http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341225918/

    ゲーセン前



    京太郎「いよいよですね」


    衣「あぁ」


    京太郎「緊張してるんですか?」


    衣「少しだけな」


    京太郎「大丈夫ですって! あんなに練習したんですからきっと藤田さんに勝てますよ!」


    衣「そうだな! あんなに練習したんだもん! きっと勝てる!」


    京太郎「その意気ですよ! やる前から気持ちで負けてたんじゃ勝てる勝負も勝てません、前向きにいきましょう!」


    衣「その通りだ! 今日はフジタ絶対泣かす! そしてぶっ倒した後に、今どんな気持ちかしつこく聞いてやる! すっごい煽ってやる!」


    京太郎「人としては間違っているけど、格ゲープレイヤーとしてはあながち間違っていない、衣さんマジぱねぇっす!」


    衣「そうだろーさすがだろー」


    京太郎「すっごい複雑な気分ですけど、まぁいいや」


    衣「それはそうと京太郎」


    京太郎「なんですか?」


    衣「助っ人が見当たらないんだが大丈夫なのか?」


    京太郎「おかしいですね、師匠にお願いしたので手違いなんてあるはず無いですし……」


    衣「ハギヨシに頼んだのなら間違いない、きっともう助っ人も到着しているはずだ」


    京太郎「そうですよね……一体どこに『キャーーーーーー!!!!』 へっ?」



    京太郎「な、なんだ!?」


    衣「随分と派手な登場だな」



    ドサッ



    「し、しぬかと思ったよ」


    「」ブルブル


    「」コシューコシュー


    ハギヨシ「お待たせしました、衣様、京太郎さん」ペコリ


    衣「うむ、パーフェクトだハギヨシ」


    京太郎「パーフェクトじゃないですよ!! ツッコミどころありすぎですよ!!」


    衣「どうしたんだ京太郎? 実にパーフェクトな仕事じゃないか、時間通りきっちりと助っ人と合流できたし問題なかろうよ」


    京太郎「そうですね! 時間通りに助っ人の皆さんと合流できたそれは良かったです。ですけど、登場の仕方が無茶苦茶でしょう!!」


    衣「そうか?」


    京太郎「そうですよ! どこの世界に格ゲーをするために空からパラシュートで降下してきて合流する輩がいるんですか!?」


    衣「むぅ……言われてみれば確かに……」


    京太郎「そうでしょう! 体を抱えて震えてる人もいれば、酸素スプレーを当てて青白い顔をしている人だっているんですよ!」


    「」ブルブル


    「」コシュー



    衣「うむ。京太郎の言うとおりだ、ハギヨシどういうことだ! 説明しろ!」


    ハギヨシ「はい。龍門渕家自慢の自家用オスプレイで助っ人の皆さんをお迎えに行ったところ、馴染みのない移動手段で舞い上がってしまったようで」


    衣「して……どうしたのだ?」


    京太郎(オスプレイに馴染みのある庶民なんていないです)


    ハギヨシ「助っ人の方からせっかくの機会ですのでこれ(パラシュート)を使用して降りてみたいとおっしゃられたのでその通りに」


    京太郎「……その通りにしちゃったかー」


    衣「落ち着け京太郎」


    京太郎「でも」


    衣「聞けば助っ人達発信でこのような事態になったのだ。ハギヨシを責めるのは間違ってる!」


    京太郎「確かにそうですけど……こういう時は大人が止めないと」


    ハギヨシ「龍門渕家の執事たるものお客様の要望は出来うる限り叶えるべきと判断しました」


    衣「うむ、違いない」


    京太郎「でも、ほら! 安全性とか!」


    ハギヨシ「それについては問題ありません。このパラシュートは龍門渕が独自開発した着用者の体重を自動で計算して目的の座標に寸分違わずピンポイントで着陸できる代物で傘もちょうどいいところで自動で開いてくれます」


