暁子

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**・暁子の虫嫌い(昼休み)/教室 青空にぽっかりと雲が浮かんでいる。‥‥。 みんな、この陽気が気持ち良いせいだろう、 クラスメイト達の過半数は外へひなたぼっこに出かけたり、教室で昼寝したりしている。 こんな穏やかな昼休みも悪くないな。 ――――――――ん? 何やら気になる行動を取っている女子が視界に入った。 あれは‥‥……暁子ちゃんだ。――――― ……………どうしたんだろう。壁に向かって身構えている。 ……しかも、両手に掃除用の箒を持って。 様子を伺っていると、何だか怯えているようにも見える……… ―――声をかけてみよう。 主「暁子ちゃん」 暁「‥‥あっ、●●くん‥‥‥」 主「どうかしたの?」 暁「‥‥うううう~っ助けてぇぇぇぇぇ~、●●くぅん」 今にも泣き出しそうな顔をしている……… 主「だ、大丈夫?‥‥一体何が…」 その時、俺の足元に小さな黒影がちらっと見えた。 暁「きゃぁっっ!!!!!」 だがよく確認できないまま、その物体は掃除用具箱の裏に逃げ込んでいった。 主「何だ今の‥?」 暁「あぅ~~~、もうあたし駄目…」 主「もしかして、今の黒い物体を退治しようとしてたのか?」 暁「う、‥うん……………」 主「そういうことか。……よし、待ってろ。俺が退治してやる」 暁「!!はう…ありがとうぅ~‥●●くん、気をつけて」 主「おう!任せとけ!虫くらいどうってことないって。…あ、その箒貸してもらってもいいかな」 暁「‥ぁ、う、うん!‥はい!!」 俺は暁子ちゃんが持っていた箒の片方を受け取った。 主「‥よし‥‥」 ………………………………… ………………… …………………………ん? …気が付くと、暁子ちゃんが俺の上着の裾を掴んでいた。 主「‥あ‥‥‥‥えっと…‥その……手を離してくれると有難いかな」 暁「‥‥えっ?……ぁっ………………ごっ、‥ごめんねっ!!」 ―――――さて、どこに潜んでいるんだ‥‥ ………………とりあえず、掃除用具箱の裏を覗き込む。 ……………………いない。 次に、床から壁へと目を走らせる。 …………………‥‥‥‥‥‥‥‥ ………………………………が、見当たらない。 確かにこの裏に入っていったはずなんだが……………。 暁「………ど、どお‥?●●くん…」 主「うーん、この裏にはもういないみたいだ」 暁「…えっ…いない‥‥‥?」 主「うん‥あと……いるとしたら天井くらいか」 天井を見上げてみる。 ん?………もしかして……あれか…………? それは1cm程の小さな蜘蛛だった。 暁子ちゃん………………あれ………… 小さすぎないか……………………………………? それはさて置き、その蜘蛛は箒でやっと届くくらいの位置にいる…………。 暁「うう、あんなところにいるよぉぉ………ど、どうしよう●●くん」 主「そうだなぁ………」 ・ジャンプして強引に落とす→1へ ・蜘蛛が動くまで待ってみる→2へ ----------------------------------------------- **1、ジャンプして強引に落とす こうなったら力ずくで落とすしかないな。 …………………………………………………… ………………………… 主「……よっっ!!!!……っと」 ………………よしっ!!届いた‥‥‥‥‥!! ポトッ……………。 主「…………………あ。」 暁「‥えっ‥‥‥?!‥‥‥‥」 暁「……………ぃ……………………ぃいやぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」 しまった…………………… 暁子ちゃんの頭の上に落としてしまった………………………。 主「ごっ、ごめんっ!!暁子ちゃん!!!」 暁「うわぁぁ~~ん、は、早く取ってぇぇぇぇっ!!!」 