先生:これから国語の授業を始めます。今日は、「赤い蝋燭」という物語を読んでみましょう。まず、みんなで音読してください。
先生:はい、ありがとう。みんな大きな声でよく読めました。
この物語の中で、猿は何を拾ったのだっけ?
児童:ろうそくー!!
先生:そうだね、ろうそくを拾ったのだよね。だけど猿は、ろうそくを何と間違えたのかな?
児童:花火!!
先生:そうだったね。みんなは花火ってどのようなものか知っている?
児童:花火が上がっているのは見たことがあるけど、本物はなーい。
私もー。
爆弾みたいだって聞いたことがある。
私知っているよ。丸くて紐みたいなものがついているのだよ。
先生:そうだね、丸くて爆弾みたいだよね。みんな花火が上がっているのは見たことがあっても、どのようなものかはあまり知らなかったようだね。
でも、どうして猿は、ろうそくを花火だと思いこんでしまったのかな?
児童:わかんなーい。
似ていたからかな。
先生:もう1度よく読んでごらん。
児童:あっ!36ページに、赤いろうそくはたくさんあるものではないって書いてある。
だから花火と思いこんだって書いてある。
猿は花火を知っていたからじゃないかな。
先生:ほんとだ。赤いろうそくはたくさんあるものでないって書いてあるね。
それに、花火を知らなかったら、間違えないよね。
そして、猿は拾ったろうそくを持って帰ったけど、どうなったのだっけ?
児童:騒ぎになった。
先生:どうして騒ぎになったの?
児童:猪は見たことがなかったから。
うさぎもー。
亀もー。
先生:そうだね。動物達はみんな花火を1度も見たことがなかったのだよね。動物達はろうそくを覗いたけど、猿が何か言ったよね。猿が言った言葉を読んでください。
児童:危い危い。そんなに近よってはいけない。爆発するから。
先生:花火を見たことのない動物達はこれを聞いてどう思ったと思う?
児童:花火って危ないんだ。
花火はこわいな。
花火に近づいてはだめだな。
先生:そうか。この猿の言葉は、動物達をこわがらせてしまったのかあ。
みんなが、動物達の立場だったら、どう思う?
児童:びっくりしたな。
こわいよー。
花火ってこういうものなのか。
先生:そうだね、爆発するなんて言われたらこわくなってしまうよね。
だけど、猿が「花火を打上げて見よう」と言った時、動物達はどうした?
児童:大変喜んだって書いてあるよ。
先生:どうして喜んだのかな。花火はこわいって思ったのに、どうしてだろうね。
児童:美しいって知ったから。
猿から花火の説明を聞いたから。
うっとりしたから。
先生:猿が美しい花火の説明をして、うっとりしたのだね。
花火を打上げることになって、何が起こったのだっけ。
児童:誰も花火に火をつけようとしなかった。
先生:どうしてだろうね?みんな花火を見たくなかったのかな?
児童:違うよー!花火は見たかったのだよ。
花火を見るのを楽しみにしてたのだよ。
先生:では、花火を見たいのにどうして火をつけなかったのかな?
児童:きっとこわかったのだよ。
爆発すると思ったから。
危ないから。
先生:なるほどー。教科書にも、「みんな花火を見ることは好きでしたが、火をつけにいくことは好きでなかったのであります。」と書いてあるね。でも、どうして動物達は花火を見ることは好きで、火をつけにいくことは好きではないのかな?
児童:猿から花火のことを聞いたから。
そうだ、猿の言ったことを信じたからだ。
火をつけることは危険なことだと思ったから。
先生:そうだね。猿から花火のことを聞いて、見ることが好きになったし、爆発すると聞いてこわくなって、火をつけにいくことが好きではなくなったのだね。
みんながもし動物達の立場だったらどうかな?花火に火をつけにいくことができる?
児童:できない。
花火を見るだけがいい。
僕は火をつけにいく。
先生:そっかー。花火を見るだけがいい人もいれば、火をつけにいくって人もいるのだね。
結局、動物達はどうしたの?
児童:くじで火をつけにいく動物を決めたの。
亀と鼬と猪がつけにいくことになった。
先生:火をつけることができた動物はいたのかな?
児童:猪がつけた。
猪は勇敢だった。
先生:そうだね。猪は火をつけることができたのだよね。動物達は花火を見ることができたのだっけ?
児童:見れなかったよ。
先生:みんなどうしたのだっけ?
児童:草むらに飛込んだの。
耳と眼をふさいだの。
先生:みんな花火を見たかったのだよね?それなのに、どうして耳ばかりでなく眼もふさいでしまったのかな?
児童:爆発すると思ったからかな。
思わずやってしまったのかもしれない。
こわかったから。
先生:だけど、火をつけてくれた猪は、動物達の行動を見てどう思ったかな?
児童:せっかく火をつけたのに。
勇気をだしたのに。
悲しいな。
先生:そうだよね。勇気をだしてやったのに、みんなが眼までもふさいでしまうなんてすごく悲しくなるよね。
動物達は、火をつけてくれた猪のことを考えてあげられたのかな?
児童:みんな自分のことしか考えてなかったと思う。
猪のことを考えていたら、眼もふさがなかったと思う。
先生:自分さえよければいい、自分さえ危ないおもいをしなければいいと思っていたら、他の人の気持ちや苦しみがわからないね。みんなは、どうかな。自分さえよければそれでいい?
みんなが夏に花火大会で見る花火も、危険なおもいをしながら必死に花火を打上げてくれている人達がいるから、みんなは安心してきれいな花火を見ることができるのだよ。先生はみんなに、今年の夏休みは、このことを思い出して花火を見てほしいな。
先生:最後はどうなったのだっけ?
児童:ろうそくは静かに燃えているばかりだった。
先生:本当は花火ではなかったのだもんね。この後、動物達はどうしたのだろうね。何を思ったのだろうね。自分が考えたことを、ノートに書いてください。
これで、国語の授業を終わりにします。
高原