その日は朝からずっと雨が降っていて、とても人が外にでられるような日ではなかった。
そんな中、街はずれにそびえる屋敷から何か聞こえたかと思うと、
「ハハ・・ハハハ・・・」奇妙な女の声がした。それをかき消すように
勢いを増していく雨音。そして彼女の手には鋭く光る包丁が手に添えられていた。
町はずれにたたずむ一軒の屋敷。その主である和光は、現在の日本経済の核的存在である企業の会長であり
滅多に帰ってこれないため、家のことは全て手伝いである咲穂が引き受けていた。
そんな生活が続く中、彼は4年前に5歳離れた未知子と結婚、同じ頃弟の博光は
彼の子会社の社員になり、更に彼を勇気づけたのであった。
未知子は和光とは知り合いでお互いに相手の地位や会社の特権などを目当てに
結婚したが、未知子は更に和光の財産まで狙っていたのだ。
2月のある日、博光の長女である優利が屋敷の近くで遺体となって発見された。
事件は難航し、犯人の特定ができないまま事件は打ち切られた。
しかし、本当の絶望はここから始まるのであった。