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ミュウツーは今日も朝食を作る。
気が付けばこれがミュウツーの日課だった。手に入れた食材をサイコキネシスで加工し、
男のバッグからランチセットを取り出し
(もちろん男のバッグを漁れる、その瞬間を目的に朝食を作っている訳なのだが)
一通り準備が整ったら男とその他もろもろを呼ぶ。
というのが習慣になっていた。男もそれにしたがい、朝食を作っている間は適当な所でゴロ寝してみたり
ほかのポケモンと遊んでいたりした、無論ミュウツーはポケモンと遊んでいるなど微塵も知らないのだが。

今日もミュウツーは鼻歌交じりに朝食を作っていた。

M「今日はラッキーの良い卵が手に入った。素材の質を生かすには…なるべく単純な調理法が美味い…か」
料理本を参考にして早速メニューを考える。
M「ふむ、単純に…か、目玉焼きだな」
隣でペットがふるふると首を振っているが、無視しておく。

M「では、早速…!」


一方その頃、男に近づくひとつの人影があった。

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男「ん?誰だ?」
女「やほー、久しぶり」

それは、いつか前にホテルで男と一緒に居た女だった。
男は昼寝から立ち上がってはにかんだ。
男「久しぶりだね、あのホテル以来かな?」
女「そうだねー。私ね、あれからポケモン頑張って育てたんだけど、勝負申し込まれてくれないかな?」
ポケモン勝負か…今はミュウツーもいないし、あいつらもたまには運動させてやるか
バトルと言うとミュウツーが張り切ってしまい、なかなか他のポケモンに経験地を
与えてやれなかったので、絶好の機会だと男は思った。
男「OK、トレーナーたるもの、目と目が合ったらバトルだぜ!」
女「そうこなくっちゃ!頑張るのよ!ニャース!」
男「いけ!リザードン!」

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サイコキネシスによって焼かれた目玉焼きは、美味しそうな匂いを漂わせながら
ふわふわと浮いていた。

M「さぁ、後は主様の鞄の中身を…ランチセットを用意するだけだ」
ミュウツーは笑いを隠し切れずにニヤニヤとしながら主の元へと向かった。
隣でペットがよだれをたらしていたが、いつもの事なので気にする事は無い。

主がいつも寝ている草むらにやってきたが、主が居ない
M「主様?何処です?」
男「リザードン!火炎放射だ!」
少し離れたところから威勢良く主の声が聞こえてくる。
M「え・・・」
なんという事だ、主は私という者が居ながら他のポケモンを使ってバトルをしている。
リザードンなどに何が出来るというのだ、私ならあの程度の相手一瞬で…
さらに相手トレーナーを見て私は凍りついた。
以前ホテルでなにやら主と仲良くしていたあの女だ…!
なぜ…何をしにきたんだ…あの女…あのオンナ アノオンナメ

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女「避けなさいハッサム!後ろに引くのよ!」
ハッサムは命令通り後ろに身をかわし火炎放射を逃れるが
男「甘いな!リザードン!吹き飛ばせ!」
リザードンが羽ばたくと、後ろに引いたハッサムに一斉に火の粉が降りかかり
ハッサムは火の粉を体中に浴びて転がりまわる。
男「今だリザードン!踏みつけ攻撃!」
ハッサムはダウンしたまま戦闘不能となり、女は慌ててボールに戻した

女「やっぱり…強いわね!切り札のカメックスを使わずにここまで…」
男「いや、カメックスはもう居ないんだ」
女「え!?なんで!?」
男「俺にもよく解らないんだけども…気が付いたら居なくなっていた」
女「そ…そうなの…変な事聞いてごめんなさい」
男「いや…いいんだ………さ、さぁ、そちらは次で三匹目、そろそろ決めさせて貰うぜ!」
女「そ、そうはいかないわ!リザードン一匹に全滅なんてさせない!行け!ルカリオ!」
ルカリオ「アラゴォォォン」

