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7

「撤退したのか」

ベルガス=ロック・スタフォード中尉は静まり返った森を見つめて言った。肌に刻まれた皺は、今まで経験してきた戦場の多さを物語っていた。先ほど遭遇したスネークスタイプとコマンドウルフは1度の攻撃でそれきり姿は見えなくなった。彼が立案した奇襲攻撃は十分な成果を上げ、共和国軍は混乱状態で敗走した。俺は意気揚揚とし愛機である24メカのコクピットハッチを開けた。その時、部隊長であるガルム・ローランド中佐からの命令が届いた。すぐさま内容を確認してベルガス中尉を呼んだ。

「中尉、ローランド中佐からの伝令です。一旦撤退し、部隊を再編成をするとのことですが…」

彼は問題ないような口ぶりで「そうか。ではおまえは命令に従い司令部まで撤退しろ。ヘルキャットは全滅したと隊長に伝えてくれ。」と言った。中尉はここに残ってまだやる事があるらしいということはわかった。いつもの事だ、俺が彼と部隊との橋渡しのような役割をしているようなものであり、そもそもこういう状況になったのも彼と俺が浅くないつながりを持ったからである。
彼の機体はスペックこそセイバータイガーにカスタムしているが外装やコアは旧大戦時から使用しているサーベルタイガーのものである。と俺が就役したころに言っていてことがある。それを聞いた当時の俺は、なぜそんな面倒な手順を踏んだのかと疑問に思っていた。
しかし、今ならわかる。なぜ彼がそんな事をするのかも、その話を俺にしたのかも。彼はもともとゼネバス帝国の軍人であり、祖国が暗黒帝国に吸収されるときにガイロス軍人になったのだ。そして同じく元ゼネバス軍人の父を持つ俺も、見えない祖国に忠誠を尽くす彼と行動を共にする事を選んだのだ。

「はい。わかりました。」

俺はそれだけ言って愛機のコクピットを閉じた。と同時に中尉のセイバータイガーも動き出し、何かを探すようなそぶりを見せる。「ニック、流れ弾で死ぬなよ。」中尉は俺がその場を後にする直前にそう言った。