リヨ


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・第1回目/裏庭


ここは裏庭……
校舎の裏側ということもあって人気はあまりなく、とても静かなところだ。
緑も多くて気分が落ち着く。
奥の方には一本の大きな木が生えている。
俺は何となく木がある方へと足を運んだ。

主「よいしょっ……と」
木の根元に腰を下ろした。
どこからともなく、心地いいそよ風が駆け抜けていく。
……はぁ…………気持ちいい…
…………………………

……ん?
……人がいる気配を感じた。
………あたりを見回すが、特に誰も見当たらない。
ふと、上を見上げてみる。

主「‥わッッ!!!!」

き、木の枝に人が……!!
茂っている葉っぱでよくは見えないが、そこには間違いなく人がいた。

主「あ…………」

あれは………灰塚さんだ。……灰塚さんが枝に座っている……?
…どうやって登ったんだ……?
その枝の高さは4メートル近くはあった。
何かを見ている格好をしているが………
こっちには気付いていないのだろうか。………

主「灰塚さーん!」
リ「…………………」
主「………何してんだー?」
リ「…………………」
主「………………」
リ「………………」
主「………」
リ「本……………」

あ……本、読んでるのか。

リ「……………」
主「そ……そこ、高くないか?」
リ「…………いいえ。」
主「そ………そう……………………」

灰塚さんは、無表情のままゆっくりとこちらに顔を向けた。

リ「……何か、用ですか?………」
主「え……」

用はない………のだが。

主「…いや、何してるのか気になったからさ」
リ「…………………。」
主「あ、いや。読書の邪魔してすまなかったな。‥‥それじゃ!」

《違う場所》
……………はぁ………………
勢いで走って来てしまった。
何で俺……こんなに挙動してるんだ‥‥。
とりあえず‥‥帰る…………か……………



・第2回目/裏庭


ここは裏庭……………
やっぱり、ここは静かで居心地がいい。
校舎に隠れて陽があまり当たらないせいか、
風がちょっとだけ冷たく感じる。
奥の方に足を進めて行くと、あの大きな木が視界に入る。

あ……今日も………いるかな……?
俺は気になって、木がある方へと足を向けた。

主「…………」
そっと、木の上を覗いて確認してみる。――――――

あ………………いた。
灰塚さんは、この前と同じ枝に座って本を広げていた。
集中していて全く俺には気付いていないようだ。
声………かけてみるか。

主「おーい、灰塚さん」

俺は大声で灰塚さんを呼んだ。
すると、灰塚さんは一瞬こっちへ顔を向けが、また本の方に視線を移した。

リ「…………………」
主「今日もここにいたのか」
リ「…………………」
主「よいせっ……と」

俺は、その場に腰を下ろした。

主「この場所、好きなんだ?」
リ「…………………」
主「裏庭ってさ、あんまり目立たないけど……いい所だな」
リ「…………………」
主「木の上って落ち着くよな。俺もよく、小さい頃登ってたよ」
リ「…………………」
主「登り切って、“今日からここが俺の秘密基地~~”とか言ってさ」
リ「……………」
主「でも大抵、そこから下りれなくなって焦るんだよな。…ははは」
主「懐かしいなぁ。………」
リ「………………。」
主「灰塚さんもそこが秘密基地なのか?」
リ「…………………」

―――――やわらかな風が吹く。
木の葉っぱが揺れる音が心地いい。

主「…………………」

……嫌われてんのかな…………………

主「…………俺、いたら邪魔……だったな。……ごめん」

そう言って俺は立ち上がり、向こうの方へ行こうとした。

リ「別に……」
主「……?」

振り返ると、灰塚さんが俺の方に顔を向けていた。

リ「………邪魔じゃ‥‥ない」
主「え‥‥?」
リ「………………」

灰塚さんは、また本へと目を移した。

……嫌われては……いない‥‥のか。

主「灰塚さん。何で……そんなとこにわざわざ登るんだ?」
リ「…………居心地が………いいから」
主「……そっか‥‥‥」

ていうか今更だが、どうやって登ったんだろう‥‥あんな高い枝まで……

主「下りる時、怖くないか‥‥?」
リ「………別に………」
主「…………そう」
リ「……………」
主「でも、気をつけないと落ちたらケガするぞ?」
リ「……………」
リ「………平気です」
主「……ほんとか?」
リ「……………」
主「……………」
リ「………あの、●●さん」
主「ん?」
リ「‥‥そこをどいてください」
主「え‥?」

何でなのかは分からなかったが、
とりあえず言うとおりに、灰塚さんから少しだけ離れた。
何をするんだろう‥‥
‥‥‥‥すると瞬間、灰塚さんの体は枝から飛躍した。
スカートの裾が重力に逆らい、細い脚があらわになる。
―――そして次の瞬間には、地面に着く音と共に
綺麗に着地した灰塚さんの姿が、俺の目の前にあった。
そのあまりの可憐さに、俺は一時呆然としていた。

主「……………」
リ「……………」

灰塚さんは何事もなかったかのように立っている。

主「平気……そうだな」
リ「……………」

灰塚さんは、根元に置いていた鞄を無表情で取りに行った。

主「…あ……もう、帰るのか?」
リ「……いえ」
主「用事…か何かか?」
リ「………はい」
主「そっか……」
リ「では、失礼します………」

灰塚さんはそう言うと、颯爽と校舎の方へと歩いて行った。
俺は後姿が見えなくなるまでボーっと見つめていた。

…………不思議だな……灰塚さんって……