京太郎「今度は健夜さん、沖縄に出張ですか」

健夜「私暑いの苦手なんだけどなぁ…」

恒子「すこやん寒くても文句いうじゃん」

京太郎「頑張ってください、俺も出来る限りサポートしますから」

健夜「うん、頼りにしてるよ京太郎君」

恒子「そういえばスケジュールみたら1日ぐらい自由時間とれそうなのよ。どっか行きたいところとかある?」

健夜「行きたいところっていっても…あんまり沖縄よくわからないし…」

京太郎「俺もですね。なにか今旬のものとか名物ってないですか?」

恒子「ん~、今沖縄で評判って言ったら…スク水揚げとか?」

健夜「スク水揚げーーーっ?!」

恒子「うん、スク水揚げ」

健夜「恒子ちゃんっ! 京太郎君もいるんだし、何薦めてるのっ! 京太郎君だってそんなの嫌だよねっ!」


京太郎「スク水揚げですか、その記事見ましたよ。俺も食べてみたいなぁって思ってたんですよ」

健夜「えっ…うそっ、京太郎君そういうの好きなのっ!?」

京太郎「えっ、えぇ、まぁ食べたことないけど、前々から興味はあったんですよ…」

健夜「へっ、へぇ……そそそそうなんだ…」

健夜(えっ、嘘…京太郎君ってそんな変態的な趣味があったんだ…………でもスク水っておいしいの? ていうかあれ食べられるの…揚げればなんでも食べられるっていうの?)

恒子「いいねぇ、京太郎君も好きなんだったら、一緒に食べにいこっか、すこやんも一緒にいこうよ」

健夜「ちょっちょっとまって…一体それどうやって食べるの……」

京太郎「軽く酢醤油につけたり」

恒子「塩に漬けたりとかかな」

健夜「意外と普通に食べるんだね…しかし塩につけるかぁ…」

健夜(…まぁ塩素入れてるプールや海で使ったりするから塩が合うのは分かるけど……)


恒子(ん? すこやん、さっきから何を悩んでいるのかな…………さてはまさか……、いやそれならこのまま自滅させよっかなっw)ピコーン

恒子「もしかしてすこやん、持ってるそれ?」

健夜「もももも持ってるってそりゃ持ってるけど、でも古いし使ったやつだよ……」

恒子「漬かってるのか。それなら大丈夫だ、古いのでも食べられる」

健夜「食べられるって……まさか私の食べるの?!」

恒子「すこやんが持ってるなら、私食べたいな。ねっ京太郎君もそう思うでしょ。出来立てを酢醤油でいただくのもいいけど、こっちの方が主流なんだし」

健夜(主流ってやっぱり、やっぱり人が使ったものを食べるのか……うん……)

京太郎「そうですね、ただ健夜さんのってなると自分で食べるんじゃないでしょうか?」

健夜「えっ、たっ食べないよっ!! 私そんな趣味ないもん!!」

京太郎「そうなんですか? (嫌いなのかな……)なら御両親が食べるんですか?」

健夜「どんな親なのそれ!!! 娘の食べるって異常すぎるよっ!!!!」

京太郎「すっ、…すいません…(娘のものを勝手に食べないってことかな?…ただ異常は言い過ぎだと思うけど)」

恒子「ならすこやん、それどうするの? 食べずに放っておくって勿体ないよ」

京太郎「そうですね、一応長持ちするとはいえ期限はあるわけですから…それまでに食べないと…」

健夜「そうなの…?(初めて聞いたよ水着に期限って…サイズが合わなくなるとかじゃないの? それとも変態業界での基準?)」

恒子「そんな食べ物を粗末にすることを許すわけにはいかないっ! それじゃすこやんのおうちにゴー♪」

京太郎「おーう♪」

健夜「……どうしよう…」


京太郎「えっと、よければ調理しましょうか?」

健夜「いいよっ! 京太郎君に見せたくないし!! リビングで待っててお願いだから…すぐ持ってくるから…」

京太郎「はぁ…」


恒子「すこやん…わかってるよね。それじゃ調理する前に京太郎君にきちんと漬かってるとこみせてこよっか」

健夜「使ってるところって…わたしが?!」

恒子「あったりまえじゃーん、元々すこやんのなんだから」

健夜「そんな……恥ずかしいし……って、今から食べるっていうのに使ってていいのっ?! 水洗いとかするんじゃないの?!」

恒子「水洗い? そんなんするわけないじゃんw 普通に漬かってたのをそのまま食べるよ」

健夜「そうなの…(理解できないよ……友達が……その世界がよくわからないよ………)」

恒子「……すこやん…何を躊躇っているか知らないけどさ、女の子なら好きな人に自分の(手料理)を食べさせたくないのかな」

健夜「好きなってっ…///」

恒子「確かに京太郎君は変わっているよ、エッチなところもある……でもさ、すこやんの自堕落なところも受け入れてもらったじゃない。マネージャーとしてずっと私たちを支えてくれた……そんな京太郎君のために少しでも何かしてあげたいと思わない…?」

