揺杏「須賀くん、いっしょに帰ろ」
京太郎「ええ、オッケーです。本内先輩もいっしょでいいですよね」
成香「えっと、ごめんね。揺杏ちゃん」
揺杏「いいよ、もちろん。三人で寄り道して帰ろうか」
京太郎「それじゃ、部室の鍵を職員室に戻してきますね」
成香「きょ、京太郎くん」
京太郎「はい?」
成香「ありがとう。その。何かと、いろいろ」
京太郎「後輩ですから。行ってきます」
揺杏「…………」
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揺杏「京太郎くん、ね」
成香「揺杏ちゃん?」
揺杏「成香、昨日なんかあった? 須賀くんと二人で帰ったよね、たしか」
成香「…………」
揺杏「あったんだ」
成香「た、大したことじゃありませんから。本当に」
揺杏「そっか」
成香「そう、です」
揺杏「…………」
成香「…………」
揺杏「須賀くんのこと、好き?」
成香「…………」
揺杏「分かった」
成香「ごめんなさい」
揺杏「なんで謝るの。悪いことじゃないでしょ、別に」
成香「だって、揺杏ちゃんは京太郎くんのことが好きで。ずっとずっと好きで」
揺杏「何、付き合ってるの? 須賀くんと」
成香「そうじゃ、ないけど」
揺杏「だったら謝るのは私の方だよ。貰っちゃうから、成香の好きな人」
成香「だ、だめ」
揺杏「私ね、須賀くんのことが本当に大好きなんだ。多分、成香が思ってるよりもずっと」
成香「…………」
揺杏「カッコイイのに三枚目っぽいところが好き。顔が好き。優しいところが好き」
成香「揺杏、ちゃん」
揺杏「触れてみたらちゃんと男の子なところが好き。ちょっとえっちなところが好き」
成香「揺杏ちゃん!」
揺杏「全部好き」
成香「…………」
揺杏「成香はどうなの。須賀くんのこと、私とのこと。どれくらい本気なの」
成香「…………」
揺杏「…………」
成香「負けない」
揺杏「…………」
成香「私、負けませんから。揺杏ちゃんにも、他の女の子にも」
揺杏「…………」
成香「…………」
揺杏「そう」
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京太郎「お待たせしました」
揺杏「京太郎!」
京太郎「ちょっと、岩館先輩!? 近くないですか、いろいろと」
揺杏「先輩とのスキンシップが嬉しくないのか、贅沢者め! へへ」
京太郎「う、腕を組んで歩くなんて。これじゃまるで」
揺杏「恋人同士みたい?」
京太郎「…………」
揺杏「ふふふ」
京太郎「調子狂うなあ、もう」
成香「京太郎くん」
京太郎「ああ、すいません本内先輩。帰りましょうか」
成香「ひ、左」
京太郎「え?」
成香「左腕は私がいただきますから! しししし、失礼しますね!」
京太郎「」
揺杏「へえ」
成香「ふふん」
京太郎「お、俺がいない間ドッキリの打ち合わせでもしてたんですか。先輩方は」
揺杏「あはは、それはちょっと秘密かな」
成香「秘密です!」
揺杏「…………」
成香「…………」
揺杏「ふふっ」
成香「えへへ」
京太郎「…………」
京太郎「なんか仲良いですね、二人とも」