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**241 ID:+/7hEnwd0 投下スルナラ今ノウチ 朝方ふと目覚めると、主が何かを熱心に読みふけっているのに気づいた。 真剣なその横顔はとても凛々しく、私の心を高鳴らせる。 いつまででも眺めていたかったが、それでは他のポケモン達も起きてきてしまう。 主と二人きりでいられる貴重なひと時、無駄にするわけにはいかない。 私と主が生きるこの時間には邪魔者が多すぎるのだ。 M「主、おはようございます、何をお読みですか?」 主「ああ起きたのか、ちょっとな。」 どうやら書類らしい。たくさんの紙束を糸でまとめたものだった。 主は私の質問には答えず、そそくさとその書類を封筒にしまい、リュックに収めてしまった。 主が私に隠し事をしたのが少しショックだったが、主が読んでいたものだ、 何か高尚な読み物なのだろう。 それからも主は何かを考えているのか、黙ったままどこか遠くを眺めていた。 私が傍にいるというのに、一人の世界に行ってしまうとは。 さすがに面白くないので、いつものように気を引こうと試みる。 M「主、不躾なこととは存じ上げますが、いまだにあのクズ共をお連れになるのは何故ですか?   私が至高のポケモンであることは主もご存知かと思います。   私のスピードとパワーは元より敵う物はおらず、技のさえも日々磨かれ続けております。   先日は悪タイプの苦手な波導なる奥義も会得し、もうヘルガーなんぞには後れを取ることはあり得ません。   これもひとえに私の主に対する強い思いがそうさせるのです。    このままだとクズどもとの実力の差はひらく一方、それではあまりに惨めで流石に気の毒かと思われます。   ここであの者達を置いて行くのも、あの者達に対する最大限の情けと思われますが、いかがでしょうか?」 私が日頃から思っていることを、そっと告げてみる。 これはワガママであることはわかっているし、優しい主に受け入れられることはないだろう。 だがこれで私に関心が向くことは間違いない。 ---- **242 ID:+/7hEnwd0 主「ハァ・・・。」 それは重いため息だった。流石に予想していなかった反応に困惑してる自分がいた。 主を怒らせてしまったのか?どうすれば機嫌を治してもらえる? 一人でオロオロとしている私に向って、主が口を開いた 主「なあミュウツー、死って何だと思う?」 M「と、突然何を。死とは死ぬこと、命が無くなること。体の生命機能が止まることです。   主もご存知かと思いますが。」 主「そうだな。じゃあさ、俺が死んだらお前はどうするんだ?」 俺 が 死 ん だ ら ? 突然の不意打ちに私の思考は完全に停止した。 主が死ぬ?死ねば主はどうなってしまう? 唯の肉塊になり、やがて腐り土に還る。 そこには主の意志も思考も夢も微笑みも優しさもない。 ただただ空虚な世界が広がるだけ。 否だ嫌だ厭だイヤだイヤダイヤダイヤダイヤダ そんな私の様子を主は辛そうに見ていた だが意を決したかのように、言葉をゆっくりと続けた。 主「お前はミュウから生まれた。   お前の体にはしっかりとミュウの細胞が生きている。   ミュウは全てのポケモンの祖であり、そして永遠の存在だ。   ミュウツー、俺はお前を置いて先に死んでしまうだろう。」 主の言葉の一つ一つが私の心を抉っていく。 胸が、痛い。 ---- **243 ID:+/7hEnwd0 主「その日がいつ来るかはわからない。   何十年も後のことかもしれないし、明日やってくるかもしれない。   その時は・・・、俺に、俺なんかに囚われるな。   人間は弱い存在だと、嘲え。俺という鎖から解き放たれたと喜べ。   わかるか?それがお前の生きる道なんだ。」 M「そんなこと・・・、そんなことできるわけないじゃないですか!」 その場で私は泣き崩れていた。 涙が止めどなく流れ、上ずった声が自然と洩れる。 情けない、主には見せたくない姿だった。 だがどうすることもできなかった。 いつか来る哀しみに、感情があふれて止まらなかった。 そんな私に見かねたのか、そっと私を包み込むものがあった。 主の腕のようだ。温もりが伝わってくる。 その腕は痛いほどに暖かかった。 主「悪かった、ミュウツー。   こんなつもりじゃなかったんだ。   俺は大丈夫。お前を置いていったりしないよ。   泣くのをやめろよ。ホラ、不細工な顔になってるぞ。」 主はまるで赤ん坊をあやすように、私に言葉をかける。 その言葉が嬉しくて哀しかった。 情けない。実に情けない。 その頃からだった。主が考え事をする時間が明らかに増えた。 あの書類を読む姿も度々見かけるようになった。 糸売く? ---- **814 ID:+/7hEnwd0 >>243の続き ミュウツーと出会ってそれなりになる。 関係はすこぶる良好。アイツも俺を慕ってくれている。 ポケモンとの信頼関係を築く、 これ以上にトレーナー冥利に尽きるものはないだろう。 ただ時々心配になることがある。 俺にもしものことがあったら、アイツはどうするんだろうかと。 ある日の朝、珍しく俺はミュウツーより早く目が覚めた。 ドードリオだろうか、鳥ポケモンが遠くの方で元気よく鳴いている。 俺は寝床からそろそろと起き出すと、背伸びをして意識を覚醒させた。 朝の風は冷たくて気持ちがいい。アイツの肌の温度に似ている。 そんなことをボンヤリ考えながら、何をしようかと考えていた。 ポケモン達ははまだ起きる気配がない。暇な時間リュックの整理でもしようか。 俺はちょうどいい大きさの切り株に腰をかけると、 リュックを逆さまにして中のものをぶちまけた。 ミュウツーに頼めばサイコキネシスでささっと片づけるのだろうが、 あまり見られたくないものもある。自分でやってしまおう。 ---- **815 ID:+/7hEnwd0 荷物を眺めてみる。旅の記憶が蘇る。 一つ一つにポケモン達の笑顔がたくさん詰まっている気がする。 その中に紙の束を見つけて手に取った。 誰かが描いたレポート、ミュウツーについてのものだった。 パラパラとめくって見ただけなので、内容はよくわからない。 だが、なにか心に残るものがあったので、ポケモン屋敷から失敬したのだった。 そのことを考えると、アイツとの出会いも運命だったのかもしれない。 俺はそれを手に取ると、前よりは注意深く読んでみる。 といっても難しくて半分もわからなかったが。 目についた言葉を追いながら、情報を拾っていった。 その中に、俺は気になる言葉を見つけた。 何気なくサラリと書かれた言葉に、俺は釘づけになった。

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