主「わかったわかった!ちょっとじっとしてて!!今取るから」 暁「あううう気持ち悪いぃ~~!!」 主「きょ、暁子ちゃんっ、動いたら取れないって!じっとして!!」 暁「きゅぅ…………」 ……………………………………… ………………………… とりあえず暁子ちゃんからは払いのけられたが、 結局、蜘蛛はどこかへ逃げてわからなくなってしまった。 ------------------------------------------- **2、蜘蛛が動くまで待ってみる もしかすると壁の方に降りてくるかもしれないよな。 主「ちょっと、このまま待ってみようか」 暁「う、うん‥」 …………………………………………………… ………………………… ………… 主「…………………………。」 ……………動かないなぁ…………。 暁「…………ねぇ、●●くん……動かないね……」 主「うーん……………仕方ないな。こうなったら、こっちから落とすか」 暁「…ええっ!?」 主「暁子ちゃん、下がってて。箒で落とすから」 暁「‥あっ……う、うんっ!」 …………狙って………… 主「よっっっ!!!…………と」 ポトッ……………。 蜘蛛は見事に床に落下した。 また、運の良い事に、落ちた拍子に背中が地についたので 逃げられることなくすぐに捕まえる事が出来た。 暁「すごぉいっ!●●くん!!」 主「はは、これくらい簡単簡単」 俺は窓の外に蜘蛛を逃がしてやった。 暁「……はぁ、怖かったぁぁ………………」 主「ただの蜘蛛じゃないか~。怖がりだなぁ」 暁「むぅ……………ほんとに怖かったのよぉ~‥?」 主「はははっ、はいはい」 暁「むぅぅ~……」 主「まっ。何はともあれ一件落着だな」 暁「…うん!ありがとう、●●くん!見直しちゃったよ」 主「そんな大したことしてないだろ」 暁「でもでもっ、あんなところにいたのにすんなり落としちゃうし。‥‥しかも素手で触れるなんて……感心しちゃうよぉ」 主「そんな凄いことじゃないって。男は虫くらい触れないとな」 暁「ふふっ。………でもほんとにありがとう」 主「…それにしても、暁子ちゃんって虫嫌いなんだね。知らなかった」 暁「‥うん………虫って言葉を聞くだけで鳥肌が立つくらい嫌いぃ。…………もう、人類の敵っ」 主「ははっ。‥‥でも、生命誕生の頃は人類も虫だったんだぞ?」 暁「……あう………そ、それとこれとは別だよぉ!」 主「はははっ、そっかそっか」 暁「もぉ…………●●くん、イジワルなんだからぁ…………」 ――キーンコーンカーン‥‥‥ ―――――――――丁度、昼休み終了のチャイムが響き渡った。 ---------------------------------------------
**・暁子の虫嫌い(昼休み)/教室 青空にぽっかりと雲が浮かんでいる。‥‥。 みんな、この陽気が気持ち良いせいだろう、 クラスメイト達の過半数は外へひなたぼっこに出かけたり、教室で昼寝したりしている。 こんな穏やかな昼休みも悪くないな。 ――――――――ん? 何やら気になる行動を取っている女子が視界に入った。 あれは‥‥……暁子ちゃんだ。――――― ……………どうしたんだろう。壁に向かって身構えている。 ……しかも、両手に掃除用の箒を持って。 様子を伺っていると、何だか怯えているようにも見える……… ―――声をかけてみよう。 主「暁子ちゃん」 暁「‥‥あっ、●●くん‥‥‥」 主「どうかしたの?」 暁「‥‥うううう~っ助けてぇぇぇぇぇ~、●●くぅん」 今にも泣き出しそうな顔をしている……… 主「だ、大丈夫?‥‥一体何が…」 その時、俺の足元に小さな黒影がちらっと見えた。 暁「きゃぁっっ!!!!!」 だがよく確認できないまま、その物体は掃除用具箱の裏に逃げ込んでいった。 主「何だ今の‥?」 暁「あぅ~~~、もうあたし駄目…」 主「もしかして、今の黒い物体を退治しようとしてたのか?」 