樺島先生が法相に提出した本件に関する上申書


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■ 樺島正法先生が長勢法務大臣に提出した本件に関する上申書


8月1日、本件リーク疑惑の真相解明にご協力を頂いている樺島正法先生が、
長勢法務大臣に対して、新司法試験の公平な採点と受験生の救済を求める上申書を提出しました。

このたび、樺島先生から当まとめサイトの情報提供コーナーに宛てて、上申書の写しをお寄せ頂きました。
その内容は、本件リーク疑惑に関する今までの流れを全て網羅するとともに、昨年度の疑惑に関しても言及のある、
事件情報としての価値が非常に高いものになっています。

樺島先生による刑事告発のページでは手狭になりましたので、上申書は新たにこちらのページにて公開いたしました。
本件に関する樺島先生のご尽力に、われわれ受験生一同より、深く感謝いたします。


■ 樺島先生が、公平な採点を求める上申書を長勢法相あてに郵送しました!

公平な採点求め上申書 「委員に偏り」と教授ら   2007年8月1日 17時26分   東京新聞

実際の問題と似た論点を考査委員の植村栄治・慶応大法科大学院教授(57)が学生に伝えていた5月の新司法試験をめぐり、神戸学院大法科大学院の樺島正法教授(62)らが1日、公平な採点を求める上申書を長勢甚遠法相あてに郵送した。

上申書は「現行の試験は一部の有名大学に考査委員が偏っており、西日本に不利だ」とも主張。
関西大(大阪府)と関西学院大(兵庫県)の両法科大学院も7月、同様の要望書を法務省に提出しており、試験の公正さを問う声は今後もくすぶり続けそうだ。

郵送したのは、樺島教授ら神戸学院大法科大学院の教授6人と土屋公献元日弁連会長ら計31人。「不利益を受けた受験生の救済を図るべきだ」などと要請している。

樺島教授らは国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで植村教授を東京地検に告発する準備も進めており、「受験した学生からも憤りの声が上がっている」としている。   (共同) 

今朝の神戸新聞にも掲載されましたが,以前報道されたとおり,
昨日,平成19年8月1日,取り急ぎ法務大臣宛に上申書を提出しました。
この上申には既に多くの学者,弁護士,市民の賛同を得,上申書に名を連ねていただきました。
また,今回の上申までに賛同の意志を確認できなかった関係者や
市民の皆様につきましては,第2弾,第3弾の上申を予定しています。
上申や告発の趣旨にご賛同の皆様は,樺島法律事務所まで御一報されたし。
 -- 弁護士樺島正法 (2007-08-02 12:22:38)

■ 樺島先生の連絡先(アドレス違いにご注意ください)
〒530-0047
大阪市北区西天満3-8-13 大阪司法ビル301号 樺島法律事務所
TEL 06-6365-1847 FAX 06-6365-1822
E-mail m-kaba@kabashima-law.jp


■ 樺島先生が法相に提出した上申書の全文および司法試験法の改正案

樺島先生から当サイトにお寄せ頂いた原稿は、全二部構成となっており、
その第一部は、樺島先生が長勢法務大臣に提出された、本件に関する上申書です。
第二部には、新司法試験考査委員会からの「是正措置を要しない」との発表を受けて、樺島先生が作成された、
司法試験法の改正案および、改正を要する理由が記載されています。

特に、第二部においては、本件漏洩疑惑に関して今までに起きた事態の推移がほぼ全て網羅されていることに加えて、
昨年度の新司法試験における、債権譲渡特例法に関する疑惑についても、「4.司法試験法の問題点」において、
現在の司法試験制度の構造的欠陥に由来する一例であるとして、言及されています。
これらは、本件を含めた一連の漏洩疑惑に関し、その全体像を把握するために、非常に有用と思われます。

