくなる)

    衣「…自分一人じゃ、決められないか」

    衣「京太郎、一つ聞きたい事がある」

    京太郎「なんですか」

    衣「麻雀をして来た中で、一番嬉しかったことはなんだ」

    京太郎「いちばん、うれしかったこと……」


    京太郎『ロ、ロン、国士無双!』


    京太郎「始めて、役満をアガった時、いや」


    京太郎『こ、これでいいのかな?えと、ロン、た、断ヤオトイトイ』


    京太郎「始めて、自分の力でアガったとき、かな」

    衣「そうか」

    衣「麻雀、楽しいか?」

    京太郎「はい、楽しいです」

    衣「そうか。京太郎」

    京太郎「なんですか」

    衣「今、麻雀楽しいか?」


    京太郎「あまり」

    衣「そうか、衣もだよ」

    衣「明日日曜日だったな、今日は泊まっていけ。明日、たくさん麻雀打とう」

    衣「すまない」

    京太郎「」タンッ

    衣「ロン。大三元」

    しんえんあるきのきょうたろうにかった!
    やみのちからはきえさっ……た?



    翌日

    京太郎「!」

    京太郎「ここは、何処だっけ」

    京太郎「あ、そうか。たしか昨日は龍門渕によりに呼ばれて」

    京太郎「思い出せない」


    コンコンッ

    京太郎「あ、はい」

    ハギヨシ「失礼いたします。お目覚めになられましたか。衣様がお呼びです、準備ができたらおこしください」


    京太郎「失礼しまーす」

    衣「お、来たか京太郎」

    一「おはよ、ふぁーあ……」

    透華「一、はしたないですわ!」

    京太郎「あの、昨日俺寝ちゃったみたいで、すいません」

    衣「なに、気にするな……京太郎」

    京太郎「はい」

    衣「麻雀をしよう」



    衣「京太郎の親だな」

    京太郎「なんだろう、デジャヴを感じる。じゃあいきます…ね…」

    衣「……?どうしたんだ?牌を握って固まって」

    京太郎「俺は」

    衣「?」

    京太郎「俺は、負けたくないぃぃぃぃぃぃい!!!」


    衣「えっ」