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scene2_1 | 共通2 シーン2-1 スタート

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;背景(教室)
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声優やらアナウンサーやらを目指すために結成された“声えん部”という同好会。

その活動開始から早くも3週間ほど経過し、季節は初夏を迎えていた。

この数週間で、部員たちの親交も多少は深まったと思う。

なにせ教室では相変わらず無口の西友が、部室では部長の結騎と日常会話が成立するようになっていたのだ。

一方で、仲良くなるどころか、険悪度が増した連中も居る。

東泉寺とカオルだ。

というかカオルは、女子力の低い女性を憎んでるようなので、東泉寺だけでなく、西友に対しても素材が良いから天狗になって自分磨きをしてないと憤慨している。

結騎はそれなりに身嗜みはしっかりしており、清潔感があっていい匂いがするので問題ないらしい。

ある意味カオルは一番女らしい気がする。
──男だけどな。

<西友 鳴歌>
「あのっ、さ、坂本さん」

西友が、申し訳なさそうに声をかけてくる。

<坂本 隼人>
「西友か。もう部活に行くのか?」

<西友 鳴歌>
「うん。あのぅ」

どうやらオレが部活に行くかどうか気になるらしい。

ちなみにオレは週に2~3回しか部室には顔を出さない。
入部時にそれでいいと部長の結騎から言質を取ったのだ。

一応大事なミーティングや、名ばかり顧間の巡回時には居るようにしている。

なにせ部活の数が多すぎるので、先生の顧問掛け持ちは2つや3つじゃ足りない。

“声えん部”のような新設された同好会の顧問は、名義貸しみたいなもので、週に1回5分ほど顔を出しては「問題起こすなよ」と言って帰るだけの存在だった。

<坂本 隼人>
「今日は行くよ。ちょっと待っててくれ。いま準備するからさ」

<西友 鳴歌>
「うん」

オレは机に引っかけたカバンを手に取り席を立つ。

そうして、律儀に直立不動で待っていた西友と共に部室へと向かった。

それにしても暑いな。

夏休みまであと1ヶ月近くあるというのに、この暑さは反則だろう。

そういや夏休みは部活休みだよな。
よしんばあったとしても行かなければいいだけだ。

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;背景(部室)
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<結騎 凛>
「あっ、坂本くん。今日は来たんだ。グッドタイミングよ!」

<坂本 隼人>
「そうか。結騎にとってはグッドなのかもしれないが、オレにとってはバッドという可能性が高そうだな」

<結騎 凛>
「どうしてそうひねくれてるかなぁ。ほんのちょっと手伝って欲しいだけよ」

<坂本 隼人>
「悪いな。手伝うとかそういうの、ちょっと苦手なんだ」

<結騎 凛>
「なによそれ。せめて話くらい聞いてくれてもいいんじゃない?」

<坂本 隼人>
「いやだから、話を聞いたら断り辛くなるだろ」

<結騎 凛>
「だから聞いてって言ってるのよ」

<坂本 隼人>
「策士か! そんなこと言われると余計聞きたく無くなるじゃないか」

<結騎 凛>
「はぁ。坂本くんって、結構露骨に贔屓するよね」

<坂本 隼人>
「そうか? 自分に正直であることは認めるが、そのトゲのある言い方はなんか嫌だな」

<結騎 凛>
「だって、西友さんの時は放送部まで一緒に来てあげて、あれこれと世話を焼いてるくせに、どうして私の頼みだと話も聞かずに断ろうとするかなー?」

<坂本 隼人>
「そんな昔の話を良く覚えてるな」

<結騎 凛>
「アナウンサー志望の記憶力を侮らないで。まあ西友さんの記憶力には到底敵わないけどね」

<坂本 隼人>
「そうなのか?」

<結騎 凛>
「そうよー。彼女ってば凄いのよ。坂本くんは西友さんの特技を知ってる?」

<坂本 隼人>
「いや知らない。その話は興味深いな。話してくれ」

<西友 鳴歌>
「あ、あの、それはちょっと、困るというか……」

どうやら西友は話して欲しくないらしい。

<坂本 隼人>
「わかったよ。西友が聞いて欲しくないなら聞かないよ」

<結騎 凛>
「ほらそれ! それが露骨な贔屓だって言うのよ。あからさま過ぎてなんか悔しくなるのよ! どうして西友さんの言うことは素直に聞くのに、私の頼みは無視するのよ」

