校庭.

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**・1回目 なんとなく帰り際に校庭に立ち寄ってみると、そこに見覚えある顔を見つけた。 垂髪だ。 そっか…あいつって部活入ってるんだな。 体操着姿の垂髪は、どうやら陸上部らしい。 軽いストレッチを終えると、垂髪は助走ポジションにつく。 彼女が見据える先には、走り高跳びのバーがそびえ立っている。 へぇ…高飛びの選手なのか…。 垂髪は呼吸を整え、タイミングを計り、走り出す。 タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ…シャッ―― 勢い良く踏み切り、高い跳躍力を生かした背面飛びで、バーを余裕で跳び超えていく。 踏切から着地まで流れるように美しい垂髪のジャンプに、思わず俺は、ぼうっと魅入ってしまった。 ち「おっ、○○じゃーん」 どうやら俺の姿に気づいたらしい垂髪がこっちにやってきた。 主「よ。垂髪って部活してたんだな。」 ち「いやいや、これは助っ人稼業のひとつ!実はなんちゃって陸上部なの!」 主「はあ?」 ち「まぁ、このちさ菜様の優れた身体能力を生かして、陸上部に貸しを作ってるってワケ!これで来月の昼食代が浮くのよね~。」 主「あの、それって…」 ち「へへ、細かいことは気にしない!」 主「はあ。」 ち「こうやって練習にもちゃんと参加してるし、それに大会でいい成績を残せたらのご褒美だもの。」 主「そっか。」 ち「ま、見てなさいって。このちさ菜様の活躍を!」 主「はいはい。」 ち「っと、そろそろあたし行かなきゃ…!」 主「ああ、頑張れよー。」 ち「うん!じゃねー!」 そう言って、垂髪は陸上部の練習に戻っていった。 助っ人かあ…、なんか垂髪らしいな。 さて、と…俺は帰るとするか。 賑わう校庭を離れ、家路へとついた。 --------------------- **・2回目 陽も傾き始めオレンジ色の光に包まれる校舎。 課題の提出だ、締切だ、なんだので、今日はちょっと帰るのが遅くなってしまった。 こんなことなら早く済ませておけば良かったなあ…。 まあ、いまさら後悔したところでどうにもならないけど。 そんなことを思いつつ、俺は校舎を後にし校庭を歩いていた。 ドカッ!!!! 主「っ……」 突然後頭部に衝撃が走った。 何かに殴られたような痛みに、一瞬で俺の視界は真っ暗になった… ……… ……… ……… ち「○○?…ねえ、○○?!ちょっと大丈夫??」 ん…? 誰かに呼ばれてる…? 主「つぅ……あれ、垂髪…?」 ち「○○~!!よかったー、こっちにボール探しに来たら○○が倒れてて…吃驚したよ~ほんと!」 どうやら俺は飛んできたボールが直撃して、一瞬意識を失っていたようだ。 意識ははっきりと戻ったものの、まだ後頭部がジンジンと痛む。 痛みを紛らわそうと後頭部をさすりながら起き上がる。 触ってみてわかったが、どうやらコブになってしまったようだ。 そりゃ痛むはずだ…。 そんな俺を垂髪は心配そうに見ていた。 ち「あの、もしかして…ボール直撃しちゃった?」 主「ああ。」 ち「うわっ、ごめんね…大丈夫?思ってた方向と逆に打ち上げちゃって…頭まだ痛い、よね?」 主「そりゃ痛いって…。垂髪ー…さてはお前がぶつけただろ……」 ち「あ、うん。えへへ…」 垂髪は苦い笑いしながら頷いた。 ふう…まったく、考え事をしていてボールに気づかなった俺も悪いが、校庭からここまでボールを飛ばしてくる垂髪の運動神経の良さにも困ったもんだな。 主「今度はどこの部活で助っ人してるんだ?」 ち「ソフトボール部!」 確かに垂髪は、野球のユニフォームのようなストライプのシャツとズボンを着ていた。 そうか…ソフトボール部かー… 主「で、バッティング練習中に誤った方向に飛ばしたと?」 ち「はい、そのとおりです…うぅー、ご、ごめんねー…」 手を合わせ、ひたすら謝る垂髪。 なかなかこんな垂髪の姿は見れないので、ボールをぶつけたお返しに、俺は少しだけ大げさに痛がってみた。 主「ああ、痛みがぜんっぜん引かないなー…あ、眩暈が……」 ち「ちょ、ちょっとー??○○、しっかりして!!あ、だ、誰か呼んで来ないと…」 垂髪のあまりのうろたえっぷりに俺は笑いがこみ上げてくる。 主「…くくっ…」 ち「え、ええ、ちょ、ちょっとー!?」 主「ぷっ…あはははははははははっ!」 ち「え、何!?あ・・・もしかしてからかってんのー!!?」 主「ははっ・・・ああ、悪い悪い。ちょっと大げさに痛がってみた。」 ち「何それ!こっちは本気で心配してるのに・・・」 主「いや、痛いのは変わらないんだけど。