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泉涌伝

物語


―― その本が気にいった?
――― よしよし、ゆっくり読んで行くがよい。
―――― 今日もこの本屋は閑古鳥が鳴いておるでのう……



その物語はここらが『都』と呼ばれていた頃のお話です。
どのぐらい昔なのか、どんな時代だったかは定かではありません。
一人の無名の作家が記したのは、ある一人のお姫様のお話。
涌き出る泉をイメージするような、綺麗で、美しく、強いお姫様のお話です……。


ある日から、都に『義賊』と名乗る二人の盗賊が現れるようになりました。
義賊の二人は、悪巧みを考える者たちを懲らしめると、不正に儲けられた金銀を奪い、それを町人に配り渡るのです。
都の人々は口々に噂しました。

ある者は、義賊を猛々しい武者だったと。
ある者は、しなやかな長身の美しい侍だったと。
ある者は、空を飛びまわる鳥の妖怪だったと。

一方で、都の人々が崇める一人の姫がおりました。
姫の名は壬生泉姫、長く深緑の髪が美しい若い女の子です。
しとやかで、病弱で、優しくて、美しくて……。
こちらでも人々は自らが慕う姫のことをそう謳っておりました。
長旅を終えた姫が都を通る日、そのお姿を一目見ようと都の大通りには人だかりができます。



泉宮と呼ばれるお屋敷に帰ったお姫様は、お付きの陰陽師に聞きました。

「私がいない間、何か問題はなかった?」
「本日、裁いた漆黒家が荒稼ぎしたと思われる金銭が、未だ回収されておりません」

お付きの陰陽師のお話に、お姫様はにんまりと笑顔を浮かべました。
その表情は、都の民が謳うようなおしとやかな姫とは少し印象が違います。
そして、お付きの陰陽師に対して、こう叫びました。



「お仕事よ、暁! 今夜、やるわよ!!」



概要

制作ソフト:RPGツクール2000