うーん。なんだか面倒になってきたな。話くらい聞いてやるか。

<坂本 隼人>
「わかったよ。とりあえず話してみろよ。聞くだけは聞いてやる」

<結騎 凛>
「そうこなくっちゃ! ちょっと待っててね。いまお茶を入れるから」

<坂本 隼人>
「おっ、悪いな」

<西友 鳴歌>
「結騎さん。あ、ありがとう」

<結騎 凛>
「いえいえどういたしまして」

結騎は部室の給湯室へ、お湯を沸かしに向かった。

…………

<坂本 隼人>
「話ってなんだろうな。西友は何か知ってるのか?」

<西友 鳴歌>
「う。うん。多分あのことだと思う」

<坂本 隼人>
「あのことって?」

<西友 鳴歌>
「多分だけど、コンクールのことだと思う」

<坂本 隼人>
「コンクール?」

西友が言うには、夏休みに放送コンクールのようなものがあり、そのアナウンス部門に結騎がエントリーしたらしい。

良く見ると、机の上にエントリーの概要みたいな用紙が置いてあった。

アナウンスする原稿はなんでも自分で用意しなければならないらしい。
どういう内容にするのか、過去のコンクール受賞者のを参考にすればよいのだろうが、原稿は考えるのは面倒くさそうだ。

基本的にニュースを読むのだが、明るいニュースから暗いニュースまで、感情をどこまで殺し、どこまで自分らしさを表現するかという矛盾するような内容が要求されるらしい。

そうしてここからが本題だが、西友が言うには、結騎は練習に付き合って欲しいんじゃないかと思うとのことだった。

なるほど。確かに1人で練習しても余り意味がなさそうだ。

結騎のアナウンスを聞いて、良い点や悪い点を指摘してやる人物が居たなら、それは随分と捗るだろうな。

それでその役にオレが指名されるというわけか。
その役は東泉寺じゃ駄目なのか?

──駄目だろうな。
西友も聞き役はできても、他人を批評とか絶対に出来ないタイプだ。

カオルは女には厳しいから断りそうだし、このクラブに限定して言えば、オレしか頼める人物は居ないということか。

くそっ、消去法でオレかよ!

<結騎 凛>
「おまたせ~」

お茶を持ってきた結騎が、テーブルにカップを置いて行く。

<坂本 隼人>
「なあ結騎」

<結騎 凛>
「なに?」

<坂本 隼人>
「コンクールの練習に付き合うという話なら、少し考えさせてくれ」

<結騎 凛>
「えっ! なに? どうして知ってるの?」

<坂本 隼人>
「なあに簡単な推理さ。というかだな。机の上にこんなもん置いてたら分かるさ」

机の上に置いてある、コンクールの応募要項を指で叩く。

実際は西友に教えて貰わなければ気付かなかっただろうが、まあ良しとしよう。

<結騎 凛>
「そ、そう。でもそれなら話は早いわ。よかったら手伝ってくれないかな?」

<坂本 隼人>
「断る! と言いたいところだが、いまは返事を保留させてくれ」

<結騎 凛>
「ええ~! どうしてよ」

<坂本 隼人>
「どうしてだっていいだろ。なんならいますぐ断ってやろうか?」

<結騎 凛>
「わかったわよ。でも、前向きに検討してよね」

<坂本 隼人>
「ああ。だけど手伝えなかったからといって怒るなよ」

<結騎 凛>
「その点は大丈夫よ。でも……恨みはするけどね。フフフッ」

<坂本 隼人>
「恨まれるくらいなら問題ない。呪うとか祟るとか言われるよりはマシだ」

<結騎 凛>
「の、呪われたことあるの?」

<坂本 隼人>
「あるわけな……いや、断定はできないな。オレの知らないところで恨みを買ってる場合もあるだろうしな」

<結騎 凛>
「やめてよそういう話。私オバケとか怪談とか、実態のないあやふやなものがいっちばん苦手なのよ」

<坂本 隼人>
「そうか。それはいいことを聞いた。合宿があるなら肝試しは必須だな」

<結騎 凛>
「やめて~~~~~っ! ほら見てよ。想像しただけで鳥肌が立ったじゃない」

結騎が両手を突き出し、ゾワワワーっと鳥肌が立っている腕を見せる。

<坂本 隼人>
「ガチで怖がりなんだな」

そんな雑談をしていると、部室のドアが勢いよく開いた。

;SE(ドアが開く、ガララッ!)