M「なぜ…何故…私では…ないのだ…ワタシイガいと…」
ポトリと目玉焼きと朝食が落ちた。

この後、朝食はペットが美味しく頂きました。

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男「な、なんだそのポケモンは?」
女「あら?あなたはまだシンオウ地方に来た事が無かったっけ」
男「そうかシンオウの…気をつけろリザードン!」
女「一気に行くわよ!神速で攻めるのよルカリオ!」
ル「アラゴォォォン!覚悟ォォォ!」
リ「な…うわぁぁぁぁ!」
2匹を相手していた後、疲れが出てきた頃だったのだろう。
リザードンは速いルカリオの動きに対応できずに、何も出来ないまま攻撃を受けて、横に押し倒された
男「しまった…戻れリザードン!次は…フシg」
M「お待ちください主様」

男「ミュウツー!?い、いつからここに」
M「ハッサムが倒される頃から既に、しかし私が居ながらそのような弱い者を
出すとはどういう事なのですか主様!私が来たからには私が闘います!貴様!私が相手だ!」
男「ま、まてミュウツー!」

ミュウツーはいう事を聞かずにルカリオに突進した。
ル「貴様はご主人様の言う事も聞かずに何をやっている!」
M「ウルサイヨクモ私の主様に勝手によくもよくもチカヅイテクレタナ」
ル「クソ…何なんだ…ご主人様ご指示を!」
女「え…あ、あぁ。見た事無いポケモンだわ…と、とりあえず波導弾!」
ル「アラゴォォォン!」
ルカリオが放った光の玉をミュウツーはいとも簡単に左手で握りつぶすと
全く同じ光の玉を作り出し、瞬時に放つ。それはルカリオが放った物より大きく、速かった。
女「避けて!ルカリオ」
ル「だ、駄目です!避けてはご主人様が…おぉぉ!」

761 ID:t3Hffbyr0

目の前の獣め、マトモに私の放った波導弾を食らったようだ、もう立てはしまい。
やはり私以外に主様に相応しいポケモンは居ない。勝手に近づく奴は皆こうなるのだ
M「終わりました、主様。」
ル「いいや、まだだ!アラゴォォォォン」
ルカリオは砂煙から飛び出してきたかと思うと私の懐に入り込み、拳に黒いオーラを蓄えた
M「これは…悪の波動!?」
弱点を突かれては私も弱い。だが主様の前で無様な姿は見せられないのだ…絶対に耐えなければ
久々に熱い衝撃を身に受けたが、耐えて見せる。私は最強であるために作られたのだから!

その後も、トレーナーを無視し続け、ミュウツーとルカリオの戦いは続いた
M「ヴ…ヴォォォォォォ!」
男「やめろってミュウツー!聞こえないのか!」

それは、特に渾身の力を込めたサイコキネシスを放った瞬間だった。

主が、視界の端に飛び込むのが見えた。だが、遅かった。
M「い、いけません主様!主様ァァァッァアアアァアァllll」

762 ID:t3Hffbyr0

目の前には泣き崩れる見た事も無いポケモン…ミュウツーと言ったかしら?
と強力なサイコキネシスによって吹き飛ばされたルカリオ…私の大事なパートナーと
尊敬していたトレーナーである男…
このポケモンが以前話に出ていた病気のポケモン…で間違いないだろう。
そのポケモンは自らの主を吹き飛ばすと、ボロボロと大粒の涙を流しながら
主を抱きかかえて悶えていた。
M「ああああああああアアアアアあ主様主様主様ァァァッァア」
返事を!返事をしてください主様ぁぁっぁぁああ」

話には聞いていたが、この子…やはり危ない
女「ルカリオ、立てる?」
ル「何とか、大丈夫ですご主人様」
女「なんか…まずいみたいだし、一旦ポケモンセンターに行きましょう?」
ル「し…しかし、よろしいのですか?」
女「私たちが何とか出来る問題じゃないみたい」
男は気絶してるだけのように見える。外傷もこちらからは見えないし、特に重症ではなさそうだ。
あのポケモンの恐ろしい目がこちらをギョロリと見た…気がする
女「ヤバイかも…早く引くわよ!出てきて!イワーク!」

