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<前回のあらすじ>

ジャンは『全メンバーの恋愛フラグ建設』のために、
8人の仲間を連れ、街で唯一の遊園地『ノア・パーク』に連れていった。
そして、当のジャンは恋愛フラグ建設促進のためにこう提案する。
『男女でペアを組んで行く』
こうして、サザロスとノゼライで一組、ジャンとミリフィアで一組、
エルフィアとリーナで一組、アルとエレヴィンで一組という分け方に。
しかし、ノア・パーク内では変装した秀吉が待ち構えており、
アル達の組とサザロス達の組をお化け屋敷に連れ込んでしまった。

サザロスは、恐怖したノゼライに強く抱き締められた事により酸欠。
目が覚めると、彼はパーク内にあるサービスカウンターにいた。
サザロスが目覚めたのに気付いたノゼライは彼に駆け寄るが、
遊園地内であるにも関わらず掘られていた落とし穴に落ちてしまう。
意味も分からずにノゼライの方へと向かったサザロスだったが、
彼も別の落とし穴に落ちてしまった。
そこへ現れたのは、サザロスと同年代らしい背の低い女の子。
「フフン。引っ掛かったわね」
悪戯好きで生意気な彼女に、自分とノゼライの救助を求めるサザロス。
しかし彼女は頑なにそれを拒否する。
痺れを切らしたサザロスはうっかり『炎の星屑』を使ってしまった。

『どんなに不快な人であれ、傷付けるのは嫌だ』と焦るサザロス。
すると彼の脳裏には『力を貸す』という言葉が届いた。
そして必殺技のイメージも届き、サザロスはそれを元に魔法を編み出す。
『太陽の剣』と名付けられた能力で、『炎の星屑』を真っ二つに切り裂き、
少女を傷付けるという事態は免れたのだった。

しかし……




ノア・パーク サービスカウンター


(side:サザロス)

あらすじの通りに事が進み、俺は一瞬の間だけ安心感を持った。
それにしても危なかったなぁ……


しかし!どんなシーンにも『オチ』が存在する可能性があったんだ……
炎の斬撃波は見事に炎の玉を真っ二つにしたのだが、
そのままの勢いで……


「しまった!!斬撃波が地面さえもカッティングゥゥゥ!!?」
「えぇっ!?アンタ何してくれんの……いやぁあああああっ!!!」
事もあろうか、生意気な彼女が乗っている地面を切り取っていった。
おかげで地面は崩れ、自分も落とし穴に落ちる生意気少女。
これが自業自得と言う物なのだよお嬢さん。

……とか言っても、目の前に少女が落ちて怪我をするのも見てられない。
上から少女って……何この某ジブリ展開。
と言うわけで、
「まっ、俺の責任だし。仕方ないかー……よいしょーっと」
ドスッ
「ぐぅっ……? アンタ、何してんのよ……」
お姫様抱っこの要領で見事にキャッチしてあげた。自分ナイスキャッチ。

「全くー……此処は遊園地だぞ?どうして落とし穴なんか掘るんだよ」
「フンッ。そんなのアンタには関係ないじゃない」
「関係無くないんだよ!俺とかノゼライとか被害受けてるんだからな?」
あまりに生意気なので、相手を両腕で抱えながら一喝してやった。
それが気に入らなかったのか、相手は顔を思いきり背けてきたけど。
「全く……今度から、ちゃんと仕掛ける場所とか考えるんだぞ?」
とりあえず早く脱出したいし、それだけ言って相手を下ろしてやった。
それにしても、本当にどういう育ちをしているんだコイツは。
「……」
何だろう。彼女は此方をジッと見てくる。睨んでいるつもりなのか?
でも、喧嘩を売られているんだとしても、それを買うわけにはいかない。
『あらすじ』でかなり文字数を消費しt……おっと誰か来たようだ。

