うさぎちゃんとアリスくん
~ Kyotaro in Magical Mahjong Wonderland ~
第三部(前編)
――むかしむかし
うさぎに助けられた男の子は
傷だらけになっても気丈に振舞うその強さに憧れて
誰かを守れるような人になりたいと願った
~須賀家~
京父「おーい、そろそろいくぞ~」
京太郎「おう。そういや、行く場所って何処なんだ?」
京父「ん?お前が小さい頃に行ったあそこだよ」
京太郎「いや、それはこの前聞いたけどさ。地理的な意味で訊いたんだよ」
京父「シラン!」
京太郎「は?場所も知らないのかよ…」
京父「どこでもいいだろ別に」
京太郎「相変わらず適当だな…」
京母「そんなの、直前になって訊いてるあんたも同類でしょう?」
京太郎「うぐっ…」
京父「はっはっは!そうだそうだ!」
京太郎「お前も同様に呆れられてるんだからな…?」
……
京母「ま、昔からこうだから諦めなさい」
京太郎「かーさん、コレのどこに惚れたの…?」
京母「えっと…。昔は、それはそれはかっこよかったのよ///」
京父「今もかっこいいぞー?」
京母「調子に乗らないっ///」ペシッ
京父「いてっ」
京太郎「イチャイチャし始めた…」
京母「イチャイチャって…///」
京父「お母さんは相変わらず可愛いなあ」ハハハ
京母「もうっ!///」バシーン!
京父「ぐっはぁ!」ゴキャッ!
京父「」グッタリ…
京母「もう、大袈裟ねえ…」
京太郎(首が変な方向に曲がってるけど…)
京父「よしっ!んじゃ、いくかー」スクッ
京太郎「大丈夫か…?」
京父「ま、いつものことだしな」
京母「いってらっしゃーい」
京太郎(俺の頑丈さは父親譲りか…)
~某旅館~
京父「おい。ついたぞ」
京太郎「ん…ふわぁ~」ゴシゴシ
京太郎「えっ、もうついたのか?」
京父「お前バス乗ってすぐに寝てたしな」
京太郎「ん…、そうだっけ?」
京父「お前やっぱ俺の血を引いてるわ」
京太郎「うっせ」
京父「バスガイドさん美人で良いものをおもちだったのに」
京太郎「マジで!」
京父「マジマジ!」
京太郎「くそー!起こしてくれよー!」
京父「はっはっは、残念だったな」
京太郎「ぬぅ…ま、今更言っても仕方ないか…」
京太郎「で、ここどこなんだ?」
京父「シラン!」
京太郎「え、ずっと起きてたんじゃないのかよ?」
京父「ずっとバスガイドさん見てたし」
京太郎「はぁ?」
京父「だってバスが揺れるたびに弾むんだぞ!ポヨンポヨンって!」
京太郎「それなら仕方ないな」
京父「お前は確実に俺の血を引いてるわ」
京太郎「やめろよ、ショック受けるから」
京父「ショックなのか…」
京太郎(ま、後で旅館の人にでも聞こう…)
京太郎「ちょっと周辺散策してくるわ」
京父「おう、メシまでには戻れよー」
京太郎「ははは、なんか親みたいなこと言ってるし」
京父「親だよ…」
~一方その頃・阿知賀麻雀部~
晴絵「じゃあ、今日はちょっと早いけどこれで終わりね」
一同「はーい」
灼「はぁ…」ボー
穏乃「なんか灼さん、インハイの後からずっとあの調子ですね」
玄「気が抜けちゃったのかな~?」
宥「ちがうよ、あれは恋だよ」
憧「えっ」
穏乃「えっ」
玄「えっ」
宥「私そういう経験あるから!」
玄「初耳だよ!?お姉ちゃん恋した事あるの!?」ワクテカ
宥「ううん。友達があんな感じになってたから」
憧・穏乃・玄「友達か…」
……
灼(あのとき、須賀君に声かけておけばよかったかな…)
灼(でも電車行っちゃいそうだったしな…)
灼(一本ぐらい遅らせても良かったかな…)
灼(でも皆もう乗っちゃってたしな…)
灼(部長として私的な理由で残るわけにはいかないよね…)
灼(でもたった一言『アリスくん』って言えばそれで良かったのかも…)
灼(うーん…須賀君がそんな昔の事覚えてるとは限らないよね…)
灼(あーモヤモヤする…)
宥「あーらたちゃん♪」
灼「ふわっ!」
宥「恋しちゃってるのー?」
灼「へ?」
宥「物思いに耽ってるからー」
灼「え、ち、違うよ。そういうんじゃないと思う…」
宥「えー?須賀君の事考えてたんじゃないの?」
憧「…きょ、京くん?」
灼「驚いた。良く分かったね。でも好きとかそういうのじゃないよ」
灼「実はずっと昔に会ったことがあるんだ…」
灼「でも、それに気づいたのが帰る直前で、何も言えなかったから…」
憧「…」
灼「だからモヤモヤしてるだけ…だと思う…」
宥「でも意識してるんでしょ?ならきっとそれは恋の始まりなんだよ」
灼(そう…なのかなあ…?)