暁「う、‥うん……………」 主「そういうことか。……よし、待ってろ。俺が退治してやる」 暁「!!はう…ありがとうぅ~‥●●くん、気をつけて」 主「おう!任せとけ!虫くらいどうってことないって。…あ、その箒貸してもらってもいいかな」 暁「‥ぁ、う、うん!‥はい!!」 俺は暁子ちゃんが持っていた箒の片方を受け取った。 主「‥よし‥‥」 ………………………………… ………………… …………………………ん? …気が付くと、暁子ちゃんが俺の上着の裾を掴んでいた。 主「‥あ‥‥‥‥えっと…‥その……手を離してくれると有難いかな」 暁「‥‥えっ?……ぁっ………………ごっ、‥ごめんねっ!!」 ―――――さて、どこに潜んでいるんだ‥‥ ………………とりあえず、掃除用具箱の裏を覗き込む。 ……………………いない。 次に、床から壁へと目を走らせる。 …………………‥‥‥‥‥‥‥‥ ………………………………が、見当たらない。 確かにこの裏に入っていったはずなんだが……………。 暁「………ど、どお‥?●●くん…」 主「うーん、この裏にはもういないみたいだ」 暁「…えっ…いない‥‥‥?」 主「うん‥あと……いるとしたら天井くらいか」 天井を見上げてみる。 ん?………もしかして……あれか…………? それは1cm程の小さな蜘蛛だった。 暁子ちゃん………………あれ………… 小さすぎないか……………………………………? それはさて置き、その蜘蛛は箒でやっと届くくらいの位置にいる…………。 暁「うう、あんなところにいるよぉぉ………ど、どうしよう●●くん」 主「そうだなぁ………」 ・ジャンプして強引に落とす→1へ ・蜘蛛が動くまで待ってみる→2へ ----------------------------------------------- **1、ジャンプして強引に落とす こうなったら力ずくで落とすしかないな。 …………………………………………………… ………………………… 主「……よっっ!!!!……っと」 ………………よしっ!!届いた‥‥‥‥‥!! ポトッ……………。 主「…………………あ。」 暁「‥えっ‥‥‥?!‥‥‥‥」 暁「……………ぃ……………………ぃいやぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」 しまった…………………… 暁子ちゃんの頭の上に落としてしまった………………………。 主「ごっ、ごめんっ!!暁子ちゃん!!!」 暁「うわぁぁ~~ん、は、早く取ってぇぇぇぇっ!!!」 主「わかったわかった!ちょっとじっとしてて!!今取るから」 暁「あううう気持ち悪いぃ~~!!」 主「きょ、暁子ちゃんっ、動いたら取れないって!じっとして!!」 暁「きゅぅ…………」 ……………………………………… ………………………… とりあえず暁子ちゃんからは払いのけられたが、 結局、蜘蛛はどこかへ逃げてわからなくなってしまった。 ------------------------------------------- **2、蜘蛛が動くまで待ってみる もしかすると壁の方に降りてくるかもしれないよな。 主「ちょっと、このまま待ってみようか」 暁「う、うん‥」 …………………………………………………… ………………………… ………… 主「…………………………。」 ……………動かないなぁ…………。 暁「…………ねぇ、●●くん……動かないね……」 主「うーん……………仕方ないな。こうなったら、こっちから落とすか」 暁「…ええっ!?」 主「暁子ちゃん、下がってて。箒で落とすから」 暁「‥あっ……う、うんっ!」 …………狙って………… 主「よっっっ!!!…………と」 ポトッ……………。 蜘蛛は見事に床に落下した。 また、運の良い事に、落ちた拍子に背中が地についたので 逃げられることなくすぐに捕まえる事が出来た。 