京太郎「もう一度言いますが照さん、分かれましょう」



照「別にいいよ」

京太郎「え……」

照「今のは冗談、私ってお茶目」

京太郎「か、からかわないで下さい!」

照「別れたくない理由は沢山あるけど、一番は京ちゃんが好きだから」

京太郎「例えば?」

照「好きなところ…全部、かな」

照「優しいところ。面白いところ。私を笑わせて、ホッとさせてく
れるところ。私の頼みごとを文句一つ言わずやってくれるところ。褒
めると恥ずかしがって顔を真っ赤にするところ。私を守ってくれると
ころ。私のことをいつも一番気にかけてくれてるところ。私を褒めて
くれるところ。いつもおいしいごはんを作ってくれるところ。いつも
おやつや食後に私の好きなデザートを作ってくれるところ。私を見て
くれるところ。私を見つめてくれるところ。私のそばにいてくれると
ころ。私の隣に居てくれるところ。私の隣で歩いてくれるところ。
寂しげな私に手を差し出してくれるところ。私の手を握ってくれると
ころ。私と手をつないでくれるところ。私を愛してくれるところ。私
にフレンチキスしてくれるところ。私にディープキスしてくれるところ。私を好きなところ…」

京太郎「お、おお」

照「さらには、髪の毛から足の爪の先まで全身全てが好きだよ」

京太郎「……」

照「その、自分から好きなところをあげさせたのに、いざ言われると恥ずかしくなって照れてる顔も好き」

京太郎「……そ、それは言わなくてもいいです」

照「また照れてる…可愛い」

京太郎「うぅ…」

照「ねぇ、京ちゃん……目をつむって?」

京太郎「……え? あ、はい」

京太郎「(もしかして…キス!? このタイミングは、流石に恥ずかしい)」


……


照「……ふふ、ちょろ可愛い」ボソッ

京太郎「よし別れる。ぜってー別れてやる」


照「あ、うそ、うそだから」

京太郎「好きなのも?」

照「好きなのは本当」

京太郎「ちょろいのは?」

照「ほん……うそ」

京太郎「今、本当って言いかけましたよね!?」

照「好きなの、大好き。愛してる……」

京太郎「う……」

京太郎「で、でも今日は騙されませんよ、今日こそ絶対…魔王照。貴様を倒す!」

照「ふふふ、私の弱点は、京太郎。貴様の接吻だけだ。わっはっはー」

京太郎「なんだって……じゃあキスするしかお前を倒す方法はないのか……! ええーい、ままよー! ――とは、なりません」

照「かーらーのー?」

京太郎「そんな展開は無い!」

照「…ちぇ」

照「でも流石京ちゃん、ノリがいい」

京太郎「そうですね、今後は控えるよう検討します」

照「やだ。そんなの面白くない……そんな京ちゃん、いらない」

京太郎「捨てられた!? さっき散々好きなところ聞かされたのに! は無かったのか!? 教えて照さん!!」

照「わかった、教える、超教える。教え終わるまでもう絶対離さないし、ずっと私が面倒見てあげる」

ぎゅー。

京太郎「(あれ…もしかして俺、はめられた?)」

照「えへへ」

京太郎「(結局、照さんの掌の上か、この人にはいつまで経ってもかなわないな。麻雀でも、恋愛でも)」


照「京ちゃん、あったかい」

京太郎「そう…ですか」


ぎゅ


京太郎(そもそも誰かに求められるってのは、悪いことじゃないんだよな)

京太郎(束縛しすぎてしまうのが、その人と繋がる他者への関係の障害になるから困るってだけで)

京太郎(家族以外で無償の愛を注いでくれることは……)

京太郎「(って、だから俺はこんなことをしに来た訳じゃ…)」


ぎゅう


照「えへへ…」

京太郎「(……でもまあ、今日くらいはいいかな)」

京太郎「きょ、今日は特別に許可します」

照「…え?」

京太郎「嫌いじゃないですよ、照さんのこと」

照「……好きじゃないの?」

京太郎「いや、そういうわけじゃなくてですね! というかそもそも……まぁ、その。好きじゃなかったら付き合ってすらいないわけですし」

照「……京ちゃん」

京太郎「へへっ」

照「たまにくさいこと平気で言っちゃうところも、私は全然、好きだよ?」

京太郎「やっぱり別れてやる!!」

照「?」

京太郎「だから小首ーー!」


おわり