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「ケベック!!」

エリーの悲痛な声が響く。真紅のカスタムジェノザウラーは、エリー機をかばったケベックのウルフの胴体を大型のブレイカーで持ち上げた。こいつは北部戦線で確認されたジェノブレイカーとかいうやつだ。ジェノザウラーというにはあまりにかけ離れた外見を持ったそいつは、つかんだウルフを地面に捨てる。この距離でも損害は見て取れた。

「くそっ…!」

俺はウルフを走らせ、ジェノブレイカーの後ろに迫る。アーク隊長は「待て!早まるな!」と叫んだが、俺は聞こえないフリをした。

しかし、奴は尻尾で軽く俺の機体を弾き飛ばした。とてつもない衝撃と共に、瓦礫に叩きつけられる。ウルフのシステムはダウンし、低いうなり声を上げた。


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一瞬の出来事で何が起こったのかわからない…ケベックとヘンリーがやられた…?

そして、赤いジェノザウラーは私の前に立つ。

「少尉…そいつはジェノ…ブレイカーです。…逃げて!」

ケベックはそう叫び、歩けないウルフの背中の砲塔を動かし、ジェノブレイカーと呼んだ機体に向け発射した。ジェノブレイカーは、それをまともに脚部装甲にうけた。機能停止したと思ってたゾイドからの攻撃に、不意を突かれたのだ。無論、致命傷にはならず、奴は脚部のストライククローを構えた。私は声にならない悲鳴を上げた。奴はそのままそれをウルフの頭に叩きつける…。

「エリー!!」

アークの声。ブレードライガーはロケットブースターを展開し、ジェノブレイカーの後ろに迫っていた。奴は尻尾でなぎ払おうとしたが、アークはそれを間一髪でかわし、一閃加える。左のハサミが宙を舞った。

「エリー、さがってろ。こいつは俺が…殺る。」

アークの声は冷静だった。こんなにヒステリックになってる私がおかしいの?私は震える手でグリップを握るが、上手く動かせない。その間にも、ジェノブレイカーは態勢を立てなおしてアークと対峙していた。奴は残ったハサミを突如しまい、足を固定する。これは…!

私の悪い予感は当たった。ジェノブレイカーの口内は、青白い光を蓄えつつあった。


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「アーク!逃げて!」

エリーは言った。しかし、彼女のウルフは先程からまともに動こうとしない。動けないのか?

「お前を置いていくほど、俺はバカじゃない。」

この距離ならブースターを使えば、ギリギリで間に合うかもしれない。今はそれしかない。ヘンリーの援護が今ほどほしいと思ったことはない。しかし、あいつのウルフは瓦礫の下で動かない。まさかあいつも…?

俺はそんな考えを振り払った。俺は、俺にできることをすべきだ。仲間のためならできる。

俺はブースターを展開し、口内に光が溜まりつつあるジェノブレイカーに突進していった。ライガーはジェノブレイカーとの距離をどんどん詰める。残り数mで、俺は地面を蹴りEシールドを展開した。この時のために温存しておいたシールドを。

「とどけぇー!!」

俺は叫んでいた。同時にエリーの叫びも聞こえたような気がした。


全てが光に包まれた。まぶしいと思う前にきれいだと思った。どうやら俺は死ぬらしい。あと数mとどかなかったことが悔やまれる。

最後に浮かんだのは、どういうわけかエリーの笑顔だった。どういうことだ?俺はあいつのこと“スキ”だったのか?

…そうかもな。


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荷電粒子砲は発射され、ライガーのシールドは2秒だけ耐えた。しかし、この2秒がこちらにとっては致命的だった。ライガーの頭、コアは破壊できたが、ブースターでついた加速で、そのままライガーの残骸はブレイカーの頭部に激突した。チャージングブレードは折れ、空中に散った高濃度の荷電粒子が、レーザーセンサーをことごとく殺した。荷電粒子砲塔は自らの熱で溶解した。

「なんて奴だ…!」

私はまわりを見渡す。残ったのは、なぜかさっきから動こうとしないウルフ1機だけだ。

この損害でもなんとかなる。エクスブレイカーを展開し、奴に迫る。そこでふと思い出した。ヘンドリックは何をやっている?ベルガスの機体は戦闘不能だとしても、彼女の機体は援護ぐらいできたはずだ。そうしていれば、ここまでの損害を出さずに済んだものを。

「ヘンドリック、何をしている?」

返事はない。しかし、もう一度言う前に、私の機体は衝撃に揺れる。モニターの中で残されたエクスブレイカーが宙を舞っていた。前方のウルフは動いてすらいない。

「なにが…?」

そして、やっとのことでそいつを確認した。さっき瓦礫に吹き飛ばしたウルフだ。しかし、その動きは先ほどとはまるで別物だった。私のブレイカーを中心に円を描くように走り、隙をついて攻撃してくる。私はなぜか、奴に恐怖を抱いた。