    京太郎「便利な設定だなー」


    衣「含みがある言い方だな」


    京太郎「いえ、やっぱり龍門渕ってスゴイ、改めてそう思いました」


    衣「うむ、ならば問題ないではないか」


    京太郎「……でもやっぱり」


    「須賀くん、執事さんに非はないよ!」


    京太郎「玄さん」


    玄「私たちが望んでやったことだしね!」


    「そや」


    京太郎「怜さん」


    怜「元々うちが提案したことやし」コシューコシュー


    京太郎「その割には一番重症そうですけど」


    怜「だってうち病弱やし」コシューコシュー


    衣「大丈夫なのか?」


    怜「少し休憩すれば大丈夫や」コシュー


    衣「そうか、一安心だ」


    怜「心配してくれてありがとなー」


    京太郎「はぁ、宥さんは大丈夫ですかー」


    宥「だ い゛じょ う゛ぶ だ よ゛」ガクガク


    京太郎「あーもうこんなに震えて可哀想に」


    衣「よっぽど怖かったんだな」


    京太郎「……そうですね」


    玄「誤解が生まれてますね」


    怜「せやな」コシュー


    ――――――――――――――――――


    ハギヨシ「どうぞミルクティーです」


    宥「」ゴクゴク


    宥「ふぅ」


    宥「あったかいし、美味しい」パァ


    京太郎「寒さで震えていただけだったんですね」


    玄「この時期でも空の上は寒かったよ」アハハ


    怜「ホンマになー」アハハ


    京太郎「この二人は……」


    衣「畜生だな……」


    宥「そ、そんな事ないよ!」


    京太郎「え?」


    衣「ん?」


    宥「確かに二人とも暴走しちゃう時もあるけど基本的にはとっても良い子だよ!」


    京太郎「あのー宥さん?」


    宥「え、なに?」


    京太郎「衣さんも本気で言った訳じゃないのでフォローはそれくらいで大丈夫ですよ」


    宥「そ、そうだったんだ。良かったよー」


    衣「誤解させるようなことを言って申し訳なかった」ペコリン


    宥「私の方こそごめんね衣ちゃん」ペコリン


    衣「うむ」


    宥「えへへ」ギュ


    衣「え?」


    衣「……」


    宥「」ニコニコ


    衣「……京太郎」


    京太郎「なんですか衣さん」


    衣「お姉さんに手を握られているのだが」


    京太郎「そうですねー」


    宥「もしかして嫌だったかな……」シュン


    衣「い、いや全然そんなことはない!」


    宥「本当? なら良かったー」ニコニコ


    衣「うん」


    宥「」ニコニコ


    衣「……」


    宥「」ニコニコ


    衣「……」


    宥「えへへ」ニコニコ


    衣「……京太郎」


    京太郎「なんですか」


    衣「こ、衣はどうしたらいいのだ」


    京太郎「そのままでいいと思いますよ」


    衣「そ、そうか……このままでいいのか……」


    京太郎「はい」


    宥「衣ちゃんの手あったかーい」ニコニコ


    ハギヨシ「衣様」


    衣「どうした?」パッ


    宥「あっ」


    ハギヨシ「店内で藤田様がお待ちです」


    衣「わかった」


    京太郎「じゃあ行きますか」


    衣「うむ」


    玄「はーい」


    怜「うん」


    宥「はい」シュン


    京太郎「……」


    衣「どうかしたのか?」


    京太郎「」チラ


    宥「」トボトボ


    京太郎「」フゥ


    衣「本当にどうしたんだ?」


    京太郎「衣さん耳かしてください」


    衣「ん」


    京太郎「ゴニョゴニョゴニョ」


    衣「衣は別にいいがビックリするんじゃないか?」


    京太郎「きっと喜んでくれますよ」


    衣「そうか、わかった行ってくるぞー」


    京太郎「はい」ニコリ




    ハギヨシ「ありがとうございます」


    京太郎「なんのことですか?」


    ハギヨシ「色々ですよ」


    京太郎「は、はは……」


    京太郎「師匠はなんでもお見通しですね」


    ハギヨシ「執事ですから」ニコッ


    京太郎「理由になってませんよ」クスッ


    ハギヨシ「……」フゥ


    京太郎「大丈夫だと思いますよ」


    京太郎「衣さん素直で優しいですから」


    ハギヨシ「はい」


    京太郎「たくさん友達ができると思いますよ」


    ハギヨシ「はい」


    京太郎「……」


    京太郎「大事なのは今ですよ」


    ハギヨシ「……」


    京太郎「今、衣さんが心から笑ってる。それが全てです」


    ハギヨシ「……」


    京太郎「少なくとも俺はそう思いますし、衣さんはハギヨシさんにそう思っていて欲しいんじゃないでしょうか?」


    ハギヨシ「……そうでしょうか」


    京太郎「言ったでしょハギヨシさん、衣さんは素直で優しいんです」


    ハギヨシ「……」


    京太郎「違うんですか?」


    ハギヨシ「いえ」


    ハギヨシ「私の主、天江衣はとても素直でお優しいお方です」


    京太郎「ですよね」ニコリ


    ハギヨシ「はい」ニコリ


    京太郎「よっし、それじゃあ早く行きましょうか! 藤田さんを待たせるわけには行きませんし」


    ハギヨシ「はい」


    ハギヨシ「ありがとうございます。京太郎くん」


    京太郎「どういたしましてですよ、師匠」



    衣「お姉さーん!」


    宥「ん」


    衣「」ギュッ


    宥「えっ?」


    衣「い、一緒に行くぞ! 迷ったら大変だからな!」グイッ


    宥「えっ? えっ?」


    衣「」グイッ


    宥「こ、衣ちゃんもう少しゆっくり」トテトテ


    衣「あ、すまない気が回らなかった」


    宥「う、うん。大丈夫だよ!」ニコニコ


    衣「……」ジー


    宥「」ニコニコ


    衣(お姉さん楽しそうだ! 京太郎の言ったとおりだ)