女が去った後、残されたのは落ちた朝食を食べ終わり、少し離れた原っぱで昼寝をしているイーブイ
泣き崩れるミュウツーとその腕に抱えられた男だけだった。

M「うぅ…ひっく…うううううぅぅ…返事をしてください…主…様…うううううぅうう」

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しばらくして、男は目を覚ました。
辺りを見回してみたが、少し遠くでイーブイが気持ちよさそうに寝ているだけだ
腹が空いている。そういえば朝から何も食べていない。
朝食を作っていたミュウツーが何故バトルに…?
ミュウツー…?…ミュウツーは何処だ!?

ガバっと男は起き上がった。全身に痛みが走る
男「い…いつつ……」
あの瞬間、何が起こったのかよく覚えていない…
女は?バトルはどうなった?

イ「すーすぴー…むにゅー。」
男「イーブイ、イーブイ?起きてくれイーブイ」
イ「むにゃ…む?」
男「ミュウツーは?女は何処に行ったんだ?」
イーブイはまるで私は関係ありませんといわんばかりに首をフルフルと元気よく振った。
男「そう…か、とりあえずボールに戻ってくれ」
イーブイをボールにしまうとリザードンのボールを出そうとして
先ほどの戦いで酷く傷ついてしまったことを思い出した。

男「まいったな、空を飛ぶ事が出来ないのか…歩くしかないか」

にしても、何処へ?ミュウツー、何処へ行ってしまったんだ。

827 ID:t3Hffbyr0


男は、ふらふらとした足取りでポケモンセンターにたどり着いた。
ジョーイさんにリザードンを預けて自分も何か食べないと…
ジ「お預かりしたポケモンは、皆元気になりましたよ…ただ」
男「ありがとう、どうしたの?」
ジ「いえ…リザードンの体に残ったダメージが大きいので、
1日ほどお預かりできればちゃんとした治療が出来ると思うのですが」
男「そうですか…すみません、お願いします」
リザードンに乗って空中からミュウツーを探そうと思っていたのだが、徒歩で探すしか無いか。
まさかハナダの洞窟まで帰ってはいないだろう。
もし…戻っていたとしたら、今度他のトレーナーに捕獲されてしまったら俺は…

悪い考えが頭をよぎったが、考えすぎだ、おなかが空いてるから悪い事しか考えないんだ
テーブルに座りモーニングセットを頼んで机に突っ伏した。
ミュウツー…なんで…

女「あら?大丈夫だったんですか?よかったよかった」
顔を上げてみると、そこにはルカリオを連れた女が居た。
女「席、ご一緒していいかしら?」

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男「俺は、あの後どうなったんだ?」
女「覚えてないんですか?」
男「あぁ…全然。」
女「ルカリオとあの子、ミュウツーっていいましたよね。あの戦いに割り込んだでしょ?」
男「そこまでは覚えてるんだ」
女「その後、ミュウツーは男さんを抱きかかえて、号泣しててね
こっち見られた時に私、怖くなっちゃって逃げたんだ」
男「たぶん逃げなかったら危険だったと思うし、それで良かったと思うよ」
女「でね、私達が逃げた後も、ずっとミュウツーは泣きながら男さんを呼んでました。」
男「俺が起きた時にはもう、周りには居なかったんだ」
女「そう、なんですか」
ル「命令も聞かずに襲い掛かり、ご主人様を気絶させて逃げた…か。酷いポケモンだ」
女「やめなさいルカリオ。あなたも私の命令を途中から聞いてなかったでしょうに」
ル「申し訳ありません…」
女「男くん、これからどうするんですか?」
男「うぅん…ミュウツーを探すつもりだよ」
ル「それなら私にお任せください、あの禍々しい波導を今でもはっきり覚えております。」
女「大丈夫?また闘ったりしない?」
ル「お任せくださいませ。ご主人様」
男「ミュウツー…無事でいてくれよ…」

