17th moment ~基地の町~
かっつかっつかっつか・・・
夏休みも終盤である。
しかし、彼は机に向かっていた・・・。
「宿題してねええええ!」
夏休みの宿題を、いまやりはじめたばかりである・・・
彼の名前は、神谷 龍也(かみや たつや)。沖縄に住む中学2年生、どこにでもいる普通の少年だ。だが・・・彼は秘密をもっていた。
「たつや~~。何やってんの?」
未知なる生物“デジモン”を飼っているのだ。
ただ飼っているだけではない、この世界に現れる凶暴化したデジモンをパートナーデジモンとともに倒す、テイマーという職業でもある。
しかしデジモンは、世界に認知されておらず、その存在は誰も知らない。
「おまえ!・・・勝手に出んなよ!!」
「だいじょうぶだよ、今日は誰も家にいないんだから。」
ドルモンと呼ばれるデジモンは言った。
「・・・・宿題してんだよ!!」「しゅくだい・・・?」
「夏休みを悩ませる学校の陰謀だよ!!」(それはちがうぞ・・・)
「・・・ひどいな!!」
「いや、まあ・・・やってなかったオレも悪かったんだけどね、あはは・・・」
「ふ~ん、人間って苦労してるんだな。」
「ああ・・・、だから終わるまで、オレは今日、誰とも遊ばない、一度も外へ出ない。」
1時間後・・・・。
「できねえ~~~!!」
全く進んでいなかった・・・。
「・・・じゃあさ、友達とやればいいんじゃない?」
「・・・・・そうか!ありがとうドルモン!!」
しかし・・・誰も家におらず、みな出かけていた。
「まじかよ~~!!」
「ずっとやってるからできないんじゃない?」
「そうか!!またまたありがとう!!人間、気分転換も大事だしな!!」
「そうそう・」
「いくか・・・。コザまで」
夏休みのうえに休日なので人も多く、イベントもあるので、
沖縄市にいくことになった。(もちろんドルモンも一緒だが、大勢の人のいる前で騒ぎになるのは困るのでデジヴァイスに入ってもらっている。)
沖縄・・・沖縄市。那覇に続く第2の都市として、“コザ”の愛称で親しまれている。
第二次世界大戦後、沖縄はアメリカによって統治下にあり、1972年に本土(日本)に返還された。その後、合併により沖縄市となる。(1956年にコザ市となり、返還後に合併され沖縄市となったが、今も人々の心にはコザの名が生き続けている。)
コザは米軍の駐留によって生まれた町であり、米軍との深い関わりをもっていた。
“嘉手納基地”などの米軍基地を多く抱える事情などがあり、
国際色豊かで、独自の文化と独特の雰囲気をもっている。
英語と漢字の看板が交互に並び、アメリカとアジアの文化が混ざり合った基地の町である。
「“基地の町”か・・・・・なんか、皮肉だな。」
「あ、龍也・・・」
「海人!!おまえなんでここに・・・?」
「え?なんでって・・・沖縄市出身なんだけど。」
「え・・・」
「それと、オレの通っている美南中も沖縄市なんだ、しらなかった?」
「いや・・・・・・」。
自分の無知さに驚いた・・・
宮里 海人(みやざと かいと)。
龍也とは違う中学校だが、同じサッカー部であり、ラブラモンのテイマーでもある。
「あ・・・!オレ、ちょっと家帰るな。ちょっと用事おもいだしちゃって。」
海人がこう言った。
「あ、ああ・・・またな。」
「うん。見学、楽しんどいてね」
海人とわかれたあと、一通りの見学をして、とある場所に迷いこんだ
人が多い華やかな表道とは対照的に、その街はひっそりとしていた。
店や看板はあるにはあるのだが、そのほとんどが廃業。廃墟と化した映画館もあった。
そこはかつて「黒人街」と呼ばれていた。
アメリカの統治時代、米軍兵があふれ、「白人街」「商店街」とともに「基地の町」として一躍発展したコザ。(コザ≠沖縄市。沖縄市の中にコザがある)しかしここ「黒人街」
はすっかりさびれていた。
「やべえとこ来ちまったな・・・。迷ったし。はやくここでよ・・・」
でもオレは・・・考えてもなかった。ここ沖縄市で、大きな戦いが始まろうとは・・・。
「龍也・・・・へんな気配がする。」
いきなり、ドルモン(デジヴァイス内)が言い出した。
「ああ・・・・・オレも。」
と、龍也の後ろに複数の影が・・・。
「・・・・不良(チンピラ)か・・・?」
「・・・・・・!?」
そのひとりが殴りかかってきた。
だが、とっさに避ける。
「こいつら、ただの不良じゃない!?」
その目は白眼で、人間のものとは思えなかった。
いつのまにか囲まれていた。
「くっ、リア・・・」
ドルモンをリアライズしようとしたが、デジヴァイスを放してしまった。
4メートルほど飛んでいった。
「な・・・・・・」
フウンッッ!!
「おっと!!」
スポーツをやっていて運動神経もある龍也は、それをはじいた。
「はあっ!!!」
ひるんだところを少し助走をつけ、ジャンプしてキック!!
初のバトルでサイクロモンに効いたほどの威力だ。くらった相手は飛び上がった・・・
そして龍也はデジヴァイスを拾った。
「リアライズ!!」
ドルモンはリアライズされた。
「ドルモン!こいつらは生身の人間だ!!」
「わかってる!!」
バアアアアアア!!!
ドルモンは尻尾を使い、3人なぎ倒した。
「龍也!!肩に乗って!!」「ああ!!」
ドルモンに言われ、龍也はドルモンの肩にのり、そしてジャンプ!!
ドルモンを踏み台がわりに、高くとんだ。
「とりゃ!!」
両足でキックし、一気に二人を倒した。
「っへ・・・・!!」そして着地。
だが、彼らはゾンビのように再び立ち上がった。
「簡単にはいかねえみたいだな・・・。」
「うん!!」
「行くぜえ!!!」
17th moment end To be continue
最終更新:2007年06月14日 16:56