固茹で卵な半熟卵 幕切れ


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作者:◆gGWjPaYNPw


俺は警察から出て行って、暫く街を歩く
不味いな、眠い
こりゃ駄目だ、寝よう
そう判断して公園に向かい、一つベンチを占領してごろりと寝転がった
木枯らしが吹く寒い方が良く寝れるぜ
オヤスミ
…………………………
…………………………
…………………………
ボグッ
「ぐえっ!?」
誰だよ一体?腹に全体重を乗っけたエルボーかましやがった
「あんた、何こんな所で寝てるのよ?」
この声は、あの女だ
「るせぇ、俺は宿無しだ。公園で寝て何が悪い?」
「悪いわよ、あいつに遭遇したんでしょ?」
「…何で知ってる?」
「風の噂で」
もう噂になってんのかよ?
「俺にも休息は必要なんだ。邪魔すんな、寝るぞ」
「こんな無防備な所狙われたら、一発でお陀仏じゃない」
……言われてみりゃそうだな。そういや、ターゲットにされてたっけ
「言っとくが、お前に付き合ってホテルなんざ行かねぇぞ?俺が全部払わせられる事になっちまう」
「じゃあ、もっとマシな場所で寝なさいよ」
「…何処だよ?」
そう聞くと、女がしなだれ掛かって来た
「私の胸ってのはどう?」
「…おい」
「あんた、強いのね。私を助けてくれない?」
「色仕掛けなんざ効かねぇぞ?俺は魚だからな」
普通の男なら多少はぐらつくかもな
生憎、俺には全く効かない
っつうか、あからさま過ぎて、普通の男でも引くわ
何か不自然なんだよな、コイツ。まるで作りものみたいな………
そんな事を考えてたら、女の仕草に注意がいかなかった
女はそのまま、右手を振りかぶって突き入れようとして、服の下の鱗に阻まれ、そのまま撫でる
「ん、凄い鮫肌。流石拳銃弾を弾くだけはあるわ」
今の仕草は引っ掛かるな
「今、何をしようとした?」
「別に…アンタの身体がどうなってるかの興味よ」
言われてみれば、確かに興味は沸くかもな
「公園よりマシな場所探しましょ……こっちよ」
そう言って、女が俺の手を引っ張って行って、ビル風吹く中を歩き出した
「マジで眠いんだが」
「良いから良いから」
「良くねぇよ」
そう言って連れて来られたのは、ビルとビルの間の袋小路だ
誰も居ねぇ
まぁ、当然っちゃ当然
「良し、ここなら大丈夫」
「…本当かよ?」
「えぇ、だって誰も見てないじゃん」
……は?
誰も見てない?
「だから……心臓チョウダイ」
そう言って、俺の胸を、あいつみたいに突いて来やがった

俺は咄嗟に何とか掴んだが、さっきの仕草は品定めかよ!?
「糞、てめぇ!」
ギリギリと、俺と同じ位の力で力競べとか、何なんだこいつ?
「……だってさ、朱麗にあんたの心臓渡せないじゃん。だから、あたしが食べてアゲル」
「そいつぁ、確かに一つの解決策だな。だがお断りだ、畜生!!」
おかげで眠気が吹っ飛んだ
「悪いが、叩きのめす」
「あ~ごめん無理。だって……」
急に風が強く渦巻いて来て
「風が来たからね」
そう言って女は俺の手を振り払ってタンタンタンと跳ねて、一気に壁を跳ね上がって、そして風に乗って蹴りを俺に向けて来た
そうか、風か!!
あの化物も、風に吹かれて動きが変わったんだな?
そんな事を考えてたら、モロに食らっちまい、俺は地面に叩き付けられた
くそう、流石に痛ぇ
「ぐぅっ」
「あはっ。さっさとくたばってね」
無邪気に言ってんな、畜生。殺られてたまるか
俺は起き上がって殴りかかり、女は余りに軽くひらりとかわしてアクロバットに跳ねて……跳ねすぎじゃねぇか?おい?
「きゃあ~~~風が強過ぎる~~~!?」
………馬鹿じゃね?
そのまま飛んで行った女を見て俺は溜め息を一つ洩らすと、風が入って来ない地下街に向かおうとしたのだが
上から墜ちてきた
そう、奴だ
「ふん、アイツが狙ってたんじゃ、時間がかけられない。さっさと心臓寄越しな」
風が弱まったか
ってか、随分タイミング良いなおい
「何なんだ、そのタイミングの良さ?どっかで見てたんかよ?」
「さぁね。死ぬ奴には要らぬ事さね」
奴が飛び掛かって来たのに合わせて、俺は蹴りを放つ
奴は当然の如くかわすが、動きが鈍い
風が弱いせいだな
俺はそのまま一歩踏み込んで、強烈な一発をお見舞いした
ガゴン
壁のコンクリにひびが走り、奴にパンチが直撃するが、手応えが軽い
前も思ったが、異常に軽いぞ?
風に乗れる位軽いって事か?
「おいおい、血も流さないのかよ?」
「あんたのへなちょこパンチじゃ、大したダメージにはならないね。刃物持って来な」
刃物ね…なら、貫手だ
俺は奴と同じく手刀で奴を突いたんだが、また風が悪戯しやがった
あっさりかわされて、態勢を立て直されちまった

奴が風に乗って俺に手刀を突くのと、俺の手刀が交叉した時に、何故か奴の動きが一瞬止まり
ドスッ
奴の胸を俺の手刀が貫き、奴の手刀は俺の鱗で滑って外れて、鱗を何枚か道連れにしていく
「……呆気ねぇ終わりだな」
「…何故だい?……どうしてだい?………朱麗、邪魔すんじゃないよ……」
朱麗?は?
「朱麗って、あんたの事じゃ」
俺は、ざんばら髪を撫で付けて顔を覗くと、あの女の顔がそこにあった
「どういう事だ?双子?」
血を垂らした朱麗が、ゆっくりと瞬きをすると、あの朗らかな顔になって、俺に微笑む
「……あはっ、助けて……欲しかったなぁ……私も……朱麗だよ……」
「……どういう……」
「…もう無理…保っていられないや……止めてくれて…有り難う…アジョ中さん……あたし……せめて……人に……」
そう言って、象を失っていった彼女、朱麗が消え、俺の右手は紙を貫いていた
そう、真ん中に穴を開けて、破かれた痕のある、ハルトシュラーの達筆が踊る紙だ
俺はそのまま紙を握りしめ、そう、余りに絶大な怒りを抑えるのに精一杯だ


ハルトシュラー、全部てめぇのせいじゃねぇか!
今度という今度は赦せねぇ
絶対に仕留めてくれる!

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