<結騎 凛>
「きゃ────っ!」

<坂本 隼人>
「うおっ!」

<西友 鳴歌>
「きゃっ!」

結騎が大声で悲鳴をあげたので、オレと西友もつられて驚いてしまった。

<東泉寺 晶>
「アタシ参上! どうしたのリンコちゃん。歓声にしては甲高い声だったね」

<結騎 凛>
「かっ、歓声じゃないわよ!」

<坂本 隼人>
「あれは悲鳴っていうんだ。覚えとけ」

<東泉寺 晶>
「アハハそうなの。それよりハヤトン。ちょっときてよ」

<坂本 隼人>
「なんだ?」

<東泉寺 晶>
「いーからいーから」

東泉寺はオレの意思など完璧に無視し、手を掴んで廊下へと連れ出そうとする。

抵抗するのも面倒なので、オレはそのまま東泉寺についていった。


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scene2_2 | 共通2 シーン2-2 スタート

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;背景(廊下)
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…………

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;背景(校舎裏)
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<東泉寺 晶>
「早速だけどハヤトン~、アタシのお願い聞いてくれる? と~っても困ってるの。助けてよ!」

東泉寺晶。
出会って早々カオルとケンカを始めたのでガサツな子かと思っていたが、意外とそうでもないらしい。

元気で明るく、ノリのいい女の子だ。
オレとしては声えん部にこの子がいてよかったと思う。

なんといってもイジりがいがある。

他のメンバーはイジっても、ため息漏らされたり、意味が分かってなかったり、下ネタで返してきたりと期待する反応が返ってこないからな。

今回は古典的なネタで返してみるか。

<坂本 隼人>
「ああ、いいよ。オレがなんでも聞いてやるぜ!」

<東泉寺 晶>
「おお! そう言ってくれると思ったよ~。実はね……」

<坂本 隼人>
「はい! 聞いた! じゃあな~」

;SE(バキッ)
;画面演出(揺れ)

<東泉寺 晶>
「しょうもないことすんな! てか、聞いてないし。最後まで聞いた後でいう台詞でしょ! ていうかいまどき小学生でもそんなことしないよ?」

<坂本 隼人>
「イタタ……ツッコミにローキックは禁止だろう?」

相変わらずいいレスポンスだ。
それとさっきの発言は撤回する。東泉寺晶はやっぱりガサツな女だ。

<東泉寺 晶>
「本当は蹴られて嬉しいくせに~。こういうの、ハヤトンのギョーカイじゃ『ご褒美です!』て言うんでしょ? ナルコから教えてもらったよ」

<坂本 隼人>
「そうです。私が業界のドン……って、オレはそんな変態じゃねえ! てか、お前らどんな会話してんだ!」

<東泉寺 晶>
「ん~? ナルコがアニメが好きだって言うから、アニメのこととか色々教えてもらったの。知らないことばかりだから勉強になったよ~」

アニメの話をきっかけに無口な西友とそんなディープな会話を……東泉寺のコミュ力は恐ろしいな。

しかし、西友はオレをそんな風に思っていたのか? そのうち本人に問いただすか。

<東泉寺 晶>
「まあまあ、時候のあいさつはこのくらいにしてさ、アタシの話聞いてよ~。お願い! お兄ちゃん!」

お兄ちゃん……だと?
悪い気はしないが、白々しいやつめ。調子に乗ってるな。

このままではペースを握られてしまう。ビシッと言ってやるか。

<坂本 隼人>
「お前なぁ、そうやって『お兄ちゃん』とか言えば、みんな優しくしてくれるとか思ってないか? オレの目はごまかせないぞ。お前は巧みに妹キャラを作っている! カオルとケンカしている時のガサツな姿がお前の本性だ!」

<東泉寺 晶>
「ななっ! そんなことないっ……!」

東泉寺はローキックを繰り出した。

;SE(バキッ)
;画面演出(揺れ)