健夜「こーこちゃん…」

恒子「今なんだよ京太郎君に恩を返せるのは…だからさ、すこやん勇気だしていこうよ…」

健夜「……わかったよ…行ってくる。京太郎君に見せてくるよ…。あんまり自信ないけど…それでも私勇気だすよっ!」スタスタ

恒子「立派だよ、すこやん。それじゃ私は調理の準備してくるね♪」

恒子(駄目だ…まだ笑うな私…今笑ったら全てが台無しだww)プルプル


健夜「…沖縄いくからって、お母さんに用意してもらったスク水…」

健夜「まさかこんなことに使うことになろうとは…」

健夜「でも戸惑っている暇はない…今こそ京太郎君に恩返しをするときなんだ…っ」ガバッ

健夜「うん、今年も入ってよかった。…あとはどうしよう…ネコ耳とか付けたら喜ぶかなぁ…こないだこーこちゃんに飲み会ですごく似合ってるって褒めてもらったし」ガサゴソ



京太郎「台所手伝わなくてよかったのかなぁ…」

健夜「………京太郎君…」

京太郎「あれ? 健夜さん。どうしました……」クルッ

健夜「んとね…見てっ!!」ネコ耳+スク水+首リボン

京太郎「へ…?」

健夜「京太郎君が喜ぶように色々してみましたっ!」

京太郎「………」

健夜「京太郎君のちょっとエッチっていうか…変わったっていうか…こういうとこはよくわからないけど…。でも私京太郎君に喜んで欲しいからっ、頑張ってみましたっ!!!」

京太郎「あの……健夜さん…」

健夜「だから、きちんと使ってるのを見せたよ…それじゃこれ脱いですぐに揚げてくるから…」ダッ

京太郎「ちょっと待ってください」ガシッ

健夜「…きょきょきょっ京太郎君…」

健夜(え…、何これ急に肩つかまれちゃってる。思いっきり見つめられてる、なんか深刻そうな顔している…………もしかして京太郎君グッときちゃった?
 なんか顔近い、もしかしてこのままキス!? うそっ、人生27年目にしてようやくファーストキスいっちゃうの…)

京太郎「…健夜さん…」

健夜(こーこちゃんもいない、なら今がチャンスっ! 正直こういうのって怖いけど、こんな機会逃したらもう二度とないかもしれないし…なら思い切ってっ。
 ……………………………お母さん、今日健夜は大人になります…)

健夜「んーっ」目つぶり、口すぼめ

京太郎「これ見てください」スマホを顔の前に取り出す

健夜「チュー」スマホにキス

京太郎「何やってるんですか…健夜さん、いいからこの記事よーく見てください、あなたはすごい誤解しています…」

健夜「へ?」


沖縄の珍味「スク」:アイゴの子。アイゴの稚魚はスクと呼ばれてます。それを塩漬けにしたものをスクガラスと言って名産品。新鮮なものは酢や醤油で軽く漬けて食べることもある。


京太郎「つまり、スク水を揚げるんじゃなくて、スクの水揚げ漁のことなんですよ・・・」

健夜「おおぉぉぉぉぉ、私はなんて恥ずかしいことをぉぉ………」

京太郎「様子がところどころおかしいとは思ってましたが、まさかこんな勘違いをしているとは……ていうかどうやって食べるんですかスク水なんて。揚げても食べられませんよ………」

健夜「私だってそうおもったよっ! でもさ、京太郎君ならもしかしたらって思っちゃうじゃん!!」

京太郎「待ってっ! 俺普段どんな変態でみているんですかっ!」

健夜「だって普段からエッチな妄想とかよくしてるじゃんっ!! はやりちゃんの胸元見る目とか隠しているようでぜんぜん隠れてないよっ!!」

京太郎「どうしよう反論出来ないっ………」


京太郎「ていうか、恒子さん……カメラ見えてます。笑い声も漏れてます…」

健夜「っ!!」バッ

恒子「…だめ…もう限界…、まさかスク水だけじゃなくてネコ耳にリボンまで付けてくるなんて…すこやん最高…お腹痛い……ハハハ」

健夜「よくもハメたなぁっこーこちゃんっ、絶対勘違いしてたの気付いてたよねっ!! って…そのカメラ…もしかして…」

恒子「緊張した面持ちで京太郎君のところに向かうとこからきちんと撮影させていただきました。いやぁ惜しかった、こんなことならファミレスでのやりとりもカメラまわしておけばよかったよ。…あと念のため言っとくけど、私一言も嘘はついてないからね」

健夜「てことはさっきのも…?」

恒子「すこやんの貴重な告白シーンから、スマホキスまで完全録画♪ いやぁ乙女だねぇすこやん、アラフォーなのに」

健夜「………消してえぇぇぇぇ、今すぐ消してええぇぇぇ!!! それに私はアラサーだよっ!!!!!」

恒子「やだよーっ、世界第2位のスク水・勘違い天然コント。間違いなく視聴率25%は固いね♪」

健夜「人の黒歴史を全国放映する気かぁっ!! お嫁に行けなくなっちゃうじゃんっ!!!!」

恒子「それ今と変わらないよねw」

健夜「うがーーっ!!」ドタバタ

京太郎「はぁ…どうしようこれ………」