それでは、樺島先生による上申書および、司法試験法の改正案をご覧下さい。


第一部 上申書


上申書
平成19年 月  日

〒100-8977 東京都千代田区霞ヶ関1-1-1 
法務大臣  長 勢 甚 遠  殿


上申者代表       弁護士   樺島正法
(上申者 別紙の通り)
連絡先 大阪市北区西天満3丁目8-13-301号  樺島法律事務所


第1.上申の趣旨
1 はじめに
私たちは、いずれも法科大学院にかかわりと関心を持つ研究者、法律家、市民であるが、平成19年度新司法試験(以下「本件試験」と略す)における、試験考査委員である慶応義塾大学法科大学院教授の植村英治教授による、いわゆる試験問題漏洩事件に端を発し、本件試験の受験者はもとより、それに続く学生たちからも、強い不信と不安の声が上がっており、現場にかかわるものとして看過できず、法務省に対して、真相の究明を図り、事実上不利益的取り扱いを受けた他の受験生の救済をはかるとともに、本件試験の全般にわたる再調査と今後の公正・公平な司法試験制度の確立をする処置を取られたく以下のとおり上申に及ぶものである。
2 本件試験の取扱いについて
本来、全受験生を対象とした再試験が実施されるべきである。が、不可能であると思料されるので、少なくとも次の処理がとられるべきである。
(1) 慶應義塾大学出身で当該考査委員より指導を受けた受験生と一般の受験生の得点偏差を分割分析し、両者を平準化すること。
(2) 本件以外にも司法試験考査委員による当該校での不公正な指導が存在すると流布されているので、すべてにわたって再調査をし、問題がある場合には前記同様の処置をとること。
(3)  本件試験における論文試験のすべての評価方法を再検討し、本年度に限り、採点基準の上限と下限につき、その幅を縮め、客観性を担保すること。
3 今後の対応について
(1) 法科大学院の教授を司法試験考査委員からすべて除外し、法科大学院とかかわりのない学者・実務家によって構成すること。
(2)  採点基準を公表し、公正を期すこと。

第2 上申の理由
1 本件試験の再調査の必要性
(1)  今回の植村教授のいわゆる漏洩問題は、単に一考査委員の資質や責任に解消すべきではない。そもそも司法試験問題を作成する立場と、法科大学院の教授として教える立場とでは、利益相反が起こる可能性が高い。すなわち、みなし公務員としての立場で誠実に問題作成しこれを漏洩しないことと、一方で司法試験受験生を抱えて一人でも多く合格者を出すべき教授としての立場は、同時に二つの帽子をかぶるがごとく、成り立ちがたいことである。
植村教授のいわゆる漏洩事件は、課外学習において生じたものであるが、それが授業の中であっても、問題の性格を異にするものではない。
試験考査委員が、担当授業において、「ここは重要である」と強調し、トレーニングをすることによって、実質上出題問題を暗示することが可能であり、このことは、すでに昨年度から指摘されていたが表面化しなかったにすぎない。
(2)   また、「採点基準」は公表されていないが、これを知ることは、極めて効果的な受験対策となり、知るものが優位に立つ。そこで、この採点基準が試験考査委員によって漏洩されることは十分にありうる。
現に新聞は、大宮法科大学院の考査委員の教授が自校で「採点基準」を配布したことを報じたところである。
この際、全科目について、果して公正な試験が実施されたかにつき再調査されるべきであると思料する。
(3)   さらに、上記のような問題をはらむが故に、法科大学院の教授を司法試験考査委員から制度的に除外しておくべきであるし、採点基準はむしろ公表するべきである。

2 上申の趣旨の願い
わが国において、法曹となるためには、現在一部の例外を残しているものの、原則として、法科大学院を卒業し、司法試験に合格することが義務付けられている。従って、法科大学院における授業や個別指導のあり方は、法曹養成の根幹にかかわる。
植村教授に象徴される今般の事象は、その教育の場において生じた不祥事であって、このまま見逃すことは、国民不信を招き、やがて司法に対する信頼を崩壊する結果にいたることは見やすい。徹底的な真相の究明を通して、すべての問題点を明らかにし、その上で今後の対策をとられるようお願いする次第である。