が、今度はしっかり脛の硬い部分でブロック。結果は……

<東泉寺 晶>
「いっ、痛ひぃ~!!!!」

東泉寺は痛みに耐えかねて地べたにうずくまる。

<坂本 隼人>
「フハハ、オレに同じ技は2度通用しない!」

<東泉寺 晶>
「うっ、痛いよぉ。グスッ……」

<坂本 隼人>
「……」

<東泉寺 晶>
「グスッ、うぅ……」

しまった。やりすぎたか。

<坂本 隼人>
「ご、ごめんな、東泉寺。悪気はなかったんだ、すまん。冷やしたほうがいいか? 保健室行くか?」

<東泉寺 晶>
「グスッ、やだぁ。動きたくない。もういいからどっか行ってよ~」

<坂本 隼人>
「本当に悪かった! ごめん! 話もちゃんと聞くから機嫌なおせよ!」

<東泉寺 晶>
「グスッ、ほんと?」

<坂本 隼人>
「本当! 男に二言はない! だからっ!」

<東泉寺 晶>
「ありがとう! じゃあじゃあ、リンコやナルコと一緒に声の練習しよ!」

<坂本 隼人>
「変り身早すぎだろ! てか練習って」

<東泉寺 晶>
「いや~アタシ声えん部に入ったはいいけど、特に目標も何もないんだよね。でも、リンコやナルコの話聞いて、ちょっと興味持ったからさ、一緒に練習してみたいの。ハヤトンも一緒にやろうよ!」

オレのツッコミは無視か。

<坂本 隼人>
「一緒に練習するだけならオレは必要ないんじゃないか?」

<東泉寺 晶>
「わかってないな~。リンコ達はそれぞれ目標に向かってまい進してるじゃん。そんなリンコたちに素人が『一緒に練習させろ~』なんて言ったらウザい奴じゃん。リンコ達は優しいから喜んで受け入れてくれるとは思うけど」

<坂本 隼人>
「ということは、オレがそのウザい奴になって、東泉寺はただのオレの付き添いということにすると」

<東泉寺 晶>
「さっすが~、にぃには理解力があるね!」

にぃに……か。悪い気はしない。
が、それは置いといて、これ相当ハードじゃないか?

これをやると自動的にオレが結騎や西友の言ってた練習に付き合わなければいけなくなると思うんだが?

<坂本 隼人>
「話はわかった。が、ちょっと考えさせてくれ。今その他の案件も山積みなんでな」

<東泉寺 晶>
「え~、そうなの? 無理にとは言わないけど」

そう言いながら東泉寺は痛そうに自分の脛をさする。弱いところ突きやがって。

<坂本 隼人>
「とにかく、今日中に返事するから。それより保健室行くか?」

<東泉寺 晶>
「はーい。じゃあ、ちょっとつかまらせて」

ヨロヨロ歩きながらオレの二の腕につかまる。
よく見ると脛がちょっと膨らんでいる。

本当に痛そうだ。ごめんなさい──


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;背景(フェードアウト)
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…………

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;背景(廊下)
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東泉寺を保健室に連れて行き、保健の先生に後を託して廊下に出る。

;SE(携帯着信)

まるで保健室から出てくるのを待ち構えていたかのように携帯が鳴る。

この感じ──。カオルか?

オレは恐る恐る通話ボタンを押す。

<御社 薫>
「隼人くん。ちょっといい?」

ビンゴだった。

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;背景(フェードアウト)
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…………

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scene2_3 | 共通2 シーン2-3 スタート

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;背景(体育倉庫)
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オレはカオルに呼ばれて体育館の裏にやって来た。

