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何でこんなところにいるのか。
何でこんなことになったのか。
さっぱりわからないが、これだけはわかる。
どうやら厄介なことになったようだ。

第2話 travel ~旅~

前回のあらすじ
真が目覚めた場所は見知らぬ場所であった。
戸惑いながらも歩いていた真はヴェルモンと出会う。
その時突如サイクロモンに追いかけられるも危機を脱出した。

「で、結局なんなわけ?」
危険を回避できた真は早速疑問を投げかける。
「何が?」
「だからここって何なの?」
ヴェルモンはため息をつきつつそれに答えた。
「一応説明しとくけど…ここはDWって言って俺やサイクロモンみたいなデジモンが暮らしてる世界だ」
「世界だって…じゃあ何で俺がいるんだよ」
「知るか!こっちが聞きてぇよ!」
仲が悪いのは相変わらずである。
彼等は現在ヴェルモンの住む町に向かっている。
とにかく落ち着いた場所でしっかりと状況を整理しなくてはいけない。
そのためにまずヴェルモンの家で考えることにした。
「ま、とにかくお前は別の世界からこっちに来たんだろ。理由は知らねぇけどな」
さも興味の無いように話すヴェルモン。
真は段々イライラしていた。
「チッ…突然変な世界に来たと思ったらムカつく奴が出てくるしでけぇのに追われるし…一体なんでこんなことに…」
「おい待った、ムカつく奴って誰だよ」
「別にアンタのことだとは一言も言ってないけどな」
「るせぇ!家に入れてやんねぇぞ!」
「なっ…卑怯だぞ!」
「何とでも言えバカヤロー!」
彼等が騒いでいると、何処からか爆音が聞こえてきた。
「な、何だよこの音…」
「…この方向は…まさか!」
ヴェルモンは一心不乱に駆け出す。
真はそれについていくことしか出来なかった。

ヴェルモンが町に着いたとき、そこはすでに廃墟となっていた。
家はその殆どが崩れおち、町の姿は何処にも無い。
住んでいた者たちも見当たらない。逃げ延びたか、あるいは…
「…クソッ!」
彼は必死で探す。友を、知り合いを、家族を。
だが見つからない。見当たらない。
瓦礫の下を見てもそこには何も無い。
「おい…ここって…」
「…俺の町、いや町だった場所だ…」
真は漠然とした。
以前元の世界で紛争地帯の住居をテレビで見たことがある。
ここはまさにそのものだった。
家は壊され、木々は倒れ、命を微塵も感じさせない。
「こんなことって…じゃあここに住んでた人たちは…」
「…チッ!」
真実を受け止められないヴェルモンは再び生存者を探す。
だが一向に見つからない。
ただ時が流れていくだけだった。

「あん?まだ生き残りがいたか」
何処からか声が聞こえる。
その方向を見るとそこには何かの集団がいた。
「しかしここはとんだ田舎だな…金目のモンがまるでねぇ」
その集団のリーダーのような鬼が愚痴るように話す。
「ムカつくんで町の奴等皆殺しにしてやったが…まだいるのかよ」
「…今なんて言った」
鬼に対して低い声で尋ねる。
わかっていた。結果は良くわかっていた。
「何度でも言ってやるよ…ここの奴等は皆殺しにしたって…」
言い終わる前にヴェルモンの爪が鬼を襲う。
咄嗟のことに反応できなかった鬼は頬を切った。
「テメェ…いい気になってんじゃねぇぞ…お前等、かかれ!」
周りにいた手下達がヴェルモンを取り囲む。
「お、おいアンタ…」
「お前には関係ない…逃げるならとっとと逃げちまえ」
手下達が一斉にヴェルモンに襲い掛かる。
「バカ野郎…勝手にしろ!」
真は走ってその場を離れた。

「あいつ…バカかよ…あの大群で勝てるわけが無いだろ…」
彼は振り返ることも無く走り続ける。
元々彼には関係の無い話。かかわる必要の無い話。
「一体どうなってんだよここは…何で…」
だが頭の中に浮かぶのはヴェルモンの顔。ヴェルモンの声。
短い間だったが行動を共にした存在。
それを忘れられることが出来るような薄情者ではない。
「…ったくあのバカ!」
来た道を戻り、再び走り出す。
彼が向かう先は…廃墟に残った者。

