保健室


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・1回目

部活動をしている生徒達の賑やかな声が校庭から聞こえてくる。
人気のない廊下を、俺は保健室へと向かって歩いた。
特に怪我をしたとかそういう理由ではなく、単なる暇つぶしだ。

主「失礼しまーす…」

そう一声かけるとドアを開く。

主「…………。」

返事はない。
ぐるりと保健室内を見渡してみたが、どうやら先生は不在のようだ。

…誰もいないんじゃ仕方ないな。
そう思い、保健室を後にしようとしたとき、ふと声が聞こえてきた。

白「誰…ですか?」
主「え…?」

今の声は確か…
声はベッドの方から聞こえてきた。
俺はその声のほうに近寄り、ベッドを仕切っていたカーテンを開ける。

主「上城…さん?」
白「あ……」

そこには上城さんが横になっていた。

主「えっと…体調悪いの…?」
白「はい…、まあ…。…○○くんは何か用事でもあったんですか?」
主「え、いや、俺はちょっと暇つぶしにでもと…」
白「…そう、ですか。」

そういうと上城さんは布団を被りなおした。

白「ごめんなさいです…まだ、気分が良くなってないので…」
主「あ、ごめん…!邪魔だな、俺…!」
白「すみませんが…」
主「ホントごめん!俺もう出てくから…!」

俺はカーテンを閉めなおすと、急いで保健室を後にした。
何だか悪いことしたかな…?



・2回目

―ガラッ

主「失礼しまーす…」

一声かけるが返事はない。
中に入り、周りを見渡してみる
…やはり今日も先生は不在なようだ。
まあ特に先生に用があるからと言って来たわけではないのでどうでも良いのだが。

主「ふぁ…」

思わず欠伸が出る。
夕べは今日提出のレポートの所為で貫徹だったからな…。
まあぎりぎりまでやらなかった俺が悪いんだけども。
しかし、その所為で今日は一日中眠くて仕方がなかった。

そう、何を隠そう俺は睡眠を取るためにここへ来たのだ。
もう学校は終わったのだから帰ってから寝ても良いようなものだが、俺の眠気はもう限界だ。
1時間ほどここで寝かせてもらって、それから帰ろう…