暁「すごぉいっ!●●くん!!」 主「はは、これくらい簡単簡単」 俺は窓の外に蜘蛛を逃がしてやった。 暁「……はぁ、怖かったぁぁ………………」 主「ただの蜘蛛じゃないか~。怖がりだなぁ」 暁「むぅ……………ほんとに怖かったのよぉ~‥?」 主「はははっ、はいはい」 暁「むぅぅ~……」 主「まっ。何はともあれ一件落着だな」 暁「…うん!ありがとう、●●くん!見直しちゃったよ」 主「そんな大したことしてないだろ」 暁「でもでもっ、あんなところにいたのにすんなり落としちゃうし。‥‥しかも素手で触れるなんて……感心しちゃうよぉ」 主「そんな凄いことじゃないって。男は虫くらい触れないとな」 暁「ふふっ。………でもほんとにありがとう」 主「…それにしても、暁子ちゃんって虫嫌いなんだね。知らなかった」 暁「‥うん………虫って言葉を聞くだけで鳥肌が立つくらい嫌いぃ。…………もう、人類の敵っ」 主「ははっ。‥‥でも、生命誕生の頃は人類も虫だったんだぞ?」 暁「……あう………そ、それとこれとは別だよぉ!」 主「はははっ、そっかそっか」 暁「もぉ…………●●くん、イジワルなんだからぁ…………」 ――キーンコーンカーン‥‥‥ ―――――――――丁度、昼休み終了のチャイムが響き渡った。 --------------------------------------------- **・第1回目/中庭 ここは中庭…………… 校内では一番日当たりのいい場所だ。 登校、帰宅時間になると、生徒が一斉にここを通るのでにぎやかになる。 今は帰宅する生徒ももう随分と減っている頃だ。 ………あ、あそこにいるのは‥‥‥ 暁子ちゃんだ。 ベンチに暁子ちゃんが座っている………。 ……ちょっと話しかけてみよう。 主「暁子ちゃん!」 暁「あ……●●くん」 主「何してるの」 暁「日光浴。ここって、あったかくて気持ちいいでしょ?」 主「うん」 暁「●●くんもここに座ってみて!ほんとに気持ちいいんだよぉ」 そう言われ、俺も暁子ちゃんの隣に座ってみる。 主「……お、ほんとだ」 暁「‥‥‥ね!」 少し傾きかけている陽の照り具合が調度いい。 天に向けて腕を思い切り伸ばし、大きく背伸びをする暁子ちゃん。 暁「う~~~~ん!‥‥‥‥はぁ………」 主「こうしてると、だんだん眠くなってくるなぁ」 暁「ふふっ、ほんとだね」 主「…………………………」 ……………………………………… ………………………… ……………… 暁「‥‥あっ、●●くんっ!!ほんとに寝ちゃったらだめだよっ!?」 主「ぁ………おっと………危ない危ない。」 暁「もう‥‥‥ふふふっ。いくらなんでも、こんなとこで寝たら風邪引いちゃうよぉ」 主「はは。確かにな。」 暁「もぉ、●●くんったら」 日「おーい、姉さーーん。先生が呼んでるよー」 暁「‥‥あ、はーーーい!………じゃあ、あたし行かなきゃ。またね!●●くん」 主「あ……ああ。頑張ってな」 暁子ちゃんは走って校舎の中に入って行った。 ----------------------------------------------------------------- **・第2回目/中庭 ここは中庭…………… 放課後の中庭は、どことなく落ち着く。 あのふんわりとした、天然の照明効果のせいだろうか。 ずっと見ていると、あのオレンジに吸い込まれそうな感覚だ。 ベンチにでも座ってまったりとしたい気分だった。 …………あ、あれは この前のベンチに暁子ちゃんが座っている。 ‥‥話しかけてみよう 主「暁子ちゃん。お疲れ様」 暁「あ、●●くん。」 俺は暁子ちゃんの隣に腰掛ける。 主「あれ、今から何か食べるところ?」 暁「うん!」 紙袋に手を入れてゴソゴソと何かを取っているようだった。 暁「えへへ……おなか‥‥すいちゃって」 紙袋から、これまた大きなものを取り出した。 