※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

■地域設定01(現役ランナーが語る第六世界の樺太)
  • 以下は現役のランナーによる樺太の説明です
  • こんなもの全部読む必要はありません
  • PC作成や演出の妄想を膨らませる一助になれば幸いです
  • オフィシャル設定と矛盾するような点は生暖かくスルーしてください
  • このページの記述は全て暫定のものであり、PLのご要望次第ではいくらでも変更されます
  • なので端から端まで真に受けるのはデンジャラス



▼ああそう樺太ね
 なんだって。樺太に行きたい? ああ、そりゃいいな。お前みたいなクズにはお似合いの街だ。少なくともここよりはチャンスがある。仕事の多さは桁違いだ。んで、なんだ。樺太について教えて欲しい? そんなもん検索掛けりゃあ二秒で済むだろうが。あん? 実際に住んでいた奴から生の話を聞きたいって? そいつは殊勝な心がけだなお友達。そういうことなら今夜は歴史のお勉強だ。お前のために一からきちんと話してやるよ。途中で居眠りこいたりするんじゃねえぞ。全部聞き終わった後にはお前さん、俺に授業料を払いたくてうずうずしちまうこと請け合いさ。

 つってもどこから話すかな。適当でいいか。ま、全ては日本帝国の拡大政策が始まりなわけだ。あぁ? ソビエト連邦の宣戦布告? 確かに前世紀にはそんなこともあったさ。けどな、そこまで覚える必要はねえよ。これから大学入試受けに行くわけでもねえんだろ? いきなり話の腰を折りやがって。質問の時間は後でやるから今は俺の話を黙って聞け。……で、まだ何にも話してねえよな。くそ、ペースが狂った。まあいいや続けるぞ。

▼インスタント直近樺太史
 とにかく日本帝国は巨大な軍事力を背景に、今世紀の初頭からやりたい放題をしまくった。樺太もその過程で食いちぎった土地の一つだ。日本帝国は覚醒後の混乱に乗じてロシアから樺太の南半分と北方領土をぶんどったわけさ。元々どっちのもんだかわからんような地域だしな。パワーバランスが崩れりゃそんなもんさ。北方の奪回は日本の悲願、おめでとさんってところだな。

 南樺太を制圧した日本帝国は間もなく地方行政官庁としての樺太庁を新設して、まあ厳密には再設なんだが、ともあれ日本による樺太の本格的支配が始まったわけよ。これが何年のことだっけ。学生の頃は覚えてたんだけどな。2010年代の中頃なのは間違いないんだが。

 ま、日本による支配つっても日本政府が手取り足取り樺太を育てたわけじゃない。占領までは張り切ってやるが、そっから先は日系企業に丸投げだ。あるべき経済活動の姿だね。環境を整えはしてくれたけどな。税制優遇とか。既に本土経済は何かと飽和状態に達していたし、覚醒の衝撃でぐちゃぐちゃな海外に資本を投下するのもうまくない。あっさりと国がひっくり返る時代だ。せっかく工場ぶったてて、だけど革命で接収されました、なんて冗談にもならないだろ? 企業としても日本政府が地ならししてくれた占領地を育てようとするのは至極当然の流れだったのさ。んで占領地の中でも樺太は本土に距離が近い。おまけにあの辺りには資源がある。ミツハマ、シアワセなど代表的な日系企業はこぞって樺太に雪崩れこんだ。もちろん商魂逞しい中国人共もな。もっとも商人は洋の東西を問わずにがめつい生き物だ。来られる奴はどいつもこいつもやって来た。日本帝国は強大だから、樺太になら資本投下してもチャラにならないっていう計算が働いたのさ。

 占領から十年で樺太はあっという間に変貌した。それまでロシアの僻地でしかなかったド田舎は、大型船舶も寄港できるように港湾が整備され、空港の滑走路も豪華になり、豊原のメインストリートにはメガどもの積層構造物がポンポンと立ち並んで摩天楼が出来上がりさ。ああ、豊原ってのは樺太の中心地な。樺太がロシアのものだったころはユジノサハリンスクて呼ばれたりもしてたが。今もガイジンは樺太の土地をロシア名で呼ぶ奴が結構多いな。

