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主!何処です!主!

何故だ、何故私の声が届かない?

ここは…何処だ…

お前は…サカキ…どうしてここに?
後ろに気配、振り返るとそこにはオーキド博士
注射器を持ちながらニヤニヤと近づいてくる。

主…主は、居ない。さっきまでここに居たのに!どうして!?

サカキとオーキドは私を挟むようにジリジリと距離を詰めている。
くそ…!サイコキネシス……!出ない!?いやだ!来るなぁ!来るなァ!


M「がッ・・・はぁ・・・はぁ・・また、夢・・・・?」
「デテイケ」
M「!?…誰だ!」

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ミュウツーは起き上がると周辺を見渡したが気配は無い。
主とその他大勢が静かに寝息を立てているだけ。
よくよく見ると全員到底安らかではない顔で寝ている。
主の苦しそうな顔は見たくない。

また後ろから気配。
そこに間髪居れずシャドーボールを打ち込むが、一瞬で掻き消えてしまった。

「オマエは、強すぎる…危ない力…デテイケ」
不意に影から、白い頭、赤い首元を持つ黒い姿を現した。

M「この悪夢、貴様のせいなのか?」
「・・・デテイケ」
M「質問にも答えず出て行けの一点張りか…私たちは旅の途中だ、明日にでもこの町からは出発する」
「ソウカ・・・」
ぼそりとつぶやくとその黒い姿を持つポケモンはまた影の中へと戻っていった。
M「あ・・・なんだったんだ一体」
主の寝顔を再び見てみると、安らかな寝顔に変わっていたので
私も安心して寝直す事にした。


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男「昨日、嫌な夢を見たよ」
リザ「あ、俺も見たぜ…いやーひどい夢だった」
バナ「…私も見たわ」
イ「僕は見なかったですよ~♪激辛ソーセージ一杯食べる夢みたんですよぉ~(ニコニコ)」
リザ「それは…悪い夢じゃないのか…?」
イ「とっても美味しかったですぅ~(ニコニコ)

M(…あれは…結局なんだったんだ?)
街中を一行で歩きながら、ミュウツーは考え事をしていた。

昨日見た黒い影、やはりアレもポケモンなのか?
どうもこの町に来てから悪夢を見るとは思っていたが、原因はやはりあのポケモンなのか?
一体、何者なんだ…

男「どうしたミュウツー、難しい顔してるけど」
M「あ・・!?いえ!何でもありませんよ」
主に心配させてはいけない。私はとっさに笑顔を作った。
男「ふぅん、ならいいんだけど、あ、それよりさ、この町いいところだし、もう少しここで過ごさないか?」

211 ID:aAKWNKmb0


M「…やめておいたほうがいいと思います。」
男「どうして?ここの広場は腕のいいトレーナーとたくさん対戦できるし、まだあの高い二つの塔にも行ってないしさ」
M「昨日…私はみたんです。その、なんと言っていいか、黒いポケモンが枕元に立っているのを」
リザ「なんだそりゃ?ミュウツー、怪談する季節はもうちょい先だぞ?」
M「違う…!私は本当に見たのだ!」
バナ「怖い夢でも見たんじゃないの?」
M「だから違うって…」
男「ま、まぁいいじゃん、喧嘩するなよ。じゃあ、明日出発しよう、な?ミュウツー」
M「うぅん…まぁ、いいでしょう」

ミュウツー達が歩く少し後ろ、何も無い所に影が出来ていた。
男「よし!じゃあ広場に対戦しに行こう!」
M「主の行くところなら何処までも一緒に!バトルなら任せてください!」
リザ「あんまり張り切りすぎて町壊すなよ…?」

黒い影は、ずっと付いてきていたが、誰も気づかなかった。

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M「ふん!この程度か!」
「くそ!強すぎる!?何なんだよアンタは!」
男「いいぞミュウツー!回り込んでサイコキネシスだ!」
M「仰せのままに!」
とっさに後ろに回りこまれた相手のポケモンは対応しきれずに
背中にサイコキシネシスをぶち込まれて、ダウンした。

