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「馬鹿が!」

デスクのガルム・ローランド中佐は、連絡を受けてすぐに、こぶしをデスクに叩きつけた。報告した私は、自分が何か悪いことをしたのではないかと、恐る恐る聞いてみた。

「あの・・・中佐・・・私、なにかご無礼をはたらきましたでしょうか・・・?」

すると中佐は私のほうを見た。

「君がなにかやらかしてくれたほうが、まだマシだがね。ヘンドリック少尉。」

彼は私が先程渡した封筒の中身を私に返す。そこには、今月に入って撃墜された友軍補給部隊の損害が報告されていた。
つまり共和国軍は、我々帝国軍の補給船を直接攻撃して状況を打開しようというのだ。

「ベルガスを呼べ。」

中佐は窓の外を見たまま、私に言った。ブラインドから差し込む夕日で顔は良く見えなかった。それにしてもめずらしいことだ。中佐は普段からベルガス=ロック・スタフォード中尉を邪魔者扱いしており、彼を呼び出すということは、それだけ自体が急を要するのだと私は思った。


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「中尉!ローランド中佐がお呼びです!」

ベルガス中尉のグレートセイバーの下で、人影が叫んでいるのがわかった。たしかあれは、サラ・ヘンドリック少尉。あれで新型ゾイドのパイロットの一人だというのだから恐れ入る。俺は愛機、ヘルキャットのコクピットから降り、彼女の元に向かった。
「中尉なら今はずしてます。もうすぐ戻ると思いますけど・・・。」
と俺は彼女に言った。彼女はびっくりしたように振り返りこっちを見た。
「あ、アルマイヤー中尉。」
アクセントの外れた呼び方。わざとか?他のニクス人が俺たちを馬鹿にするのと同じだろうか?俺は「ニック・アルマイヤーです。」と訂正して戻ろうと思った。


「あの、軍曹・・・。」

彼女は俺を呼び止めた。しかし、その先は言葉が出てこないといった様子だ。俺が「なんです?」と聞き返すと彼女は思い切ったように、「ベルガス中尉の女性のタイプとかって知ってます?」
しどろもどろしながら彼女は言った。中尉が好きとか言うんじゃないだろうな?軽く見ても年齢差40・・・。「とりあえず、ニクス人じゃないな。」と答えてみようかと彼女の顔を見たが、直前でやめた。

「わかりませんね。」

そう言って、今度こそその場を後にした。


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俺はヘンドリックに言われ、ガルム・ローランドの元に向かった。直接会うのは、ずいぶんと久しぶりだ。

「ベルガス・スタフォード中尉です。」

俺がそう言うと、奴は「入れ」とだけ言った。中には奴一人が椅子に座っていた。

「今月に入って共和国軍は、我々の補給戦を叩こうと必死だ。我が隊への補給も、すでに2回攻撃されている。そこで、だ。お前とアルマイヤーを補給部隊の護衛としてつけることにした。」

彼は淡々と言ってみせた。
つまり、俺とニックを矢面に立たせる、というわけだ。前線ではないとはいえ、今の状況では、そここそが最前線も同じだ。
死に物狂いで潰しに来る共和国軍を相手にするのは別にかまわない。しかし、補給部隊をたった2機の補充要員でカバーできるかどうかなど、考えればわかる。無論、不可能ではないが・・・。

「わかりました。」

俺はそれだけを言うと部屋を出た。
帰り道の廊下で、ヘンドリックとライトストとすれ違った。ヘンドリックは立ち止まり深く頭を下げた。もう一人、赤い髪の男、クルスト・ライトストは、気にもかけないそぶり、むしろヘンドリックに「なにやってるんだ?」というような視線を投げかけて、通り過ぎた。
ヘンドリックは少尉で、ライトストは俺と同じ中尉だから。という理由だけではないことはわかっていた。ライトストは、ガルムと同じく、上流階級出身で、旧ゼネバス派帝国兵に対しては過剰な拒絶を示す。
俺はジェノザウラーのパイロット2人を尻目に、改修が終了した愛機、グレートサーベルの元に向かった。