新学期が始まって3日が過ぎた。
さすがに3日も経つと少しずつだが正月ボケが治っていく。
ただ一つ、治らないもの・・・それは・・・

ハルヒの豊満な肉体だ。

新学期以来ずっと体操着のまま登校するハルヒ。
どうも急激に太ったおかげで制服が着られなくなったらしい。
いや豊満と言ってもまああれだ。
他の太った女子に比べればまだかわいいかな?という感じで強いて言うなら爆乳AV女優さんによくありがちな体型というのが正確かも。
おっぱいにばかり目が行って気がつかないがよく見ると、お腹がたぷたぷしてお尻もかなりでかいなというアレだ。
おかげで同級生の男子のうち数人がハルヒを見る目が変わったようだ。
要するに爆乳フェチな男子生徒のおかずになり始めた、らしい・・・。

本性を知らないというのは幸せだね。
俺なら絶対無理だ。ハルヒをおかずにするなど。
多分妄想しているうちにハルヒが頭の中で暴走を始め・・・・。
いや、考えるのはよそう。

そうこうしているうちに放課後。
今日もまた文芸部の部室に素直に向かう俺。えらいね・・・。

「明日、日曜日。SOS団はギャル曽根の謎に挑むべく活動を行います!! 一人1000円持参の事!! 以上!!」
突然ハルヒがとんでもない事を言い放つ。
「却下。なぜ自腹で1000円も費やさなきゃならんのだ」
古泉、長門、朝比奈さんの3人は黙って聞いているが俺は納得がいかない。
速攻で意見陳述。
「ギャル曽根の謎を解くにはお金がかかるのよ!!」
「そこまでして解かなきゃならんのか?」
「ならないっ!!」
そう言ってハルヒが机の引き出しからチラシを引っ張り出すと天高く掲げる。

『ケーキバイキング食べ放題90分1000円(税込み)』

「貴様の欲望を満たすための活動じゃないか。やはり却下」
みんなも同意見のはずだ。
うん、当たり前だ。
なんでハルヒが食べたいケーキにつきあわなきゃならんのだ。
「いいですね。私もケーキ好きです。行きましょう!!」
「どちらかというと僕は洋より和の方が好みですが、あえて洋を選ぶというのもまた趣があってよいかと」
「・・・・・甘いものは脳のエネルギーに最適」
「なっ!!??」
「多数決によって決定よ!! 明日午後1時、グランドホテル前にて集合!!」
朝比奈さんがケーキを食べたいというのは理解できるが、古泉・・・お前。
っていうよりも長門が賛同する提案じゃないだろ!!
その情報伝達思念体だかなんだかはこの議題に対して許可を出したのか!!??
「ということで明日はみんなご飯食べてこない事!! 元が取れないわ!!」
「活動の本来の意味から遠ざかってないか? それ?」
「おいしく食べて謎を解く!! 一石二鳥よ!!」
「・・・・・・」
もう何も言うまい・・・。



――――――――――――――


すでにグランドホテル前にはハルヒ達がいた。
まずい・・・これは非常にまずい・・・。
こういう場合、俺はどういう対応をとらされるか?
「ハルヒ」の懸命な読者なら恐らく予想できるはず・・・。

「おっそ~いっ!!!! 罰としてキョン、あんたが今日の経費全部持ちなさいっ!!!!」
「うっ!!」
時計を見れば1時10分を超えている。
言い訳が出来ない。
いや言い訳のしようもあるがここで言い訳をした場合、肉体的に俺を上回り始めているハルヒとK-1ダイナマイトを繰り広げなくてはいけないシチュに陥るわけで・・・。
「ごちそうさまです・・・」
朝比奈さん、あなたまでそんな・・・。

とりあえず俺は古泉を呼びつけ相談を持ちかけた。
「すまん、古泉。今日、食べないでくれないか? 俺ももちろん我慢する」
「ええ、かまいません。実は朝ごはん食べてしまったので」
「それは都合がよろしい。ということで本日はSOS団女性団員だけの活動ということにしよう」
「そうですね。読者も男が大食いしてひ~ひ~言ってるのは見たくないでしょうし」
「?」
古泉との交渉をスムーズに進めた俺はその結果をハルヒに報告する。

「まあ別にかまわないわ。アタシとみくるちゃんと長門さんの3人で食べるから」
う~ん、三人並んで見るとやはりハルヒの豊満さが飛びぬけているのが分かる。
しかもよりによってわざわざタートルネックのセーターにタイトフィットジーンズなんてボディラインがくっきり分かるような服をチョイスするんだろうね?
余計ケーキが入らない気がする。
「さ!! 行くわよ!!」
「お~!! 食べまくりましょうっ!!」
「・・・・・・」
朝比奈さんがハルヒと意気投合するなんて多分、今日が最後だな・・・。


