リサ

リサ

魔法の原理であり、魔物の体を構成する物質のこと


概要

  • 魔法を規定する最小単位をリサと呼ぶ
    • リサとは人間によって観測できない物質と定義される
      • 物理的な観点から言えば、あらゆる物質よりも小さいものと定義されている
    • 単一のリサの回転周期が結晶体の結合数を決める
      • 単一のリサの基本的な性質は単純なつなぐことを機能とする
        • 寄り集まったリサの個数の約数と次元は等しい
    • 最小の物質だから、寄り集まれば、もっとも複雑な構造体を形成できる
      • おそらく、構造体となって概念化したリサの集合をリサ結晶体と呼ぶ
        • リサ結晶体は作中では主に魔力と呼称される
          • 都市級の扱う侵食魔法も魔力と呼称されるが、別にリサ=侵食魔法ではない
            • 魔物たちは人間に対しての欺瞞のために浸食魔法を魔力と呼び混同する
      • 複数のリサによる構造体は概念的な性質を持つ
        • だからもしもリサの自転速度が変化してしまえば、リサ結晶体の構造は崩壊すると考えられる
          • 円心運動を司る魔法はない(第一世界が設定しなかった?)
            • 変速魔法もない?
    • 半概念物質リサによって魔法生物リシスは誕生した
    • 原初の魔物リシスから魔導素子リサが採取された


+ ...
魔物の肉体を構成する半概念物質は物質的な観点では最小の単位になるから光すら置き去りにすることができた
+ ...
結実した魔力が物理法則と競合し
最小単位が繰り上がる
魔界――異世界の法則が走ったとき
光は、魔力の集合体となる
+ ...
 物質的な観点から見れば、魔導素子――リサは最小の物体ということになる
 本来であれば時間、空間に囚われることはない

