54 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/11/25(水) 22:17:01 ID:od2lScrB

6月某日 15:47 清澄高校旧校舎麻雀部室

「ちーっす、ってあれ」

「なんだ京ちゃんか」

「なんだとはなんだ。他のメンツは?」

「まだ来ないみたいだね」

「そうか。ところで何読んでんだ?」

「ボッカチオの『デカメロン』」

「でかめろん…そうか和のことか」

「はい?」



「雨やまねーなあ」

「そうだね」

「湿っぽくてやだねえ全く」

「私は嫌いじゃないよ、雨」

「ほう、理由は?」

「雨の日に部屋に居るとね、なんだか世界が閉ざされた感じがするんだ
 世界がこの部屋だけになった感じというか…そういう空気が私は好き」

「ブンガク的思考ってやつか、さすが本の虫なだけはありますな
 でもちょっと恥ずかしいぞその台詞は」

「普段から『お姫様』とか恥ずかしい台詞言ってる人に言われたくないんだけど」

「いやいや今のには負けるって…でもその理屈だと今世界には俺とお前だけって事になるな」

「まあ、そうなるね」

「ようやく二人きりになれたな、咲」

「また始まった…面白くありませんよー」

「おいおいノリ悪いな」

「いい加減飽きちゃったんだもん」

「ちぇ…まあ、でもさ」

「?」

「俺も雨が好きになれそうだよ、咲のおかげでな」

「…なんで」

「実は結構カルチャーショックだった、さっきの台詞」

「京ちゃんは本にあんまり縁がないもんね。読書感想文毎回テキトーだし」

「ほっとけ!…だからさ、ありがとよ」

「…なんか照れくさいよ」

「惚れたか?」

「はいはい。それじゃあこれを期に本も好きになってほしいな」

「あーそれはまあ…努力シマス」

「ふふ、いつになる事やら」

「気長に待たれよ。つーことで、みんなが来るまでは楽しんでおこうぜ
 この二人だけの世界をさ」

「…………」

「?」

「やっぱり負けるよ、京ちゃんには」

「どーいう意味だよ」

「教えてあげないよっ」

END
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