宥さんはとても寒がりだ。
夏でもマフラーは手放さないし、カイロも常備している。
そんな宥さんが最近、もう一つ、離さなくなったものがある。

宥「あったかぁい…♪」
京太郎「…」

ぎゅっと俺の胸に抱きつくその顔はとても幸せそうだった。
思わず俺の腕も宥さんの背中に回ってしまいそうなほどのそれに思わず俺の頬も綻ぶ。
勿論、真夏、しかも、クーラーも何もない部室でこうして抱きつかれて暑くないはずがない。
しかし、それも宥さんの笑顔と引き換えながら、余裕で我慢出来るものだ。

宥「きょぉたろぉくん…♥」
京太郎「はいはい。俺はここにいますよ」

甘えるような声で俺の名前を呼ぶ宥さんに答えながら、俺はそっと頭を撫でた。
俺より2つ年上とは言え、宥さんは意外と甘えん坊である。
妹に対してはしっかりしている面を見せるものの、こうして気を抜くとふにゃふにゃになってしまう。
そんな姿が可愛くて、そして大好きな俺にとって、それを見れるのは至福と言っても良い時間だった。

宥「えへぇ…♪ふにゃぁ…♪」
京太郎「…」

それと同時にそれは地獄のような戦いの時間でもある。
何せ、宥さんは厚着している上からでもはっきりと分かるようなスタイルの持ち主なのだ。
それが対面座位のような形で抱きついてきたら、誰だってウェイクアップしてしまう。
流石にスタンダップまでいかないように理性と自制心で押さえ込んでいるものの、それだって何時どうなるか分からない。
ある意味、果てのない闘いの日々。
だが、それも宥さんの笑顔を曇らせない為ならば、我慢出来る。

宥「京太郎君…もっと…引っ付きたいなぁ…って…♥」
京太郎「流石にそりゃ拙いですって…」

それでも時折、誘惑するように言われる宥さんの言葉には心が揺れてしまう。
俺の腕の中でそっと上目遣いを見せるその瞳は濡れて、暖かさの所為か頬まで紅潮しているのだから。
色気すら感じさせるその魅力的な表情には何度、生唾を飲み込んだか分からない。
しかし、宥さんが別に俺を誘惑している訳じゃないのは理解している。
ただ、寒がりであり、暖を求めているだけで、男として俺を欲してくれている訳じゃない
そもそもついこの間まで宥さんは男が苦手な人だったのだ。
それを思えば、ここで誤解してしまうのは破滅への一歩だろう。

宥「…むぅ」
京太郎「どうしたんです?」
宥「京太郎君が冷たい…」
京太郎「えぇ…」

寧ろ、夏の暑さにむしむしと蒸される俺の体温はそこそこ高いと思う。
宥さんと二人っきりになった時点で水をがぶのみしているので脱水症状にはならないと思うが、それでも汗がダラダラと流れ落ちるくらいだ。
汗でシャツが透けるくらい熱いのに、冷たいと言われたら正直、どうしたら良いのか分からない。

宥「もっと…熱くなろ…♥」
京太郎「お…おうふ…」

そう言って宥さんは俺の首にマフラーを巻いてくれた。
真っ赤なそれは勿論一人用で、こうして二人で巻くのには向いていない。
自然、俺達の顔は急接近し、今にもキスしそうなくらいになった。

京太郎「あ、あの…宥…さん…?」
宥「きょうたろぉくん…♥」

一体、どうしてそんな事をするのか。
そう尋ねる俺の前で宥さんはそっと瞳を閉じて、顎をあげる。
まるで何かを強請るようなそれに、俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。
だが、急激にボロボロにされた俺の理性はそんなものでは冷えず、宥さんの甘い体臭とやわらかな感触を意識してしまう。
普段、意識の向こう側へと投げ捨てるそれに俺の身体も熱くなり…ついに我慢出来なくなってしまった。

京太郎「宥…さん…」

俺の呼びかけに宥さんは答えない。
ただ、じっと何かを待つようにして目を閉じるままだ。
そんな愛しい人の背中を両腕で捉えながら、俺はゆっくりと顔を近づける。
お互いの吐息がハァハァと振りかかるのも気にしないまま近づいたそれは最後まで止まらず… ――












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