 2020年代の末から樺太の膨張は更に加速した。分裂していく北米のゴタゴタから逃れようとした難民達が続々と流入し、欧州戦争が起これば今度はロシアの方からも難を逃れて多くの奴らがやって来た。渡航の規制はされなかったのかって? そりゃあいい質問だなお友達。そのことなんだが樺太に関してはろくに規制が無かった。本土に難民が押し寄せてくるくらいなら樺太に押し込んだ方がいい、って考えたのさ。ちなみに樺太は黄泉勅令の例外となり、フィリピンで島流しになるよりはマシだと本土から渡ってきたメタヒューマンもかなりいた。こんな経過で発展したんだから、樺太が人種と種族の坩堝になったのは道理だろ。

 そして樺太の繁栄により弾みを付けたのが稚内海底鉄道だ。樺太が成長するにつれて、北海道からの海底トンネルを通すことはコストに見合う事業であると日系企業の判断が傾いた。そこで各企業の共同出資によりプロジェクトは進められ、旧宗谷本線を延長する形で工事が開始されたのが2030年代末のこと。それから僅か八年で見事にトンネルは開通し、北海道と樺太を直接結ぶ旅客鉄道が生まれたのさ。

 そうして人が集まれば企業の商売も大繁盛だ。マイノリティにも居心地が良いと知れれば、発展はもう止むことがない。真っ当なビジネスチャンスを求めてやって来る奴もいれば、いかがわしい商売で一旗上げようと怪しげな奴らもやって来る。そんなわけで樺太というロシアの僻地でしかなかったド田舎は、半世紀以上かけて極東でも指折りの大都市になったってわけさ。これが樺太の大雑把な歴史だ。

 ああ、わかってる、わかっているとも。お前さんが知りたいのはもうちょっと最近の話だろう? 今からきちんと現状について説明してやるよ。

▼のさばる企業ども
 まずはお前のようなクズにも仕事をくれる有り難いクライアント様、もとい企業様の立ち位置から始めるか。あそこで一番幅を効かせているのはシアワセだ。メガなんてのは何でもやるが、樺太向きの資源開発や貿易ともなればこれはもうシアワセの得意分野だ。強くないわけがねえよ。もちろん三浜もしっかり製造工場やらおったてて進出しているけどな。とりあえずビッグ10の連中は大なり小なり足場をきちんと築いている。豊原のオフィスエリアでは奴らの支社が一区毎で目に入るぜ。

 海外勢だとこりゃもうイーヴォがダントツだ。元々は日系企業だが、今じゃロシア色に染まっているから海外勢として数えるぞ。なんにせよ一番乗りで火星に基地を作るような企業なわけで、資源開発と輸送に関しちゃエキスパートだ。問題は樺太においてシアワセと分野があまりにも被っていることでな。だから樺太じゃシアワセとイーヴォはがっぷり四つさ。最大のライバルってこと。どっちの方が優勢かって? 基本的には互角だが、それこそ更に細かい得意分野次第かね。例えば航空関連ではイーヴォが頭一つシアワセを突き放している。イーヴォ系列の航空会社が飛ばす旅客機や輸送機の運行数は非常に多く、特にスペースプレーンともなればこりゃもうイーヴォの独壇場だ。ただし海運では立場が全く逆になる。日系企業が誇る商社の歴史は伊達じゃない。つまりはそういうこった。ああ、メタヒューマンに対しての商売に関しちゃどっちが押しているかは言うまでもないよな。

 他に強い海外勢となると五行公司か。樺太では特に金融を重視しているな。昔は金融もシアワセがトップだったんだが、五行の躍進で状況が変わった。五行は輸送も得意分野だが、あそこでイーヴォとシアワセの間に本気で割り込むのは面倒だと考えている節がある。隙あらばどうにかしたいだろうが、何事にも優先順位ってもんが必要だ。取れる分野でしっかりといただこうとしているって感じかね。保有している農地の面積では五行がおそらくトップか。最近の統計に目を通してはいないが確かそうだったはずだ。あんなに痩せた土地でも今時の技術なら結構作物が取れるもんなんだと。ご苦労なこった。そういや一部の農地では特殊なモノを栽培してるって話もあったな。三浜やアズトランも同様のことをしてるって言えば中身は大体想像が付くだろ。引っこ抜くと根が叫ぶとか、そういう類な。俺にはよくわからんが。

