4月


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4-1、10日(放課後)/教室


放課後、学校のことについての詳しい説明を受けるために職員室へ呼び出された。
詳しい説明と言っても、困ったことや慣れないことはないかなどと俺のことを気遣ってくれてのものだったようだ。

話が終わる頃には、もう大半の生徒達は帰宅したり部活へ行ったりしていて、校内の人気は少なくなっていた。
俺も早く教室へ荷物を取りに行って帰宅しよう。

(教室へ移動)

開けっ放しにされた教室のドアから中を覗くと誰かがまだ残っていた。
この位置からじゃ窓から差し込む夕日が逆光になってしまい、よく見えない。

そのまま教室の中へ入ると、それは上城であることが分かった。
足音で気づいたのか一瞬目が合う。

主「あ…。」

が、すぐに逸らされてしまった。
静まり返った教室とは反対に部活動をしている生徒達の元気な声がグラウンドから聞こえてくる。
上城さんは一度目を逸らしたきりこちらを向こうとはしない。
仕方ないので俺はそのまま自分の席へと向かった。
沈黙が重い…声をかけた方が良いのだろうか?
しかし、上城さんは一向にこちらを向く気配がなく、とても話しづらい雰囲気だ。

それでも一応声をかけておくか…。
気まずいような気もするが、無難に当たり障りのない感じに話しかければ大丈夫だろう。
俺はさりげなく声をかけることにした。

主「上城さん、まだ残ってたんだ。あ、昨日…大丈夫だった?」
白「あ、…大丈夫、です。えっと、その…ありがとうです。」

たった一言だが、無視されるでもなく普通に会話できたことに安堵した。
後は荷物をまとめて帰るだけだ。
そう言えば上城さんはまだ学校に残るのだろうか?
気になりながらも、俺は一言かけて教室を後にすることにした。

主「あ、それじゃ俺帰るから…また明日。」
白「ふぇ!?あ…もう帰っちゃうんですね。」
主「うん、もしかして何か用があった?」
白「な、何でもないです!…あの、それじゃまた…」
主「うん、ばいばい上城さん。」

そう言って俺はドアの方へと向かった。
もうだいぶ日も傾いて教室はオレンジに染まっている。

白「あ、あの…○○くん!!」

教室のドアに手をかけたところで上城さんに呼び止められた。

白「その、わざわざありがとうです、心配してくれて。…○○くんって、優しいですね。」

この位置からじゃ、やはり逆光になって上城の表情は良く分からないが、俺には何となく笑っているように感じられた。


4-2、、四月下旬(下校中)/道

今日も一日が終わった。
四月の初めに比べ、段々と日も長くなってきた。
俺もそれに比例するかのように新しい学校にもずいぶん慣れて、もう初めのように緊張もしなくなった。
だいぶクラスに打ち解けられたのだろう、良い傾向だ。

公園に差し掛かりふと思い出す。
そう言えば上城さんと始めて出会ったのはこの公園だったな。
ぼんやりと公園の方を見ると、きっとあの時いたであろう見覚えのある子供たちが遊んでいた。
その中に一際見知った顔がある。
上城さんだ。

上城さんはこちらに気づかず楽しそうに子供たちと遊んでいる。
ちょっと声でもかけてみるか。

主「上城さん!」
白「あ、○○くん!」

声をかけると、子供たちと遊ぶのによほど集中していたのか、吃驚したようにこちらを見た。

主「何してんの?」
白「あ、えと…遊んでます。」
主「はは、それは見れば分かるって。」
白「で、ですよね…。」
主「そう言えば前もこの子達と一緒だったよね?」
白「あ、はいです!みんなお友達です!」
主「そっか、仲良いんだ。」
白「はい…何だかこの子達といると楽しくって…嫌なこともみんな忘れちゃうんです。」
主「そうだねー、上城さんすごい楽しそうだったし。」

そのまましばらく上城さんと話した後、挨拶をして俺はまた家路に付いた。