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ZAC2100年7月に始まった第2次全面会戦は、完璧な奇襲によって帝国軍が有利に戦いを進めたが、共和国軍は「オーガの奇跡」を歯切りに奮戦。帝国軍は敗走を余儀なくされた。
9月 共和国本部はついに本土から「デストロイヤー兵団」を出撃させる。これは現存する最後のウルトラザウルスに、1200mmウルトラキャノンという大砲を装備させたものが中心になっていた。
そして10月初頭、ついにデストロイヤー兵団は西方大陸における帝国軍の最後の砦、ニクシー基地を射程に収めた。


俺はなり続ける砲撃をバックに、通信機の音量を上げた。

「どうだ?ヘンリー。」

アーク隊長は言った。後ろで、エリーが何か言っているのが聞こえる。俺たちは今、グスタフでニクシー基地の最南端を目指していた。

「順調みたいです。少なくとも、もう帝国に飛行している機影はいません。」

俺はそう言った。帝国軍はジェノザウラーやエレファンダーなどの強力なゾイドを前面に出し、守備を固めていたが、ウルトラキャノンにより着々と戦力を殺がれ、そこに機動部隊が突入していく。この分ではもう2日ももたないだろう…。

「わかった。」

まもなく作戦地点に到着する。グスタフに積載されたブレードライガーとH1型ウルフがトレーラーを降りる。俺は、新しく愛機にマウントされたAZ2連装250mmロングレンジキャノンを起動させる。3Dレーダーが現在の状況を教える。付近に展開中の共和国部隊は恐ろしい数だった。

「少尉、どうかしました?」

グスタフを挟んで反対側を警護していたケベックが、通信を入れてくる。俺は「大丈夫だ。なんでもない。」と答え、ブレードライガーのほうを見る。ライガーはトレーラーを降りると周囲を警戒しながら、俺の機体の脇に来た。

「8小隊が攻撃を開始次第、俺たちも突入する。予定通りだ。」

アーク隊長が言った。モニターの端で、8小隊のディバイソン3機が砲撃体勢に入ったのが見えた。


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ウルトラキャノンが着弾し、前衛のエレファンダー2機が吹っ飛ぶ。俺はぞっとしてベルガスを見る。彼は別段変わったことはないという風に、エレファンダーを前進させた。“次”は俺たちの番というわけだ。

俺とベルガスは、自らこの部隊に志願したわけじゃない。ガイロス兵たちは、ここにきて俺たちゼネバス派の“有効活用”を思いついたというわけだ。新品のエレファンダーは、そのせめてもの手向けか…。どちらにしても、ニクスの地はもう二度と踏めないと考えたほうがよさそうだ。しかし、俺たちはただニクス人のために死に行くんじゃない。ベルガスは教えてくれた。あの方のことを。ゼネバス帝国の正当なる後継者、ヴォルフガング・ムーロア殿下は今、西方大陸におられ、俺たちは殿下が脱出する時間を稼ぐためだけに死に行くのだと。

「ニック、行くぞ。」

ベルガスは静かに言った。エレファンダーは、この物量差にひるむことなく静かにうなった。いいゾイドだ。死をまったく恐れていない。

「はい。」

俺はそう言ってペダルを踏み込む。ふと思った。サラはこのことをどう思っているだろうか?ベルガスを慕っていた彼女は、ベルガスが…いや、考えるまい。

前方にディバイソン3機の18連砲塔が光った。俺は防壁を盾にするように回りこんで、前手を打つ。ベルガスと同じ行動をとっていることが誇らしく感じられた。俺たちのエレファンダーが放った閃光は、ディバイソン部隊に吸い込まれるように命中した。


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「8小隊、全滅…!!アーク、どうするの?」

エリーが叫ぶ。8小隊が到着したのは俺たちとほぼ同時期だ。つまりここはそういう場所だ、死闘を繰り広げるための。

「しかたない、攻撃に移る。先陣は俺とヘンリーが。ケベックは援護を、エリーは戦闘経過を報告してくれ。」

「「「了解。」」」

正面にはエレファンダータイプが2機。正確には、もっと多くのゾイドがひしめき合っていたが、俺たちを第1目標にしているのは、おそらくそいつらだけだ。たった一撃で8小隊を全滅させた奴らだ、楽にはいかない。

ウルトラキャノンが着弾し、地面が揺れる。揺れが収まる前に俺とヘンリーの機体は駆け出していた。エレファンダーの1機は指揮官機、もう1機はノーマルだった。俺はショックカノンのトリガーを引く。エレファンダーは器用に防壁を盾にして防ぎ、退避間際に放ったビームは俺の頭上を通過し、後方のガンスナイパーを撃ち抜いた。

「固い守りだ。」

予想以上に固い防壁と、敵の優秀なゾイドに俺は悪態をついた。その時、地面を黒い影が走る。俺は上を見上げた。

「どいていろ、大尉。バンカーを使う。」

サムウェルズ大尉の声だ。彼女らのストームソーダー3機は、対空砲火をかわし、ミサイルを放つ。バンカーミサイルが防壁をぶち抜く。エレファンダーは少しひるんだようだったが、すぐに攻撃を開始した。防壁がない今、互いに早く敵を殲滅しなければならない。

「いくぞ、ヘンリー!」