第二部 司法試験法改正案


この上申書を提出した翌日、司法試験委員会の決定が、法務大臣官房より発表され、
現行法制度の制度的瑕疵を痛感するに至りました。

そこで、法律改正案を作成し、広く国民ならびに政党各党に
働きかけようとしています。
ご指示ご鞭撻宜しくお願い致します。

平成19年度新司法試験における問題
事前漏洩問題に対する法律改正仮案
平成19年8月10日

弁 護 士 樺 島 正 法
第1 改正の趣旨
1 改正の要点
① 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、法科大学院教員を 兼ねることができないこと
② 法務大臣は、司法試験委員会並びに試験考査委員及び司法試験に関する重要事項に ついては、第三者委員会を設置して、その判断・決定に委ねる。
2 司法試験法の改正案
(1)改正前法12条2 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
二.法務大臣の諮問に応じ、司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項について調査審議すること。
改正後法12条2 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
二.法務大臣の諮問に応じ、司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項(司法試験委員会並びに試験考査委員及び司法試験にに関する重要事項を除く)について調査審議すること。
改正後法12条4 法務大臣は、司法試験委員会並びに試験考査委員及び司法試験に関する重要事項については、第三者機関を設置して、その判断・決定に委ねる。

(2)改正前法15条 委員会に、司法試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験考査委員を置き、予備試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験予備試験考査委員(以下この条及び次条において「予備試験考査委員」という。)を置く。
2 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、委員会の推薦に基づき、当該試験を行うについて必要な学識経験を有する者のうちから、法務大臣が試験ごとに任命する。
3 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、非常勤とする。
改正後法15条 委員会に、司法試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験考査委員を置き、予備試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験予備試験考査委員(以下この条及び次条において「予備試験考査委員」という。)を置く。
2 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、委員会の推薦に基づき、当該試験を行うについて必要な学識経験を有する者のうちから、法務大臣が試験ごとに任命する。
3 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、法科大学院教員を兼ねることができない。

第2 改正の理由
1.新司法試験の概要(Wikipediaより引用、訂正)
(1)新司法試験とは?
新司法試験(しんしほうしけん)は、日本における法曹資格付与のための試験の1つであり、平成14年改正(法律第138号)後の司法試験法に基づいて行われる資格試験。
新司法試験は平成18年度から開始され、平成18年から平成23年までの制度移行期(移行期間)においては新司法試験と従来の制度による司法試験(旧司法試験)とが併存している。司法試験の移行期間においては、原則として新司法試験か旧司法試験のどちらか一方を選択して受けなければならない。
新司法試験に合格した者は、司法修習を行い(最高裁判所により司法修習生に採用されることが必要)、さらに司法修習の最後にある司法修習生考試(いわゆる二回試験)を通過することで法曹(裁判官、検察官、弁護士)になることができる。

(2)新司法試験の受験資格
移行期間においては、新司法試験を受験するためには、法科大学院課程を修了することが必須条件である。すなわち法科大学院を修了した者は、その修了日後の5年度内に3回の範囲内で新司法試験を受験することができる。(移行期間終了後は旧司法試験が廃止され、法科大学院を修了していない者は予備試験を受験して新司法試験の受験資格を得ることになる。3回の受験制限規定においては、法科大学院修了前2年間の旧司法試験の受験についてもカウント対象となる。)

(3)新司法試験の制度の概要
新司法試験は、短答式による筆記試験(短答式試験)及び論文式による筆記試験(論文式試験)から構成される。旧司法試験とは異なり口述試験は廃止されている。

①短答式試験
短答式試験は、法曹となろうとする者に必要な専門的な法律知識及び法的な推論の能力を有するかどうかを判定するために行われる試験であり、5月下旬に行われる(平成19年度は5月15日(火))。
試験科目は、公法系科目(憲法及び行政法)、民事系科目(民法、商法及び民事訴訟法)、刑事系科目(刑法及び刑事訴訟法)の3科目である。平成18年度の場合、公法系科目は1時間30分、40問、100点満点、民事系科目は2時間30分、71問、150点満点、刑事系科目は1時間30分、40問、100点満点であった。旧司法試験とは異なり、絶対的評価(各科目とも満点の40%以上が必要で、総合で満点の60%以上が必要(2006年))により短答式試験の合否が決せられる。
後述の通り論文式試験は短答式試験の翌日以降に行われることから、短答式試験の合否は論文式試験開始の時点では明らかにならない。そのため、新司法試験の受験者は全員論文式試験も受験するが、短答式試験に不合格の者については論文式試験の採点はされない。

