裏庭;

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裏庭;」(2007/11/29 (木) 16:41:10) の最新版変更点

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**・第1回目/裏庭 ここは裏庭…… 校舎の裏側ということもあって人気はあまりなく、とても静かなところだ。 緑も多くて気分が落ち着く。 奥の方には一本の大きな木が生えている。 俺は何となく木がある方へと足を運んだ。 主「よいしょっ……と」 木の根元に腰を下ろした。 どこからともなく、心地いいそよ風が駆け抜けていく。 ……はぁ…………気持ちいい… ………………………… ……ん? ……人がいる気配を感じた。 ………あたりを見回すが、特に誰も見当たらない。 ふと、上を見上げてみる。 主「‥わッッ!!!!」 き、木の枝に人が……!! 茂っている葉っぱでよくは見えないが、そこには間違いなく人がいた。 主「あ…………」 あれは………灰塚さんだ。……灰塚さんが枝に座っている……? …どうやって登ったんだ……? その枝の高さは4メートル近くはあった。 何かを見ている格好をしているが……… こっちには気付いていないのだろうか。……… 主「灰塚さーん!」 リ「…………………」 主「………何してんだー?」 リ「…………………」 主「………………」 リ「………………」 主「………」 リ「本を……………」 あ……本、読んでるのか。 リ「……………」 主「そ……そこ、高くないか?」 リ「…………いいえ。」 主「そ………そう……………………」 灰塚さんは、無表情のままゆっくりとこちらに顔を向けた。 リ「……何か、用ですか?………」 主「え……」 用はない………のだが。 主「…いや、何してるのか気になったからさ」 リ「…………………。」 主「あ、いや。読書の邪魔してすまなかったな。‥‥それじゃ!」 《違う場所》 ……………はぁ……………… 勢いで走って来てしまった。 何で俺……こんなに挙動してるんだ‥‥。 とりあえず‥‥帰る…………か…………… ------------------------------------------------------- **・第2回目/裏庭 ここは裏庭…………… やっぱり、ここは静かで居心地がいい。 校舎に隠れて陽があまり当たらないせいか、 風がちょっとだけ冷たく感じる。 奥の方に足を進めて行くと、あの大きな木が視界に入る。 あ……今日も………いるかな……? 俺は気になって、木がある方へと足を向けた。 主「…………」 そっと、木の上を覗いて確認してみる。―――――― あ………………いた。 灰塚さんは、この前と同じ枝に座って本を広げていた。 集中していて全く俺には気付いていないようだ。 声………かけてみるか。 主「おーい、灰塚さん」 俺は大声で灰塚さんを呼んだ。 すると、灰塚さんは一瞬こっちへ顔を向けが、また本の方に視線を移した。 リ「…………………」 主「今日もここにいたのか」 リ「…………………」 主「よいせっ……と」 俺は、その場に腰を下ろした。 主「この場所、好きなんだ?」 リ「…………………」 主「裏庭ってさ、あんまり目立たないけど……いい所だな」 リ「…………………」 主「木の上って落ち着くよな。俺もよく、小さい頃登ってたよ」 リ「…………………」 主「登り切って、“今日からここが俺の秘密基地~~”とか言ってさ」 リ「……………」 主「でも大抵、そこから下りれなくなって焦るんだよな。…ははは」 主「懐かしいなぁ。………」 リ「………………。」 主「灰塚さんもそこが秘密基地なのか?」 リ「…………………」 ―――――やわらかな風が吹く。 木の葉っぱが揺れる音が心地いい。 主「…………………」 ……嫌われてんのかな………………… 主「…………俺、いたら邪魔……だったな。……ごめん」 そう言って俺は立ち上がり、向こうの方へ行こうとした。 リ「別に……」 主「……?」 振り返ると、灰塚さんが俺の方に顔を向けていた。 リ「………邪魔じゃ‥‥ない、です。」 主「え‥‥?」 リ「………………」 灰塚さんは、また本へと目を移した。 ……嫌われては……いない‥‥のか。 主「灰塚さん。何で……そんなとこにわざわざ登るんだ?」 リ「…………居心地が………いいので。」 主「……そっか‥‥‥」 ていうか今更だが、どうやって登ったんだろう‥‥あんな高い枝まで…… 主「下りる時、怖くないか‥‥?」 リ「………別に………」 主「…………そう」 リ「……………」 主「でも、気をつけないと落ちたらケガするぞ?」 リ「……………」 リ「………平気です」 主「……ほんとか?」 リ「……………」 主「……………」 リ「………あの、●●さん」 主「ん?」 リ「‥‥そこをどいてください」 主「え‥?」 何でなのかは分からなかったが、 とりあえず言うとおりに、灰塚さんから少しだけ離れた。 何をするんだろう‥‥ ‥‥‥‥すると瞬間、灰塚さんの体は枝から飛躍した。 スカートの裾が重力に逆らい、細い脚があらわになる。 ―――そして次の瞬間には、地面に着く音と共に 綺麗に着地した灰塚さんの姿が、俺の目の前にあった。 そのあまりの可憐さに、俺は一時呆然としていた。 主「……………」 リ「……………」 灰塚さんは何事もなかったかのように立っている。 主「平気……そうだな」 リ「……………」 灰塚さんは、根元に置いていた鞄を無表情で取りに行った。 主「…あ……もう、帰るのか?」 リ「……いえ」 主「用事…か何かか?」 リ「………はい」 主「そっか……」 リ「では、失礼します………」 灰塚さんはそう言うと、颯爽と校舎の方へと歩いて行った。 俺は後姿が見えなくなるまでボーっと見つめていた。 …………不思議だな……灰塚さんって…… --------------------------------------------------------------------------------

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