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s_aki02_1 | 東泉寺晶個別2 シーン2-1 スタート

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;背景(廊下)
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声優の体験レッスンから8日が過ぎた。

あのレッスン以来、オレは西友の練習に付き合ったり、東泉寺と遊んだりと、わりと充実した高校生らしい日々を過ごしている。

もっとダラダラした高校生活を想像していたが、これも悪くない。

今日は西友の練習に付き合う日だ。頑張ろう。


授業後、オレはまっすぐ部室に向かった。西友のと練習は結構疲れるし、その前に合同練習もあるから少しでも部室で休もうと思っていたのだが……

<東泉寺 晶>
「ハ~ヤト~ン!」

東泉寺につかまってしまった。こいつ意外に真面目に毎日合同練習に出てるみたいなんだよな。

<坂本 隼人>
「おう。早いな。じゃ、オレは部活始まるまでちょっと寝るから……」

<東泉寺 晶>
「ねえねえ、今日の合同練習終わったら遊びに行こうよ!」

眠いのに……。

<坂本 隼人>
「寝ると言っているだろ? まあ、それは置いておいて、今日は遊びには行けないな」

<東泉寺 晶>
「え~! なんで~? ハヤトンいっつも暇じゃん! ヒマトンじゃん!」

<坂本 隼人>
「変なあだ名をつけるのはやめろ。ヒマセンジ。今日は西友の練習に付き合う日なんだ。悪いな。また今度な」

<東泉寺 晶>
「う~、この前は放課後遊んでくれるって言ってたのに~」

<坂本 隼人>
「暇だったらって言ったろ? 今日は西友と約束があるんだ」

<東泉寺 晶>
「ハヤトンこの前もそう言ってたよ? ナルコばっかりひいきだ~」

東泉寺はふくれっ面で口を尖らせている。こうなってしまうと厄介なんだよな。

<坂本 隼人>
「ひいきじゃないって。西友と2人での練習は今日で2回目だけど、東泉寺とは先週ゲーセンに行ったし、昨日も買い物に付き合ったから同じ2回で平等じゃないか」

<東泉寺 晶>
「うわ~、いちいち遊んだ回数数えてるんだ~。キモ~」

コイツ……いや、ここでアツくなってはいけない。あくまで冷静に対応しよう。疲れていて眠いから余計なエネルギー使いたくないしな。

<坂本 隼人>
「それは悪かったな。でも、東泉寺は友達多そうじゃないか。 今日はオレ以外のヤツを誘ってくれよ」

<東泉寺 晶>
「みんな部活で忙しいんだよ~。ユルい部活に入ってるコもバイトとかしてるし。暇人はハヤトンだけなの!」

むしろ暇なのは東泉寺のほうだと思うが、それを言っても効果的ではない。今言うべき言葉はこれだ!

<坂本 隼人>
「ごめんな東泉寺。西友とは先に約束してたからさ、すっぽかすわけにもいかないんだ。それに東泉寺だって、西友の練習を邪魔したくはないだろ?」

東泉寺、オレはお前が本当は心の優しい人間だということを知っている。だから東泉寺のワガママが西友の練習の邪魔になるのだと諭してやれば、お前は引き下がるしかないのだ。すまんな、東泉寺。

<東泉寺 晶>
「う~」

よしよし、効いてるな。あとは多少フォローしておけばいいか。

<坂本 隼人>
「まあ、でも西友との練習が終わったあとなら遊べるぞ。6時前には練習終わると思うから、そのあとでどうだ?」

我ながら完璧なフォローだ。オレも随分と東泉寺の扱いがうまくなってきたな。

<東泉寺 晶>
「う~~~~」

何も言えないところを見ると勝負あったな。

<坂本 隼人>
「じゃあ、オレはちょっと寝るから……」

<東泉寺 晶>
「……らいだ」

<坂本 隼人>
「え?」

<東泉寺 晶>
「ハヤトンなんかキライだ! いっつもナルコばっかりひいきして、アタシは後回しじゃん!」

ど、どうしたんだ急に怒り出して。

<坂本 隼人>
「い、いやだからそんなことはないって、2回ずつだし」

<東泉寺 晶>
「そういうこと言うからムカツクの! もういいよ! ハヤトンはナルコとイチャイチャ練習してればいいよ! バカ~!」

言うだけ言った東泉寺はあっという間に廊下の奥に消えてしまった。

しかし東泉寺のヤツ、あんなに怒ることはないだろ。カオルとはいつもケンカしているし、喜怒哀楽の激しいヤツだとは思っていたけど、あんなに怒るなんて……。ヒステリーってやつか?