灼「いや、ていうか、何で恋ってことにしたいの?」
憧「そ、そうだよ!」
宥「えーだって、あったかい気持ちになれるからー」
憧・灼「そんな理由…?」
……
憧「今思うと、京くんって結構優良物件だったよね」
穏乃「そーなの?」
憧「ほ、ほら、京くん以上の男の子って出会ったことないし?」
穏乃「そりゃ、女子校だし?」
憧「…」
憧「あれだ、小学生の時とかさ」
玄「小学生が高校生以上のスペックもってたら怖いですよ?」
憧「うぐっ…」
宥「まあまあ。でも、同世代の中だと良い方だと思うよ?」
憧「でしょでしょ!」
宥「うん」ニコニコ
憧「メアド訊いておけば良かった…」ボソッ
灼「そうだね」ボソッ
宥「ふふ~」ニコニコ
憧「も、もちろん友達としてだからねっ!」
灼「そうそう!」
宥「そういうことにしておこうね~」ニコニコ
憧「そういうことって!それしかないから!」
穏乃「あれ?メール聞かなかったんだ?」メルメルメル
憧「な、なんか聞くタイミングがね…///」
灼「うん」
穏乃「ふーん」メルメルメル
憧「しず、さっきからケータイで何してるの?」
穏乃「京くんとメールしてるの」
憧「へー」
灼「ふーん」
憧「…?」
灼「…??」
憧・灼「えぇっ!?」
憧「いつ聞いたの!?」
穏乃「普通にカラオケの時に」
灼「なんで?」
穏乃「え、なんか良い人だし気が合ったし」
穏乃「いやー、男の人のメアドなんて初めてで恥ずかしかったけどね…///」モジモジ
憧・灼「ええ~!」
……
憧「え、結構頻繁にメールしてるの?」
穏乃「うん、一日何通か」
憧・灼「…」
灼「ど、どんなことメールしてるの…?」
穏乃「え、えー言わないとダメですか?///」
憧「もったいぶらないでよ」ズイッ
穏乃「近い近い!憧近いよ!」
穏乃「え、えーとねえ…」
憧・灼「…」ゴクリ
穏乃「壁を使っての屋根登りとか、効率的な木登りの方法とか…///」キャッ
憧(あ、大丈夫そう…)
灼(照れる意味が分からないよ…)
~帰宅後・社の上~
憧「は~…どんな文面にしようかな…」 ←穏乃に京太郎のアドレス聞いた
憧「こんにちは、憧です。しずにアドレス聞きました」メルメル
憧「…」
憧「堅苦しいかな…」ケシケシ
憧「うーん…」
憧「久しぶり♪憧でーすvv元気だった~?届いたら返信してねー☆」メルメル
憧「…」
憧「ちょっと業者っぽい?」ケシケシ
憧「うーん…」
~その頃京太郎は~
京太郎「やべぇ、迷った…」
京太郎(咲じゃないんだから…)
京太郎(うーん…でも、なんかここら辺見た事あるような)
京太郎(あ、この神社)
京太郎(あれ、ここ祭りで来た所じゃね?)
京太郎(そーだそーだ、確かここの社の屋根の上に登って…)
アーモウ!ドウシヨウカナー!
京太郎「ん?」
京太郎(あっ…ピンク)
憧「…」
京太郎「…」
憧「って、きゃああああああ」バッ
京太郎「うおぉう」
憧「人居たのぉ!?」
京太郎「は、はい」
憧「って、京くん!?」
京太郎「えっ、憧?」
つづく
最終更新:2013年04月13日 23:00