相手が女の子なら絶好の告白シーンなのに、相手がカオルじゃ残念すぎるだろ。

<御社 薫>
「隼人くん。こんな所に呼び出してごめんね」

<坂本 隼人>
「ああ。どうした」

<御社 薫>
「そんな、どうせなら女に告白されるシチュがよかった、みたいな顔しないでよ」

<坂本 隼人>
「お前なぜそれを? やはり能力者か」

<御社 薫>
「そうだよ、ボクは隼人くんの気持ちを操る能力を手に入れたよ。さあ、今すぐボクと18禁行為をしよう!」

<坂本 隼人>
「用が無いなら帰るぞ。って、いや、オレもカオルに用があったんだ」

黒目をきらきらさせて顔を近づけてくるカオルを、オレは両手で押しのける。

<坂本 隼人>
「部活のことだ。なんか無いのか、目標」

<御社 薫>
「ボクは隼人くんのお嫁さんになりたい!」

<坂本 隼人>
「却下。他のやつは、コンクールに出るとか発声練習をやるとか、いろいろ考えてるぞ。真面目に考えろ」

<御社 薫>
「ボクだって真面目に言ってるのにぃ。……それなら、アイドルになって隼人くんと結婚したい」

<坂本 隼人>
「アイドルか、カオルは見た目だけはいいから、美少年アイドルとして売り出せるかもな」

<御社 薫>
「褒めてもらえるのは嬉しいけど、ボクはかわいい女の子の見た目のままのアイドルがいいの!」

<坂本 隼人>
「なんだそれ。見た目はともかく、歌やしゃべり声はどうするんだよ。今でも男としては高いけど、この先もっと低くなったら無理だろ」

<御社 薫>
「うう……それは……」

おいおい、真面目な顔して何言ってんだ? 冗談は格好だけにしろ。

でも……女装アイドルとの結婚もお断りしたいが、ここで無碍にして部員を減らすことになると面倒だ。

それに、カオルがこうもしゅんとするのは珍しい。ちょっと可哀相になってしまった。本当にちょっとだ。

<坂本 隼人>
「却下、と言いたいところだが、いいこと思いついた。『女装アイドルとして通用するくらいの女の子になる訓練をする』ってのはどうだ」

<御社 薫>
「さすが隼人くん! それすごくいいね。あ、そうだ。もっと女の子に近づけたら、何かごほうびくれる?」

にやり、と笑うカオルにひっかかったものの、金で解決できるならこの際、何でもいいや。適当なアクセサリーなんかでいいんだろ?

一から部員探しを始めることを考えたら安いもんだ。

<坂本 隼人>
「ああ、いいよ。ただしオレは厳しいぞ。途中で投げ出すことは許さないからな」

<御社 薫>
「わかった、約束する! どんなに厳しくてもがんばる! 隼人くんがしたいなら、ボク、縛られてもいいよ……」

<坂本 隼人>
「縛らねえよ。さっきの真剣さはどうした」

<御社 薫>
「もちろん、隼人くんはボクだけの専属トレーナーになってくれるんだよね?」

<坂本 隼人>
「それは……保留!」

ええーっ! と抗議するカオルにまた距離を縮められる。腕をつかまれ、ついでに抱きつかれた。

なんだこいつ。意外といい匂いがする……って、そうじゃないだろ!

オレはカオルをなんとか引き剥がし、逃げるように部室へ向かった。

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;背景(フェードアウト)
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…………

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scene2_4 | 共通2 シーン2-4 スタート

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;背景(部室)
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部室に戻ると、結騎の姿はなく、西友が独りでポツンと立っていた。

<坂本 隼人>
「なに突っ立ってるんだ?」

<西友 鳴歌>
「お、おかえりなさい」

<坂本 隼人>
「ただいま。ところで結騎はどこへ行った?」

<西友 鳴歌>
「お、屋上で練習、です」

<坂本 隼人>
「そっか。熱心だな。西友は練習しなくていいのか?」

<西友 鳴歌>
「する、けど、坂本さんに、お話しがあって、そのっ」

<坂本 隼人>
「待っていたと?」

<西友 鳴歌>
「う、うん」

西友の話も、結騎や東泉寺、それにカオルと同じような内容で、なにか作為的なものすら感じ始めてきた。

なんでも夏休みにラノベレーベルのドラマCDのオーディションがあるらしい。

それでその原作ラノベを台本に見立てて練習したく、その練習に付き合って欲しいというものだった。

ちなみにそのラノベのタイトルは『ディザイア・トリガー』という中二病全開の能力バトルモノだった。

<坂本 隼人>
「ひとりでは無理なのか?」

<西友 鳴歌>
「む、無理、かも」

<坂本 隼人>
「絶対無理か」

<西友 鳴歌>
「うん。絶対無理」

自信を持って無理と言われた。正直困ったな。

西友だけではなく、結騎や東泉寺、それにカオルにも色々頼まれてんだよな。

つかオレは雑用係りじゃねえぞ。

<坂本 隼人>
「ちなみにオレが断ったらどうするつもりなんだ」

<西友 鳴歌>
「で、出ない……よ」

<坂本 隼人>
「結騎からも練習の手伝いを頼まれてるしな。同時進行は無理というか、正直やりたくない」

<西友 鳴歌>
「うん。だから、断っても、いいよ」

それを言われるとすごく断り辛いんだが。ひょっとして狙って言ってるのか?

