千早 十二


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いつもよりも早く仕事を終え、自宅に帰ると玄関に春香の靴が置いてあった
千早と話に来たのか、千早の部屋のドアの向こうからは楽しそうな二人の声が聞こえてくる
折角来たんだしコーヒーとお菓子くらい持っていってやろうと思い
二人の好みはどんな感じだっただろうかと思い出しながらコーヒーを淹れた
数分後、コーヒーとお菓子を載せた盆を持って、ノックしてからドアを開けた
「おーい、二人と――」
目の前の光景に一瞬これは何の冗談かと本気で考えてしまった
どういうわけかベッドに座った春香が向かいの千早に腕を回してキスをしていた
二人とも恍惚とした目つきで顔を赤く染め、舌を絡めあっている
クチュクチュと水っぽい音と共に二人の吐息が小さく漏れる
艶のある唇が触れ合い、絡み合う舌が見え隠れしている様に
ゴクリと喉が鳴り、全身が固まってしまった
何秒にも感じた一瞬がようやく過ぎ、二人がこちらの存在に気が付くと
信じられないものを見たかのように驚いた顔をすると反射するように離れた
「な、な、な、なんですかプロデューサーさん!?」
「み、見てたんですか!?」
「まぁ少々、というか何だ?二人はそういう関係?」
口元を隠しながら二人は首を横に振って否定の意思を表した
「ち、違いますよぉ!この前、千早ちゃんに上手なキスの仕方を教えて欲しいってお願いされて……
その……えーっと……あの……」
「春香もそういった経験が無くて、よく分からないから
二人で練習してみようということになったんです。
最初は抵抗が二人ともあったんですけど、段々気持ちよくなってきたというか……
納まりが利かなくなったと言うか……」
しどろもどろに説明する二人の話から少しずつ状況を理解してみると、
どうやらキスの練習とやらをしたらそれがエスカレートし、その現場に立ち入ってしまったようだった
慌てる二人を何とか落ち着かせようとするも先ほどの二人の顔が脳裏に焼きついて離れない
いつもはあまり意識しないが千早がキスする時の顔ってあんなに可愛かったんだなとふと思う
さて、どうしたものかと顎に手を当てて思案しつつ、
真っ赤になってクッションを抱きしめながらうずくまる千早を控えめに観察したい今日のこの頃の俺




風が心地良い春麗らかなある日、私はプロデューサーと桜並木が列なる河川敷を一緒に散歩していた。
季節は移り変わり、この間教えてもらったこの場所も毎回来る度に変わる、前とは違うその景色に私は感嘆した。
散りはじめた桜が風に舞い、その花びらが髪を包む様な、一緒に踊ってる様な…なんだかくすぐられている様な
そんな錯覚すら思える中、時折吹き荒れる桜吹雪がますます私達を現世から引き離す。
ふと気がつくとプロデューサーがデジカメを取り出して私を撮っていた。
「綺麗だな…」
「そうですね。散りはじめの桜がこんなに綺麗だなんて」
「千早が綺麗だ…」
はっきり呟くその声に私は赤面した。
「や、やめて下さい…その…照れます…」
「そうか?俺は千早が桃源郷から迷い出た桜の精に見えたぞ」
「もう…」
あぁ…この人はいつもこうだ…。
歯に衣を着せぬその物言いに私は照れつつも内面嬉しさで顔がにやけそうなのを必死で抑えながら歩いていく。
その時、目の前に桜の花びらではなく桜の花そのものが落ちてきた。
驚いて見上げると枝に止まった数羽の野鳥が花の根元を啄めていた。
「プロデューサー、あれは…」
「あぁ、たぶん桜の花弁の根元にある蜜か果肉の元でも食べてるんじゃないか?」
落ちていく花びらに混ざって一緒に落ちる花。そのうちの一つがふわりと頭に落ちてきた。
「お、千早っそのまま動くなっ!」
「えっ?!」
夢中でカメラのシャッターを切るプロデューサーに私は何がなんだか分からずただ戸惑うしかなかった。
やがて撮り終わったプロデューサーがデジカメを逆に向けて今撮った写真を見せてくれた。
そこには桜の花がまるで髪飾りの様に頭に付けながらも引き攣った笑顔の私。
「よーし良いのが撮れた!帰って早速引き延ばして皆に見せびらかそっと♪」
と、スキップしながら行くプロデューサー。私は慌てて追いかける。背中に嫌な汗が流れてむず痒い。
まっ待ってくださいプロデューサー!その顔は駄目ですっせめてちゃんとした顔の…
いやいやそうじゃなくて恥ずかしいからやめてくださぁあい……くっ…!



