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俺の鼓動は、恐ろしく早かった。全身の血が沸騰しているかのように体は熱く、怒りに震えていた。俺はウルフを自分でも驚くほどの操縦で駆り、奴の装甲を1枚1枚破壊していく。

ジェノブレイカーにもはやまともな武器は無く、俺の攻撃をどうにか凌ぐのが精一杯だった。俺はブレードライガーの残骸から、1本のレーザーブレードを銜え上げる。

「エリー!」

エリーは頷き奴の足に集中砲火を浴びせる。俺の機体に気をとられていたジェノブレイカーは、装甲のない脚部に攻撃を受け崩れる。俺はそのスキにブレードを奴の頭部に突き立てた。


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「ヘンドリック!何をやっている!……助けろ。」

私は叫んでいた。これはどういうことだ?ジェノブレイカーを圧倒する2機のコマンドウルフ、ろくな支援もしない無能な部下。

「断る。」

返ってきたのはベルガスの声。…なぜ奴がジェノザウラーに?

「す…すみません中佐。」

ヘンドリックの小さな声が聞こえる。

「ば…バカな!私は貴様の上官だぞ!ベルガス!!」

私は再び叫んだ。ジェノブレイカーはもはや大破しており、頭部に刺さったブレードは後一押しで、コクピットに達するところだ。

「いや、私の“主”はヴォルフ・ムーロア殿下だ。」

奴は静かに言った。ヴォルフだと?ヴォルフ・プロイツェンがなんだ?なんだというのだ?

…まさか!

その時、コマンドウルフはブレードを蹴り入れた。


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「サラ、すまない。このままライトストとは合流しないで、ホエールキングに合流できるか?」

私の脇に座った中尉は前だけを見て言った。さっきまで抱いていた憧れのような気持ちは、いまや漆黒の不安へと変わっていた。しかし、ガルム中佐を助けなかったのは私も同罪。

「はい。クルスト中尉とは今後、会わないほうがいいでしょう。」

私は横を向いて涙を隠し、ジェノザウラーを帰路に着かせる。後方ではエレファンダーが吹っ切れたように共和国軍に突撃を開始したのが見える。中佐がさっき言っていた、「目標は達した。」ということばと関係あるのだろうか?

私は、落ち着こうと深呼吸をした。


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ZAC2100年10月末 ニクシー基地は完全に陥落。これで、ガイロス帝国との西方大陸での戦争は終わった。しかし、まだ戦いは続くだろう。

暗黒大陸は遠い。


私は司令部の窓から、いまだ煙を上げているニクシーを見た。「失礼します」と言ってサドアンカが入ってくる。彼はこの戦いで部下2人を失い、彼自身もまた負傷した。

「ついに終わりましたね。」

彼は私の後ろから、同じように外を見て言った。昨日到着したデストロイヤー兵団のウルトラザウルスは夕日を浴びて大きな影を作っていた。空にはストームソーダーが警戒のために飛行していた。

1年にも渡る西方大陸での戦争を思い返した。失ったものは多い。アーク中尉もまたそのひとりとなってしまったことに、私はひどく落胆したものだ。しかし…

「いや、始まるのだ。暗黒大陸での戦いが。」



この先、共和国大統領、ルイーズ・エレナ・キャムフォードは、ガイロス帝国に休戦の申し出をだすが、帝国軍摂政、ギュンター・プロイツェンにより一蹴され、皮肉にも言葉通り、暗黒大陸での戦いが始まることになる。


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俺、ヘンリー・ライトリーはエリーに手を貸しながら、前に進んだ。彼女は泣きじゃくっていたが、俺の手を握る手には力がこもっていた。

俺たちはニクシー基地に作られた、仮設の墓地に足を運んだ。墓石の代わりに青い装甲版に文字が彫られていた。


―アーク・ワード  ケベック・カミンスキー ここに眠る。


と。

「俺たちで…取るんだ。仇を。アーク隊長たちの仇を。」

俺は静かに言った。憎きガイロスを滅ぼす誓いを立てることに、今の俺たちは何の疑問も感じなかった。
エリーは静かに頷き、泣いていた。










END