千早 六


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ある日、Pの机を掃除してたら引き出しの奥からハーモニカが出て来た。しかもよく見るとブルースハープハーモニカ。
銀色に輝くそれは、何故だか冷たい筈なのに、それでいてどこか暖かい、
使い込まれているのに新しい、なにかこう、持ち主の魂が宿っている様な…。
私は掃除も忘れて、ただそれに魅入っていた。
楽器はどんなに良い音色を発しても、それを奏でる人間がいなければ、その美しい旋律は流れない。
私も自分自身に例えるならば、それを奏ででくれる人ー…Pがいなければおそらく、ただの楽器に過ぎなかっただろう。
Pはこの楽器でどんな旋律を奏でてくれるのだろう…。そんな事をぼんやりと考えていたら、
「おっ、懐かしいもん引っ張り出してくれたな。」
と、Pの声に、私は驚いた。
「すっすみません、P!!勝手に私物を持ち出して。」
私は謝りながらハーモニカを返した。だが Pはそれ以上、何も言わずただハーモニカを見つめていた。懐かしそうに、悲しそうに。
「プ、P?」
私の問い掛けに答えるかの様に、頭をくしゃくしゃっと撫で、
「聴きたいか?」
「え…は、はいっ是非、お願いします。」
と、私は少しドキドキしながら返事した。

屋上に上がると、少し風が強かった。私は髪を押さえながらPを見ていた。
おもむろにブルースハープハーモニカを吹き出すP。その音色に私は聞き惚れてしまった。
深く、優しく、淡く、激しく奏でる旋律。私は目を閉じ静かに聞いていた。
やがて、曲が終盤に入り、私が目を再び開けた時、私はぎょっとした。
Pの後ろにいつの間にか来ていた春香達が、口に指を立て、しーっとジェスチャーをしてニヤニヤしながら、演奏を終わるのを待っていた。
演奏を止める訳にもいかず、この後、P、共々冷やかされるのが目に見えていた。頬に流れる冷汗がむず痒い…。
あぁ…すいません、P…私が聴きたがったばっかりに……くっ…。



夕食に特製カレーを作り、千早と食べることにした
千早の皿に盛るときにふと思う事があったので意図的に大きいぶつ切り肉を多めに入れてみる
「このカレー、美味しいですよプロデューサー」と千早が褒めてくれて
苦労して作った甲斐があったなとしみじみ思った
しばらくして妙に肉が多いことに気がついて聞いてきた千早に
「ほら、たくさん肉食えばもうちょっとは成長すると思うんだ」と思わず口にしてしまった
「プロデューサー、それって……」と怪訝そうな顔をする千早に
「ほ、ほら腹が減っては戦はできぬというか、スタミナつけて
明日のレッスン頑張って更に成長しようとかそうことだ」と慌てて弁解すると
不思議そうにしながらもなんとか納得してくれようだ
危なかったと胸を撫で下ろしつつ旨そうにカレーを食う千早を
明日はカレーうどんにするかな……つか、そこの千早のスプーン!俺と代わってくれ!と
内心思いつつまろやかにじっくりコトコト観察したい今日この頃の俺



仕事の帰りに自販機の前で千早とホットコーヒーを飲んで一休みすることにする
「そういえばもう私達もう出会ってから長いこと一緒にやっていますよね」と話しかけられた
確かにそうだよなと今までを振り返るとこの数ヶ月の間に
いろいろなことがあったんだよなとコーヒーを飲みながら思う
互いに過去の思い出話に花を咲かせ、盛り上がっていると
「少し気になっていたんですが、どうしてプロデューサーは
私をプロデュースしようと思ったんです?」とおもむろに尋ねられた
いきなりの予想外の質問にどう答えようか非常に困ってしまった
どうしようかと顎に手を当てて考えていると千早も興味深そうにこちらを見ている
なんか照れくさいが変に誤魔化すと千早に悪いので
「一目惚れってやつかな」と小声で素直に答えた
「えっ!?」と驚いた様子の千早に慌てて「い、いや!そういう意味じゃなくて
千早の歌声とか歌に対する情熱に心動かされたとかそういうことだ。うん、そうなんだよ!」と
やっぱり照れで誤魔化してしまった
「そうなんですか……」と複雑そうな表情の千早にアー!俺のバカタレ!このヘタレが!と
軽く自己嫌悪に陥りつつ、両手で缶コーヒーを飲む千早を温かく観察したい今日この頃の俺