    衣「えへへ」ニコニコ


    衣「では行くか」ニコ


    宥「うん!」ニコニコ


    衣(衣の友達になってくれるかもだ)ニコニコ


    玄「なんか私達影薄いねー」


    怜「せやなー」


    玄「帰っちゃおうかー」


    怜「一理有りやな」


    京太郎「なしですよ!」




    ゲーセン内



    藤田「来たか」


    衣「フジタ……」


    藤田「調子はどうだ、子供?」


    衣「子供じゃないころもだ!」


    藤田「そうだったかな?」


    衣「……ゴミプロ雀士」ボソ


    藤田「……何か言ったか?」


    衣「な、なんにも!」


    藤田「……まぁいい」


    衣「」ホッ


    藤田「それはそうと果たし状とは粋なことをしてくれるじゃないか」


    衣「そうだろ」ニヤリ


    藤田「普通に過ごしていれば一生受け取ることの無い代物だ。いい記念になったよ」


    衣「そうだろ、そうだろ」


    藤田「ちゃんと人数も集めてきたみたいだしな」


    衣「うむ」


    藤田「お前友達いたんだな」


    衣「と、当然だ!」


    藤田「でだ」


    藤田「果たし状に書いていた師匠はどなたかな?」


    衣「ふっ、急かすなよフジタ。紹介しよう衣の師匠であり親友でもある京太郎だ!」


    京太郎「どうも」ペコリン


    藤田「そうか、君が……」


    京太郎「須賀京太郎です」


    藤田「藤田だ。今日はよろしく」


    京太郎「はい、こちらこそよろしくお願いします」


    藤田「」ジー


    京太郎「あ、あの……何か?」


    藤田「……いやなんでもないよ」


    京太郎「はぁ?」


    藤田「ま、今日は楽しんでくれたまえ少年」


    京太郎「はい」


    藤田「うむ、ではひとまず失礼するよ」スタスタ


    京太郎「はい」


    京太郎「ふぅ……、まいったな」


    玄「須賀くん」


    京太郎「どうかしましたか玄さん?」


    玄「あの人が藤田さん?」


    京太郎「そうですよ」


    怜「えらい迫力がある大人やったな」


    宥「うん、それとなんか怖かった」


    京太郎「よく思われてないみたいですね、俺」


    怜「藤田さんに何したんや京太郎?」


    京太郎「何もしてませんよ……」


    玄「でも京太郎くんですし」


    宥「……あぁ」


    怜「またか……」


    京太郎「また?」


    玄「気にしなくていいよ」


    宥「私達は須賀くんに悪意がないのはわかってるし」


    怜「京太郎は試合に集中してなー」


    京太郎「え、ちょ、どういうことですか!?」


    玄「いいからいいから」


    宥「気にしない気にしない」


    怜「クールダウンやー」


    京太郎「なんなんですかもーー!」


    玄・宥・怜(多分)


    玄・宥・怜(旗立て放置で爆弾持ちだよねー)チラッ


    京太郎「なんですか……その冷たい目わ」


    玄・宥・怜「ふぅ」


    玄・宥・怜「」ジー


    京太郎「……なんすか?」


    玄・宥・怜「」ヤレヤレ


    京太郎「うわー、すっごいムカつくー」


    衣「何をしているんだお前たちは」


    京太郎「みんなにいじめられました」


    衣「おい! 衣の京太郎をいじめるな!」


    怜「別にいじめとらんでー」


    玄「うん、むしろ現在進行形でいじめられてるのは私達の方だよ」


    宥「爆弾ってあったかいと思うの」ニコリ


    京太郎「なんか知らないけど大天使宥さんが怖い!」ヒッ


    衣「何だかよく分からないが、京太郎は衣の親友だ。ここは衣に免じて許してやってくれ」


    京太郎「あ、あれ、おかしいな。もしかして俺が悪いことになってる?」


    玄「衣ちゃんがそう言うなら」


    怜「今回は見逃してやるかー」


    宥「爆弾処理はお早めにだよ! 須賀くん」


    京太郎「宥さんは何を言ってるんだ……」


    衣「うむ、そろそろ先鋒戦を始めるらしいから先鋒は筐体前に来てくれってフジタが」


    京太郎「そういえばオーダーの順番は決めてませんでしたね、どうしましょう?」


    衣「うむ、フジタは大将戦らしいから衣は大将をやるぞ!」


    京太郎「わかりました。後、俺一番いってもいいですよ?」


    衣「あっ、言い忘れてた! 京太郎は副将にしてくれって相手チームから要望があった。勝手だと思ったがその旨に了解したがまずかったか?」


    京太郎「いえ、別に全然問題ないですよ。それじゃあ先鋒は助っ人の方に頼むことになりますがどうしましょう?」


    怜「うちが行く」


    京太郎「怜さん、良いんですか?」


    怜「勝ち抜きじゃない以上、どこで出たって一緒やしええでー」


    京太郎「確かにそうですね。相手の情報が無くて使用キャラがわからない以上、キャラのマッチングは運頼みですし」


    怜「そうやな」


    衣「それでは先鋒は頼んだぞ、怜!」


    怜「はいよー」


    怜「それじゃあいってくるわ」


    衣「頼むぞ! 怜!」


    怜「任せときー」


    玄「怜さんだけにね!」


    宥「クロちゃー……」


    京太郎「あ、あはは、この間にお二人のオーダーも決めちゃいましょうか」


    宥・玄「はーい!」


    京太郎(なんだろう……すごく可愛い!!)