とにかく、オレもまだまだ東泉寺の扱いに慣れていないということか。まあ、あとでまたフォローしておけば大丈夫だろう。

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s_aki02_2 | 東泉寺晶個別2 シーン2-2 スタート

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;背景(部室)
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<坂本 隼人>
「よし、今日はこれで終わりだな」

西友との練習が終わったオレは、まっすぐ家に帰った……といきたいところだが、今日は無理だな。

結局、東泉寺は合同練習にも顔を出さなかった。

東泉寺が合同練習を休むのは初めてだと結城が言っていたので、おそらくかなり怒っているのだろう。

とりあえず電話して、近くにいるようなら直接会ってフォローしておくか。

<坂本 隼人>
「じゃあ、悪いがオレは用事があるので先に帰るな。もうすぐ6時だし、西友もあまり遅くならないうちに帰れよ」

西友はコクコクと頷いている。うちの高校では一応部活の時間は夕方6時までと決められているので、あまり居残り練習や残業をするのはよくないのだ。まあ、多少は大目に見てもらえるらしいけど。

<坂本 隼人>
「じゃ、お疲れ~」

<西友 鳴歌>
「お、お疲れ様でした」

;SE(バタン、ドアの開閉)


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;背景(廊下)
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さてと、まずは東泉寺に電話をかけなきゃな。オレは廊下を歩きながら携帯を取り出し、電話帳に登録された東泉寺の携帯番号を検索しようとした。が、

<東泉寺 晶>
「ハ~ヤトン!」

<坂本 隼人>
「うわっ!」

――電話をかけるまでもなく、東泉寺のほうからやってきてくれた。しかも、なんだか機嫌良さそうだぞ?

<坂本 隼人>
「急に出てくるからビックリしたぞ……。でも、なんでこんなところにいるんだ? もしかしてオレに用か?」

東泉寺はずっとニコニコしているので、ひとまずは安心だな。さっきはあんなにご立腹でしたのに。

<東泉寺 晶>
「そうに決まってるでしょ! 6時前には練習終わるからその後遊ぶって、ハヤトン言ってたじゃん!」

一瞬声の調子が強くなったので、また怒り出すかと思ったがもう大丈夫そうだな。というか、オレはなんでこんなに東泉寺の機嫌を伺うようなことをしているんだ? アホらしい。

<坂本 隼人>
「ああ、確かにそんなこと言ったな。でも、東泉寺はオレのこと嫌いなんじゃなかったのか?」

<東泉寺 晶>
「嫌いじゃないよ。好きだよ」

ドキッ。きっとそういう意味ではないということがわかっていても、女の子に面と向かって『好き』と言われるとドキドキするな。

<坂本 隼人>
「ふ~ん、まあ、オレはわかってるからいいけど、男に簡単に『好き』なんて言っちゃダメだぞ。恋愛的な意味だと勘違いされるからな」

<東泉寺 晶>
「大丈夫だよ~。『好き』なんて、ハヤトンにしか言わないから」

ドキッ。オレにしか言わないなんて言われると、流石のオレでも勘違いしてしまいそうだが、これもひっかけだな。

<東泉寺 晶>
「ハヤトンはノリもいいし、冗談も通じるからこれくらいで勘違いしないし」

やっぱりな。でも危うく勘違いするところだった。東泉寺、お前の見積もりは少々甘いかもしれないぞ。

<坂本 隼人>
「ま、オレも気をつけるよ。遊ぶんならとりあえず移動しようぜ。どこか行きたいとこあるのか?」

<東泉寺 晶>
「ん~、今日はテキトーにおしゃべりできればそれでいいよ」

<坂本 隼人>
「じゃあ、そのへんの公園にでも行くか。金はないけど缶ジュースくらいなら奢ってやるぜ。今日は待たせちゃったみたいだしな」

<東泉寺 晶>
「本当? やっり~! オゴリだオゴリ!」

<坂本 隼人>
「では、出発!」

オレ達は学校を出て、近くの公園に向かった。


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s_aki02_3 | 東泉寺晶個別2 シーン2-3 スタート

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;背景(公園 夕方)
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公園到着。ベンチも確保。今は蒸し暑い季節だが、夕暮れの公園は比較的過ごしやすいな。

<坂本 隼人>
「でも、さっきはなんであんなに怒ってたんだ? 急に怒り出すからビックリしただろ」

さっき聞きそびれたことを聞いてみる。

<東泉寺 晶>
「あ~、あれね。だってハヤトンがナルコばっかりひいきするからさ~。なんかついカッとなっちゃって。でも、よくよく考えてみたらそんなに怒ることでもないかなって。へへへ~」

まったく。こっちはどうフォローしようかずっと考えてたってのに。

<坂本 隼人>
「まあ、機嫌直ったみたいでよかったよ。それで、そのあとずっと待ってたのか?」

<東泉寺 晶>
「うん。ちょっと図書室で時間潰してたけどね。あ、でもハヤトン本当に6時前に終わらせて出てきてくれたね! えらいえらい!」

<坂本 隼人>
「まあ、オレは残業はしない主義だからな」

<東泉寺 晶>
「『オレは残業はしない主義だ。キリッ☆』だ~って、か~っこいい~。アハハ!」

<坂本 隼人>
「今絶対オレのことバカにしただろ。キリッなんてドヤ顔してないぞ。まったく、今度はやたらと機嫌がいいな」

<東泉寺 晶>
「ま~ね~。アタシはこれでハヤトンと遊ぶの3回目、ナルコは2回だからアタシのほうがひいきされた~! って思ったら、『やった~!』って思って」

<坂本 隼人>
「遊んだ回数数えるのはキモいんじゃなかったのか? それに西友とは遊んでる訳じゃないぞ」

<東泉寺 晶>
「アハハ! 細かいことはきにしない!」

勝手なヤツだな。

しかし、東泉寺の感情は本当にコロコロ変わる。ほんと、まるで小さい子供みたいだ。でもそんな東泉寺と気が合うオレも子供ってことか? それはなんかちょっとショックだな。