がやがや・・・・


ホテルの結婚式場とかで使うようなホールを目いっぱい使ってテーブルと椅子が並べられ、所狭しと客が入っている。
そしてステージ側におびただしい種類と量のケーキが並んでいる。
「すいません、女性3人で・・・」
俺はハルヒたちの分の金を払う。
ハルヒの為に3000円も使うと考えると非常に腹立たしいが、朝比奈さんの満腹の笑顔が見られると考えれば少しは怒りも和らぐというもの。
「おい、ハルヒ。いいぞ・・・っておいっ!!!!」
「みくるちゃん、どれ食べる? アタシ、これっ!!!」
「あ~、それおいしそうですね~。あ、私、これ好きなんですよ~」
「・・・・・モンブラン・・・・」
何故お盆を持って既にバイキングコーナーに入っているのか?
どう考えても時間的に逆算しても俺が金を払う前からでないとつじつまがあわん。
それじゃあ食い逃げと間違われてもしかたないぞ?
「とりあえず座って待ちましょう」
俺は古泉に言われるまま何もないテーブルに向かった。
今日はハルヒを見ないでいよう。

腹が立って殴りそうだ・・・。


「おっまたっせ~っ!!!!」
背後からハルヒの歓喜に満ちた声。
お目当ての獲物はゲットできたか?

どすんっ!!!!!

お盆いっぱいに並べられた・・・というかはみ出ているのもあるぞ。
二段、いや三段重ねにケーキが乗っているのも・・・?
「とりあえず一発目はこれで行くわ!!」

どんっ!!!!

「今日はいっぱいたべちゃいます~!!」
ハルヒまでは行かないもののやはり二段重ねのケーキが・・・?


とん・・・


「必要最小限・・・」
長門さん・・・・それじゃあ俺の1000円が無駄になりますから・・・
モンブランが可愛らしくお皿に二つ・・・


「いっただっきまぁ~・・・」
「スト~ップっ!!!!!」
「なによ!!??」
「お前、そんなに食べられるのか? こういうところは残したら罰金を取られるんだ。どう考えてもその量はお前の腹を超えている。戻して来い。朝比奈さん、あなたもです」
ハルヒ、朝比奈さんとも質量的にキロ単位のケーキを持ってきている。
ウェディングケーキじゃないんだから・・・・。
「食べられるわよ。これくらい。それに甘いものは別腹っていうじゃない?」
「それとこれとは別。どう考えても物理法則を無視している」
「確かにこれは・・・ちょっとやりすぎじゃないですかね?」
「だろ? 古泉、そう思うだろ?」
「え~・・・でも~・・・・」
「朝比奈さん、悲しそうな顔をしてもだめです。ダメなものはダメです。戻してきてください」
しぶしぶ朝比奈さんはお盆を持ち立ち上がろうとする。


ダンッ!!!!!


「それじゃあ謎は解けないのよ!!!!! 自分の体の限界に挑戦して初めて謎が解けるの!!!! だからアタシは全部食べるわ!!!!」
「バカ!! あいつは何度もそういうことやってるから出来るんだ!! いきなりお前みたいなのが挑戦したらひっくり返って救急車だぞ!!??」
「出来る!! 出来るわ!! 出来そうな感じがするのよ!!」
「こ・・・この・・・」
と不意に古泉が俺の腕を引っ張る。
「彼女がそこまで言うんだから大丈夫でしょう。なにせ彼女は理想を現実にする力がありますから」
「い、いや・・・それはそうだが・・・・」
「それに彼女がたくさん食べる姿はストレス発散になりますよ。1000円でどこまでこのホテルに損失を出させる事が出来るか? 見ものです」
「お、お前・・・酷い奴だな・・・・」
「じゃ、じゃあ・・・食べますね・・・・」
朝比奈さんが再び席につく。


「いっただっきま~っす!!」

もぐっ!!! むしゃむしゃ・・・!!!

ごっくんっ!!!!

ガシッ!!

ハムっ!!! あむあむ・・・・!!!!!

ごっきゅん!!!!

「・・・・・・」
目の前でハルヒがゴミ収集車のようになった。
大きな口を開けてどんどんとケーキが運ばれていく。
そして口が閉まり、口の中で粉砕されケーキが胃袋へと流し込まれる。
口の周りにチョコレートをべったりつけて鼻の頭に・・・・生クリームが・・・・。
いやだ・・・・こんな女はいやだ・・・・。
それに比べて朝比奈さんのしおらしいこと・・・・

バクッ!! もぎゅもぎゅ!!

ゴックン!!!!

ワシッ!!! はむはむ・・・

ごっきゅん!!!!!

「・・・・・・・」
朝比奈さん・・・・、う、美しいです・・・その姿・・・・。
ほ、惚れ直しました・・・・う、うぅ・・・・・あんまりだ・・・・・。

「いやあ、実に爽快ですね。ケーキが次々と消化されていきます」
「俺達は食えないんだ。あんまり喋らないでくれ、古泉。腹が減る」

「やっぱショートケーキは・・・・苺が・・・ゴックン!!」
「そう・・・ですね・・・ごくん!! いや・・本当・・・・おいしいですぅ~!! パク!!」
次々と二人の口に運ばれていくケーキ、そしてその間を縫いながら喋る二人。
一方、長門の方はお行儀よくフォークでちまちまとモンブランを切って、小さな口でもしゃもしゃと食べている。
う~む、30回は咀嚼しているな・・・・。
きっと長門さんはあごが丈夫だ。
ハルヒを見ているより長門さんを見ている方が正直面白いかも?