今日は千早が難易度の高いオーディションを堂々の1位合格できて気分は最高だった
合格した私より嬉しそうですねと苦笑いをする千早に何言ってんだ
こんなめでたい日は誰でもうれしいもんだぞと千早の頭を撫で回した
家に帰りしばらくたって風呂に入っても気分は高揚したままで
風呂桶に使ったまま思わず「海の男の艦隊勤務 月月火水木金金♪」と
昔、爺さんに教えてもらった一番好きな歌を大声で歌ってしまった
この時期の風呂はいいなあと髪をタオルで拭きながらリビングに出ると
千早が俺の顔をチラチラ見てクスリと小さく笑っている
なんだよ千早、何か付いてるのか?と尋ねると
「プロデューサーが風呂で変な歌を……しかもほとんど音程はずれて……しかも大声で」と
口元を隠して今にも笑い出しそうだ
急に顔が熱くなりいやぁ!全部聞かれてたのかぁ!もう婿にいけない!と恥ずかしくなった
なんてこったい……まぁ千早にならいいかなと開き直りつつ今度の休日に
千早を爺さんに会わせてやろうと思う今日この頃の俺



つまらない事でPと言い争いになり、
「お前みたいなド貧乳は大嫌いだ!」
と、一番胸をえぐる言葉に罵倒され、泣きながら部屋を飛び出し、宛もなくさ迷い、
気がつけば、よくPと散歩していた公園に来ていた。
雨が降ってきたが濡れるのも構わずブランコに座り、ただそこにいた。
ずぶ濡れのままどのくらいたったのだろうか。
おそらく、濡れるのも構わず走り回って捜したのだろう。肩で息をしながら同じくずぶ濡れのPが立っていた。
もうどっちが先に謝ったのか覚えていなかった。気がつけば私はPに背負われて、必死で時間外の病院のドアを叩いているPが……。
濡れているのに僅かに暖かい背中を感じつつ、私はまた意識を失った。

私は軽い肺炎を起こし、念のために入院した。幸いにも一週間くらいで退院出来そうなのだが、
喉も腫らしてしまい、当然、歌う事も禁じられてしまった。
私は歌えないストレスからかよく眠れなかった。でもPは毎日見舞いに来てくれた。
病院の中庭のベンチに二人で座ると、
「今回の事は俺の責任だ。どんなことでもするから…するから…。」
と、今にも泣きそうに言ってきた。そんなPの口を指で塞ぎ、
「では、少し眠りたいので横にいててください。」
と、お願いした。
小春日和の中、私は久々に穏やかな寝息を立てる事ができた。
横にいるPのおかげだと思うと少々照れ臭くてよっ掛かった肩がむず痒い。



午前中のレッスンも終わり、午後から事務所でPの手伝いをして書類の山に悪戦苦闘していた。
そこに小鳥さんが銀行振込みから帰って来て、同じくデスクワーク中の春香のPの机の横を通った時だった。
足元にはみ出して置いてあった資料を入れた箱に気付かず、
小鳥さんは足を引っ掛けて転んでしまった。しかも春香Pにおもいっきり、その…スカートの中を見られてしまった。
顔を赤くしながら、スカートの後ろを慌てて押さえ、
「み…見ました…?」
と、焦りながら聞く小鳥さん。
しかし、春香Pは
「ぜぇんぜぇん見てませんよ〜♪」
と、春香ばりに目線を明後日の方向に向けて、とぼけていた。
「嘘!見・た・ん・で・しょ?」
と、詰め寄ると、冷や汗をだらだら流しながら、
「い、いやいやミテマセンヨ?緑のシマパンなんて……あ。」
と、間抜けな返答。
すると、小鳥さんは突然にんまりしたかと思うと、春香Pのスボンのベルトを素早く抜き取った。
そして、
「お姉さんのだけ見てあなたの見せてくれないなんて不公平よねぇ♪」
とスボンを降ろしにかかった。
「ひ、ひえぇ!ちょっ、小鳥さん?」
必死でスボンを降ろさせまいと抵抗しながら逃げようとする春香Pと
がっしりとその手を放さずスボンを降ろそうとする小鳥さん。
そこへ運悪く春香が外から帰って来た。
「Pさ〜ん、おやつ買ってき………いやぁあぁあぁあ!!Pさんフケツです!!私との事は遊びだったんですねーっ!!」
「ま、待て春香っ!誤解を招く発言したまま去っていくなぁっ!
てゆーか助けてくれぇぇ!」
事の成り行きを唖然として見ていた私は、Pに、
「どうしましょう」
と、アイコンタクトすると、
「千早、逃げるぞ…。」
と、Pが目で返してきた。 幸い、私達の姿は書類の山で隠れていた。
どすんばたんと二人の気が逸れている間にそろそろと、入口に向かう私達。
いつバレるかとヒヤヒヤしながら、頬を流れる汗がむず痒い。
あぁ…すいません春香P…貴方の尊い犠牲は決して無駄には致しません…。
せめて後で春香にはちゃんと説明しときますから…くっ…。