主「それ何?」 暁「メロンパンだよ~。あっ、●●くんも食べる?」 主「ああ、俺はいいよ。昼いっぱい食っちゃったから」 暁「そう?………じゃあ、いただきまぁす!はぁむっ‥」 嬉しそうにメロンパンにほうばりつく暁子ちゃん。 それにしても、大きいメロンパンだ。……暁子ちゃんの顔くらいはあるかもしれない。 ‥‥いや、というか暁子ちゃんの顔が小さいんだ。 暁「ふふっ。ほいひぃ~~~☆」 主「メロンパン好きなのか?」 暁「うん!だーいすき。メロンパンさえあれば生きていけるもん☆」 主「そんなに好きなのかー」 暁「うん☆」 両手で大事そうに食べる暁子ちゃん。ほんとに嬉しそうに食べるんだこれが。 俺は思わず、その横顔をじっと見つめてしまっていた。 暁「‥‥ん?どうひはほ(どうしたの)?」 主「えっ‥あ、いや。何も」 暁「…………ふふ。へんなの」 俺は空に顔を向ける。 夕焼けが眩しい。 暁「ねえ、●●くん。前に住んでた所も、夕日、綺麗だった?」 主「‥‥うーん、そうだなぁ。都会の方だったから、ここ程よくは見えなかったな」 暁「こっちの方が綺麗?」 主「うん、そうだね」 暁「そっかぁ……」 そういえば転校する前までは、空なんて滅多に見なかった。 それがどうしてだか、こっちへ来てから空を眺めることが多くなった気がする。 澄んだ空気がそうさせるのだろうか。 何だか、忘れていた大切な心を取り戻してくれるような気持ちになる。 俺はゆっくりと深呼吸してみる。 主「はぁ‥‥‥‥‥‥」 暁「………ぁ!ごめんね、●●くん。食べるの遅くって」 主「え?‥‥ああ、いいよいいよ。ゆっくり食べなって」 静止しているオレンジ色の光を見ていると、 ゆっくりと時間が流れていくような気がした。 ---------------------------------------------------------------- **・第3回目/中庭 帰宅する生徒も減っていて、中庭は随分と静かだ。 あたりはすっかり夕暮れの雰囲気に包まれている。 向こうのグラウンドから、部活する生徒達の声がわずかに聞こえてくる。 あ‥‥‥ 見ると、暁子ちゃんがいつものベンチに座っているのに気付いた。 ……あれ、何か食べてる‥‥?みたいだ。 俺は暁子ちゃんに近づいていった。 主「よっ、何食べてんだ?」 暁「あ…………っ●●くん!」 主「‥‥‥ん!?………」 暁子ちゃんの手には、 何か得体の知れない真っ黒な物体が握られていた…………。 主「…………一体……これは‥‥‥。」 暁「あっ、●●くんも食べる?半分こしようよ!」 主「え!?‥‥あっ………いや‥‥‥えっとその……それは‥な、何かな?」 暁「えっ?何って……ただの‥‥」 主「た、ただの…?」 暁「メロンパンだよ?」 ………め……メロンパン……?これが!? 見た目は、黒くてデカい………。確かに形は真ん丸で、 メロンパンの原型を辛うじて留めているという感じだが‥‥ 何というか、石…いや、石炭…?に似ている。 とにかくメロンパンとは程遠い姿だ‥‥ ……いや、信じないぞ……!! これがメロンパンだなんて、俺は信じない‥‥‥!! 暁「…………あれ?‥●●くん、どうかしたの?」 主「……えっ‥あ、ああ……いや‥何でもないよ」 暁「そお?何か深刻そうな顔してるけど…」 主「そ、そんなことないよ」 暁「ほんと?‥じゃぁ、一緒に食べよ!…はい!」 半分を差し出す暁子ちゃん。 う……………。 俺はそれを、恐る恐る受け取った。 ニコニコと微笑んでいる暁子ちゃんが怖い‥‥‥ …ええい!!何を躊躇しているんだ俺!男だろ!! 主「……いただきます」 暁「はぁーい!どうぞ!」 ぱくッ‥‥‥‥‥‥ ……………………………………。 え…………?………普通にウマイ……… 暁「どお?…美味しいよね?」 主「うん。