※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

1

へリック共和国とガイロス帝国がこの西方大陸で再び戦争状態になったのは1ヶ月前、帝国軍が西方大陸に派兵したのが始まりだ。共和国軍も直ちに部隊を編成し西方大陸へ進軍したが、数年前からこの開戦のために軍備を拡張してきたと思われる帝国軍と、奇襲を受ける形で急ぎ早に編成した共和国軍の軍備の差は明らかで共和国軍は初戦から圧倒されていた。その日、俺―アーク・ワードは2機の部下を連れてメリクリウス湖付近の森林地帯を進行中だった。俺の機体はRZ―007 シールドライガー 共和国軍が誇る高速戦闘機械獣だ。部下の二人はそれぞれRZ-009 コマンドウルフに搭乗している。現在の共和国軍ではこの編成が機動部隊の基本の1つとなっていた。

「さっきから湖を渡った部隊からの定時連絡がないのは電波障害?それとも交戦になっちゃってるわけ?」

部下の1人のエリー・M・ベッケロイドが怪訝そうにあたりを見回す。彼女とは中央大陸の警備隊時からの戦友だ。
彼女の口調には上官への敬意などといったものは無く、友達に話し掛けるようなものだ。普通なら問題になりかねない態度だが、警備隊のころからこれだったので、俺はなれたつもりだ。むしろ、お堅い感じの部下をもつよりはこっちのほうが気楽でいいと感じる事さえある。

「恐らくは交戦中だ。」

俺はそっけなく答えた。今ごろは帝国軍の攻撃部隊と熾烈な戦闘が繰り広げられているはずだ。特別任務が無ければ俺たちだって、駆けつけて戦いたい。そんな俺の考えを知ってか知らずか、もう1人の部下、ヘンリー・ライトリーが搭乗機であるコマンドウルフの頭部を数回横に振る。これは彼が苛立っているときの癖のようなもので機体もそれに同調しているのだ。

「そう慌てるなって。俺たちは俺たちの任務をこなせば良い。」

「ええ。でも威力偵察なんかプテラスにやらせれば良いんですよ。シールドライガー含む機動部隊がやるべき任務じゃない。」

彼の言うことももっともだ。ヘンダーソン大佐はなぜこのような任務を俺たちに与えたのだろうか?だが深く考える時間は与えられないようだ。前方の湖上空から友軍の救援シグナルが発信された。俺はシグナルに答え、威力偵察中の友軍であることを告げる。

「助かりますコマンダーアーク。・・・もうオリンポスは落ちました。帝国軍は予想を遥かに超えるゾイド部隊を展開しています。」

友軍の残存兵力の一部を積載したネオタートルシップが視界に入る。しかし、モニターは友軍残存兵の後方から迫る帝国軍の追撃部隊、レドラーの機影も映し出していた。

「散開してる暇は無い。一気に叩くぞ!」

俺は愛機の武装を展開した。通常のシールドライガーの主兵装である2連装加速ビーム砲とミサイルポッドが火を噴く。それを合図に2機のコマンドウルフも攻撃に入る。目視できる限りでレドラーは6機、つまり中隊規模の部隊だが、先制攻撃を回避し損なった2機が落ちた。数の優位が保てない戦闘では、先手を取る事が絶対条件だ。

「ネオタートルシップ、安全圏までもう少し!」

エリーが叫んだのが聞こえた。彼女の機体は最初の位置からほとんど動かず、チーム全体の援護射撃を行う役割だ。視界の端でヘンリーの機体が湖に沿って駆け、それをレドラー2機が追尾していた。

「またかっ、出すぎだヘンリー!」

彼はパイロットとしての腕はかなりのもので俺も認めている。しかし、それが彼の自信となり時に傲慢にさせていた。

「大丈夫、やれます!」

彼はそう言ったが言い終わる前に、レドラーが対地ミサイルを発射した。4基のミサイルは孤を描くようにコマンドウルフを追尾する。ヘンリーのコマンドウルフは方向転換しながらスモークディスチャージャーを発射した。これによりレドラーはコマンドを見失った。その一瞬のスキに煙の中から発射された対ゾイドビーム砲がレドラーをしとめる。
撃墜したレドラーを尻目にコマンドウルフが煙を抜ける。その後ろにまだ追いすがるミサイル。俺は愛機のエネルギーシールドを張り、コマンドとミサイルの間に割って入る。爆音とともにミサイルはシールドで爆発した。

「何が大丈夫だ?」

「今片付ける所でした。」

ヘンリーの機体はは俺の脇をすり抜け、エリー機と交戦中の最後の1機に向かう。だが、彼の機体の助けを借りる前に、エリー機の50mm2連装ビーム砲はレドラーを撃ちぬいた。