楽しかった冬休みが速攻で過ぎ去り、とうとう3学期が始まった。
どうしてこう新学期最初の日というものは憂鬱なものなのか。
日曜日のちび○る子ちゃんを見て、サザ○さんを見終わった後の憂鬱感が引きずっているようなこの感覚。
幸い新学期初日というものは午前中で拘束時間が終わるのだから、とっとと帰宅して布団に入りたいところだ。


しかし・・・・俺にはそれが許されない。


なぜなら、「SOS団」が俺を待っているからだ。

ハルヒに強制入部(いや団なのだから入部ではない。入団か?)させられた
「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」
なんともどうしてこう即興でつけたような安直な名前なのか、はなはだ疑問符が浮かび上がるがいつまでこの疑問を抱えていても仕方が無い。
第一、団体の名前に自分の名前を取り入れる自体理解に苦しむ。
「SOS」というのだからもっと人助けとかそういう感じにするべきではないのか?
いや、確かに「困っている人、悩んでいる人は私達のところへ」と大々的に謳っているのだから間違いとも言い切れないな。
う~む、さすがに冬休み中ハルヒにまったく会わないでいると、ハルヒに狂わされた自分の精神状態が元に戻ったようだ。
去年ハルヒに付き合わされて宇宙人やら超能力者やら未来人やら、その他もろもろの現実と非現実の区別の付かないような世界で引きずり回された思い出よ・・・・、いざさらば・・・。
今年は何事も無く平穏無事な一人の高校生として過ごせますように。合掌。

ということで結局そんなことを考えているうちに元文芸部の部室にたどり着く俺。

あ、開けたくない・・・。

開けたらどんな魑魅魍魎が飛び出すか分からん。

しかし、ここで逃げればもっと恐ろしい事が明日・・・起きるであろう。
二者択一、さて・・・・。

「かしこみかしこみ~」
意を決した俺は扉の前で柏手を打つと勢いよく扉を開けた。

ガラッ!!

「あけましておめでとうございます!!!! 今年は何卒お手柔らかにお願いします!!!」
とは言っても誰もいない。
静まり返った部室に俺の叫び声だけがむなしく響く。
「おめでとう」
「おわっ!!! !いたっ!!!!」
「何よ、新年早々化け物見るみたいな顔して」
PCの向こう側からハルヒの声がした。
「いや・・・・さすが団長ともなれば新年は団員より早く来るものだなと・・・」
ハルヒはPCに向かったまま何かを必死に調べている。
ま、どうせろくなもんじゃないだろうけど・・・。
俺も入り口からハルヒのそばに歩みを進めた。
さすがに人の顔も見ないで話すのは失礼だ。
人と話すときはきちんと相手の目を見て。
小学校で習っただろ?

「はぁ・・・・」
PCの横を通り、ハルヒの隣に回った俺を新年早々落胆させるハルヒ。
「何故にお前は新年早々そういう理解に苦しむ事をするか?」
「何が理解に苦しむわけ?」
「新学期の全校集会の時に他にそんな格好をしていた奴がいたか?」
「いないわ。それがどうかしたの?」
「まさか体育館に行くからという理由でそういう格好をしていたわけじゃあるまいな」
「違うわ。別に全校集会で飛んだり走ったりするわけ無いじゃない」
「じゃあなぜ体育着なんだ!!??」
目の前のスクール椅子に腰掛け、頬杖をつきながらマウスをクリックし続けるハルヒの姿は学校指定のTシャツにブルマ。
ああ、神様・・・。
あなたは今年一年もまたはちゃめちゃな一年になさろうとするおつもりか・・・。
「なんでって、動きやすいじゃない。こっちの方が伸び縮みするし」
そういうのが通るならサラリーマンはみんなジャージで働くだろう。
メイドカフェはみんなスクール水着で給仕するだろう。
ん、いやそれもまたよきかな・・・?
じゃなくてさてどうしたものか。
俺は返答に困りとりあえず、長門がいつも腰掛けている椅子を借りてハルヒの作業を見守る事にした。