「プロデューサー、ご飯ですよ」
そう言って千早は俺の前に食事を持ってきた
両手を椅子に縛り付けられている俺は食べることができないのだが
「じゃあ…食べさせてあげますね…」
そういうと口に含み、咀嚼したものを口移しで与えてくる
たっぷりと舌を絡め、食事を押し込む千早、その顔には恍惚の表情すら浮かんでいる
「私はいつまでも一緒ですから、安心してくださいね」
そう言ってにっこりと微笑む千早、いったいどこで道を間違ってしまったのだろう

という想像しながらおかゆ食べてくる


「千早、頼みがある。ちょっとばかし俺と結婚してくれ」
「え、ええ!?プロデューサー、何をいきなり!私、そんなまだ……」
「ああ、ちと言い方が悪かったな」
ある日の昼休み、予想通り千早は頼みごとにかなり動揺していた
突然の申し出に驚いて慌てふためく千早を、落ち着かせると
懐にしまっておいたパンフレットを千早の前に差し出した
「実は知り合いが新しいブライダルホールのオーナーになってな
広告用として新郎のモデルになってくれないかって頼まれたんだ
新婦は好きに決めていいと言われたんだけど、頼める相手がいなくてさ」
「それで私に新婦のモデルになって欲しいということですか?」
「そういうことだ」
「あの……プロデューサーは私で本当に良いんですか?
もし、そうなら私にそのモデルをやらせてください」
数日後、ブライダルホールで真っ白なタキシードを着せられると、
千早が準備を終えるまで一人で教会で待つことになった
慣れないことに誘って千早に悪かったかなとぼんやり考えていると、誰かがドアをノックした
「どうぞ、開いてますよー」
「し、失礼します」
「………っ!」
やってきた千早の姿に思わず息を呑んだ。純白のドレスに身を包んだ千早は
とても幻想的でありながらも、穏やかな雰囲気に包まれていた
柔らかさと眩しいくらいの魅力に満ちた彼女の姿に、思わず感嘆の念がこみ上げる
「プロデューサー、私、似合ってますか?」
「ああ、すごく綺麗だ」
「ありがとうございますプロデューサー。あの……カメラマンは遅れてくるそうです」
「千早、それにしてもやっぱり凄く綺麗だよ。俺じゃ不釣合いかもな」
「そ、そんなことはないです!私、新郎のモデルがプロデューサーでなかったら……その……」
「え?」
「あの……だから……」
急に顔を赤くしてうつむく千早がどこか初々しくて可愛さのあまり抱きしめたくなる
カメラマンが来るまで一緒にいすに座ると、千早がどこか嬉しそうに微笑んでいるのに気が付いた
いつか千早が本当にお嫁さんになったときは誰よりも幸せになって欲しいと願いつつ
緩やかに暖かく観察したい今日この頃の俺



ある日の風景7コミュ後、千早に「プレゼントのお返し」と言われて
千早に贈ったのと全く同じ指輪を貰うんだが
どうもサイズが中途半端で薬指以外ではしっくりこない
でも「せっかく千早から貰ったものだし、付けないわけにはいかないよな」
なんて言って千早とおそろいのリングを二人揃って右手の薬指に嵌めて
「これじゃあ恋人同士みたいですね」って言われたい



「はぁ……なんだかなぁ」
「急にため息をついてどうしたんですか?」
「いや、何故かこの時期は仕事のやる気が出なくてさ」
営業へ行く途中、ぼんやりと空を見上げると何度もため息をついてしまった
心配そうにこちらを見る千早に、なんだか悪いなと思うと余計にため息が出てしまう
ふと千早を見ると、彼女は何やら考え事をしているようだった
「プロデューサー、次の営業が終わったら私からご褒美をあげますから頑張ってください」
「ご褒美?」
「はい、今はまだ秘密ですが、これならやる気が出るのでは?」
一瞬、どういうことかと疑問に思ったが千早の言うご褒美とやらがどんなものか気になった
どんなものかは分からないが、千早が自分のために何かご褒美をくれると思うとなんだか高揚してきた
「よっしゃ!なら、もう一頑張りいくとするか!」
「ふふ、その意気ですよプロデューサー」
微笑む千早に元気を貰ったのか、先ほどまでの沈んだ気持ちが嘘のように無くなっている
しばらくして、千早に手玉に取られたかと思ったが、たまにはそれもいいかと納得しつつ
涼しい風に揺れる髪を抑える千早の横顔を、のほほんと観察したい今日この頃の俺