「チッ…」
ヴェルモンは普通の者達よりも強い存在だった。
だがそれも一対一でのみである。
大勢いる手下達に彼は苦戦していた。
そしてリーダーは恐らく成熟期クラス。
彼の力ではまだ勝てる相手ではなかった。
「頑張るじゃねぇか…だが、もう終わりだな」
彼の目の前にリーダーが立つ。
すでに彼に対抗する体力は残っていない。
「じゃ、あばよ」
リーダーは持っていた骨を振り下ろした。

その骨はヴェルモンに当たることは無かった。
真はヴェルモンを突き飛ばしたのだ。
その結果、骨は真に当たった。
真は傷みに耐えつつ離れる。
「な…お前なんで…」
「うるさい…このままアンタに死なれちゃ気分悪いんだよ…」
だが彼の傷は深刻である。
すぐに休んで手当てをしなければならないほどだ。
だが彼はそれを受けた。すべてはヴェルモンを守るために。
「は、バカかお前は…とっとと逃げちまえば俺にやられずにすんだのによ!」
一方リーダーはイライラしている。
止めをさそうと思っていたところを邪魔されたのだ。
彼の怒りは真に向いていた。
「チッ…で、お前どうするんだ?」
「正直考えてない…だが、アンタを一人に出来なかったんでな…」
「…確かにバカだこいつ…」
「何か言ったか?」
「いや…何も」
その時。真が持っていた携帯が突然光を発した。
そしてそれと同時に彼の頭に何かが流れ込んでくる。
「な、これは…」
「おいお前、どうしたんだ…」
流れ込んでくるのは携帯、否『D・フォンⅡ』の使い方。
そして、この状況を打破することの出来る力。
「おいアンタ…この勝負、勝ったぜ」
「はぁ?何言ってんだ…」
「いいから行くぞ!」
「お、おう!」
ヴェルモンは戦闘態勢をとる。
思わず眺めていた手下達も慌てて構える。
「行くぜ…エヴォリューション!」
そして…それは始まった。

『EVOLUTION』
「ヴェルモン進化!」
ヴェルモンの周りを光が包み込んでいく。
これは進化の光。
体が変化していき、光が止んだときには別の姿になっていた。
「ホーンドラモン!」
それは頭に大きなツノを持ち、両腕に鋭い爪を持った竜の姿だった。

「なななな…何なんだお前等!」
「ヴェルモン…いや、ホーンドラモン!」
「チッ…訳わからんが…この状況を打破出切るってのは本当らしいな…」
ホーンドラモンはその爪を構える。
「…か、構うな!やっちまえ!」
リーダーの合図で手下達が襲い掛かる。
だがすでに彼等の敵ではなかった。
「貴様等には興味ねぇ…どけ!」
爪によって手下達は弾き飛ばされる。
そして一瞬でリーダーの懐へと潜り込み爪をつきたてた。
「ヒッ…」
「おい貴様…何でこんなことをした」
何故このようなことをしたのか。
彼はそれが知りたかった。
「お、俺らはただ単に命令されてて…周辺の町を襲えって…だから…」
「誰が命令している…」
「ぱ…『パンドラ』…それ以上は知らねぇ…」
『パンドラ』に心当たりなど無かった。
だが確かに、これ以上は聞けないだろう。
彼もそれは理解していた。
「な、なぁもういいだろ?もう許してくれよ…」
「…あぁそうだな」
そしてその爪を突き刺した。
リーダーは声を上げることも無く消滅していく。
「許すかバカ野郎が…」
手下達はその行為に怯え逃げ出していく。
だが彼はそれに興味は無かった。
ただその場に虚しさだけが残った。

「ヴェルモン…」
町を見渡せるところにある丘。
そこに沢山の十字架が立っていた。
皆町に住んでいた者たちの墓。
失われた命を無駄にしないために作ったものだ。
「…悪いな、こんなことになっちまって…」
「いや…アンタは…」
しばらく沈黙が続く。
それを破ったのは真の一声だった。
「…旅、するか」
「旅?」
「あぁ…俺はこの世界のことがまださっぱりわからない。アンタは住む場所が無くなった。なら…」
「…放浪の旅か、確かにこのまま何もしないよりはマシだな」
ヴェルモンは立ち上がる。十字架を背にして。
「じゃ、行くか…相棒」
「あぁ…」

第2話 end
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