    衣「先鋒怜、次鋒宥お姉さん、中堅玄、副将京太郎、大将衣、うんバッチリだな!」


    京太郎「助っ人の皆さんに最初任せっぱなしっぱなしなのが気になりますけど……」


    玄「気にしないでいいよ!」


    宥「うんうん」


    京太郎「そう言ってもらえると招いた側のこちらとしては少々気が楽になりますよ。ね、衣さん?」


    衣「あ、ああ、そうだな」


    京太郎「どうしました?」


    衣「いや、怜は大丈夫かなと思ってな」


    玄「大丈夫ですよー」


    京太郎「即答ですか?」


    玄「うん」


    京太郎「その心は?」


    玄「初見で怜さんの※起き攻めの※択に対応できる人なんていないよ!」


    ※ダウンした相手の起き上がり直後に攻撃を仕掛けること

    ※相手にいくつかの選択肢を迫り、ある程度の確率で攻撃を成功させる戦法のこと


    京太郎「対応するもなにも択に対する行動なんてほとんど択を予想しての行動、言ってしまえば運によるところも大きくないですか?」


    玄「普通はそうだよ」


    衣「普通は……?」


    玄「うん、普通は運によるところが大きいよ。でも怜さんは相手が次にする行動が読めているかのように択を通していくんだよ」


    京太郎「確かにセスを使用していることを差し引いても、怜さんの択はキツイと思いますけど……。俺は対戦していてそこまで絶望的に択を通されたことはないんですよ?」


    玄「あぁ、それはね」


    宥「須賀くんも普通じゃないってことだよ」


    京太郎「俺がですか?」


    玄「択のやりとりは基本的に読み合いだけど須賀くんの場合読み合いじゃなくてフィーリングで択に対して相対するんだよ」


    京太郎「※ぶっぱってことですか?」


    ※ヒット確認、または相手の隙を確認せずに技を出すこと


    玄「ちょっと違うかな」


    宥「うん、ぶっぱも択の一つだから……それに多かれ少なかれ皆使う技術だしね」


    京太郎「ではどういう事なんですか?」


    玄「大雑把に言ってしまうと、須賀くんは択に対して行動する際にこの技を出したいから使おう! と思って出した技のリスクリターンが全く合ってない場合が多いんだよ」


    宥「択を通す側からしたら、択を通す際に相手のキャラ対策の段階でこのキャラはどのような行動をするかという相手側から見たセオリーを考えて択の実行に移すんだけど、須賀くんはそのセオリーから外れた行動を選択する場合が多々あるんだよ」