別途のある方へ近づき仕切りのカーテンを開く。

―シャッ

主「!?」

…そのベッドにはすでに先客がいた。
上城さんが眠っている。

主「…………。」

俺は起さないようにゆっくりとカーテンを閉め…

白「んぅ…だ、れ…?」
主「!!!」
白「うー………」

上城さんはトロンとした目をこすりながらこちらを見る。

主「や…やぁ…」
白「?」

まだ少し寝ぼけているのか、よく分からないといった顔をしている。

主「ご、ごめん…起こす気はなかったんだけど…」
白「○○…くん…?」

少しづつ意識を取り戻してきた上城さんは、少し驚いたように目を丸くする。

白「どうしたん、ですか…?」
主「あ、や、その、ちょっと横になりたくってさ…」
白「○○くんも気分が良くないんですか?」
主「え…ああ、まあそんなとこ…」

まあ眠すぎて気分は良くないので嘘は言ってない。
でも『○○くんも』ってことは…

主「上城さんも体調不良で…?」
白「はいです……もう、授業は終わったんですか…?」
主「あ、うん、一応。」
白「そうですか…」

そう言うと上城さんはベッドから起き上がった。

主「もう大丈夫なのか?」
白「ええ、まあ…」

軽く布団を直してベッドから出る。

白「あの、白雪はもうお家に帰るから、ベッドは○○くん使ってください。」
主「え、あ…」
白「それじゃ、ばいばいです。」
主「あ、ああ、うん、また…」

軽く手を振ると上城さんは行ってしまった。

主「…………ベッド……。」

今上城さんが出て行った少しシーツの乱れたベッドと、その隣のまだ綺麗なままのベッドを見比べる。

主「…………。」

たった今女の子が使っていたベッドに入って寝る…と言うのも少し気が引ける気がするなあ…。

しばらく考えた結果、俺はまだ使われていない方のベッドに入って眠ることにした。



・3回目

放課後、俺は保健室へと脚を運んだ。
…と言うのもさっきの体育の授業中に白雪が保健室に運ばれたと聞いたからだ。
まあ所謂お見舞いってやつだ。

―ガラッ

主「失礼します。」

中に入る。
…先生は今日も不在のようだ。

ベッドの方へと近づき、起さないようにと仕切りのカーテンをゆっくり音を立てないように開く。

白「ふぇ…●●くん…?」
主「!…あ、起きてたのか?」

てっきり白雪は寝ていると思っていたが起きていたようだ。

白「あ、えと、さっき目が覚めて…。●●くんは何でここに?白雪と同じで気分でも悪くなったんですかぁ…?」
主「いや、俺は大丈夫なんだけど…さっき白雪が保健室に運ばれたって聞いたからさ、ちょっと心配になって…」
白「白雪のために来てくれたんですか…?」
主「え、ああ…まあ、そう言うことだな。」
白「へへ…嬉しいです!」
主「喜んでもらえたなら俺も来た甲斐あったな。」
白「●●くんのおかげですね、白雪もう気分悪いの治っちゃいました!」
主「へ?…はは、無理はするなよ?」
白「無理はしてませんよぉ!」
主「まあ身体には気をつけてな?」
白「はいです!あ…授業はもう終わったんですよね?」
主「ああ、だから帰る前に寄ってみたんだけど…」
白「なら白雪ももう帰りますー、●●くん、一緒に帰りましょう。」
主「え?体調はもう平気なのか…?」
白「ふふ、さっきも言ったじゃないですかぁー…●●くんが来てくれたから治っちゃったって!」
主「ははは、そうだったな。」
白「ね、一緒に帰りましょう!」
主「…そうだな。よし、じゃあ教室から荷物とってきてやるからちょっと待っててな。」
白「わあ、ありがとです!待ってますね!」

白雪の体調のことも心配だったし、俺はそのまま白雪を送って帰った。



・4回目

今日も一日学校が終わり、俺はいつものように荷物をまとめて教室を出た。
いざ帰らんと廊下を歩く…と、廊下の端に見慣れた後姿が…

白雪だ。
廊下の端に蹲るようにしてしゃがみ込んでいる。
これは…

俺は心配になり、小走りで近づいた。

主「白雪…?」
白「ふぇ?」

振り向いた白雪の顔は真っ青だった。

主「大丈夫か!?」
白「はい、です…保健室、行こうと…」

どうやら保健室に行くところだったらしい。
その様子から見て、歩くのも辛いのだろう。

主「…歩けるか?」

一応聞いてみる。

白「ちょっと、こうしてれば…その、大丈夫かなって…」

白雪は苦笑いぎみで答えながらも辛そうだ。
…やはり仕方がない。

主「ちょっとごめんな?…よ、っと。」
白「ひゃっ!?」

このままだと無理そうだと判断した俺は白雪を保健室まで運んでいくことにした。
抱き上げると、白雪は思ってたよりも随分と軽い。

白「●●くん…?」
主「歩いていくの辛いんだろ?運んでやるからちょっと我慢してろな…?」
白「は、はいです…!…その、ありがと…です…。」

そう小さくお礼を言うと白雪は落ちないようにか、俺をぎゅっと掴んできた。
無事保健室に着いた。

―ガラッ

ドアを開け、中を見るが誰もいないようだ…
先生、また不在か…

とりあえずベッドまで運び降ろす。

主「大丈夫か?」
白「はい、です…」

無事に着き、横になれたことで安心したのだろうか、白雪の表情が幾分か和らぐ。
俺もベッドの横に備え付けられていた椅子に座る。

白「あの…ごめんなさい、です…白雪、よく気分悪くなっちゃって…その…」
主「白雪が気にすることじゃないよ。それより今は自分の体調の心配してな?」
白「あ、ありがと…です…」
主「病は気からって言うし…気持ちだけでも元気でいれば幾分かは違うんじゃないかな?」
白「…病は…気から……」
主「そうそう。」
白「……………」
主「…白雪?」
白「ふぇ!?あ、ご、ごめんなさい…」
主「っと、そうだよな、寝るんだったら俺邪魔だよな。それじゃ、俺はそろそろ…」
白「!あ、待って…!」

立ち上がろうとする俺の服の裾を白雪が掴む。

主「白雪…?」
白「白雪が…白雪が眠るまで傍にいてくれませんか…?」
主「え…」
白「お願い、です…」
主「……………。」

そっか、今誰もいないし、体調悪いときって不安になりやすいもんな…
俺は立ち上がるのやめてもう一度椅子に座った。

主「分かった。早く良くなるんだぞ?」
白「わぁ…ありがとです…、●●くん…大好き、です…。」

そう笑顔で言う白雪に思わずドキリとする。

結局、そのあと5分もしないうちに白雪は寝息を立て始めた。
俺はそれを確認すると、起さないようにゆっくりと保健室を後にした。