 企業についてはこんなところかね。確かにシアワセとイーヴォと五行が樺太における三強だが、あそこにゃ世界中の企業が支社を作って軒を連ねている。世界は繋がっているし、奴らはどこにでもいるんだ。小売店の棚にはアズテク製品が整然と並んでいる。樺太の空を飛ぶスペースプレーンだって、機体は別の会社のものでもアレス製なんてのは珍しくない。豊原証券取引所のシステムを開発したのは三浜だし、樺太のネットワークの基礎を作ったのはレンラクだ。ネオネットは旧いそれを全て置き換えようと日夜営業活動に勤しんでいる。そして樺太に暮らす限り、ホライズンを代理店とした広告を目にしない日なんてあるわけない。企業の重役どもはゼーダー・クルップ製の揺れない防弾リムジンに乗って御機嫌だ。

 要するにだな。

 お前のような稼業をしている限り、クソったれなトガケの手先や、頭のイかれたゼロゾーン方針、あるいは鮮血魔術と無縁でいられるとは思うなよ。

▼のさばるゴロツキども
 さて、次はストリートで群れるろくでなしについてだ。群れるってのは数人単位の話じゃないぞ。数十人とか数百人、つまりはマフィアの話な。結論から最初に言えば、あそこで強いのは企業と同じで日系、ロシア系、中国系だ。日系とロシア系でツートップ、一歩遅れて中国系が後を追うって構図に変わりはない。ただし得意分野は企業と比べて少し変わるんだこれが。密輸などに関しちゃロシア系と中国系が一枚上手だ。けれども金融絡みとかはヤクザの方がうまくやっている。伝統ってのは大事だね。

 マフィアどもの武力について? それはもうロシア系と日系がぶっちぎりだ。一番血も涙もないのは中国系だが、殴り合いでは到底かないっこない。ロシア人どもは軍人上がりがほんとに多い。弱いはずがないわな。そして日系ヤクザも前世紀ならいざ知らず、今じゃ帝国軍人上がりを組に抱えているところも少なくない。おまけにヤクザは金持ってるからな。ひとたびメンツを潰されたとあらば、最新のサイバーウェアで全身固めた鉄砲玉を繰り出してくるぞ。なるべく喧嘩売るなよ。あー、そういえば中国系にはたまにヤバいのがいるって話だな。サイバーサイコを素手で叩き潰すような武侠とか。とても信じられねえけど。あまり関わり合いにはなるんじゃないぞ。

▼樺太での心構え
 そういえば大事なことを言い忘れていた。あの街に対しての基本的な心構えだ。いいか、樺太を日本だとは思うな。確かに樺太は日本帝国領だが、あそこは外地だ。行政区分からすると内地なんだが、本土や北海道とは何もかもが違う。豊原空港から一歩でも足を外に踏み出せば一目でそうだとわかるはずだ。通りを歩いているのはスーツを着たジャパニーズビジネスマンや平和ボケした一般人ばかりじゃない。人種は洋の東西を問わず、メタヒューマンも山盛りだ。雑踏の中から聞こえてくる言葉は流暢な日本語に限らない。樺太は根本的に異国なんだ。ちょっとガラの悪い場所に行けば尚更にその通りだと感じられる。樺太は旧市街と新市街に分かれているんだが、旧市街には老朽化したロシア時代の建物がまだまだ形を残してる。塗装の剥げたレーニン像だって簡単に見付けられるさ。数分置きに銃声も聞けるぞ。豊原は銃規制が緩いからな。素敵だろ? 流れ弾には気をつけろよ。危ないとこに近付くなとまでは言わないさ。お前のようなビズをしてりゃ下品な区画にも足を運ぶ必要があるしな。

▼言葉が通じりゃお友達
 言葉についても少しアドバイスしておくか。便利な言語を順に挙げれば、日本語、英語、ロシア語、中国語あたりだ。英語が話せるだけでも意思疎通自体に大きな問題はないが、それだけだと不安が残るな。樺太みたいな場所では言語は特に大切だ。冗談抜きに生死を分けるぞ。