憂鬱な気分で千早と営業へ行く途中、この仕事が終わったら千早が何かご褒美をくれることになった
どんなご褒美をもらえるのかと期待に胸を膨らましながら、なんとか営業を終わらせることが出来た
「さて千早、仕事も終わったしご褒美とやらを貰おうかな」
「え?ええ、そ、そうでしたよね。プロデューサーにご褒美……」
そういって千早はそっぽを向いて何やら考えごとをしだした
てっきり用意しているのかと思っていたので意外に思いながら待つこと数分
ようやく考え事が終わった千早の顔は何故か恥ずかしそうに頬を赤く染めている
「プロデューサー、あの……少し屈んで目を閉じてくれますか?」
「ん、こうか?」
言われたとおりひざに手を当てて屈み、目を閉じた
しばらくの間をおいて、温かみのある柔らかな何かが小さくチュっと音を立てて頬に触れた
「え?」
突然のことに思わず目を開けると、耳まで顔を赤くした千早が照れくさそうに明後日の方を向いていた
「あ、あの、前に小鳥さんにこうしたらプロデューサーは喜ぶんじゃないかと聞いて、
それで私、その……だから」
目を合わすのが恥ずかしいのかチラチラとこちらを見る千早が可愛らしくて抱きしめてしまいたくなる
頬に色濃く残る感触に酔いしれつつ、ありがとなと千早の頭を撫でた時の彼女の反応を
心ゆくまで観察したい今日この頃の俺



いつもより早く仕事が終わったので、千早と寄り道がてら街外れの高台を散歩することにした
ふと隣で歩く千早を見遣ると夕日に照らされる彼女の横顔がいつもより綺麗に見えた
「なぁ千早。海外に行って、いつかアイドルを引退したらどうする?」
「え?私がアイドルを引退したらですか?まだはっきり決めていませんが、
いろいろな所を巡って絵葉書を集めたいです」
「いろいろな所を巡る……か。一人じゃ寂しいからそのときは俺もお供するかな」
「私が一人では寂しいからお供ですか?プロデューサーと一緒ならきっと楽しそ――」
「そうじゃなくて」
「え?」
歩みを止めて、千早と向き合うと何も言わず彼女を抱きしめる
華奢な体つきでありながら柔らかく暖かい感触になんとも言えない心地よさを感じた
「あ、あの!プロデューサー!?」
「千早がいないと俺が寂しいんだよ。千早以外の誰でもない、
この如月千早がいないと俺は寂しくて耐え切れそうにない。
だから、もしその時は一緒にいさせて欲しい」
「プロデューサー……」
千早が腕を背に回してきて、身を委ねてくるのが感触で分かる
触れ合う胸から伝わる千早の鼓動に、いつから千早依存症になってしまったんだろうと考えつつ
まったり穏やかに観察したい千早中毒な今日この頃の俺



学校帰りの千早と一緒に帰ろうと思い、仕事を終えると千早の学校へ行ってみた
下校時刻にはまだ早いのか、学校の生徒が出てくる様子がないのでしばらく校門の前で待つことにした
数十分後、ぞろぞろと下校してくる多くの高校生のなかに千早の姿を見つけた
千早に手を振ると向こうも気が付いたらしく小さく手を振る
「千早、一緒にかえ――」
「あー、君かね?通報にあった、この学校の付近でうろついている不審者は」
「え?」
「話は署で聞くから来たまえ」
「いや、俺は違いますよ!ただ千早を迎えに」
「そんなこと知るか!さっさと来い!」
「ち、千早ぁああああ!ヘルプミー!」
何度も弁解するものの無視する警官達にずるずると引きずられつつ
驚いてから呆れた顔でこっちに走ってくる千早を観察したい今日この頃の俺
くっ……!離せ、この国家権力の犬めぇ!


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