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さて、ご主人様にはああいったものの、あいつには
一言ぐらい言ってやらねば気がすまぬ!
草原を駆けていくルカリオは怒りをあらわにしていた。
禍々しい波導はそう遠くに言ってはいないようだな…
今は波導が移動しては居ない。どこかで休憩しているのか

M「うぅ…主様…ごめんなさい…うぅ…ぐしゅ…」

居た

ミュウツーは今も泣き崩れながら、洞窟の中に居た
しかし、この洞窟、確かリングマの住処だったと思うのだが…一体…

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コツン…
しまった!物音を立てては気づかれる…!?
M「ごめんなさい…主様ァァァァ!迎えに来てくれたんですか!やっぱり私の為に私の為にぃ!」
な!?なんなんだこいつは!?
M「あぁ・・・主様じゃない!???うわああああああああああぁぁぁん!見るな!見るなぁぁぁぁっぁあ!」
ル「ぐぁあああ!や!やめろ!離せ!…アラゴォォォン」
物凄い力で持ち上げられ、吹き飛ばされた。
なんという力を持つポケモンだ…いや、今触られてなかったはず。
まさか、こんなに力の強いサイコキネシスを使うポケモンが居るとは…
まずい、このままではやはり命が危ない!
ル「ま、まて!貴様のご主人様に頼まれてきたのだ!」
M「主様さ、さまからだと…ぐしゅ…なんおようだ!」
ル(なんなんだこの殺気…このポケモン…危険すぎる)


ルカリオは気づかなかった。奥に押し込められたリングマの死体に
気づかなかったルカリオは、幸運だった。
見つけていたら、確実に命を奪われていたに違いないのだから…

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ル「というわけで、連れてきました…ゼェ…ゼェ…」
女「大丈夫?顔色が悪いけども」
ル「も、申し訳ありません。やはり…かなり…錯乱していましたので」
男「な、なんでそれに女さんと俺の間に入るんだ?」
ル「あなた方の距離が近いからです」
ルカリオはきっぱりと答えた。これ以上ミュウツーを刺激してはいけない…
それに女になれなれしくする男を、敵視していない事もなかった。

男は、ミュウツーと目が会うと、すぐさま駆けつけ、抱きしめた。
男「ミュウツー!ミュウツー!大丈夫だったか!」
M「主様ァ!主様ァ!うぅううううう…ぐしゅ…」

女「よかったねぇ…見つかって…ぐしゅ」
ル「何故もらい泣きしているんですか…アラゴーン」


リ「誰も見舞いに来てくれないのか…俺って…」
フ「お腹空いたなぁ…」
イ「もう食べれない・・・むにゃ」

838 ID:7wcGlzc20

女「じゃあ、私たち、行くね」
男「あぁ、すまなかったな。今日は色々迷惑かけた」
女「いいのよ、また今度ちゃんとした形で貴方とは戦いたいわ」
男「あぁ、望むところだよ、女くんのルカリオは見所あるから、楽しみにしてるよ」
ル「私はまだまだ修行不足ですよ。アラゴーン」
男「…なぁ、そのアラゴーンって口癖かなにかか?」
女「鳴き声」ル「え?何の事です?」
…この子たちも複雑な事情がありそうだな。

ル「ミュウツー。一言だけ、いいか」
M「この私にだと?」
ル「貴様の強さは本物だ、しかし、気持ちが制御出来ていなければその強さはただの凶器。
そのご主人様を大切に思うなら、自分を制御しろ…」
M「う…うるさい!キキキサマァアア!」
男「よせ!ミュウツー!」
M「う…主様の仰せのままに」
男(これに懲りて少しおとなしくなればいいんだけども)


数日後、勝手に朝食を食べたイーブイを吹っ飛ばして
ミュウツーが主から厳しくしかられ号泣した事は、言うまでも無かった。

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最終更新:2007年06月16日 14:51