 ここで俺がちょっといい話をしてやる。ありゃ三年くらい前の話か。俺が豊原でジョンソンまがいの仕事をしてた時のことだ。俺はライバル企業を出し抜くために、腕利きと誉れの高いメイジを雇った。そいつは自分の意識を飛ばすことでどんなところでも盗み聞きできるってのがウリのランナーだった。実際、そいつはうまくやった。精霊や俸給メイジの監視をくぐり抜け、見事にイーヴォのお偉いさんが集まる会議室へと意識体のまま忍び込んだのさ。そいつが自分の身体まで戻ってきて目を覚まし、潜入に成功したと報告してきた時にはそりゃもう俺は大喜びさ。俺が期待に胸を膨らませて盗み聞きしてきた内容を尋ねたら、そいつは何て答えたと思う? 「何を話しているのかわかんねえ」だとよ! あの時は脳の血管が切れるかと思ったぜ。そいつが話せる言葉を確認しなかった俺の落ち度なわけだが。

 小銭があるのなら言語ソフトは買っておけ。けれども覚えておけよお友達。ディクショナリには限界があるんだ。生きた取引がしたいのならソフトに頼り切るのはやめておけ。俺達のような稼業をしているのなら尚更だ。お前が自分の事をエッジだと思っているのなら、言葉は身体に刻み込むべきなんだ。

▼樺太生活交通治安事情
 他は日常生活についてか。当たり前のことだが樺太は寒いぞ。北海道よりも北の街なんだから当然だろ。夏場は丁度良いくらいなんだが、春と秋はかなり肌寒く感じるな。冬に至っては言うに及ばずだ。樺太一面が真っ白に染まるぜ。ま、厚着をしても不自然じゃない場所ってのは悪くないらしいな。サムライ連中はそう言ってたよ。ドンパチ屋じゃない俺はメリットを感じなかったが。

 移動手段については一通りが揃っている。豊原空港の滑走路は国際空港として十二分な余裕がある。スペースプレーンも運行しているから南米へと行くのだって二時間もあれば十分だ。逆に言えば空路が開けてさえいれば世界のどこからでも樺太へと簡単にアクセスできる。交通の便は悪くない。ゆったりとした旅がお好みなら海路でどうぞ。あとはさっきも話した稚内海底鉄道な。

 豊原市内の交通機関も豊富だ。中心部には樺太全島を縦断する鉄道が走っているし、それだけでは足りない部分を地下鉄が補っている。無人制御のタクシーやバスも充分な数が用意されている。けれども自分専用の足は確保した方がいいぞ。治安が悪い旧市街とかはタクシーの制御AIが行くのを拒否しやがるからな。ああ、そうだ。旧市街を走る心得だがな、赤信号に従う必要はないぞ。むしろ止まる方が危険だ。突っ切れ。腕っ節に自信があるのでもなければ旧市街の通りを一人でうろつくのは止めておけ。ろくなことにならないからな。ランの帰りに出会った六人組の強盗が一番手強い相手だったなんていう笑えない話もあるくらいだ。あん? ランナーが強盗程度にびびるなんて情けないって? そりゃあごもっともだ。しかしお友達、そうは言うがね。その強盗六人組は全員トロールだったんだよ。それでもすまし顔でいられるか? だからさっきも言っただろ。日本じゃねえんだよ、あそこは。とはいえそこまで悲惨なケースは滅多に無いから安心しとけ。普段はせいぜいBTLで脳の溶けたチンピラがカラシニコフぶっ放してくる程度だな。

 しかし話を始めると次から次へと出てくるな。後は法律関係か。これについては本土と大概は同じだ。せいぜい銃規制が緩いとかそのくらいかね。もちろんお上品なエリアは相応にきついから注意しておけよ。下品な場所ならそれこそ無法地帯だ。戦争までするとさすがに治安維持部隊が飛んで来るけどな。マフィア同士のドンパチで、ロシア野郎が前世紀の戦車を引っ張り出してきたのには笑ったね。なにがオブイェークトだっつうの。とても見てらんなかったわ。って悪いな、話が脱線した。他には法人税など真っ当なビジネス絡みでは随分と違ったりもする点もあるが、これはまあ脇に置いてもいいか。

