校庭:


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・1回目

放課後の学校、
部活動に興じる生徒たち、
校庭では各々の運動部の部員たちが所狭しと犇めき合っている。

主「あ、暁子ちゃんだ…」

見覚えのある姿に目をやると、ユニフォーム姿の彼女はウォーミグアップのストレッチをしていた。
あれ…もしかして、あのユニフォームは…

暁「あ、○○くん。どうしたの?」

俺の視線に気がついたのか、暁子ちゃんがこっちに話しかけてきてくれた。

主「…あ、いや、そのユニフォームって…」
暁「ん?」
主「…あ、えと、…」

なんて言ったっけ、それ…うーん…

暁「ふふ、そんなに意外かな?こう見えても私、結構ラクロス歴長いんだよ?」

そうだ、ラクロスだ!
言葉が出てこずに口ごもっていると暁子ちゃんが答えてくれた。

主「あ、そうラクロス、ラクロス。うん、なんか…意外と言えば意外だなと思って…委員長のイメージが強いしさ。」
暁「そっかぁ。あ、ところで○○君はラクロスに興味ある?」
主「へっ?!」
暁「来月の終わりに大会があるの!もしよかったら応援しにきてね?」
主「あ、うん。…それにしても委員長の仕事も大変なのに、両立してる暁子ちゃんはすごいなあ…」
暁「えへへ、そんなことないよ。ラクロスしてるとすごく楽しくて、大好きだから。でも…」
主「でも?」
暁「まだまだレギュラーになれなくって…。次は選ばれるように頑張らなくっちゃって!」
主「おお、俺も応援するよ!暁子ちゃんこんなに頑張ってるんだし。次はレギュラーになれるといいな。」
暁「うん、ありがとう。委員長の仕事とちゃんと両立出来るように…私、頑張る!」

暁「あ、ミーティングが始まっちゃうからもう行くね」
主「ああ、頑張って。じゃあ、また明日。」
暁「うん、ばいばい。」

そう言って暁子ちゃんはラクロス部の練習へと戻っていった。
(ホント、頑張り屋だよな暁子ちゃんて。俺も見習わないといけないかなぁ…)
などと、そんなことを思いつつ、俺は学校を後にした。



・2回目

暁「あ、○○くん!」

校庭の脇を歩いていると、暁子ちゃんが声を掛けてきた。
きょろきょろしながら回りをみている。
何か探してるんだろうか…?

暁「あのね、青木先生見なかった?」
主「いや、俺は見てないな」
暁「そっか。なら、いいの。…ちょっと部活のことで相談しようかなって、思ってたんだけど」
主「青木先生に?!」
暁「へっ、そんなに驚くことかなぁ?○○くんてば…面白いね、ふふ」
主「あ、いや…はは。」

ああ、そっか、うん、一応俺たちの担任だし…な。
でも、正直俺は暁子ちゃんの相談相手の選択にちょっと驚いてしまった。
暁子ちゃんなら友達も多いし、先生じゃなくても、他のもっと親しい子たちに相談しそうなものだけど…
それに部活のことって言ってたから、先生じゃないとどうしようもできない問題なんだろうな、きっと。
まぁ、でも暁子ちゃんは先生のこと尊敬してるみたいだしな。
…と言うか俺が個人的に先生がちょっと苦手なだけか。

暁「青木先生って、ラクロス部の顧問兼監督なの。」
主「え!?青木先生が…顧問で監督…うわ、なんかイメージ合わないな」
暁「ふふ、そんなに驚くなんて。ああみえて、先生はスポーツ万能なんだよ。頭も良くて、運動も出来るなんて、ステキだよね?」
主「…あ、うん…」

俺は苦笑いで暁子ちゃんに相槌を打った。
結構インテリキャラかと思っていたら文武両道とは…、恐るべし青木先生。
それにしても、先生について語る暁子ちゃんの目が輝いている…。

主「暁子ちゃん、もしかして先生に憧れてる?」
暁「へぇ!?…あ、う、うん。憧れ…てるかな。…私もあんな風な大人になりたいって思うの。」
主「えー、あんなインテリキャラに??…しかも結構近づきがたそうな…」
暁「ふふ、それはみんなの誤解だよ。先生ホントはすごく優しくてね…」