    玄「具体的にはその時の気分次第で、技の性能よりもこの技で反撃したらかっこいいだろうなーとか考えてとんでもない技チョイスをするときがあるよね」


    宥「後、ウルコン病だし」


    京太郎「……ハイ」


    衣「それは格ゲープレイヤーとしてあんまりなんじゃないか?」


    玄「あんまり良くないかもね」


    宥「そ、そうだね」


    衣「京太郎は馬鹿なのか?」


    京太郎「……返す言葉もございません」ズーン


    玄「で、でもそれが結果的に効果的に働くこともあるよ!」


    宥「怜さんも今日オスプレイで来る時、須賀くんの戦い方は対戦していておもしろいって言ってたしね!」


    京太郎「フォローが痛い……」シクシク


    衣「京太郎もまだまだだな!」


    京太郎「その通りでございます……」


    玄「怜さんいわく、四択の問題を出されるけど答えはその中には存在しない。そんな問題が通常の4択問題とごちゃ混ぜで出題される感じらしいよ」


    京太郎「自分で言いますけどそんな相手とは対戦したくないですね……」


    宥「須賀君の場合は基本ができてる分、相手からしたらとっさにプレースタイルが変わったと錯覚して色々考えすぎて結果的にやられちゃうって感じかな」


    衣「負けた方からしたらやりきれないだろうな……」


    京太郎「……なんかすいません」


    玄「だけどだけど上級者からしたら戦ってて楽しいと思うよ!」


    宥「うんうん、状況が目まぐるしく変わってそれに対応する練習にもなるしね」


    衣「フォローしてくれてるぞ」


    京太郎「あ、いや、あの……恐縮です」


    衣「とりあえず、怜が心配いらないのと、京太郎がおかしいことはわかった」


    トレモで調整



    怜「よろしく」


    「こちらこそ」ニコッ


    怜「それじゃあ、早速始めよかー」ガシャンガシャン


    「はい、よろしく」キラキラ


    怜「うちは怜って言います」ジョインジョインセス


    「御丁寧にどうも。私は灰山と申します。本日はよろしくお願いしますマドモアゼル」キラキラキラ


    怜「うん、マドモアゼルじゃなくて怜やけどな」ガチャガチャガチャ


    灰山「これは失礼しましたマドモアゼル」キラキラキラ


    怜「もうマドモアゼルでもアザゼルでもなんでもええから、早いとこキャラを選んでください」


    灰山「! これは私としたことがうっかりしていた」キラキラキラ


    怜「……この人しんどいわ」




    衣「なんだあいつは」


    玄「何者なんでしょう?」


    宥「後光が差してるよあの人……」


    京太郎「長野のクレイジーオスカルこと灰山です」


    玄「二つ名まであるの、あの人!?」


    京太郎「そりゃあ、ありますよ。あの見た目ですし」


    宥「確かに少女漫画の世界から飛び出てきたかのようなあの見た目、インパクトありすぎだよぉー」


    衣「それであいつ強いのか?」


    京太郎「えぇ、PPも3000超えてますし強いと思いますよ」


    衣「あんな奴なのに?」


    京太郎「あんな奴なのにです」


    玄「そうなんだ……使用キャラは何なの?」


    京太郎「まことです」


    宥「クレイジーの由縁はキャラクターからかな?」


    京太郎「そうですね。後、ダッシュ唐草、移動唐草をバンバン振ってくること理由の一つだと思います。ちなみにオスカルの由縁は―――」


    衣「見た目だろ」


    玄「見た目だね!」


    宥「み……言動!」


    京太郎「宥さん早押しクイズじゃないんで変えなくてもいいんですよー」


    宥「あ、ははは」




    衣「そろそろ始まるみたいだぞ」


    玄「本当だ、応援しなくちゃだ!」


    宥「そうだねクロちゃん」フンス


    京太郎「それじゃあ俺、怜さんのセコンド行ってきますね」ガタッ


    衣・玄・宥「いってらっしゃーい」


    京太郎「そろそろ始まりますね」


    怜「うん」


    京太郎「セコンドって言っても名ばかりなんで特にアドバイスとかはありません。普段通りにやってください」


    怜「りょうかい」


    京太郎「玄さんか宥さんのどちらかがセコンドだったらなんかアドバイスできたんでしょうけど……、すいません」


    怜「心配せんでええよ、ちゃんと勝つから」


    京太郎「……そうですね! 怜さん頑張ってください!」


    怜「うん」


    怜「後な、京太郎がセコンドなこともちゃんと理由があってのことやで」


    京太郎「そうなんですか?」


    怜「うん」


    京太郎「うん?」


    怜「理由は言えんけどな」


    京太郎「なんで!?」


    怜「まぁ、気にせんででええよ」


    京太郎「……気になりますよ」


    怜「余計なこと考えんと、うちのこと見てたらええ」


    京太郎「なんか腑に落ちないですけど分かりましたよ……」


    怜「それでええ」ニコ


    怜「行ってくる」


    京太郎「あ、怜さん」


    怜「ん?」


    京太郎「頑張ってください!」ニコリ


    怜「……ん」ニコリ


    怜(京太郎は気づいてへんかったけど)


    怜(京太郎が近くでうちを応援してくれる)


    怜(緊張するけど)


    怜(それ以上に滾るわ)ゴッ



    灰山「ボーイフレンドとはもういいのかな?」


    怜「京太郎の事かー?」


    灰山「違うのかい?」


    怜「そうやなぁ……」


    怜「」ウーン


    怜「違わへんよ」


    灰山「そうか、じゃあ早速始めようかマドモアゼル」


    怜「はいよ」



    まことVSセス



    玄「うーんくさいねー」


    宥「うん」


    衣「何を言っているんだ?」


    玄「ちょっと相手のウルコン選択が不穏に思えてねー」


    宥「ウルコン1選択、よっぽど決めるのに自信があるのかな?」


    衣「普通はウルコン2なのか?」


    玄「人によるけどこの組み合わせだったらそうじゃないかな」


    宥「まことのウルコン2は発生が早い上に飛び道具の隙に打ち込めるから、ソニックブームを主軸に戦うセス相手には効果的だよ」


    玄「後、まこと自体飛び道具に弱いという特性も相まって、相手にウルコンをヒットさせなくてもマコトのウルコンゲージが溜まったら、うかつに飛び道具を打たせ辛い状況を作ることができるメリットもあるから基本的にはウルコン2のほうが良いと私は思うよ」


    衣「飛び道具の抑止力になるのか……じゃあなんで相手はウルコン1を選択したんだろう?」


    宥「唐草」


    衣「からくさ?」


    玄「マコトの必殺技のひとつでいわゆるコマ投げだよ」


    衣「それがウルコン選択と関係あるのか?」


    宥「唐草を決めた後、技の有利フレームの関係でウルコン1が確定で入るんだよ」


    衣「?」


    玄「簡単に説明すると、セビを決めたような状態になるけど威力やよろけは無く相手の硬直も少ない。でも、そこから強力なコンボを叩き込む余裕はあるからヒット時の期待値がずば抜けて高い技ってところかな」


    衣「なるほど」


    玄「ま、これだけ説明してアレなんだけどコンボが上手でウルコン1を組み込める自信がある人は当然1を選択するだろうし、無敵対空がないまことにとって無敵があるウルコン1は対空としても役に立ちますしどっちがいいかと言ったら微妙なんですけどね」


    宥「うーん、私達はまことそんな触ったことないから自信を持ってどっちがいいとは言えないね……」


    玄「最終的には好みだしね」


    衣「まぁ、言いたいことはわかったつもりだ」


    宥「だったら良かったよー」


    衣「うむ。そろそろ試合が始まりそうだな」


    玄「それじゃあいってみましょう!」


    衣「あっ! それ大会の実況みたいでかっこいい!」


    宥「ふふふ、クロちゃんノリノリだね!」


    玄「私一度こういうの言ってみたかったんだよ!」フンス



    キャッキャッウフフ




    京太郎(……楽しそう)





    ラウウンド1ファイッ!





