※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

俺たち独立第2中隊が動いたのは8月の22日だった。

ビロフト平原の南に展開した我々は、先頭に俺のケーニッヒウルフ、その脇をオズワルドとヘンリーのウルフが堅め、その背後に少佐が乗る移動司令部であるグスタフと、それを守るエリーのウルフと歩兵ゾイド6機が展開していた。

「作戦開始だ。」

少佐が言った。それを合図に俺たち3機は戦果の中に飛び込んだ。
今回の任務は、ビロフト平原南部の帝国軍発電施設を潰し、この一帯での共和国の数的劣勢をひっくり返す足掛かりを作ることだ。
戦いが始まって数ヶ月が経つ。そのたびに両軍は幾度となくこの地で衝突し、次第に数を減らしていた。しかし、もともと数が少なく、さらに不慣れな土地での戦いを強いられてきたということもあり、共和国軍はやや劣勢だった。

「隊長、俺はオズと左のをやります」

そういってヘンリーは左に見えるモルガ部隊に攻撃を開始する。それを見届け、俺は前進する。今回は発電施設の攻略が最優先事項だ、他に気をとられすぎてもまずい。
俺は左からホバリングしてきたジェノザウラーに、出会い頭にライフルを向ける。
しかし、奴はそれを見るか見ないかのところでブースターを使って避ける。

「中尉、かまうな!先に進め」

ガンブラスターが1機、俺の後方からジェノザウラーに向けて発砲した。モニターに映ったのは20代後半の男性で、金色の髪を肩まで伸ばし、眼鏡をかけていた。第1小隊のウィレーク・サドアンカ少佐だ。

「はい。あと12,3mで射程に入れられます」

俺はセンサーで射程までの距離を出す。射程に入ることができたとしても護衛が邪魔になり、まともな狙撃は期待できない。・・・ならば。

「ヘンリー、オズワルド、いるか?」

少し間があった後、返事がある。間もなくして2機のウルフが合流する。2機とも目立った損害はなく、アタックユニットを装備している。

「今から発電施設に突入する。援護してくれ。」

無駄な戦闘を避けるためには、突入し、接近戦で叩くのが一番だ。

「いくぞ!」

疾走する3機。途中、ヘルキャットを打ち倒し前に進んだ。
発電所の敷地に到着した俺たちはすぐさま6基の発電機に向かう。敷地内は驚くほど手薄で、楽に進撃できた。

「って。やっぱりいないわけないよなぁ…」

ヘンリーがつぶやく。前方の角を曲がったところに発電機を控え、ジェノザウラー2機が姿を現した。
…黒と赤のツートーン、後期生産型だ。

「散開しろ!狙うのは発電機だけでいい!」

俺は声を張り上げた。


====



「デリク!左から来るぞ!」

俺は、ジェノザウラーの体制を低く取り旋回する。今顔を見せたのは共和国軍の大型ウルフとコマンドウルフ2機。反射的に姿を隠したところを見ると、どうやら迷い込んだというわけではなさそうだ。…となれば狙いは発電機か。

「クルスト中尉!!」

デリクが叫ぶ。見ると、彼のジェノザウラーが向かった反対側からコマンドウルフが迫っていた。
俺はパルスレーザーライフルのトリガーを引く。閃光が着弾する前に、コマンドウルフは建物の陰に隠れていた。…甘い。その先にはデリクが先回りしている!

「今だ!デリク!」

ウルフの撃破を確信した俺は、機体をデリクが守備していたほうに向かわせる。しかし、直後にジェノザウラーの鈍い声と、黒い破片が飛び散った。

「ば…バカなっ!」

俺は慌ててもとの配置に戻ろうとするが、すでに遅く大型のウルフに突破されてしまった。


====



「ヘンリー、一人で大丈夫か?」

オズが言った。俺はジェノザウラーの喉笛を吐き捨て、ウルフを起す。首に致命的なダメージを受けたジェノザウラーはノロノロと立ち上がり、四方八方にパルスレーザーガンを発射して後退しようとする。

「あぁ、こいつの”処理”を手伝ってくれ」

と言って俺はスコープで奴のコクピットを捉えた。すでに生態エネルギーが低下しているためか、ジェノザウラーは勢いが全くない。

「いや、その必要はないってさ。隊長が今発電機を破壊した。撤退だぜ」

ずいぶん手際がいいことで。俺はスコープをしまい、オズと共に機体を基地の敷地の外へと走らせる。後ろからジェノザウラーが追撃していることをセンサーが伝えた。発電機をやられて怒り心頭といったところだろう。

「振り切れますか?ここで応戦したほうが?」

俺は疑問を口にする。俺たちを狙っているんだ。どの道しばらくは追撃をやめないだろう。

「いや、目標は達した。撤退する」

「でも、このままエリーたちのところまで、つけられたくないです。」

俺は隊長に言った。敵はあのジェノザウラーだ。振り切れる可能性は低い。少しの間の後、彼も合点がいったのか「しかたない。応戦する」と言ってケーニッヒを旋回させる。

「オズ、通信圏まで行って少佐に報告を。」

「了解!気を付けて」

オズ機のみそのままの進路を取り、俺と隊長の機体はジェノザウラーと正面から対峙した。

「さぁ来い!!」

俺はスコープを出した。