 時空間に干渉する魔法が高度とされるのは、人間の価値観によるものだ
 魔法の原則が定める開放レベル、性質の上下関係は
 第一世界が決定権を独占している
+ ...
飛散した黒点が他の輪郭を浮き彫りにする。魔導素子は魔法の最小単位だ。
魔法という法則の根幹を成している。だからリサを感知する受容体は存在し得ない。
強引な例になるが、人間の思考は電気信号によるものだから電気よりも小さなものを思い描けるようにはできていない。
下地となる表現方法を持たないと言うべきか。
リサを認識できる生物はお前らも含めいないということだ。認識できないから無理に見ようとすれば視界に死角が生じる。
錯誤が生じるのは、けれどそこに在ると知っているからだった。
身体のほうでつじつまを合わせようとするからごく狭い範囲の光が強調されて輝いて見える
+ ...
詠唱置換は、状況を絞ることで成立する
 旋律が、喜怒哀楽の感情を運んでくれるなら
 歌詞は、平坦な言葉の情報量を越えることができる
愛と勇気、夢と希望……
 悪魔があざ笑った、人間の「弱さ」が
 魔法を新たな境地へと導くこともある
 人の心を獲得した魔物たちだから見える地平線も、きっとある
人魚の歌声にこもるのは
 ともに泣き、ともに笑った、千年という歳月だ
 忘れ得ぬ日々……
 嘆き、苦しみ、一度は立ち止まったこともある
 それでもなお、あがくなら
 譜面に刻まれた足跡は、魔物たちの力になる
「光と海と♪」
 「闇と、空!」
 ――Over.Cangiling!
 機竜に集中線が走る
 逃げ場などない
 重力線の集中砲火だ
 会心の一撃! しかし緑のひとは呆然としていた
 突き出した前足が虚しく宙を泳ぐ
 歌詞をつなぎ、竜言語魔法を投じた豊穣の巫女が
「ふい~」とひたいに浮かんだ汗をぬぐって言った
「巫女スペシャル……とでも名付けようか」
「え~……?」
 ネーミングセンスが子狸じみていた
――いや、肝心なのはそこではない
 前置きをいっさい無視したのは何故だ
 人間が人魚の歌声の恩恵に預かるのは、理屈から言って不可能だ
だが、その理屈は、第一世界の人間たちが定めたものである
 完全な法則というものはない
 自然淘汰されてきた物理法則ですら、おそらくは瑕疵がある
 辿りついた闇の果て、光すら届かない混沌に眠るものが魔導の正体だ
 呼び覚ますべきではなかった
 理屈を超えている
 法則の外にあるものを、完全に制御することなど出来はしない
 だから、ときとして原則を打ち破る人間が現れる
「豊穣の、巫女」
 巨竜は、この小さな人間に戦慄した
 たった一人の天才が歴史を大きく動かすことはない
 だが、推し進めることはできる
 勇者は、この少女を評して「歴史に名を残す魔法使いになる」と予言した
 それは決して誇張表現ではない
だから狙われるのだ
 ――しかし、これで勝算の目途は立った
王種は、レベル5の魔物だ
 そして人間との戦いを想定していないから
「ダメージを受ける」という属性を持たない
二つの魔法が同軸の座標を争う場合、互いに同格であれば性質の衝突が生じる
 それは、魔物たちが子狸さんに触れるとき、王都のひとが面白くなさそうにしているのと同じことだ
 性質の衝突が生じるので仕方ない
 開放レベル5は、痛手となっても決定打にはならないと見るべきだった
脆く、儚い。いずれは滅びる宿命にある人間を、それゆえに守りたい
 緑のひとは、依然として不利にある
 何かを守ろうとするとき、戦士は根源的な矛盾と向き合わねばならない
 人の心を獲得した魔物たちだから、感情に引きずられて性質が歪む
 高度な魔法環境では、心理的な要素も直接的にぶつかり合う
精神と肉体
 肉体と精神
 それらを、半概念物質は区別しない
この世のありとあらゆる物質は「点が密集したもの」と見なすことができる
 厳密に言えば「線」という物体は存在しない
 しかし、それは物の見方の一つに過ぎず――
例えば、子狸さんが学校で歴史の授業を受けているとする
 その際、遠い過去に思いを馳せる子狸さんの身近には「歴史という二次元の物体」がある
(彼の授業態度は決して悪くない。ただ、マンモスへの深い愛が原始時代と現代の区分をあいまいにしている)
 世界の次元を規定するのは、リサの回転速度だ
第一義、回転周期が結晶体の結合数を決める
(がんばるリサには、多くの同胞が集まる)
第ニ義、寄り集まった個数の約数と次元は等しい
(3の約数は「3と1」。三倍速で回る結晶体は、記憶を捻じ曲げることはしても、歴史を変えたりはしない)
この世界は三次元だ(縦、横、高さ)
 最小の物質が「三つのリサが結合したものである」と仮定した場合
 約数に「1」を含むから、この世界は「点」で構成されている
 純粋な意味での「線」がないのは、約数に「2」がないからだ
 だから、人間は「歴史」という「二次元を担当する結晶体」を手に取ることができない
 これが魔導技術の基礎理論だ
ありもしない夢を追った挙句、その手に掴まされたのは悪夢だった
悪魔が人に囁いたのか?
 あるいは人の囁きに悪魔が耳を貸したのか?
 その答えが出ることはない
魔法に数量の制限はなく
 回転と速度の制限もない
 存在しない魔法……
 豊穣の巫女が用いる魔法は、そうした類のものだ
+ ...
 魔物は不老不死の存在だ
 リサと呼ばれる――半概念物質を除去しない限り滅びることはない
 また、仮に除去に成功したとしても
 法典から新たに放出されるため、元を断たねばならない
 つまり法典を破壊するしかない

 リサは、魔導技術の産物だ
 物理的な観点から言えば、あらゆる物質よりも小さいものと定義されている
 最小の物質だから、寄り集まれば、もっとも複雑な構造体を形成できる
 魔物たちの血肉は「リサ結晶体」で構成されている
 彼らの言葉を借りれば、「魔力」と呼ばれるものの正体がそれだ

 都市級の魔物が威嚇に用いる無詠唱の浸食魔法が「魔力」と呼ばれているのは
 彼らの身体を流れるリサ結晶体――魔力の概念を上書きするためだった
 これは、彼らが魔法の存在を楽観視していた時期があるということを意味する