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s_aki02_4 | 東泉寺晶個別2 シーン2-4 スタート

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;背景(公園 夜)
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オレ達はとりとめもなく話を続けた。

部活の話。アニメの話。クラス内でカオルが媚を売っているのが東泉寺には許せないという話。オレの空きペットボトルコレクションについての話。

どうでもいい話でも2人で話していると楽しくて、オレはつい時間を忘れてしまっていた。

;SE(電話呼び出し音)

<坂本 隼人>
「あ、まずい。親から電話だ。ちょっと待って」

時計を見ると既に午後8時だった。

<坂本 隼人>
「もしもし。あ~ごめん友達と遊んでたら遅くなった。え、いや彼女じゃねーって。食べる食べる。じゃ、あ! アレ、そうそうアレ録画しといて! はいサンキュー。また連絡するから。はいはい」

ふう。もうこんな時間だったのか。ちょっとビックリだ。

<坂本 隼人>
「ハハッ。悪い悪い。さすがにこの時間になると、親も心配して電話かけてくるかよな」

<東泉寺 晶>
「……」

あ、しまった。東泉寺の親は帰りが遅いんだった。オレとしたことがなんという凡ミス!

<東泉寺 晶>
「ハヤトンって、親と仲いいんだね」

<坂本 隼人>
「いや、まあそうでもないよ。普通だよ」

<東泉寺 晶>
「ふ~ん、いまぐらいのが普通なんだね」

まずい。また東泉寺のテンションがズンズン下がっている。

<坂本 隼人>
「いやいや、オレなんかケンカばっかしてるしさ。この前なんか、オレが部屋でひそかに収集していたペットボトルを勝手に捨てられてさ~」

<東泉寺 晶>
「ケンカできるだけいいじゃん。ちょっと羨ましいよ。アタシは、親とのケンカの仕方も、喋り方も、よくわかんないんよ。別にキライな訳じゃないけど、よくわかんない」

喋り方もわからないって……嘘だろ? いつもうるさいあの東泉寺が?

<坂本 隼人>
「あ、そうだ! 喉乾かないか? またジュース奢ってやろうか?」

とりあえずわざとらしくても話を一旦区切って場を落ち着かせよう。この空気はまずい。

<東泉寺 晶>
「ううん。もう帰る。ハヤトンの親も心配してるみたいだしね」

<坂本 隼人>
「じゃあ、送っていこうか? か弱いレディに夜道を1人歩きさせるわけにはいかんからな。キリッ!」

<東泉寺 晶>
「ううん。いい。タクシーで帰る。お金だけは親からいっぱいもらってるから」

オレの渾身のドヤ顔もスルー。そしてますますどんよりしちゃってるじゃないか……どうする? オレはどうすればいい?

……

<東泉寺 晶>
「じゃあね。バイバイ、ハヤトン」

東泉寺の、無理やり作ったような笑顔が痛々しい。

<坂本 隼人>
「おう、またな」

結局、オレは東泉寺のテンションを下げるだけ下げてしまっただけだった。

最後の抵抗で、公園から大通りに出てタクシーを拾うまでの間、ただひたすらオレが収集したペットボトルの型について語ったが、なんの効果もなかった。

あの東泉寺が親との喋り方がわからない。そんなことを言うなんて、意外だった。でも親のことが嫌いなわけではないとも言っていた。

オレが深く立ち入るのもどうかと思うが、できればなんとかしてあげたいとも思う。

;SE(ブロロ タクシー発進)

東泉寺は走り去るタクシーのリアウィンドにへばりつき、こちらに懸命に手を振ってくれている。オレも軽く手を振って返す。タクシーはぐんぐん進み、東泉寺の姿は見えなくなった。


ほんと、まるで小さな子供みたいだな。

小さな身体を精一杯使った行動や言動。自由気ままにコロコロ変わる感情。そのどれもが東泉寺を子供っぽく見せている。

そんな東泉寺を、できればずっと笑顔でいさせてあげたいと思うのは、親心のようなものだろうか?

でも、だとしたら、なぜ東泉寺の親は、東泉寺にあんな顔をさせてしまうのか。

オレには何もわからなかった。

そして、最もわからないのはペットボトルだ。

オレはなぜ空きペットボトルを収集することに熱を上げていたのか。集めていったい何がしたかったのか。そしてそれを東泉寺に語って一体どうしたかったのか?

まったくもって不明だ。思い出すだけで恥ずかしい。きっと今、オレの顔は真っ赤だろう。この顔を東泉寺に見られなくて本当によかったと思う。


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;個別2 END
;ジャンプ(s_aki03.ks)
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