②論文式試験
論文式試験は、法曹となろうとする者に必要な専門的学識並びに法的な分析、構成及び論述の能力を有するかどうかを判定するために行われる試験である。日程は、5月下旬の3日間(短答式試験の翌日から)である(平成19年度は5月16日(水)、18日(金)、19日(土))。
初日:選択科目(3時間、2問、計100点満点)、公法系科目(4時間、2問、計200点満点)、二日目:民事系科目第1問(2時間、100点満点)、民事系科目第2問(4時間、200点満点)、三日目:刑事系科目(4時間、2問、計200点満点)の時間割で、文章にて解答する形式で行われる。なお選択科目は、倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)の8科目から1科目を選択する。
法律上の論点を含む比較的長めの事例(何ページかにわたる資料が付いている場合もある。)が与えられ、それに対する法的判断を問われるものが中心である。
参照物として、「新司法試験用法文」とよばれる最小限の条文のみが記載された小型六法が貸与される。
論文式試験においても最低必要点が設定されており、1科目でも満点の25%に満たない場合には不合格となる。
問題の難易度は、まだ確かな傾向が定まっていないため評価が難しい。しかし、第1回目の試験内容を見る限り、旧司法試験より問題の難易度については上がっているようである。合格の難易度については、合格率だけに着目すれば新司法試験の方が高いが、新司法試験受験者は法科大学院の入学試験及び卒業までの課程においてすでに選抜を受けていること、受験科目数の増加、受験回数制限等の諸々の条件の違いがあり、やはり直接の比較は難しい。

③合格判定
短答式試験の合格者の中から論文式試験のみで不合格となった者を除外した上で、短答式試験の成績と論文式試験の成績を総合評価して合格者を決定する。

④試験結果
受験者数
2006年度(平成18年度)に行われた第1回の新司法試験の出願者数は2137人、出願者のうち大学院を修了して受験資格を有した者が2125人で、1日目の受験者数は2091人であった。
なお、平成18年新司法試験受験回数調(平成18年9月26日付け法務省大臣官房人事課作成)によれば、平成18年新司法試験においての受験回数別内訳(旧司法試験受験を含む)は、1回目が1669名、2回目が402名、3回目が20名であった(合格者は1回目が748名、2回目が247名、3回目が14名)。少なくとも6名の者が受験回数制限により司法試験本試験の受験資格を喪失したことが推定される。
2007年度(平成19年度)の新司法試験の出願者数は5401名、受験資格を得た者は5280名である。合格者数が予定通り昨年の2倍程度とされれば、合格率は37%程度になるものと見込まれる。

合格者数
2006年度に行われた第1回の新司法試験では、有受験資格者2125人中、合格者は1009人だった。合格率は48.35%となり、数%の合格率であった旧司法試験よりも数字上は大幅に競争が緩和された。また、2007年度(平成19年度)新司法試験の合格者数はこの2倍程度が一応の目安とされている。2007年度以降は、法学未修者コース(3年コース)修了者や前年度不合格者も受験することから受験者数が大幅に増加し、合格率は30%前後に下落すると予想されている。しかし、2007年度における受験者が4607名にとどまったことから、予想より合格率はやや高くなる見込みである。
2007年6月22日に司法試験委員会は合格者数の目安として、2008年は2100~2500人、2009年は2500~2900人、2010年は2900~3000人とすることを発表した。