ウマイ」 暁「これ、今度の新作なんだぁ~!今朝、急いで売店でゲットしたの~!」 主「人気なのか?これ」 暁「うん!たった5分で売り切れちゃうの」 主「へえ、そうなんだ‥」 暁「でもこれ‥期間限定発売だから、たぶん今月いっぱいでなくなっちゃうんだろうなぁ」 しょんぼりと肩を落とし、残念がる暁子ちゃん。 主「そっか、それは残念だな」 ‥‥というか、未だにわからん……この黒い成分の正体は一体何だ……? 味は至って普通のメロンパンなんだが… 暁「はぁ……イカ墨って、年中とれるものじゃないのかなぁ‥‥」 主「……はい?今なんと?」 暁「イカ墨。やっぱり、貴重だから大量生産できないってことかな……」 主「‥‥あのー……ちなみにこのパンの名称って…」 暁「‥‥え?『イカ墨メロンパン』だよ?」 な、なんと‥‥‥‥………!! 世の中、色んなパンがあるものだ……。 というか……こんな挑戦的ともとれるメロンパン買おうとするなんて‥‥ 暁子ちゃん……恐るべし‥‥‥ --------------------------------------------------------------- **・第4回目/中庭 ………お、今日も暁子ちゃんベンチにいる 主「よ!暁子ちゃん」 暁「あっ、●●くん。」 主「今日もいい天気だね」 暁「ほーんと。……いい天気!」 ……といっても、もうだいぶ陽は沈みかけている。 だんだんと沈みゆく光が、 どことなく優しい気持ちにさせてくれる気がした。 主「……暁子ちゃんって、委員長の仕事大変じゃないか?会議とかしょっちゅうあるみたいだし」 暁「う~ん……そうでもでもないよ?もう慣れちゃったし」 主「そうなのか?‥さっきも職員室と教室を往復してたみたいだったけど‥」 暁「‥‥あ、あれね!…今度のPTA会議の書類をまとめたりしてたの」 主「そうだったんだ。やっぱり、委員長って大変だな」 暁「ふふっ。大したことじゃないよ」 主「そうか?」 暁「…委員長始めたばかりの頃は大変だったけどね」 主「始めたばかりの頃?」 暁「うん。………ちょうど去年の今頃かなぁ‥‥仕事を覚えるの大変だったの。ミスもたっくさんして‥」 主「そうなんだ?」 暁「よく、間違って隣のクラスのプリントを取ってきちゃったりとか‥‥へへ」 主「……へえ……意外だな。 暁子ちゃんみたいな優秀で手の捌ける子でもそんな頃があるのか」 暁「ふふっ。‥‥あたりまえだよ。誰でも、初めての時ってそういうもの!」 主「そういうもんかな」 暁「そうだよぉ!‥‥努力。努力」 主「努力ねぇ……………」 暁「うん。ヒトって、努力次第でどんどん要領よくなるものなんだよ?」 主「ほお‥」 暁子ちゃんって、偉いよなぁほんと。 暁「努力して出来るようになる。‥‥努力して認められる。……って、やっぱり嬉しいことだよ」 主「うん」 暁「あたし‥‥‥委員長の仕事、もっともっと頑張りたいの」 主「もっと…」 暁「うん。もっともっと努力して…………いい委員長さんになるんだ」 暁「‥‥……そしていつか‥‥‥」 主「‥‥‥‥」 暁子ちゃんは目を細めながら沈みゆく夕日を見つめる。 ‥‥そして、小さなため息をついた。 ‥‥どことなく、悲しそうな雰囲気なのは気のせいだろうか。‥ 主「そんなに頑張んなくても、みんな、もう十分認めてると思うぞ?」 暁「…………」 暁「…………………ふふ。……そうかな」 主「ああ。……少なくとも俺は認めてるぞ」 暁「あはは。‥‥ありがと!」 やわらかなオレンジ色の光に照らされる中、 しばらく俺達はまどろんでいた。 --------------------------------------------------------------------------------

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