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アークは何度かうなずいて通信を切った。戦闘を行った度に本部の上官に報告する義務があるのだ。私は後ろで結ってある髪をほどき、椅子に座る。ここは各小隊が作戦前後に使用するキャンプの中にある会議室だ。開戦時は一つのキャンプに駐留している部隊はせいぜい2~3部隊といった感じだったけど、オリンポス山が帝国に渡った今、共和国部隊は前線を下げなければならず、各キャンプにはかなりの兵力が撤退してきていた。私たちの小隊も例外ではなく、撤退戦を支援しながらヘスペリデス湖の北東まで撤退してきていた。

「ちょっとウルフの前足が重いんだけど、後で見てくれる?」

私は隣に座っていたヘンリーに言った。彼はメカの修理などが上手で、整備班が忙しいこの現状では彼に頼んだほうが早そうだと思ったからだ。

「別にいいけど、エリーのコマンドこないだシフト切り替えたばかりだろ?もしかして、足にストレスかけるような操縦してるんじゃないのか?」

失礼ね。それよりも前回のシフトはオリンポス戦が開始される前にキャンプでヘンリーがやったでしょ?その時の付替えに問題があったんじゃないの?というと、彼は俺を何だと思ってるんだと言わんばかりの顔で、「後で見ておく」といって立ち上がって会議室を出て行ってしまった。
私も外の空気が吸いたくなったので会議室を出る。しかし、期待したほど新鮮な空気は無かった。キャンプ中央の広場に所狭しと並べられたゾイドが整備されていたからだ。目の前のゴルドスが整備を終え動き出した。それが巻き上げた土ぼこりが目に入る。

「くそったれ」

悪態をつきその場を後にする。足早に部隊のテントに戻ろうとする私を誰かが呼び止める。振り向くと、旧友のジェシカ・サンダースが手を振っていた。彼女とは警備隊時代より前、私がまだオペレーターを志していたころに出会い、共にオペレーターを目指した仲だ。

「ひさしぶり~。今はどこの部隊に?」

彼女が言った。そうか、彼女にはまだパイロットとして就役してるって事を言っていなかったっけ…。「特殊工作師団第107高速戦闘連隊第6小隊のパイロットよ」と言うと、案の定彼女は目を丸くした。

「色々あってね」

といって笑った。別に色々は無いのだが、この状況ではこのセリフが妥当に思えた。彼女の話によると、彼女は開戦から前線に立ちオペレーターを努めていたらしい。しかし、彼女が所属していた突撃部隊はオリンポス山突入戦でほぼ全滅。現在、所属は特に無く、ロブ基地に戻るところということらしい。

「じゃあ。頑張ってね、パイロットさん」

どんな意味なのかよくわからないが、彼女はそう言って行ってしまった。最後に手を振った彼女の顔が少しさびしそうに見えたのがなぜだか胸につかえた。