5月


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5-1、16日(授業中)/教室


外は晴天。
窓からの優しい日差しが眠気を誘う。
昼休みも終わって5時間目。
昼食を食べ終えて満腹になったこの時間がただでさえ一番眠いと言うのに。

丁度授業は保健体育。
今日は男子が教室で保健、女子は運動場で体育。
窓からグラウンドを見下ろしてみれば50メートル走の最中のようだ。
おそらく体力テストだろう。

スタートラインの方を見れば、どうやら次は上城さんの番ようだ。

パァンッ!

銃声が響き、スタート。

…遅い。まあ予想通りと言うか、見た目通りと言うか…。
隣の子にどんどん差をつけられている。

あ、こけた。
大丈夫だろうか…。

……………あれ?
起き上がる気配がない。
どうしたのだろうか…。

そう言えば、上城さんは身体弱かったっけ。
もしかして今のはこけたのではなく倒れたのだろうか…。

どうやら先生も異変に気づいたようだ。
先生が慌てて上城さんのところに駆け寄っている。

礼「こら、○○!よそ見しない!」
主「ぅわッ!は、はい!すんません!!」

ガシャン!!

吃驚して思わず席を立った瞬間に膝を机にぶつけて筆箱を落としてしまった。
クスクスと声を潜めた笑い声が聞こえてくる。
地味に膝が痛いし恥ずかしい…。
筆箱をきちんと閉めていたおかげで中身が飛び散らなかったのが唯一の救いか。

羽「くくく…ばーか。」

笑って悪態をつきながらも羽生治が落ちた筆箱を拾ってくれた。
何だかんだ言っても良い奴だ。

主「悪い、ありがと。」

礼を言って筆箱を受け取る。

礼「これに懲りたら、もうよそ見はしないことです。」

ポコン!

主「いてッ…はーい。」

先生は丸めた教科書で軽く俺の頭をポンと叩くと授業を再開した。
弾みで痛いとは言ったものの実際は痛くもなんともない。
口ではああ言っていたが、実際先生も笑っていたし。

そろそろ真面目に授業を受けようかとも思ったが、さっきの上城さんのことが気になって仕方がない。
気づかれないようにちらりとまた窓を覗く。
どうやらあちらも授業を再開したようだ。
何事も無かったかのように続きが行われている。
が、上城さんの姿はそこにはない。

軽く目で探してみると校舎付近で発見した。
どうやら暁子ちゃんに付き添われて保健室に行くようだ。

2人が校舎に入り見えなくなってから、俺は今度こそちゃんと授業に集中することにした。


5-2、16日(放課後)/教室


今日も一日が終わった。
生徒達は部活に行ったり帰宅したりと思い思いの行動をとっている。

あ、上城さんだ。

5時間目のことを思い出す。
あのまま保健室で休んでいたのであろう上城さんは6時間目の授業には出てなかった。
今はそんなに顔色も悪くはないみたいだし…もう大丈夫なんだろうか?
心配だし、一応声をかけておこう。

主「上城さん、5時間目倒れたでしょ?大丈夫だった?」
白「えぇ!なんで知ってるんですかぁ?」
主「あ、たまたま窓から見えてさ。」
白「そうだったんですかぁ。へへ…かっこ悪いとこ見られちゃいましたね。」
主「もう体調は平気?」
白「ふふ、大丈夫です!暁子ちゃんが保健室まで連れてってくれました!」
主「あ、うん、見てた見てた。」
白「暁子ちゃんてすごぉーく優しいんですよぉ~、白雪の1番のお友達です!」
主「へぇ、そっか。仲良いんだね。」
白「ふふふ。でも○○くん、心配してくれたんですね~。」
主「そりゃあね、いきなり倒れてびっくりしたもん。」
白「えへへ、ちょっとふら~ってしちゃいましたぁ。」
主「もしかして、身体弱い…とか?本当にもう大丈夫…?」
白「うーん、確かに強くはないですね~、よくふら~ってなっちゃいます。けど、ちょっと休めば大丈夫ですよぉ!」
主「そっか、なら良かった。」
白「心配してくれてありがとうです!」

そのとき教室中に元気な声が響いた。

ち「暁子ー!早く早く!」
暁「はぁい!もう、ちさ菜ってばそんなに急がなくても…あ、それじゃあ皆またね!」

帰り道、どこかに遊びにでも行くのだろうか。
暁子ちゃんは教室の皆に挨拶をすると、垂髪に続いて教室を出て行った。
教室のいたるところから「ばいばい」、「また明日」などと挨拶に答える声が聞こえてくる。

白「…………」
主「…?どうかした?」
白「あ、いえ!なんでもないですよぉ!」
主「そう?」

その時開けっ放しになれた教室のドアの外から声が聞こえてきた。

礼「こらっ、垂髪さん!廊下は走らない!」
ち「わわ、ごめんなさい!」
暁「もう、ちさ菜ってばー…あ、先生、さようなら!」
礼「はい、さようなら。」

どうやら廊下を走っていた垂髪が先生に怒られたようだ。
廊下から聞こえてくる会話に気をとられていると、ふと、服の裾を軽く引っ張られた。

白「●●くん、今日一緒に帰りませんか?」
主「え…。」

突然で驚いたが嬉しい誘いだ、断るはずがない。

主「うん、それじゃ一緒に帰ろっか。」

俺がそう答えるが早いか白雪は荷物を持ち、教室から出ようとしている。

白「●●くん!早く早くですー!」
主「あ、ちょっと…!」

俺も急いで荷物を持ち教室を出ようとする。
その時先生が教室へと入ってきた。

礼「おや、上城さん、もう帰るんですか?」
白「はい。」
礼「そうですか、ではまた明日。」
白「…さようなら。」

白雪に続き俺も教室から出る。

礼「○○くんも帰るんですか?」
主「あ、はい。」
礼「では、さようなら。」
主「さようなら。」

そして、俺は白雪と他愛のない会話をしながら帰路についた。