男「よし!よくやったミュウツー。お疲れ様」
M「このぐらい、造作無い事です。」

相手トレーナーが男に話しかけてきた。
「イヤー、強いなにぃちゃん。まさか一匹に全滅させられるとは」
男「ふふ、俺が強いわけじゃないですよ。ミュウツーのおかげですから」
「いやいや、的確な指示を出していたよ。あの回り込みなんか見事だもんねー・・・

広場に移動してから、どうもあの気配をずっと感じる…
ミュウツーは男たちが喋っている間に、気配の正体を確かめる事にした。
リザ「あ、おい!何処行くんだよミュウツー!」
M「少し探し物をな、すぐ戻ってくる」

細い路地裏、さっきまで戦っていた広場からそう遠くは無い。
ミュウツーは気配を感じる所へと、テレポートした。
M「この辺なのだが、誰も居ない?気のせい…ではないはず」
後ろから突然強い気配。振り返ると目の前にいた。
昨日のポケモン。
「忠告したはずだ、デテイケ…」
M「ふん、そうしたいのは山々だが、主がこの町を気にいった様なのでな、もう少しは居させてもらうぞ」
「・・・」
突如放たれる黒い光、とっさに避けようとしたがミュウツーは光に包まれてしまった。
M「うわぁ!?何だこれは…う…」

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え…あ…ここは…

そんな、昨日の宿の中、皆…寝ている。

主が起きて、出て行く…主…何処へ行くんだ!

私はここにまだいるのに、置いていかないで!
主!聞こえないのか!
勝手に広場から抜け出したのは誤る!ダカラ!だから!
男「もう、お前の力はいらないよ、ミュウツー」
「そういうこった。じゃあな、ミュウツー」
「短い付き合いだったわね」

「もう貴様の主では無い。これからは私が主と共に行くのだからな」

…!!貴様!何故!

「あはははははははははは!」

皆、笑いながら掻き消えていく。そんな…どうして…

男「ミュウツー!起きろ!おきてくれ!」

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う…うぅん…私は…また夢を
男「気が付いた!良かったぁ~」
目覚めと同時に主にガバっと抱きつかれた。あぁ、なんという幸せ。
あぁ…でも眠い…主に抱きしめられながら、眠れるなら…幸せだ。



男「起きろミュウツー!置いていくぞ!」
え…あぁ、ん?……夢?

体を起こすと、私はまだ宿の中に居た。
全部…夢だった?そんなバカな、夢にしては、鮮明に覚えている。
…ハッキリと覚えすぎている

町へ出る、夢と全く同じやりとり、全く同じ会話内容…これは一体。
広場に付いた。
男「さぁて、対戦対戦っと♪」
私は、また戦闘をするのか、…ん?対戦したポケモンだけが思い出せない。
他の事ははっきりと覚えているのに…

215 ID:aAKWNKmb0


突然誰かが悲鳴を上げた。
広場の中心に突如暗い影が落ちる。その影から出てきたのは
やはり…あいつ。

「あ、あれはダークライ!?」
メガネをかけた白髪の青年が突如叫んだ、そうか、あれはダークライというのか
もうこれは偶然の一致じゃない。明らかにアイツが私におかしな夢を見せている。
今、立っているこの広場が夢じゃないという保障は無いが、
先ほどの悪夢を思い出すと、倒さないと気がすまない。

男「え…お、おいミュウツー!待てよ!」
M「ダークライと言うのか!貴様!」
主の声も無視して私はダークライに飛び掛る
するとダークライはまた影に潜って私は地面を転げた。
男「な、何なんだ今のは…」
「今のは、ダークライ。古くからこの町に住んでいる。悪夢ポケモンだよ…」
悪夢ポケモン…その悪夢ポケモンが何故私を付けねらう…?いや、やはり夢だったのだから、気のせい…?
いや、考えてもしょうがない、とにかく私はダークライを探した。
…いない…気配が消えている。

不気味でたまらなくなり、私は主にすぐにこの町から出る事を提案した。
男「う、うーん、でも二つの塔はみたいなぁ。バトルもまだだし」
M「いいえ!今すぐ出発すべきです!」
男「わ、わかったよ…」

ダークライを倒せなかったのは、心残りだが、もう悪夢は見たくない。
そう、これで、これでいいのだ。

町を離れる一行の少し後ろに、影はずっと付いていった。気配を殺したまま
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最終更新:2007年12月09日 22:13