2.平成19年度新司法試験における問題事前漏洩問題とは
(1)問題の概要
平成19年度新司法試験考査委員でありかつ慶應義塾大学法科大学院教授であった(共に既に免職)植村栄治氏が、平成19年度新司法試験問題作成に関与した後、慶応義塾大学法科大学院内で、同大学院生であり本件試験を受験する予定の者に対し、同平成19年2月から3月にかけて新司法試験対策の演習講座を合計7回実施し、その中で本件試験の行政法分野の論文式試験出題にかかる法律上の問題点について、詳細且つ反復して解説を行ったこと、また植村氏は右法律上の問題について、注意を促す内容のメールを受講生に対し送信したが、植村氏が当時既に試験問題を作成し終わった考査委員であったという事実と併せ、職務上知り得た秘密を漏洩する行為にあたり、公務員法違反(秘密漏洩罪)に該当する、という問題である。
加えて、植村氏は同講座の受講生を対象に、本件試験直前の4月、直前に重点的に勉強しておくべき過去の裁判例を合計6件メールで配信し、そのうち一つが本件試験に出題されたが、当該問題の全体の正答率がその他の問題に比べて著しく低かったのに対し、同大学院出身者の正答率が比較的高かった事実が明らかであり、植村氏が当時既に試験問題を作成し終わった考査委員であったという事実と併せ、職務上知り得た秘密を漏洩する行為にあたり、公務員法違反(秘密漏洩罪)に該当する、という問題である。
また、植村氏は法科大学院における憲法の教育課程上、取り扱いの希な都市計画法に基づく地方公共団体の処分の憲法上の問題点について、特に都市計画法を取り上げて詳細に解説するなどして、受講生に周知徹底して、植村氏が当時既に試験問題を作成し終わった考査委員であったという事実と併せ、職務上知り得た秘密を漏洩する行為にあたり、公務員法違反(秘密漏洩罪)に該当する、という問題である。
(2)問題の発覚と報道
本件試験において植村氏による試験問題事前漏洩があったのではないか、との疑惑が明らかになったのは、インターネット掲示板(2ちゃんねる)に、慶應義塾大学法科大学院卒業生が運営するブログ(簡易なホームページのようなもの)内に漏洩事実の告発がされている、との書き込みがなされ、これを閲覧した本件試験受験生を含むインターネット利用者が騒ぎ、関係者が情報の信憑性について様々な証拠をもってこれを明らかにしていったことに由来する。
その後有志によって、「まとめのサイト」なるホームページが設営され、ここにインターネット掲示板その他の情報源から引用された情報が集約されるようになった。これを受けて読売新聞などの各新聞社が本件漏洩問題を大きく報道し、国民の間に知れ渡るところとなった。
(3)問題に対するこれまでの動き
①自民党・民主党の各議員が衆議院法務委員会において本件問題につき質問をされ、これに対して法務大臣等が答弁を行った。
②有志らによって法務大臣に対して情報公開請求がされた。
③関西大学と関西学院大学が連盟で司法試験委員会に対して要望書を提出した。
④大阪弁護士会所属弁護士樺島正法氏ら弁護士や市民約30名が、事態の調査と公正の回復を求めて、法務省に対して上申書を提出した。
⑤上記樺島正法弁護士ら弁護士や市民多数が、正義の回復、司法制度に対する国民の信頼の回復、司法の公正性の回復を求め、漏洩を行った植村氏に対する公務員法違反事件で告発を行うことが新聞報道された。
⑥本件について独自に調査を進めていた司法試験委員会は、本件試験について漏洩がなされた事実を確認できないとして、得点調整などの特段の対応を採らないことを決定した。
⑦植村氏はまず、考査委員を解任され、次いで慶應義塾大学法科大学院からも退職した。

3.司法試験法の概要
(1)司法試験の目的
司法試験法第1条  司法試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。
3 司法試験は、第4条第1項第1号に規定する法科大学院課程における 教育及び司法修習生の修習との有機的連携の下に行うものとする。

(2)司法試験等の実施方法
法第2条  司法試験は、短答式(択一式を含む。以下同じ。)及び
論文式による筆記の方法により行う。
2 司法試験の合格者の判定は、短答式による筆記試験の合格に必要な成 績を得た者につき、短答式による筆記試験及び論文式による筆記試験の 成績を総合して行うものとする。
法第7条  司法試験及び予備試験は、それぞれ、司法試験委員会が毎年1回以上行うものとし、その期日及び場所は、あらかじめ官報をもつて公告する。

(3)合格者の決定方法
法第8条  司法試験の合格者は司法試験考査委員の合議による判定に基づき、予備試験の合格者は司法試験予備試験考査委員の合議による判定に基づき、それぞれ司法試験委員会が決定する。