火花星

+ ...
火花群と業火が正面から衝突した
飛び散る黒点は、事象の影だ
あるがままの、闇――
手を取り合い回る黒点が
踊るように、結晶化していく
日の目を浴びることがない世界が、きっと数えきれないほどある
しかし歌のない世界がないと言ったら信じるか?
+ ...
暮れなずむ空に火花星が鮮やかに咲いている
呪言兵は誘導魔法の産物だ
異世界より現れし北海世界の尖兵だった
この世界とは魔法の在り方が異なるから
動力核を破壊され、撒き散らされた魔力が強い反応を示す
+ ...
炎に関わる魔物は火花を操るものが多い
 この世界で破壊された動力兵は強い輝きを発し
 それが遠目には火花に見えるからだった
大部分の出来事は魔法で隠ぺいできるが
 お前らと動力兵たちの開放レベルは同じ9だ
 よそ見をして戦うのは自ら不利を招く行為でしかない
 だから火花星という現象をでっち上げて自由に戦える環境を作った
騎士団は火花星を凶兆として扱う
 魔物の動きが活発化する前兆であると……
 それは当然のことなのだ
四人の都市級と五人の王種は
 人前でも動力兵と戦えるよう設定された存在なのだから

法典

連結世界においてはバウマフ開祖により発見
+ ...
大きさは人間の背丈ほど。
構成素材はリサ
『全てを得るものは全てを失う』と文字でなく概念が刻まれる
魔物たちは「掲示板」「棺(コキュートス)」と名付け、厳重に封印を施した
黒く見えるのは、法典の構成素材リサが意外にあるからだ
覗き込んだものの意識に死角を生じさせ、こじ開けた空白に自分をねじ込んでいる。
古代遺跡の奥深く、審判の扉に閉ざされた暗闇の中、まどろむ法典は管理人を待ち続ける
『何を願う?』
+ ...
子狸は、六つある宝剣のうち、四つを所持している
 精霊の宝剣とは、魔界の至宝であり
 その正体は、扉を閉ざすための鍵だ
彼らが目にしたのは、果樹園と、苗木を見守る一人の魔物、そして星の舟だった
 古代遺跡の扉は開かなかった……
 魔の宝剣は不良品だったらしい。ショックだ
意気消沈としながら、資格はあるからと遺跡の番人は教えてくれた
 遺跡の奥にあるのは“祭典”と呼ばれる魔法の制御装置だ
“祭典”の前に立った人間は、魔法の在り方を定める決定権を持つ
 ――およそ千年前、うっかり祭典の管理人となった一人の人間がいた
 ――祭典は板面で騙る。願いを言えと……
 ――二、三の遣り取りを経て、物言わぬ黒板に親近感を覚えていた管理人は、こう言った
「任せるよ。おれ、お前のこと、もう他人とは思えないし」
悲劇であった
願いを叶えると言われて、丸投げした管理人が現れたとき
 この世界の魔法はツッコミを強要されたのだ…
+ ...
法典の管理人とは、世界の代表者を強制的に選出するためのシステムでもある。
戦争、選挙、手段は問わない、とにかく一人選べということだ。
+ ...
第一世界はリスクを冒さない
 第一世界は魔法がない世界だからだ
世界の在りように異物をねじ込むような危険な賭けを
 自分たちの世界で試そうとは思わない
連合国の片隅、地中深くで法典は眠り続ける
 法典が根付いた地だから
 連合国の古い言葉には超古代文明の名残りが散見される
 つまり異世界より持ち込まれた概念やオーバーテクノロジーだ
+ ...
彼らは魔力に還元される際、魔物たちとは比較にならないほどの光量を発する
撒き散らされた誘導魔法が、この世界のリサ結晶体と激しく反応するからだ

魔物が、他世界にあって生まれ持った魔導配列を崩すことはない
魔法の根幹をなす基本ルール……
あらゆる魔法事象は、第一世界に有利に働くよう設計されている
+ ...
子狸の横にいる青いひとの身体がふるえた
ポーラ属は「扉」の「鍵」だ
法典は、遺跡に足を踏み入れた候補者に幾つかの試練を課す
勇気、体力、知恵……
非力な契約者を望まない