お前のうろたえ方がおかしくってさ。」 ち「ちょっと、どういう意味よー?…ふう。でもまあ、そんなこと言えるなら大丈夫そうよね。…良かった。」 主「ああ、たんこぶ一つで済んだぜ。打ち所が悪くなくって良かった、良かった…」 ち「あ、いやぁ、本気で申し訳ない・・・ごめん!!」 主「まあ、事故だからしょうがないさ。そんな気にすんなって。」 ち「そ、そうよね!事故だもの、しょうがないわよね!!」 コイツ…俺が平気だって知ったとたんに… 主「…垂髪。お前、反省してないだろ?」 ち「へっ?!」 主「まったく…」 ち「そんなことないって。誠意をもって謝る、ごめん!お詫びに今度奢るから!!」 主「…………」 ち「…○○?」 こっちを伺うように見つめる垂髪。 まあ、こんなことになっても憎めないキャラなのが垂髪だ。 しょうがない、許してやるか…って、別に俺は始めから怒っているワケじゃないんだがな。 主「食堂でランチ三日分な。」 ち「えぇー!?うーん、・・・考えとく!」 主「お前・・・」 ち「嘘、嘘!!ちゃんと奢るって」 主「はは…ホント、お前得なキャラしてるわ…」 ち「そう?って、あー!!そろそろボール拾って戻らないと怒られちゃう!」 主「部活の途中だもんな、頑張れよ。あ、でもかっ飛ばすのもほどほどにな。」 ち「分かってますって。ほんと、ごめんね。あ、保健室でたんこぶ冷やしすアイスノン貰って帰るといいよー!」 主「ああ、そうする。じゃあな!」 ち「うん、またね!」 そう言って、垂髪はボールを拾うと校庭に戻っていった。 うーん、まだたんこぶは痛む…な。 よし、保健室に寄ってから帰るとするか。 --------------------------- **・3回目 主「!!!!うわっ…冷たい…」 放課後、蒸し暑い校庭脇の小道をフラフラ歩いていると、突如水しぶきに襲われた。 い、一体なんなんだ!? 不意打ちの水流の襲撃に俺は全身ずぶ濡れになっている。 ち「おーい!○○ー!!」 何が起こったのか、暫く状況が飲み込めなくてポカンとその場に立ち尽くしていると、少し離れた場所にあるプールのフェンス越しから、俺を呼ぶ声がした。 ち「○○ー!」 あれは垂髪…って、あいつ…!! 主「おい…!」 垂髪の手に握られているホースを見て気付く。 どうやら俺をこんな目に合わせた犯人は、垂髪らしい。 あいつ…こんな悪戯しやがって。 俺は濡れたままプールサイドの垂髪の方へ向かっていった。 主「垂髪!おまえ俺に恨みでもあるのか?」 ち「あらー、○○ずぶ濡れねー!」 主「『ずぶ濡れねー』じゃねーよ!」 ち「あははは!」 垂髪は反省するどころか俺を見てケラケラと笑っている。 コイツ…! 主「まったく、いきなり水かけやがって…!」 ち「だって、暑さで干からびてる○○がココから見えたから、水分補給してあげたの!なんちって~…」 主「おまえ……」 確かに暑さでボーっとはしていたが、こんな形で熱を冷まされることを俺は望んでないっつーの! が、しかしそんなこと思っても後の祭りだ。 仕方がない。 主「はあ…。で、今日は水泳部の助っ人か?」 ち「うーん、惜しい!!」 主「はあっ??」 ち「水泳部じゃなくて、“水球部”!」 主「そんな部活まであるのかよ。この学校って…」 ち「そりゃなんたって、この学校のウリの一つは部活数の多さなんだから。何でもあるわよ~!」 主「ははは…」 ち「ほんと助っ人のし甲斐があるわー。って、そろそろあたし試合に出ないと!」 主「ちょ、お前、俺はこのまま放置か?」 ち「へ?あー、この暑さなら歩いてるうちに乾くって!じゃねー!」 主「…………」 垂髪はプールサイドから水中へ戻っていった。 まあ、とりあえず濡れた服はこの暑さで既に乾きつつあったが、垂髪…お前と言うやつは…!! はあ…このまま乾くまでしばらくフラフラしてるか…… と、プールサイドを離れようとしたその時、垂髪がプールサイドのフェンスの方に戻ってきた。 ち「○○、熱射病には気をつけなさいよー!」 そう一言告げてまた中へ戻っていく。 それを言う為だけにわざわざ戻ってきたという事は…一応は俺のことを気遣っているってことか。 しかし、これだけ俺をずぶ濡れにさせた垂髪にいわれるのもなんだかなぁ… 主「ふう…。ああ、気をつけるよ!」 俺は少し苦笑いしながら返事を返した。 さて、帰るとするか! …歩いてるうちに服も乾くだろうし。 俺は西日が照りつける中をのろのろ歩きながら家路へとついた。

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