(4)司法試験委員会
法第12条  法務省に、司法試験委員会(以下この章において「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
1.司法試験及び予備試験を行うこと。
2.法務大臣の諮問に応じ、司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項について調査審議すること。
3.司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項に関し、法務大臣に意見を述べること。
4.その他法律によりその権限に属させられた事項を処理すること   。
3 委員会は、その所掌事務を行うため必要があると認めるときは、関係 行政機関又は関係のある公私の団体に対し、必要な資料の提供その他の 協力を求めることができる。
法第13条  委員会は、委員7人をもつて組織する。
2 委員は、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験を有する者のうちから 、法務大臣が任命する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の 残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
5 委員は、非常勤とする。
法第14条  委員長は、委員の互選に基づき、法務大臣が任命する。
2 委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に故障のある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。
法第15条  委員会に、司法試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験考査委員を置き、予備試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験予備試験考査委員(以下この条及び次条において「予備試験考査委員」という。)を置く。
2 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、委員会の推薦に基づき、当該試験を行うについて必要な学識経験を有する者のうちから、法務大臣が試験ごとに任命する。
3 司法試験考査委員及び予備試験考査委員は、非常勤とする。
法第16条  12条から前条までに定めるもののほか、委員会の委員、司法試験考査委員及び予備試験考査委員に関する事項その他委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

4.司法試験法の問題点
(1) 司法試験委員会は司法試験を行い、その合格者を決定する一方で、法大臣の諮問に応じ、司法試験の実施に関する重要事項について調査審議し、法務大臣に意見を述べる(法第7条、第8条、第12条2項1号、同2号、同3号)。
したがって、司法試験員会は今回のように、考査委員による問題事前漏洩がなされた場合、自ら内部で事実を調査し、試験への対応を決定する権限を有する。
しかし、司法試験は国家三権の重要な一翼を担うべき司法権を司る法曹選抜試験であるところ、その性質上試験の公正性が厳格に保障されねばならないにもかかわらず、内部で不正が生じた場合、これを調査すべき機関が、公正性を疑われる機関自身であるため、到底司法の公正性を担保しうるに足る制度的保障がなされているとは言えない。
(2)委員会に、司法試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため司法試験考査委員を置く(法第15条1項)。司法試験考査委員は、委員会の推薦に基づき、当該試験を行うについて必要な学識経験を有する者のうちから、法務大臣が試験ごとに任命する(法第15条2項)。
したがって、法律上考査委員を法科大学院教員から任命することが禁止されておらず、また、現に法科大学院教員から任命されている。
しかし、新司法試験制度が法科大学院修了生を対象に実施されるものであること(法第4条1項1号)に照らせば、司法試験問題の作成に関与した考査委員が、法科大学院教員の地位で、法科大学院生に対して、試験問題として採用された法律上の問題点や、これを問うべき具体的事案並びに関係法令について、大学院内外で講義・解説を行なうことを避止するに足る制度的保障がなされていない。
特に、新司法試験制度発足当時、法科大学院修了生の新司法試験合格者をその7~8割と想定していたにもかかわらず、蓋をあけてみればそれが4~5割であり、今後これが約3割程度にまで下落すると下方修正されている。こういった状況の中では、各法科大学院は、法曹たる資質を涵養した修了生を輩出すべしという当初の理念を維持実現する暇なく、新規学生募集・大学院の維持を目的として、その生き残りをかけて新司法試験合格者数を増加させようと近視眼的な小手先の対策に翻弄されざるを得ない。この、新司法試験問題を作成し採点する司法試験委員会の考査委員が法科大学院教員を兼任する現行の法制度の下では、これらの者が自分の法科大学院の学生・修了生に対して、自ら作成に関与した試験問題を、直接的・間接的に、明示的・暗示的に、大学院の正規授業・課外講座の内外で、示したくなるのは人の情の理である。現に、本件植村氏による漏洩事件以前にも、特定の考査委員が特に問題意識をもっていた法律上の問題点であり、一般の法科大学院教員並びに法学者が周辺知識として重要視していなかった争点について、自ら法科大学院において詳細な解説を行なった後、これを当年の新司法試験論述式試験問題として採用した、との事実が出回っている。
このような司法試験問題の漏洩事件の原因は、試験問題を作成した、あるいはこれに関与した考査委員が、法科大学院で教鞭をとる、という制度上の欠陥にあるのであり、このような制度からして司法試験の厳格性と法科大学院教員たる地位という利益相反は避けられないのである。


樺島正法先生、本当にありがとうございました。
樺島先生が作成された上申書や司法試験法の改正案に関して、ご意見やご感想がありましたら、
樺島先生のアドレスまで、メールでお寄せ下さい。
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