休日の昼、少し多めの洗濯物を千早と干すことにした
雲一つない快晴の空の日差しが暖かくて気持ちいい
こんなふうに休日を過ごすものもいいだろと隣で干している千早を見ると
鼻歌を歌いながら俺のYシャツを丁寧に皺を伸ばしながら干している
なんかこういう千早って新鮮だなと見ていると
視線に気がついたのか上機嫌な顔でどうかしましたか?とこっちを向いて目が合った
陽の光と着ている白いシャツとYシャツの白さに映えて
普段の生活やステージで見ることのできない千早の姿にドキっとしてしまった
そんな俺を見て「変なプロデューサー」と微笑む千早の横顔を
そよ風を感じつつのんびりゆったり観察したい今日この頃の俺



ネクタイとYシャツを新調しようと思い仕事帰りに紳士服店に行くことにした
自分以外の人に選んで貰うのもありかなということで
一緒に連れてきた千早に俺に似合いそうなのを選んでくれないかと頼んでみた
「私が選んでもいいんですか?」と意外そうな千早にを
のんびり選んでくれよと期待の眼差しで待つことにする
しばらくすると千早が何枚かYシャツとネクタイを持ってきて
俺の体に合わせあーでもないこーでもないと胸元で思案するのがなんともいえない気持ちになる
それを見た若い女性店員にクスリと笑われて照れくさくもなんだか嬉しい
翌日、千早より早く起きて出社すると窓の反射に映る自分の姿に思わずニヤニヤしてしまった
その後、いつもより遅く事務所に来た千早に「どうだ?俺の一張羅に決めたんだけど」と
新品のYシャツとネクタイを着ている姿を千早に見せた時の反応を
爽やかにかつ穏やかに観察したい今日この頃の俺



めっきり冷え込む様になったある秋の日、Pと一緒に郊外のアウトレット店で
秋、冬物を何点か購入し、その中でPは大きめのロングコートを買って来た。
どう見てもガバガバなサイズ、5Lはあるのではないだろうか。
大きすぎるのでは?と指摘すると、
「俺はゆったり目をひっかけて歩くのが好きなんだ。」
と、早速袖を通し、お気に入りの様子。
Pは結構、背丈はある方なので何とか着れてはいるが、やっぱり大きい。
帰り道、ちょっと一休みするので公園のベンチに私達は座り、
近くの自販機からハチミツかりんを買って来てくれるP。
夕方ともなると風が冷たい。心地良い喉越しを味わいながらも、
「くしゅんっ」
と、くしゃみをするとPが、
「寒いか?」
「はい、結構、冷えてきましたね。」
「じゃあ、あっためてやる。」
と、その大きなコートで後ろから包んでくれた。
「プ、P!……その、あの恥ずかしいです…////。」
「こうやれば千早も暖まれる、寒い時、俺はいつだって千早を身も心も暖めてやりたいんだ。」
と言われて、Pの心の暖かさは分かったが、周りの目が気になって、
段々、顔がほてってきてむず痒い。
あの…そろそろ開放してください……くっ…。



あるライブの打ち上げで千早と打ち上げ会に行くことになった
今回はすごかったねと周囲から賛美の声をかけられている千早の姿に
やっぱり千早の歌唱力はすごいなと思いつつちびちび飲んでいると
隣に座っていた女性スタッフの人に話しかけられ千早の事や
ライブの事で酒のせいもあり会話が大いに盛り上がった
楽しかった打ち上げ会も終わり、千早と一緒に帰り道を歩いていると
妙に千早がムスッとした様子でなにやら機嫌が悪いようだ
「プロデューサーはああいう女性が好みなんですか?」とムスッとした顔で聞いてきた
「あの隣にいた人?まあなんか愛嬌のある感じのいい人だったな
でも好みというか、ただ気があって話に花が咲いただけだよ」と
答えるもあまり納得してくれないようだ
もしかしてあの場で俺が千早をほったらかしにしてしまったことを怒っているのかと考えていると
千早が冷たくなった夜風で腕を組んで寒そうにしていることに気がついた
ほら、寒いだろと自分の着ていたジャケットを千早に羽織らせながら
「まぁ好みの女性像はあるけど、なんだかんだで俺の本命は千早みたいな女性かな」と
言ってみた時の千早の反応をほっこり暖かく見ながら観察したい今日この頃の俺



ベランダで何も考えずぼんやりと夜空を見ていると何しているんですか?と千早がやってきた
千早も星を見るかと誘うと隣にちょこんとすわり一緒に空を見上げている
「この時期は空気が乾燥しだして星が良く見えるんだよな」と話しかけ
のんびり話しながらふと見た月明かりに照らされる千早の横顔に胸がときめいた
それと同時に普段忘れてしまいそうになるけど千早って
まだこんな年なのに今まで随分苦労しているんだよなと感慨にふけってしまった
千早のために自分は何をしてやるのが最善なんだろうかと考えていると
視線を感じたのか「私の顔なんかじっと見てどうしたんです?」と
いつもと変わらない様子で千早が尋ねてきた
そんな千早の手をとって「お、俺、絶対に千早を幸せにしてやるからな!」と真剣に言い
「え?あの……その……」と真っ赤になって慌てる千早の反応を
いたって真面目に観察したい今日この頃の俺


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