「アンタは……怒るんだ」
「へ?」
「……私、怒られた事なかったから」
そう呟くと、彼女は顔をすぐに背けてしまった。
怒られた事がない、とは……どうやら俺の一喝が心に痛かったようだ。
そう言えば、さっき俺を見ていたコイツの目は拗ねたようだった。
もしかしたらこの子、甘い環境で育ったのかもしれない。
「んーと……で、俺の言ってる事は一応理解してくれたか?」
この子は、まず落ち着かせてあげるべきなのかも知れない。
なので、ちょっと苦笑い気味に、なるべく優しげに訊ねてみる。

「……今だけは、ね。理解していてあげるのは今だけだから。」





……生意気には違い無いけど、一瞬可愛く見えたのは気のせいだろうか。




そんな事は後で考えよう。まずは此処から脱出をしなければ。
「私の質問に答えてくれたら、 此処から出して あげても良い かな……

……アンタ自力で出られるんかい。

「あ、あぁ……良いけど」
「そう…… ありがと。
ん?何か小さい声が聞こえたような……気のせいか。
「それじゃ、アンタの名前……教えてよ」
「俺の名前か?俺はサザロスって言うんだ」
「ふぅん……」
……一体アンタ何者なんだ。
俺の名前を聞いて満足そうな顔をするって……変わった奴だなぁ。
「……じゃあ、目瞑って。」
「よし、頼むぞ?」
目を瞑る……目の前で、見てはいけない何かが起こっているのだろう。
俺は素直に目を瞑った。









暫くして、頬に何かが触れる。柔らかく、暖かい感触。何の感触だろう。
そして、その後すぐに吹き付ける風。
人盛りを思わせる(と言うか普通に人盛りの)賑やかな喋り声。
「目、もう開けたら?」という生意気な言葉。……あ、もう良いんだ。

目を開けると、何とそこは落とし穴の外だった。
まさか、マジックの類いが使える奴だったなんて……
「これで良いんでしょ?」
しかし、その腕はまだ未熟であるような気がする。
ちょっと魔法を使っただけなのに、熱を持っているのか顔が赤い。
実は魔法という物は、使い過ぎると本人の体力を激しく消耗するんだ。
きっと今の彼女も、魔力を使い過ぎて身体的に疲れているのだろう。

「私、もう帰る。こんな遊園地つまんないもん」
俺を穴から脱出させて間も無く、彼女は不機嫌そうに歩みを進める。
「あ、待ってくれよ!」
「……何よ。まだ説教が足りないって言うわけ?」
「そういうんじゃないから。」
やれやれ、不機嫌な彼女は悪態過ぎて困る。
「アンタの名前も聞かせて欲しいんだけどな?」
「ふん、私の名前を教えてもらおうって?……」
いや、俺だけ名乗るって何その理不尽且つ不平等な展開は。

って思っていたら
「……『チィ』って呼んで」
意外にも教えてくれた。最初から素直に教えてくれれば良かったのに……
「チィ?……へぇ、悪戯好きなアンタにしては可愛い名前だなー」
「フンッ、余計なお世話よ。名前の事で煩く言うのはやめてよね。」







「……可愛いんだ、私の名前……」
「ん、何か言ったか?」
「言ってないわよ。アンタ耳おかしいんじゃない?」
失礼な。ちょっと空耳が聞こえただけなのに。
「じゃあ、私帰るから。今度からは、もっと優しく物を言ってよね」
「分かった分かった。また会おうな、チィ!」



「さぁ?気が向いたら会ってあげる。……フフッ」
小さく頷いたチィは、逃げるように走り去って行った。
さて、ノゼライを助け……





「……zzz」
……え?



「寝てるぅーーーーーーっ!!!!!」

俺は、この後ノゼライが起きるまで穴で待つ事になったのだった。







「秀吉。今の見た?」
「おぅよ。アイツめ、二股掛けやがってたのかぁ?」
「違うよ、彼は鈍感なだけさ。」
「何ィ、鈍感?」
「うん。だって……




頬への口付けですら、魔法と勘違いしてるんだからね。」


ー続くー