いや、そんな小細工ができるような性格じゃないな。

<坂本 隼人>
「少し考えさせてくれ」

<西友 鳴歌>
「うん」

<坂本 隼人>
「そっか。それじゃオレは疲れたから帰るわ。結騎にはそう伝えておいてくれ」

<西友 鳴歌>
「うん。お疲れさま」

オレは軽く手を振って、部室を後にした。

…………

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scene2_5 | 共通2 シーン2-5 スタート

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;背景(自室)

今日という日はいったいなんだったんだろう。

まさか“声えん部”部員の全員から、練習相手を頼まれるとはな。

神の悪戯か。悪魔の罠か。どちらにしてもロクなもんじゃない。

それにしたって誰を選ぶ?

誰を選んでも角が立つような気がするので、いっそ誰の練習にも付き合わないという選択肢もありだろう。

そうだな。それがいい。そうしよう。

──ってダメだろうな。

西友は納得してくれるかも知れないが、他の3人がはいそうですかって引き下がるタマじゃない。

仕方ない。真面目に考えるか。

アミダで決めたとか適当なことを言って誤魔化そう。

さて、誰の練習に付き合おうか……。

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;選択肢スタート(4)
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  • 結騎とコンクールの練習を行う ;*scene2_rin
  • 西友と声優オーディションの練習を行う ;*scene2_nar
  • カオルと特訓を行う ;*scene2_kao
  • 東泉寺の練習に付き合う ;*scene2_aki
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;選択肢エンド
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scene2_rin | 共通2 結騎とコンクールの練習を行う

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結騎の練習に付き合ってやるかな。

なんだかんだいって、あいつには部のことで迷惑をかけているというか、面倒な仕事を押し付けてしまった負い目もあるしな。

他のメンバーが文句を言ったら、その辺の話と、一番最初に頼まれたから優先したと言えば、まあ納得してもらえるだろう。

それにしても、アナウンスの練習に付き合うといっても、具体的にオレはなにすりゃいいんだ?

まあいいか。
具体的なことも含めて結騎に聞いてみよう。

;結騎 凛 個別ルートへ

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scene2_nar | 共通2 西友と声優オーディションの練習を行う

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西友の練習に付き合ってやるか。

結騎や他のメンバーはオレが手伝わなくても一人でなんとかできそうだが、西友の場合はできなさそうだしな。

少しずつだが、他のメンバーとも打ち解けてきているみたいだが、まだ完全に心を開いていない気がする。

オレに対しては心を開いているかというと、正直よくわからないが、他のメンバーよりは信頼されてるという自負もある。

今回だけ。そう、今回だけ特別にって感じで他のメンバーに説明すれば、まあ仕方ないわねって感じで収まるんじゃないだろうか?

それにしても、声優のオーディションって、西友にしては思い切ったことにチャレンジするよな。

少しだけ見直した。

;西友 鳴歌 個別ルートへ

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scene2_kao | 共通2 カオルと特訓を行う

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色々考えたが、カオルに付き合ってやることにした。

理由は簡単だ。
これくらいひとりでやってて空しい作業は無いと思うからだ。

鏡の前で女装したカオルが「うふふ」とか言ってるのを想像しただけで泣けてくる。

なまじカワイイだけに空しさが倍増するだろうな。

それに女装アイドルだとか女に近づく特訓だとか、いまいちよく分からんがオレがやる作業って多分殆ど無いよな。

女装したカオルに感想を言うくらいか?
あとは間違いが起こらないよう理性を保つくらいか?

他のメンバーへの言い訳は女の子を選ぶと色々禍根を残すから、一応男であるカオルを選んだってことにすればいい。

それに何より、カオルはオレが誘ったんだからある程度は我侭も聞いてやらないとな。

;御社 薫 個別ルートへ

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scene2_aki | 共通2 東泉寺の練習に付き合う

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なんというか、色々考えるのが面倒になったので東泉寺に決めた。

他の誰を選んでも、なんとなく部員間でギクシャクしてしまうような気がするが、東泉寺は結騎と西友と一緒に練習をしたいという。

これなら結騎のコンクールや、西友のオーディションの練習にも軽くだが付き合うことができる。

カオルには悪いが、オレとしてはカオルにこれ以上可愛くなって欲しくないので、女装アイドルとかになってもらっては困る。

オレの理性のストッパーが生きてるうちは、女装アイドルなんて目指させない!

というわけで東泉寺だ。
こいつの願いを聞くことで、一石二鳥どころか、一石四鳥になる。

なんて便利なヤツなんだ。

ありがとう東泉寺。そしてありがとう!

;東泉寺 晶 個別ルートへ