カチッ・・・・

カチッ・・・・・


カリカリ・・・・カリカリ・・・・カチッ・・・

俺とハルヒだけの部屋の中で無機質なマウスのクリック音とローラーを回す子気味よい音が響く。
さっきからネットサーフィンしているサイトには同じ女性と大量の食べ物ばかりが写っている。
そうかそうか。
食べたいか。
お正月にいっぱい食べれなかったんだな・・・。かわいそうに。

と思いながらハルヒを哀れみの目で眺めていたのだが・・・・。
「ん?」
冬休みの間会っていないとハルヒってこんなだっけ?というような状況に陥るらしい。
目の前で体操着を着こんで背中を丸めているハルヒの後姿。
いやさすがに背中を丸めるという言葉に相応しく丸く見えるものだ。
女の子は丸みを帯びているのが当たり前。
うん、そうだ。女の子は丸い。
ハルヒはこういう感じだった。そうだ。
一人何に納得したのか分からないがとりあえず頷く俺。
こう、胸とか尻とか出るとこはきちんと出てウエストはきゅっと細く・・・
「??」
ハルヒという個体を再度確認すべくハルヒの腰に目をやった俺は目をこすった。
「あれはなんだ?」
くびれているはずのハルヒの腰からわき腹の肉らしい段がぷよっと可愛らしくはみ出ている。
その肉が体操着に包まれまるで小龍包のように見える。
そういえば正月に食べたな・・・。
おいしそうだな。また食べたい。
「なに? どうかしたの?」
突然、俺の独り言にハルヒが答える。
しかし目線はディスプレイに釘付け。
「いや、なんでもない。どうぞお続けください」
まったく、人と話すときは目を見て話してくれ。
怖いから・・・。
まあ今見た小龍包みたいのは正月ボケだ。きっとそう。
ハルヒは確か出るとこは出てるといっても美尻だ。
きゅっとくびれた腰から続く程よい大きさの尻が自慢だ。
なにせ胸は朝比奈さんに負けたから他に自慢できるパーツがない。
ということでハルヒの美尻でも見ながら朝比奈さんが来るのを待つとするか。
「!!??」
おかしい・・・・。
椅子から何かはみ出ている。
それは柔らかな曲線を描きながらハルヒの腰へと続き・・・。
いや、間違いない!!
これはハルヒの尻だ。
俺の記憶が確かならばハルヒの尻は椅子に座ったときにきちんと椅子の座の部分に収まるはずだ。
制服のスカートの時もきちんとスカートまで椅子の中に収まっていたはずだ。
それがどうだ、今は尻の形がくっきり分かるブルマを履いていると言うのに尻が椅子に収まっていない。
椅子に押し付けられたハルヒの尻は肉が横に押しのけられ若干、餅のように広がっている。
さらに・・・
ブルマのサイズが合っていないのか完全に割れ目に食い込み、そしてどう考えても生尻と思われる肉が横から顔をのぞかせている。
幸い・・・パンツははみ出ていない。履いてないのか?
「90cm・・・いや95cmは超えたか?」
ハルヒの耳がピクリと動いた。

ガタンっ!!!

「うるさいっ!!!! さっきからなんなのよっ!!! 人が真剣に調べ物をしてるときに横からわけの分からない単語をべらべらと!!」
とうとうイライラの頂点に達したハルヒが俺に向きなおって立ち上がった。

ブルブルンっ!!!!