    灰山(とりあえず距離を取るか……そりゃそうだ)


    灰山(牽制ソニック飛んでくるよね)


    灰山(どうやって近づこうかな)回避剣


    怜(この距離はまこと側やる事なそうやな)


    怜(まあゲージが一本光るまではうちのペースで事が進みそうやな)ソニックブーム


    怜(でも)


    怜(まことを攻勢に回らせたくないからこっちからいく!)


    灰山(!)


    灰山(三角飛びが刺さっちゃったか)


    灰山(百烈じゃなくて昇龍締めか……攻め継続ね)


    灰山(でも)


    灰山(とりあえずゲージは一本……!!)


    怜(光っちゃったか)


    怜(もうちょっと早く攻めても良かったみたいやけどそんなもん結果論やし)


    怜(なんにせよ起き攻め)


    怜(うちのターンや)


    灰山(さて)


    灰山(どうしたものか)


    灰山(先手を取られた以上ゲージはできるだけ攻めに回したいから今回は無しとして)


    怜・灰山(どの択を選択するか!!)


    灰山(セスが飛んでない以上ここは固めかな)


    怜()ニヤリ


    京太郎「……ス、スクリュー!?」


    灰山(読み負けか)


    灰山(それにしても大胆な攻め方するね)


    灰山(強気な娘なのかな?)


    怜(……さて“種”は蒔いた)


    怜(後は水をやるだけや)


    灰山(で相変わらず攻め継続か)


    灰山(画面端で相手はセス、正直吐きたくなるほどきつい状況だが……)


    灰山(まこと使いにはよくあることだ!)キリッ


    灰山(さて次は……)


    怜(……)カチャ


    京太郎「連続で……」


    灰山(おいおいマジかよ)


    灰山(またスクリューって、わざわざリスク背負う場面じゃないだろ畜生!!)


    灰山(ピヨリが近い、この択は負けられない)


    怜(うち知ってるんよ)ニヤリ


    怜(あんたはいくら読み合いに負けても思考停止ぶっぱはしない)


    怜(勝つまで読み合いを続けるんやろ?)


    怜(ぶっぱを択の選択肢から最初っから外しとる)


    怜(ぶっぱを見苦しいもんやと思ってるんやろ)


    怜(そんな間違ったプライドの高さがひしひしと伝わってくるわ)


    怜(それじゃあうちには勝てへんよ)


    怜(パーが出せないとわかってる相手には負けてやれへんよ)ゴッ


    灰山(ゲージをケチってられないが、この択をミスったらこのラウンドで勝つのは絶望的になる)


    灰山(その場合、今あるゲージ2本のうち一つを失った状態で次のラウンドを開始しなくてはならない……)ギリ


    灰山(どうしたものか……)


    怜(とか思ってそうやなー)


    怜(で、結局あんたは使わないんや)


    怜(そうやろ)


    灰山(くそ、使えない!)


    灰山(ゲージは2本あってやっと冒険できる。今失うわけにはっ!)


    灰山(なんだ、なにで来るんだ!)


    怜(うちのゲージはもう少しでマックスか……)


    怜(投げに弱いまことだからスクリュー狙ってきたけど)


    怜(次あたり投げと小技潰す選択肢で勝負してきそうやな)


    怜(となると答えは……)


    灰山(これなら!)カチャ


    怜(そう……低空剣や)ニヤリ


    灰山(昇龍だとーーー)


    灰山(まずい、完璧に読み負けてる。幸いピヨッてはいないが状況は絶望的だ)


    灰山(しかし、次の選択肢で読み負けたら確実にピヨル)


    灰山(ワンチャン正中ぶっぱで可能性があるが、そんな初心者の苦し紛れの一発みたいな真似したくない)


    灰山(とりあえず守りきる!!)


    怜(とぶよー、正中ぶっぱすれば当たるように空刃だすよー)J大K


    灰山(こんどこそ読み勝ってみせる!!)


    怜(残念表や)


    灰山()チーン


    怜(ピヨったし、セビから最大っと)


    京太郎「よっし!!」


    京太郎「怜さんナイスP勝ちっす!!」


    怜「ありがとなー」ヒラヒラ



    ラウンド2ファイッ!!




    灰山(結果論だ)


    灰山(あそこで正中撃ったら決まっていたが)


    灰山(そこから逆転したとしても、私はそんな勝利に喜べない)


    灰山(私は私のスタイルで彼女を倒す!!)


    灰山(まことは一瞬のチャンスや棚ぼたをモノにして勝利するキャラだ)


    灰山(守りの択なんて気にしない!)


    灰山(重要なのは攻めの択だ!!)


    怜(また飛び入れたいけどそうもいかんなー)ソニックブーム


    灰山(セビリタイ、セビリタイ、セビリタイ)


    灰山(が!)


    灰山(まずはゲージだ)剣


    怜(セビらんの?)ソニックブーム


    怜(大パン狩られるかどうか知らないから打てないわ)


    灰山(とりあえず3つ溜まった)


    怜(近づいてきたか)中K


    灰山(……)


    怜(……)中K


    灰山(……)垂直


    怜(……)中K


    灰山(……う、うざい)


    灰山(牽制の中Kが機能しすぎだ……)


    灰山(剣撃つしかないか……)



    灰山(よしっ! うまく引っかかってくれた)


    怜(大剣やったか)


    怜(ダウンしてもうた)


    灰山(やっと攻撃が当たった! その上ダウンのおまけ付き!!)