そんなこんなで10分が過ぎた。

「ふぅ~っ!! 一発目完食ぅ~っ!!!」
「完食です~っ!!!」
二人で腹をさすり満足げな表情を浮かべる。
よかった・・・実によかったな・・・ハルヒ。
それだけ食えば満足だろう。
後はゆっくり少しずつ・・・・
「みくるちゃん!! 次いこっ!! 次!!」
「はいっ!!!」
「おっ・・・おいっ!!!!!」

だだだだっ!!!!!

人の話くらい聞いてくれ・・・・。


だだだだっ!!!!

戻ってきた。

ドンっ!!!!

またさっきと同じくらいの量を持ってきやがった。
多分これで元は取れたと思う。
これが自分で無いというのが非常に悔しい。
「朝比奈さん・・・・大丈夫ですか?」
ハルヒは多分大丈夫だろうが朝比奈さんのお腹が心配だ。
肉がぽってりついているハルヒと違って朝比奈さんのくびれたお腹に入るかどうか。
第一、さっきの量がこの細いお腹の中に詰まっている事時点不思議だ。
すでにハルヒの隣でギャル曽根の謎が再現されている。
それに気づかないハルヒよ・・・、俺の金が既に謎解き目的でない事が明らかになったぞ?

「大丈夫です!! いただきま~す!!」

もぐもぐっ!!

「ん~おいしい~!! ミルフィーユってどうしてこんなにおいしいの?」
「みくるちゃん、こっちもいけるわよ」
「あ、ありがとうございます・・・。もぐもぐ・・・・す、涼宮さん!! これ、すごいです!!」
「でしょ~!!アタシ次こればっかでいこうかな?」
「私もそうします!! もぐもぐ・・・」

あ~、食べながら喋るとケーキの破片が・・・・
あ・・・朝比奈さんのだ。これはうれしい・・・・。

「見ているだけでお腹いっぱいになりますね」
「ああ・・・・疲れる」

ハルヒたちは再びものすごい勢いで食べ始める。
いやはやハルヒがこれだけ食べるのは違和感ないが朝比奈さんがこれだけ食べるとイメージに支障が出る。
ものの数分でお盆の上のケーキを半分平らげる。

「ふぅ・・・・」
と突然ハルヒの動きが止まった。
「もういいか?」
これでハルヒは打ち止めのようだ。
いくらハルヒといえどもそこまでの量は食べきれまい。
この調子だとこの会場のケーキ全部食べられそうだからな・・・・。
「ちょっと・・・きついのよ。ジーンズが・・・・。なにせタイトフィットでサイズ鯖読んでるから・・・・」
「なんでこういうときにそういうのを履く」
「少しでも細く見せようと・・・んしょ・・・・」

ブツン・・・

ハルヒがジーンズのボタンを外す・・・。

ぼよんっ!!!!

締め付けられていたハルヒの腹が飛び出る。
もともとぽっちゃりで出っ張りかけていたハルヒの腹がケーキを目いっぱい詰め込まれ、さらにもう一回り膨れ上がっている。
「ハルヒ、頼むからその格好でケーキを取りに行かないでくれ・・・・」
「なんでよ?」
「そんな生腹だした女が歩いたらまずいだろ?」
「なに言ってるのよ? へそだしルックがいいんだからこれもいいでしょ?」
「妊婦みたいな腹はまずい・・・、非常に」
「いやよ!! アタシが好きなもの食べられないじゃない!!」
「朝比奈さんみたいにこう、つつましやかなお腹で歩いて・・・」
ふと俺は朝比奈さんのお腹に目をやる。

「げっ!!??」
「ぷはぁ・・・・さすがにお腹ぽんぽんになっちゃいますね~」
朝比奈さんの華奢で美しい括れを誇るお腹が・・・・
風船のようにっ!!??
「み、みくるちゃん!! すごいじゃないっ!! そのお腹!!」
「そ、そうですか~? そういう涼宮さんも立派なお腹ですね~!!」
お互いりっぱに膨れ上がったお腹をさすりあうハルヒと朝比奈さん。
「おやおや、ほほえましい限りですね。産婦人科の待合室のようで」
違う・・・そうじゃない・・・・
頼む、みんな目を覚ましてくれ・・・・。
「じゃあ続き食べちゃう?」
「たべましょうっ!!!」

バクッ!!!! もぐもぐ・・・

ゴックン・・・・

もふっ!!! あむあむ・・・・

ごきゅっ!!!!!

再び食の祭典が始まった・・・。
そして完食すればケーキを取りにいく。
いや、みなさん。
違うんです。
妊婦じゃないんです・・・・。
俺と古泉は高校生ながらに出来ちゃった結婚を待つお父さんじゃないんです・・・・。

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