校門,


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・1回目


学校も早く終わったことだし、今日は帰ってゆっくりするかな…
そう思いつつ学校を出て行く生徒たちの流れに沿ってボーっと歩く。

ドンッ!!!!

…と、背中に何かがぶつかった。

小「いったぁ~…ちょっとぉ!ボサッと歩いてんじゃないわよ!!」

後ろを振り向くと、それは有栖川だった。

主「あ、悪い…って、お前からぶつかってきたんだろ!」
小「うるさいわね!周りにもちゃんと気を配りなさいよね!!」
主「そんな横暴な…」
小「っと、こんなことしてる暇はなかったんだわ!じゃーね!」
主「あ、ちょっと、おい…!」

言いたいことだけ言うと有栖川は行ってしまった。
いつもながら自分勝手な…
…まあいいや、俺もさっさと帰ろう。

気を取り直してまた歩き始める。
にしても周りに気をねえ…配れてないのはどっちだっつーの!
俺は一応ちゃんと配ってるつもり…

―キラリ

主「ん?」

ふと、俺の足元に何やら光るものが落ちているのが目に入る。

主「…?」

拾い上げてみると、それはゴールドのハートの形をしたキーホルダーだった。
誰かの落し物だろうか…

主「あれ…これ…」

まじまじと見ていると、そのハートが開くようになっていることに気づく。
所謂ロケットタイプと言うやつか…おそらく写真が入るようになっているんだろう。
…とりあえず、開いてみよう。

…なかなか開きづらいな…爪を隙間に入れて、と………あ、開いた。

そこには見覚えのない男の写真が入っていた。
…と言っても、この町に引っ越してきてまだ1ヶ月ほどしか経ってない俺にとっては、ほとんどの人が見覚えのない人と言うことになるのだけれども。
それにしても困ったな…ここに落ちてたってことはこの学校の生徒の誰かが落としたってことなんだろうけど…
先生にでも届けたほうが良いんだろうか…

そう思い学校の方へ振り向く。

うーん…今から学校に戻るのもめんどくさいしなあ…
また明日でいっか

とりあえず俺はそのキーホルダーをポケットへとしまった。



・2回目


さて、帰るか。
いつものように帰って行く生徒達の流れに沿って、俺も同じように歩いていく。

校門のところを通りかかったところでピンク色の頭が目に付いた。

……
…………
………………???

何をしてるんだろう…?
一応鞄を持ってはいるから、帰るところなんだろうけど、
さっきからキョロキョロしながら同じところを行ったり来たり…
一体何がしたいのか…声でもかけてみるか。

主「よ!」
小「ひぁっ!!!」

余程驚いたのか小さな悲鳴をあげ、目を丸くしてこちらを見る。

小「な、なんだ、アンタか…。ちょっと!驚かさないでよね!!」
主「驚かすも何も…普通に声かけただけだろ…」
小「ふん、まぁいいわ…。ところでアンタ、ここら辺でキーホルダー落ちてるの見なかった?」
主「キーホルダー…?」
小「ゴールドでハートの形をしたやつなんだけど…」
主「あ…」

ふと思い出してポケットに手を突っ込む。
手に当たる金属質の小さな物体…そう、先日拾ったキーホルダーだ。
次の日に先生のところに持って行こうと思ってたのに、すっかり忘れていた…

ポケットからそれを取り出し有栖川に差し出す。

主「もしかして…これ?」
小「あーーーーーーー!!!!!!」

凄い勢いで俺の手からキーホルダーを奪い取る有栖川。
一瞬安心したような表情を見せたが、またすぐさま俺を睨み付ける。

小「持ってんだったらさっさと出しなさいよね、ドロボー!」
主「なっ…泥棒って…!」
小「ああもうサイテーサイテーサイテー!!!!」
主「ちょっ…!」

俺にいろいろと悪口を言いながら有栖川は走り去ってしまった。

そりゃあ、落し物届け忘れてた俺も悪いんだろうけど、泥棒はないんじゃ…
はあ…ここでグチグチ言ってても仕方ないな…帰ろう…



・3回目


さぁて、さっさと帰ってゆっくりするか…

………と、丁度俺の前を行くピンク色の頭を見つけた。有栖川だ。
そうか、有栖川も今帰りか…

そうは思ったものの、特に気にも止めず歩く。
何か話しかけてうるさく言われるのも面倒だもんな。

……
…………
………………クルリ

と、突然有栖川が振り向く。

小「ちょっと!人の後ろつけてこないでよね!!」
主「はぁ?」
小「さっきからずっと…!」
主「いや、俺も帰り道こっちなんだけど…」
小「!……そ、それならそうと早く言いなさいよね!!!」
主「早くも何も…」
小「…………っ!!」

