こなたがつかさの家にやってきた。
「ちわー」
「ちわー。じゃないでしょ、また遅刻して」
相変わらずこなたらしい。と思いながらかがみが迎える。
「ごめんごめん。昨日もネトゲしてて」
こなたもこなたで相変わらずの事情だった。
「いつもどおりか。そろそろできる頃だから早く入って」
今日はつかさがラーメンを作るというので、4人で食べることになっていた。
「はい、お待たせ」
つかさがお盆にどんぶりを3つ載せて持ってきた。
どんぶりからは湯気が立ち上っていて、おいしそうな香りが二人のところまで漂ってくる。
「おお、さすがはつかさ。匂いからしてすでにおいしそうだ」
アホ毛をうれしそうに揺らしながらこなたが言う。
「そういえばみゆきはどこに行ったの。来てたはずなんだけど」
首をかしげるかがみ。
みゆきはこなたが来るだいぶ前――つかさがラーメンのスープを作り始める頃――に来ていた。
「ゆきちゃんなら急用を思い出したらしくて、帰っちゃったよ」
どんぶりと箸をおきながらつかさが答えた。
まるでみゆきがいなくなることが分かっていたかのように落ち着いている。
「いただきます」
ズルズル……
3人は早速ラーメンを食べ始める。
つかさは食べながらも2人のことをちらちら見ている。よほど出来が気になるのだろう。
「しかしこのスープがおいしいねぇ」
レンゲでスープをすすりながらこなたが味をほめる。
「上品な感じがして、しかもくどくない。ねえつかさ、何を使ってるの?」
「醤油ベースなんだけど、だしが特別なんだよ」
ちょっぴり自慢げなつかさ。
「へぇ。つかさも手が込んでるね。私もここまで手が込んだ料理はめったに作らないよ」
うんうんとうなずきながら感心するこなた。しかし、次の一言は余計だったらしい。
「ま、かがみは料理そのものをめったにしないだろうけどね」
「なによそれは。まるで私が料理できないみたいじゃないの」
……かがみのツンを呼び起こしてしまったらしい。
「麺も手打ちなんだっけ、コシがあってすごくおいしい……ん? 何これ」
麺をすすっていたかがみだが、何か異物があったのか、箸で『それ』を摘み上げた。『それ』はピンク色で細長い、まるで……
「あっ、それは……ほら、そうめんに色違いの麺が入ってるでしょ、それと同じだよ」
つかさが答える。なぜかあわてているようにも見えるが、二人は気づかなかったようだ。
「それにしちゃやけに細いような。ま、おいしいからいっか」
かがみはそれ以上疑問に思うこともなく、ラーメンの続きに取り掛かった。
(いけない、髪の毛が残ってた)
ラーメンを食べ終わったあとは、3人でゲームしたり、おしゃべりしたりしてすごした。
なぜかつかさは2人が台所に行くことを嫌がり、飲み物も全部つかさが持ってきた。
こなたが帰り、かがみは部屋で宿題をやっている頃、台所には、後片付けをあらかた終えたつかさがいた。なぜかのこぎりを持って。
「さて、急いでだしに使ったのを解体しよっと」
「今日はありがと、ゆきちゃん」
最終更新:2007年09月28日 02:57