暁子ちゃんは先生の話になると何だか嬉しそうに話す。
うん、なんか身近に尊敬する人がいるのは良いことだよなあ。

暁「あ、そろそろ先生探さないと時間なくなっちゃうや。○○くん、またね!」
主「ああ、また明日。」
暁「ばいばーい。」

暁子ちゃんは先生を探しに、校舎の方へ走っていく。
さてと、帰るとするか。
俺は夕日の色に染められた学校を後にした。



・3回目

放課後の校庭は活気に溢れている
様々な部活動が自分を主張するかのようにひしめき合って―…

俺はそんな部活に青春をかける同級生を横目に家路に着こうと歩いている。

暁「○○くん!今帰りなの?」
主「!」

いろいろと考え事をしながら歩いていると、急に背後から声をかけられ俺は少し驚く。

主「あ、暁子ちゃんか…。」
暁「ふふ。ねえ、○○くんは、部活には興味ないの?」
主「んー…。俺、転校してきたからさ…途中から入りづらいというか…なんというか。」

俺は曖昧に笑って答えた
正直、何したいことがある訳でもないし、面倒だから帰宅部を選んだ、とは暁子ちゃんの前で言いづらい…
それに、やっぱり転校生という立場も微妙なものなのだ。
うん、だから今言ったことは嘘じゃない。

主「そういえば、もうすぐ大会近いんじゃなかったっけ?」

…が、やっぱり少し気まずいような気もするので話題を変えてみる。

暁「うん、そうなの。今月の終わりにあるんだけど……」
主「…暁子ちゃん?」
暁「……」

あれ、なんか暁子ちゃんちょっと困った顔をしてるけど…どうかしたんだろうか…

主「えっと、何かあった?」
暁「あ、んー…なんだか大会を意識しすぎちゃってるのかな…ミスばっかりして。チームメイトに迷惑かけちゃって…」

(なるほど…それで落ち込んでるんだ!)

暁「レギュラーが決定する選抜試合も近いのに。…ほんと、私もっともっと練習頑張らなくっちゃ!!」

うわ、暁子ちゃん凄く肩に力が入っているみたいだ
これじゃプレッシャーになってミスの原因になるだろうな…

暁「今年は地区大会突破して全国大会に行くって皆で約束したし!」
主「暁子ちゃん、あんまり根詰めると逆に疲れると思うんだけどな。リラックス、リラックス!」
暁「!!」

俺の言葉に一瞬、暁子ちゃんの表情が固まって、それからいつもの笑った顔に戻った

暁「はぅ…。そう、だよね…力入りすぎ、なのかなぁ?」
主「たまには息抜きも必要。頑張り過ぎは体に毒だって!」
暁「そっか…そうだよね。私、一人で空回っちゃってたみたい」
主「まあ、そんなに気負わずにリラックスしてればいい成績も出せるんじゃないかな?」
暁「ふふ、ありがとう!○○くん。何か元気出てきたな!私ちょっと思いつめてたかも…」
主「暁子ちゃん、委員長もやってるし、掛け持ちも大変だろうけど、あんまり思いつめるのは良くないよ。」
暁「うん、わかった。」

やっと暁子ちゃんの曇った表情から笑顔が見え始めて、俺は少しほっとする。
少しは彼女の役に立てたようだ。

暁「よし、もう大丈夫!私、練習に戻るね。ありがとう、○○くん!」
主「いやいや、俺はなんもしてないし。」
暁「ううん、励ましてもらったよ?話し聞いてくれて嬉しかったの。」
主「そっか、俺でよかったら話なんていつでも聞くからさ。」
暁「ふふ、じゃあ、また困ったら話しを聞いてもらうかも。そのときはよろしくね?」
主「ああ、まかせろ!」
暁「さあ、行かなきゃ。またね、○○くん!」
主「うん、ほどほどにな!」

軽い足取りで暁子ちゃんは練習に戻っていく。
あの感じならもう大丈夫かな…、
俺はそんな暁子ちゃんの後姿を見送ってから家に帰った。