京太郎「突然ですが照さん、別れましょう」


照「別れる……? 分かった。京ちゃん、私死ぬね」

京太郎「待って、落ち着いてください。今、照さんには足りないものがあるんです。わかりますかか?」

照「包丁」

京太郎「違います、冷静さと正常な思考能力ですよ。全く…いつもは冷静なのになんで俺がいるとあなたは……」

照「……?」

京太郎「可愛らしく小首を傾げてとぼけたって無駄ですよ」

照「い、今可愛いって…」

京太郎「おーい、聞いてます」

照「今夜はお赤飯…かな?」

京太郎「いや、そのりくつはおかしい」

照「今夜はお赤飯…かな?」

京太郎「何大事な事だから二回言ってやったみたいな顔してるんですか、そしてその可愛い小首を傾げるポーズはやめて下さい!」

照「今夜はお赤は…」

京太郎「分かりました! 分かりましたよ! お土産の東京ばなな、これで手を打ってはくれませんかね!?」


照「……むぅ、分かった」

京太郎「反省してますか?」

照「むしゃくしゃしてやった、今は反省している」

京太郎「よろしい。で、続きですけど…」

照「…もしかして……私に不満があるの?」

京太郎「もしかしなくても、そうですよ!」

照「……直す」

照「だから、別れるのは嫌……」

照「別れるのは嫌だから、直す」

照「だから、そんなこと言わないで?」うるうる

京太郎「(うっ、可愛い……でも、今日はそういう事をしにきたんじゃないんだ! 俺は!!)」

京太郎「(と、とりあえず今はこのまま…!)」

京太郎「……はぁ」

京太郎「全く、しょうがないですね。照さんは」

照「えへへ」

京太郎「じゃあ、まずは……一日に100通を超えるメール送ってくるのと、朝5回、昼10回、夜15回、合計30回のディープキスをやめてくれますか?」

照「……?」

京太郎「だから、小首を傾げたって無駄ですよ!」

照「わっ……びっくりした」

京太郎「困るんですよ……友達や部長からの(パシリ)メールとか見過ごすし、何より機械が苦手な照さんはメール一通打つのにも人一倍時間がかかって疲れるでしょ?」

京太郎「毎日、毎日『好き?』だの『今どこにいるの?』とか『もう私に飽きたの?』とか『東京ばなな食べたい』とか」

京太郎「分かり切った事何度も何度も…」

照「………嫌いに…なった?」

京太郎「むしろ惚れ直したよバァーロォーチクショォォォ!!」

照「…!」びくっ

京太郎「あっ、すいません。突然大きな声を出してしまって…」

照「大丈夫。京ちゃんの声好きだから」


京太郎「で、話を戻しますけど…俺ってそんな信用ありませんか?」

照「違う……けど」

京太郎「じゃあ、なんで」

照「落ち着かないから」

京太郎「落ち着かないって……はぁ」

京太郎「俺の都合は考えてくれないんですか?」

照「世間一般的に」

京太郎「は?」

照「恋人からメールが来ると、嬉しい」

京太郎「え、まぁ……そうですけど」

照「京ちゃんが嬉しいと、私も嬉しい」

京太郎「そりゃあ、いいことだですね。まさに、winーwinですね」

照「なので、私は京ちゃんにいっぱいメールを送っても大丈夫です」

京太郎「いや、そのりくつはおかしい」

照「……?」

京太郎「限度があります。多すぎます」

照「え、まだ少ない方……」

京太郎「なん…だと……? あともう一つ、メールだけじゃなくて電話もやめてください」

照「え、無理……」

京太郎「すぐに無理とかいうのは、ゆとりの悪い癖です。悔い改めてください」

照「ゆとってない……。それは言いがかり」ボソッ

京太郎「メールと電話、それぞれ一日20件と2件を目標にしてください」

照「わかった。じゃあLINEを5分置きにすることを加えてください」

京太郎「悪化した! 確実に悪化したよねその状況!」

照「京ちゃんと繋がっていないなら……私は死ねる」きりっ

京太郎「やだかっこいい…じゃないですよ、何誤魔化してるんですか!」

照「京ちゃん、面白い」


京太郎「俺は面白くないんですよ!」

照「京ちゃん、好き」

京太郎「そ、そんな、ポニョみたいに言ったって俺は騙されませんからね!」

照「そう言いつつも顔を真っ赤にしてる京ちゃん、可愛い」

京太郎「じゃあ、俺は口を閉ざします。物言わぬ貝になります」

照「だめ」

京太郎「べ、別に俺が喋ろうが喋るまいが、それは俺の自由です」

照「そんな我儘言ってたら、社会でやっていけないよ……? ゆとってるの? 私、京ちゃんのことが心配……」

京太郎「その社会不適合者予備軍が俺の目の前にいますけどね!」

照「……?」

京太郎「だから、小首! 可愛いな畜生!!」

照「てれる」

京太郎「……おほん」

京太郎「だいたい、なんでそんなに俺のこと好きなんですか?」

照「分からない、でも好き」

京太郎「分からないんかい!?」

照「あなたの為なら死ねる」

京太郎「死ぬって……命を大切にしない人は嫌いです」

照「じゃあ命を大切にする為に子作り」

京太郎「……へ?」

照「今夜はお赤飯…かな?」

京太郎「いや、そのりくつはおかしい」

照「今夜はお赤飯…かな?」

京太郎「え…あ、ちょっ……照さん……やめっ」


照「むしゃむしゃしてやった、今は反省している」



おしまい