だが、開かずの扉を前にして
いきなり青いのを鍵穴にねじ込もうとした一人の男がいた――

原初の魔物、イドの記憶は、鍵穴にねじ込まれるところからはじまる
のちの初代魔王である

オリジナルのポーラ属は、この星の遺伝子を持つ
青く見えるのは、特殊な波長を放っているからだ
唯一無二の鍵――
+ ...
「う! お! お! お! お!」
幾億もの裏返された黒石の無念が像を結ぶかのようだった
高密度に凝固した黒点が巨大な結晶体となって宙に浮かぶ
目の前で起こった出来事が信じられない。ハロゥが呆然と呟いた
「法、典……」
おれたちの子狸さんは、遺跡の奥で眠る法典の継承者だ
 魔法の在り方を決める法典の正統な所持者を“管理人”と言う
この瞬間、子狸の魔法は世界を越えた
ある一定の質量を持つものは世界の壁を越えることはできない
 それが第一世界の定めた原則だ
その原則を、しかしこのとき子狸は無視した
 ありえない、とハロゥは首を振る
 わななく唇から絞り出すように出した声が
 緊張に震えた
「リサの直接制御……? そんなこと。そんなことができるとすれば、それは……」
―魔法は九つの圏から成る
 しかし、それは“人間”が決めたルールだった
 だから“人間”がルールを定める前、魔法は明確な等級の区分を持たなかった
 法典を従えた子狸が言う
「開放レベル、10」
子狸には勝利したあとの展望がなかった
 勝ったらどうしたいとか、そうしたものがいっさいなかった
 戦う動機すら定かではない
かつてバウマフ家の開祖が幾つかの段階を飛ばして魔物を生み出したように―― 
 何を得ることもなく
 だから何も失うことがない
 開放レベル10で、とくに何をするでもない
 それが開放レベル10に到達する最低限の条件なのではないか
 “恐怖”にまみれたハロゥが後ずさった
「バウマフ家……。リシスに、選ばれた人間……」
 開放レベル10に覚醒した子狸さんだが、やることは変わらない
 盤面はとめどもなく増殖を繰り返し、局面は更に加速する
 ただ、子狸を応援する声が一気に跳ね上がった

リシス

  • 第一世界で産声を上げた原初の魔物を“リシス”と言う
    • 魔法を操るリシスに対抗するために
    • 第一世界が他世界に落としたのが“法典”だ
+ ...
海獣「魔物は正常性を排除し、その隙間に入り込む。とりわけ第一位リシスは……」
なんでもお前らの正式名称は第一位リシスと言うらしい
 あと、なんか別名で無制限リサ制御体とかいうのもあるらしいぞ
+ ...
正確には、こうだ
 北海世界の魔導師には、魔物たちの心の覗き見る「権限」がない
 その権限を持つのは、第一世界であるということだ

 第一世界は、管理人に従う「無制限リサ制御体」を重視している
 無制限リサ制御体の別名を「第一位リシス」と言う
 つまり「究極の魔物」だ

 魔法動力兵は「第一級リサ制御体」もしくは「第二位リシス」と呼ばれる存在だ
 理論上、人間が支配下における範囲内で究極の存在だったから
 (純粋な「魔物リシス」は制限がないため決して人間には従わない)
 北海世界の魔導師は「最強の魔法使い」たりえた

 第一世界は、非数世界の「魔物メノゥ」を重要視している
 かつて第一世界を襲撃したリシスに対抗しうる存在だと考えているからだ
 北海世界は滅びの途上にある
 代用品が必要だった

 言ってみれば他人事だったから
 第一世界の判断はおざなりで
 納得の行くものではなかった
+ ...
 無制限リサ制御体「魔物リシス」は悪魔の化身だ
 魔導技術は、「科学では制御できないと証明された技術」だった
+ ...
この、「リサ」というのが魔法の大元になるものです。作中で、よく「魔法を使う」と書きますが、法則ではなく現象としての魔法を正しくは「リサ制御」と言います。

魔法を使うためにはイメージと詠唱を要するという話でしたが、この二つは突き詰めて行くとじつは同じもので、ようは契約に同意する作業です。
イメージは同意書の確認、詠唱が捺印。言い逃れをさせないための仕組みです。

同意する


リサがくるくると回る


他のリサが集まってくる
(基本的に回転速度が速いほど、たくさん集まる。例外は回転速度が素数の倍数になったとき。六倍速で回るリサには、三倍速と二倍速のリサが仲間だと思って近寄ってくるけど、七倍速のリサを三倍速と二倍速は仲間と見なさない)


リサが結晶化する
(魔法で生成した光や炎は、すべてリサ結晶体の働きによるもの。単体のリサは小さすぎるので、受容体が存在し得ない。感知しようがない。これはリサ制御体と呼ばれる魔物たちでも同じことで、彼らはリサ結晶体の群体。作中では、魔物たちの動力源を魔力と呼ぶ。この魔力の正体がリサ結晶体。魔物たちは、半概念物質の正式名称を知らない。調べようがない)

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最終更新:2016年03月09日 17:15