▼樺太五十度線
 お次はなんだっけ、きりがねえなほんと。五十度線の話はしたか? まだだよな。じゃあそれだ。てかどうしてこれが後回しになんだよ。酒のせいだな。いいから早く話せって? わかったからそう急かすんじゃねえよ。まあ五十度線ってのは日露の国境線だ。俺は最初の方で言ったよな、日本帝国は覚醒後の混乱に乗じてロシアから樺太の南半分をぶんどった、ってよ。日本の領土は樺太の南半分だけで、残りの北半分は今現在もロシアのものだ。どうして全島を奪わなかったのかって? そりゃまあ日本帝国はやりたい放題の限りを尽くしたが、国際社会に対しての大義名分ってものは必要だ。樺太の南半分についてはポーツマス条約でロシアから正式に割譲されたという過去もある。ところが北樺太となると、これを奪える正当性がなかなか見当たらない。もっとも正当性なんて探せばいくらでも見付かるし作れるもんだが、そんなことまでして北樺太を欲しがる理由は日本にはなかった。日本が欲しかったのは本土に近い新天地だ。南樺太だけでも十分に満足できたのさ。それにな、日本は清潔な都市が作りたかったわけじゃない。難民だろうとなんだろうと、頭数を集めるには多少の隙があるくらいでいいんだよ。だからこそ豊原は新興のスプロールとしてはこれ以上無いくらいに成功したのさ。清濁併せ呑むとはよく言ったもんだ。当たり前のことだが樺太はSINレス住民だらけだぜ。

 それでまあ五十度線についてだが軍事的な緊張は皆無だ。日本もロシアもごく限られた国境警備隊を配置しているだけでいたって平穏なものさ。双方共に戦争をする理由がないからな。あるいは、あっても到底踏み切れるもんじゃない。自国領を奪われた形のロシアにとっては南樺太を取り戻したいのが本音だが、日本帝国を相手に戦争できるわけがない。何よりも国内のメガたるイーヴォが戦争なんか考えちゃいない。南樺太の市場は極めて自由だ。現状維持こそ利益に適うというわけさ。

 というわけで軍事的には平穏そのものな五十度線だが、銃声はちらほらと鳴り響く。なぜかといえば不法な越境が頻繁に起きているからな。あの辺りでは密輸業者が大活躍だ。国境線の長さは約100キロ。全て取り締まるには少々手に余る長さだな。それに密輸に関しては日露双方が見て見ぬふりだ。南北樺太は半ば公的な密輸ルートとして機能しているのが実態だ。誰がそれを望んでいるのかといえばメガどもだ。だいたい国境における税関業務はイーヴォやシアワセに委託されているんだぜ。笑えるだろう、お友達? 奴らは企業法で取り締まられている品物を、正々堂々とトラックや鉄道で運ぶのさ。奴らはライバル同士のくせに、机の下では互いの足を絡ませてよろしくやっているわけよ。で、密輸業者ってのは要するにそのルートからあぶれた奴らな。あるいは全部自前でやって儲けを大きくしたいかのどちらかだ。以上が五十度線を取り巻く事情ってやつだ。

▼なあ、もういいだろ?
 正直そろそろ疲れてきたな。樺太についてはだいたいこんなもんだ。大概のことは説明したからもう終わりにしてもいいか。あ? なんだって? まだ美味い飯を出すレストランとか密談に適した酒場の場所を教えてもらってないじゃないかって? あのな、俺はお前のママじゃねえんだぞ。まあいいや。そんな程度なら後で住所付きのメールを送ってやるよ。

 ………

 で、お前ってば本当に樺太へ行くつもりなのな。どうしてわかるのかって? 鏡を見てみろよ。お前さん、今すぐにでも行きたいってツラしてるのが丸わかりだぜ。そんな顔をしてもらえるのなら話した甲斐があったってもんだ。ん? なんだそのクレッドは。ああ、授業料ね。いいさ、別に本気で払ってもらおうだなんて思っちゃいねえよ。お前が本気で樺太に行くつもりなら、今の話は餞別代わりだ。ま、適当に頑張ることだなお友達。俺はあの街で大ヘマこいたが、お前さんならきっとうまくやれるはずだ。幸運を祈るぜ。

 ……………

 ………

 ……

 なんだよ。まだ何かあるのかよ。
 あん? 頼りになる樺太のフィクサーを紹介して欲しいって?
 ったく厚かましいな、お友達! 長生きするぜお前はよ!

                                        ―――フェイス・トージョー