結局何も話しかけないでもうるさく言われてしまった。

主「はあ…………」

思わずため息が出る。

小「………………………ごめん」
主「…へ?」

い、今有栖川が何か言ったような…

小「ご、ごめんって言ったのよ!一回で聞き取りなさいよね!!」
主「あ、ああ………ぷっ」
小「ちょ、ちょっと!何笑ってんのよ!!」
主「いや、悪い。何か前にもこんなことあったなーなんて思ってさ。」
小「そ、そんな前のことなんてさっぱり覚えてないわよ!」
主「…ホントは覚えてるだろ。」
小「う………」

そうだよな、こいつ、いっつもいっつもうるさくて自分勝手に見えるけど、
結構素直な良い奴なんだよなー…分かりやすいし………って、あれ?

主「…そういえば、お前の好きな人って日向くんじゃなかったっけ?」
小「あ、あんた!行き成り、ししししかも今更、な、何言ってんのよ!!」

おお、凄い動揺の使用だ。
ホントに分かりやすいなー…じゃなくて。

主「いや、この前お前が落としてたキーホルダーに日向くんじゃない男の写真が入ってたからさあ…」
小「あ、あ、あ、あんた勝手に見たの!?」

やば…!
もしかして怒ったか…!?

主「い、いや、あれは落とし主を確かめるために仕方なく…!」
小「日向くんには!?」
主「へ?」
小「日向くんには言ってないでしょうね!?」
主「い、言ってないけど…」
小「よかったぁ~…変な誤解受けるところだったわ…」

ほっ…どうやら怒ってはいないようだ…
…ん?待てよ…ってことは…

主「有栖川…お前、もしかして二股……」
小「はあ!?何言ってんのよ!!?」
主「だって…あの写真……」
小「あれは………ッ」
主「あれは?」
小「………………………あ、兄貴よ」
主「兄貴?」
小「そ、そうよ!悪い!?」
主「いや…別に悪かないけど……そっか、お前結構ブラコン…」
小「違うわよ!」
主「はは、いやいや、別に隠さなくったっていいじゃん。微笑ましくって。いやー、それにしても有栖川がブラコンだったとは…くくっ」
小「違うってば!あれは…その…形見みたいなものって言うか…」
主「え…?」

形見…?

主「形見って…」

突然発せられたその言葉に、一瞬、訳が分からなくなり思わず聞き返す。
すると有栖川は少し困ったように笑いながら答える。

小「うん、兄貴ね…3年前に…」
主「え、あ、その…ごめん………」

思いもよらなかった返事に、どう言葉を返したら良いか分からずに思わず謝ってしまう。

小「そ、そんな顔して謝らないでよ!あんたらしくない!」
主「でも…」
小「もう!あたしがこう言ってんだから!」
主「………………」
小「そ、それに、あんたと言い合ったりするのって、その、…けっこう兄貴のこと思い出して、楽しかったり、する、し…」
主「…言い合うって言うより一方的にお前がいろいろ言ってくるだけだけどな。」
小「なんですってぇー!?」
主「はは、冗談だよ。」

思わず有栖川の頭を撫でる。

小「ちょっとぉー…」
主「ん?」
小「子供扱いは…やめてよねっ…」
主「ははは」

今日はいつもと違う有栖川の一面を見れた気がする。
素直で一途で…意外と強いんだな。

小「…ま、やっといつものに戻ったらそれで良いんだけどねッ!」
主「はいはい。」
小「はいは一回で良いの!」
主「はい。」

その後、それぞれ分かれるまで、二人で談笑しながら帰った。