    灰山(やった……やったっ!! )


    灰山(私のターンがやっときた!!)


    灰山(お、落ち着け慎重かつ大胆にいくぞ!)


    灰山(こっからは私の択だ!!)


    灰山(と、とりあえず)


    灰山(固めるためにで中P重ねて……)カチャ


    怜(……)ガチャ


    灰山(へ?)


    京太郎「こ、ここで昇龍セビバクステですか」


    灰山(……へ)ワナワナ


    灰山(平和かよ!!!)カッ


    怜(ヒット確認? 何それ?)ニヤニヤ


    玄「この切り返しは見事だね」


    宥「うん、やっぱり凄いよ怜さん」


    衣「? ただの昇龍ぶっぱセビバクステだろ、衣もできるぞ?」


    玄「うん、やった行動はその通りなんだけどね」


    宥「画面上のダメージは昇龍一発分だけど、この行動は相手の人の精神に相当なダメージを与えてるよ」


    衣「精神に?」


    玄「うん。1ラウンド目の怜さんはリスクを背負って大胆に攻めていたよね」


    衣「うん、2連続スクリューとかな」


    宥「そのスクリューが肝なんだよ。セスのスクリューって見た目が派手な割にはダメージは通常投げとそんな変わらないんだよ」


    衣「い、いがいだ……」


    玄「二度スクリューを回したあの場面、通常投げの方が相対的なリスクは少ないんだよ隙も少ないし、グラップされても五分だしね」


    衣「うーん……ではなんで怜はスクリューを選択したのだ?」


    宥「プレッシャーを与えるためだよ」


    衣「うん?」


    玄「結構嫌なもんですよ。セスのスクリューくらうの」


    宥「普通の投げに比べて拘束時間が増えるし、当たっても大したダメージじゃないのにあの派手な演出だからね」


    衣「確かにコマ投げを食らうとイラってくるがそれは大した問題じゃないだろ」


    玄「それがそうでもないんだよ衣ちゃん」


    宥「うん。特に怜さんの場合はね」


    衣「どういうことだ?」


    玄「さっき衣ちゃん、コマ投げをくらったらイラッとくるって言ったけどそれはなんで?」


    衣「それはさっきお姉さんが言ってた、拘束時間やら演出とかじゃないのか?」


    玄「うん、私もそう思う。フレーム単位のやり取りしているのに急にキャラが動かせなくなる。しかも相手主導で、これはイラッてくるよ」


    宥「その拘束時間で集中力切れたりもするしね」



    玄「だけどさっきの試合ではそれにプラスして精神に来るものがあったんだ」


    宥「スクリューをどうやって決めたかだね」


    衣「それは怜の起き攻めで……」


    玄「そう起き攻めの択だよ」


    宥「起き攻めの択で怜さんがスクリューを決めた」


    玄「相手の行動を“読んで”決めたんだ」


    衣「それは……そうだろ?」


    衣「相手が何をしてくるか読み勝ったから、スクリューが決まった。それだけだろ」


    玄「うん、それだけだよ」


    宥「うん、それだけ」


    衣「なら」


    玄「でもね、この読みは圧倒的強者の読みなんだよ」ドヤッ


    衣「はぁ?」


    玄「わざわざ、リスキーなスクリューを回さなくても事足りる場面。ここでスクリューを回す意味」


    宥「一つ目のスクリューは試合の主導権を取り、二つ目のスクリューで精神面の主導権を取った」


    玄「大事なのは二回目のスクリューだよ。この一撃には毒がしこまれていた」


    衣「……毒?」


    玄「うん、思考を破壊し挙句、自滅へと追いやる毒がね」


    衣「荒唐無稽過ぎて何がなんだか……」


    玄「相手側の気持ちになって考えてみるとわかり易いかも」


    玄「怜さんは相手に読み勝って二度薄く細い択を通した」


    玄「この時点で相手の人は相当まいってるはずだよ」


    玄「結局一回も怜さんに読み勝てずに1ラウンド目は取られた」


    玄「1ラウンドと2ラウンドの僅かな間で相手の人は色々考えたと思うよ」


    玄「特に読み合いについてはね」


    玄「これだけ読み負けると何かしら対策するだろうし、やり返してやりたいとも思うよ」


    玄「熱くなった頭を冷やして気持ちも切り替えて2ラウンド目にのぞんだ」


    玄「その結果、怜さんに先手を取れて今度は怜さん側に択を迫れる状況!」


    玄「攻めが非常に強いまことのまたとない好機!」


    玄「先ほどは択を強いられる側だったが、今度は自分が択を強いる時!」


    玄「見てろよ、借りを返してやる」


    玄「と意気込んで中P出したところに怜さんの昇龍セビバクステ」


    玄「結果重ねた中Pに昇龍が引っかかり状況は逆転」


    玄「衣ちゃんが相手側だったらどう思う?」


    衣「……ものすごく萎える」


    玄「だよねー」


    宥「怜さんは細い択のスクリューを通して気持ちよくなってるのに、相手側の択にはそもそも付き合わない」


    衣「これはひどい」


    玄「このあと相手の人が陥る状況は顔真っ赤にして怒るか、絶望からヒヨるかの二つだ」


    宥「ここから精神の状態を良い方向に持っていくのは難しいんだよ」


    衣「なんというか可哀想に……」


    玄「今回の場合は昇龍くらった後に受身取ってなかったから……おそらくヒヨっちゃったかな?」


    宥「怜さんの攻め継続だね」




    灰山(……)


    灰山(ワケがわからない)


    灰山(択でのスクリュー選択から読み合いが好きなタイプかと思いきや)カチャカチャ


    灰山(超絶硬い選択肢でこちらの択勝負には付きあってくれない)カチャカチャ


    灰山(あっ、また読み負けた……)


    灰山(くそ……クソ!)