全身を俺に向けて仁王立ちのハルヒ。
そして目の前で何かがあちこちでぶるんと揺れる。
おかしい・・・・絶対これはおかしい・・・・!!
なぜなら・・・いやそれはそれでよいことかもしれないが・・・・
ハルヒにはありえないものが彼女の胸元で揺れているのだ。
「む、胸でかくなったか・・・?」
「なったわよっ!!!! だからどうしたのっ!!!!!」
ハルヒが大声を出すたびにその巨大に成長した胸・・・というよりもおっぱいって感じだけど・・・・がぶるんと震える。
そしてそのおっぱいは・・・・ナンという事でしょう・・・・。
まるでお供え餅のように2つの塊を縦に並べたものの上にむにゅうという感じで乗っかっている。
ああ、学校にまでお供え餅がおいてあるものなんだなあ。
あとはみかんがあれば十分だ。
「一体さっきから何!!?? いいたいことがあるならはっきりいいなさいよっ!!!!」
さらにハルヒが俺の眼前に踏みより、前かがみになって怒鳴る。

グニィっ!!! ボヨンっ!!!!

お供え餅が前かがみになって潰れた。
横から体操着を押しのけてはみ出る。
「ハルヒ・・・・太ったか?」

ばち~~~~んっ!!!!!


一瞬、意識が飛ぶ。
目の前に星が出た。
早く十字キーとA.Bボタン連打で回復しないとスクリューをかけられる。急げっ!!!!
「そうよっ! !太ったわよっ!! お正月に食べ過ぎたらこんなになっちゃったのよ!! 悪いっ!!??」
「いや、育ち盛りだからいいと思う。うん、無理にダイエットするより非常に健康的でよろしい」
とりあえずハルヒの逆鱗に触れないように言葉を必死に選びながらフォロー。
「バカっ!! それをしなきゃいけなくなったのよ!! このアタシがっ!!」
しまった!!
俺の言葉に逆鱗を刺激するような単語が含まれていたようだ。
ダイエットなんて言わなきゃよかった。
「いや、そうだな。お前は性格を除けば完全無欠の美少女なんだが」
ハルヒがさらに俺をにらみつける。
これ以上何か言うのはよそう。
命にかかわりそうだ。

ハルヒはご機嫌を斜めに傾けたまま再びPCに向かう。
そしてリンクをクリックしまくりディスプレイいっぱいに多数のエクスプローラーを起動する。
「それよりもさっきから何を調べてるんだ?」
後ろからディスプレイを覗き込むとなにやらどこかで見たような女性の写真と・・・動画。
「ギャル曽根よ、ギャル曽根」
「ギャル曽根? あの大食い女王のギャル曽根か?」
俺も以前見たことがある。
結構かわいいギャルのクセに大量の食べ物を恐ろしいスピードで平らげてしまう女性。
他の大食い人間がただ食べ物を突っ込んでいる感じなのに対してギャル曽根という人物は、恐ろしいスピードで食べながらもしっかりと味わい、完食後のあの満足げな表情といったら・・・。
人間、あれだけ食べれば思い残す事はないだろう。
「んでこのギャル曽根がどうかしたのか?」
「これこそこの世の不思議よ。超常現象よ」
マウスをクリックしてエクスプローラーを次々と切り替えるハルヒ。
うん・・・肉が付いたせいか赤ちゃんのような可愛らしいお手手だ。
愛らしいね。
「飯をたくさん食うのが不思議ってのはどういうことだ? それが不思議だというんならこの学校にもたくさんあるぞ?」
「違う!! ただの大食いじゃないのよ!! この人!!」
そう言って突然立ち上がるハルヒ。
危ないからいきなり立ち上がるな。
今まで見たいに軽量ボディじゃないんだから。
とくにその・・・朝比奈さんを超えてしまったでっかいおっぱい・・・。
正月早々ちちびんたで失神なんて笑えないぞ。
「今までずっとこんなにいっぱい食べてまったく太らないのよ!! しかもこの量!! 絶対胃袋の許容量を超えているわ!! 普通の人間ならお腹破裂するわよ!! どうなってるの!!??」
「いや俺に聞くな・・・」
ハルヒは再びPCに向き直り椅子におとなしく腰掛ける。
「今年のSOS団はこの不思議を解明するわ!!」
そう言い切ると一気にエクスプローラーを『お気に入り』に保存するハルヒ。

いや、なんでもかんでも『お気に入り』に入れないでくれ・・・。
ログを見られたときに恥ずかしい・・・。

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