裏庭'

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**・1回目 裏庭は緑が多く静かな場所だ。 主「ふう…」 ベンチに座ってみる。 とても落ち着ける雰囲気で居心地が良い。 何時間でもボーっと過ごせそうだ。 日「あれ、●●くん?」 主「え?」 ふと名前を呼ばれて振り返ると日向くんがいた。 主「日向くん!」 日「まだ帰ってなかったんだね。こんなところで何してたの?」 主「いやー、早く帰ったところで特にやることもないしね。それより、ちょっと学校の中を探索してみようかと思って。」 日「そっか。」 主「それにしてもこの場所良いなあ…なんか凄く落ち着くって言うか…」 日「あ、●●くんもそう思う?」 主「思う思う!」 日「ふふ、実はこの裏庭、僕も結構気に入ってるんだよ。」 主「へえ!」 日「うん、何だかついつい脚を運んじゃうんだよね。」 主「あ、その気持ち分かる。」 日「でしょ?…っと、いけない。ちょっと用があるんだった。」 主「あ、そうなんだ…」 日「うん、それじゃあまたね!」 主「ああ、また明日!」 ------------------------ **・2回目 落ち着いて過ごしたいときはついついここへ足が向いてしまう。 特にこの季節の居心地は抜群に良いからな… いつものベンチに座ろうかと歩いていく …と、もう先に誰かがいるようだ。 ん?あ、あれは… 主「やあ、日向くん!」 日「あれ、●●くん?」 そこには日向くんが座っていた。 俺もそのとなりに腰掛ける。 日「ここで会うの2回目だね。そう言えば、前に気に入ったって言ってたもんね。」 主「そういう日向くんこそ…お気に入りの場所だっけ?」 日「うん、そう。気分転換って言うのかな…。嫌なことがあると、ここに来て心を落ち着かせてるって言うか…」 主「へえ…、そっか。じゃあ今日来てるってことは何かあった…とか?」 日「はは、別にそんな深刻なことじゃないんだ。心配させてごめんね。」 主「そ、そうか?」 日「うん、ちょっと仕事が多くて疲れちゃったから休憩、みたいな感じだし。」 主「あー…日向くん、いろいろ大変そうだもんなー…」 日「いや、普段はそうでもないんだよ?ただ、たまに今日みたいに集中的に忙しくなったりしてさ。」 主「そっか、お疲れさま。」 日「ふふ、ありがとう。…よし、それじゃあ気分転換もできたし、僕仕事に戻るね。」 主「まだあるの?」 日「まだって言っても仕上げぐらいだからね。さっさと終わらせて、帰ってゆっくりするよ。」 主「そうだな。うん、頑張って!」 日「ありがとう。それじゃあね。」 -------------------- **・3回目 やっぱりここのベンチに座ってゆっくりしてると心が落ち着くなあ… 緑も沢山あるし…なんだか懐かしい気持ちになるというか… 日「あ、●●くん!」 主「お、日向くん…よ!」 ボーっとしていると、ちょうど今ここへ来たらしい日向くんに話しかけられた。 日「隣、いいかな?」 主「あ、どうぞどうぞ。」 俺は急いで荷物をどかせる。 日「ありがとう。」 主「いえいえ。」 日「…今日は…空、曇ってるね。」 主「あー、そうだな…まあ梅雨だしな。雨じゃないだけありがたいけど…」 日「ふふ、そうだね…。」 若干、日向くんが元気がないように感じられる。 主「日向くん、何かあった?」 日「え、どうして?」 主「いや、何か元気ないような感じがして…」 日「ああ、ちょっと疲れ気味…なのかな?」 主「大丈夫?」 日「うん、大丈夫だよ、ありがとう。」 主「なら、良いんだけど…」 日「はは、●●くん、姉さんみたいだね。」 主「俺が暁子ちゃん!?」 日「そ。僕が元気ないとき、姉さんすぐ気づいちゃうんだよ。」 主「へえ…」 日「で、さっき●●くんが言ったみたいに『何かあったの?』って聞いてきてくれて…」 主「良いお姉さんだな。」 日「そう言う●●くんは良い友達だよ。」 主「え?」 日「みんな結構そういうのって気づかなかったりするし…ね。」 主「そうかな?」 日「そうだよ。」 主「うーん…?」 日「ふふ。…それじゃ、僕は雨も降りそうだしそろそろ中に入るね。」 主「へ?あ、ああ。」 日「また明日ね!」 主「うん、またな!」 そう言うと日向くんは手を振りながら校舎へと消えていった。 ---------------------- **・4回目 さて、今日もいつものベンチに座ってゆっくりするかな…。 梅雨も明けたようだし、いよいよ夏だ、まだまだ太陽が高い。 …と、ベンチに先客、日向くんだ。 主「や、日向くん。」 日「●●くん!…あ、隣どうぞ。」 主「お、ありがとう。」 お言葉に甘えて隣にすわる。 主「もう夏だなあ…夕方だって言うのに明るくなったなあ…」 日「そうだね。」 主「あ、バッタだ。」 足元に何かが飛ぶのを見つけた。バッタだ。 屈んで捕まえてみる。 主「あー…そう言えば小さい頃はよく虫取りとかしたなー…」 日「へえ…楽しかった?」 主「そりゃあな…って、日向くんはやらなかった?」 日「あ、僕は…どちらかと言うと室内で遊ぶことが多かったからね…」 主「そうなんだ?あ、もしかして虫とか苦手だった?悪い…!」 俺は急いでバッタを放す。 日「あ、そうじゃないんだけど…なんて言うか、僕、いじめられっ子だったんだよね。」 主「ええ、日向くんが!?」 クラスの誰からも好かれてそうな日向くんが…か。 にわかには信じがたい事実だけど… 日「あ、そんな深刻なことじゃないんだけどね、なんか…女の子みたいだって…」 主「ああ、確かに暁子ちゃんと双子だもんなー…でも逆に言えば顔が整ってるって言うか…」 日「クラスに一人はガキ大将タイプの子がいるでしょ?その子になんだけど…まあ今思えば他愛ない子供同士の喧嘩みたいなものなんだろうね。」 主「うーん…」 日「で、よく姉さんに庇ってもらってたっけ…」 主「暁子ちゃんに!?」 日「姉さん、けっこう正義感強いしさ…あの頃、僕姉さんにすごく憧れてたんだよね。」 主「そう言えばすごく仲良いよね。」 日「ふふ。」 そう言って日向くんは嬉しそうに笑う。 日「さてと…それじゃ僕行くね。」 主「あ、うん。」 日「ばいばい、またね。」 主「ああ、またな!」 そう言って日向くんは裏庭を後にした。

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