    灰山(……なんて)


    灰山(なんて性格が悪い“女”なんだ!!!)


    灰山(ちくしょう! ずるい! 自分ばっかり格ゲー楽しんでずるい!!)


    灰山(また読み負けたよ、なんなんだよっこのゲーム! ホント!)


    灰山(“俺”だって気持ちよくなりたい!!)


    灰山(ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!)


    灰山(せめて……せめて一撃っ!!)ゴッ


    怜(後ワンコンボでおしまいやな)カチャ


    灰山(! 飛んだ)


    灰山(……)ガチャガチャ


    怜(!?)


    怜(あかん!)





    まこと「はぁーーーっ、必殺! 正中線五段突き!!」






    怜(くっ!)


    灰山(やった! 追撃は)


    怜(えっ?)


    まこと「」ピョーン


    怜()カチャカチャ


    セス「昇龍拳!」




    セスWIN




    灰山()チーン


    怜「」フゥ


    怜「おつかれさん」


    灰山「あ、ああどうも」


    怜「やっとパー出してくれて嬉しかったでー」


    灰山「な、何の話しですか?」


    怜「気にせんでいいよ。それにしても最後のウルコンは驚いたわー」


    灰山「あ、あれは!」


    怜「良いウルコンぶっぱやったで」


    灰山「……みっともないだけだよ」


    怜「気持ちの乗ったいいぶっぱやったよ」


    灰山「なんですかそれ」


    怜「んー何て言うか、こう仕留めてやるって気持ちが伝わってきて……うまく言えないなー」


    灰山「?」


    怜「あんたの言葉を借りるなら、美しいぶっぱって所やな!」


    灰山「ぶっぱが美しい?」


    怜「うん。あんたは否定するかもしれないけどね」


    怜「うち好きやねん。どんなに惨めでも、泥臭くても勝ちを取りに行こうとする雑草魂とか」


    怜「そういうの素敵やん」ドヤッ


    灰山「はぁ……」


    怜「ていうか逆なのかもしれんな」


    灰山「逆?」


    怜「うん。頑張ってる人に対して何必死になっちゃってんの? とか言う奴ムカつかへん?」


    灰山「それは……思います」


    怜「体育祭や球技大会でだりぃ、ながしちゃおうぜー、こんなところで必死になっちゃってかっこわりーとか言う奴おるやん?」


    灰山「あぁ……いますね」


    怜「うちはそいつらにこう言ってやりたいんよ。そうやって無気力にダラダラやってる人より、必死に頑張ってる人のほうが絶対かっこいいって」


    灰山「わかります」


    怜「……それに頑張りたくても出来ないポンコツだっておるんやし」ボソ


    灰山「え?」


    怜「なんでもないよ」


    怜「だから、ぶっぱも同じだと思うんよ」


    怜「そこまで必死にやって勝ち拾いたいのか?」


    怜「そんな事言われたら、うちはこう答えるんや」


    怜「当たり前やろって」ニコ


    灰山「……そうですよね」


    怜「うん」


    灰山「惨めでも勝ちたいですよ、やっぱり」


    怜「せやな」


    灰山「あそこでぶっぱなしとけばよかったって場面結構ありますし、ぶっぱも立派な選択肢の一つですよね!」


    怜「そういうことや」クスッ



    ―――――――――――――――――――――――――――――――




    京太郎「怜さんお疲れ様でした!」


    怜「しんどかったー」フラフラ


    京太郎「ちょっと大丈夫ですか!?」


    怜「大丈夫やないでホンマ、あ、うち病弱やし」ガシッ


    京太郎「取って付けてような病弱アピールですね」ガシッ


    怜「京太郎うちどうやった?」


    京太郎「凄くかっこよかったですよ」


    怜「惚れ直したかー」


    京太郎「はい、そりゃーもう」


    怜「えへへ」ギュッ


    京太郎(かわいい)


    京太郎「みんなの所に戻りましょうか」


    怜「んー、後5分」ギュッ


    京太郎「……怜さん朝の5分は短いですけど、休日のゲーセンでこの状態での5分はおそらく相当長いですよ」


    怜「」スーハースーハー


    京太郎「……怜さん?」


    怜「」クンカクンカ


    京太郎「あんたもかよーーーーーー!!!!!」


    怜「えへへ」ギュッ




    蛇足的おまけ




    怜「後から聞いたけんやけどあんたダッシュ唐草得意なんやろ?」


    灰山「はい、そうですけど、それが何か?」


    怜「いや、それもぶっぱやん」


    灰山「そ……」


    灰山「そういえばそうだーーーーーー!!!」


    おわり